この学会はタキオンとモルモットくんがいかにお互いの人生にとってかけがえのないものであるかを議論しふたりの絆と愛情がどのように深まっていくかについて検討するものでありますがその上でひとつ避けては通れない重要な議題があります
それはあのタキオンがいかにしてモルモットくんと恋人のようにいちゃいちゃするようになるのかということです 本日はその点について検討していきたいと考えております

まずタキオンが真っ当な色恋沙汰について全くと言っていいほど経験がないということは皆様も容易くご想像いただけるかと思います 育成のグッドエンドでもデートを心理実験の一環と捉えてモルモットくんからときめきのような感情を引き出そうとするもうまくいかないというシーンがあることからもそもそもタキオンは好き合ったひとがどのように愛し合うのかということに実感がないと思われます
しかし一方でタキオンは今まで無視していた自分や他人の感情というものについてモルモットくんとの日々で気づくようになってきているというのも間違いのない事実であります とするとモルモットくんとの仲がさらに深いものとなった場合には今までタキオンには縁のなかった愛情を深めるための行為にも目が向いてくると思うんですよね

そして狂った目をしているけれども普通の人間としての感性も持ち合わせているモルモットくんがタキオンともっと愛し合いたいと考えるのもまた自然なことであると考えられます しかしながらモルモットくんは誰よりもタキオンを愛しているからこそ自分がしたいからといって不慣れなことにタキオンを付き合わせて傷つけてしまったらどうしようとも思うんですよね
つまりタキオンとモルモットくんがお付き合いすることになるときには愛し合うことに興味が出てきたけどどうやったらいいかわからないタキオンと愛し合いたいけどタキオンを傷つけたくなくて迷うモルモットくんという状況が生まれるタイミングがあると考えられるのです

さてそんな相反するふたつの感情を抱えたモルモットくんがどうしたらいいのかなとため息をついたある夜にタキオンが唐突に「ん」って腕を広げてくるんですよね
え？って顔なモルモットくんにタキオンはにやにやと笑ったまま「実験動物にも何らかの報酬は必要だと思っただけのことさ。それに感情というものを理解するためには、きみの協力が必要不可欠のようだからね」とあくまでもモルモットくんへの労いと自分の好奇心を満たすためにという体でハグをするように提案をするわけですね
そうしてずっと抱えていたタキオンへの愛欲に火を付けられてしまったモルモットくんはついに我慢の限界を迎えてぎゅっとタキオンを抱きしめちゃうわけですね

初めのうちはタキオンもまだにやにや笑ったまま「いいねぇ…実にいい反応だよ」と前はできなかった恋人らしい感情が見られたことに満足そうにしているんですよね
でもそのままモルモットくんに抱きしめられて身体の中の熱を伝えるように首筋に顔を埋められると頭の端がちりちりと焼かれるような落ち着かない感覚がタキオンの体中を走るんですよね
余裕のない声で「もう大丈夫だよ、データは充分取れたからね」とタキオンは言ってみるんですがモルモットくんは離してくれなくて何も言わずにタキオンを抱きしめたままなんですよね

そうしてタキオンは自分の心臓がどんどん言う事を聞かなくなっているのを実感しながらモルモットくんの体温をずっと体中で感じ続けているんですよね
そんなタキオンにモルモットくんはいつもからは想像もできないような蕩けた声で「…タキオンはさ、実験のためじゃないとこういうことしてくれないの？」って訊いてくるんですよね
モルモットくんと愛し合ってみたいっていう自分でもわからない自分の心を言い当てられたような気になって何も言えないタキオンにモルモットくんは「…僕は、したいよ。タキオンといっぱい、こういうことしたい」って吐き出すように言うんですよね

モルモットくんに自分と愛し合いたいって思ってるってことを告げられるとタキオンの胸の奥はますますうるさくなっちゃうんですよね
タキオンはなんでそう言われるのがうれしいのかわからないんですけど自分をまっすぐ見つめるモルモットくんの狂った色の瞳からは目が離せないんですよね
「…なら、好きにしてみたまえ。私も…嫌ではないからね」とぼそりと言いながら控えめにモルモットくんの腰に手を回したタキオンをモルモットくんは今度は優しくにこりと微笑んでもう一度抱きしめるんですよね
そんなふうに不器用ながらもお互いの想いを確かめあったモルモットくんとタキオンがその日から寝る前にぎゅっと抱き合ってお互いにしてみたいことをするところをずっと見ていたいんですよね

何が言いたいかというとタキオンに脳を焼かれてその光をも越える走りを追いかけて支え続けることを決めたモルモットくんが感情のことではむしろタキオンに教える立場になるというのは非常に興味深いことであると同時に大好きなタキオンの愛をある意味自分の色に染め上げる背徳感と大き過ぎる愛情に身を焼かれるモルモットくんと自分の中にある気持ちに徐々に気づいていくタキオンが少しずつ愛することを覚えていく過程は大変尊いものであると思います

私の発表は以上です
では蓄光に戻ります

頭を撫でられるのもキスをするのも全部モルモットくんに教えてもらうタキオン…

最初は実験と報酬って建前があるから寝る前に1時間だけってことにしてるんだよね
でも始めたらやめられなくなって結局抱き合ったまま一緒に寝ちゃうんだよね

ふたりとも覚えたらどろっどろのいちゃいちゃをしそうでもあるし慣れてきたらごはんくらいの軽い感覚でキスをねだってきそうでもある