アルケア Nルート後(プレイリモン消滅) 車椅子に座る薄青色の髪をした少女。 かつて彼女の象徴の一つであった頭頂部の一対の角はすでに存在せず、痛ましい傷跡がそこに残るのみだった。 彼女の病室には、一つの眼帯が置かれている。彼女はそれが何であるかを知らない。いや、未だ思い出せていない。 かつて彼女の体内で育まれていた呪われしデジモン。その覚醒を阻止し、彼女を救おうとしたもの達、それを阻んだもの達。 二者の争いのさなか、影によって仕組まれた出来事により、彼女の角は折り取られた。 それにより、彼女は車椅子生活を強いられ、その上なぜ自分が黒曜将軍を名乗っていたのか、なぜ自分がこの世界にいるのか、自分は誰なのか、そのほか一切全てを忘れ去ってしまった。 しかし、その忘失は彼女にとって一種の救いだと言えるのかもしれない。 眼帯の持ち主を自らがこの世から消し去ったことも、自分が一人の少女から腕を奪ったことも、思い出さずにいられるのだから。 それでも彼女は、決して安らかな日常を送れているわけではない。 記憶はなくとも、犯した罪の数々は確かに彼女の背中にのしかかっている。 彼女の心の奥底に染みついた得体の知れない、しかし確かな恐怖は、彼女に人と関わることを拒ませた。 彼女に想いを寄せ、彼女を救おうとした黒の名を持つ少年も、その例外ではなかった。 彼女に平穏な眠りが訪れることは、ない。