二次元裏@ふたば

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214818 B24/07/11(木)00:14:30No.1209742264そうだねx8 02:36頃消えます
自分とこので怪文書書いたよ
こいつら
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このスレは古いので、もうすぐ消えます。
124/07/11(木)00:15:09No.1209742459+
@「え〜なのでみんなも何かあったら先生に言うように。」
クラスの人間が突然誰にも何も言わずいなくなった。所謂神隠しであった。
 佐藤 美恵子。容姿端麗ではあったがどこかとぼけたというか不思議ちゃんという扱いであった彼女の突然の失踪というセンセーショナルな事態は、普段は表面化しない嫉妬や卑しい心持ちが下世話かつ不謹慎な噂話を同じクラスの人間を駆り立てた。
「あいつ、結構男に言い寄られてたし、変なのに引っかかったんじゃない?」
「私あの子が前コンカフェにハマってるってどっかで聞いたよ。」
 そういった下世話な噂話に華を咲かせる人間とそれを怪訝な表情で遠巻きに眺める者。どちらみち何かしらの不幸に遭ったかもしれない人物の尊厳はあずかり知らない場所で下劣な娯楽へと食い潰されていこうとしていた。
「そんなんじゃない!」
 声を上げたのは美恵子と仲が良かった…唯一の友達とも言っていい田中 鈴であった。
 鈴は眼鏡の後ろの瞳に涙を溜めていた。安否も分からない友人をあろうことか侮辱された事に我慢がならなかったのだろう。
224/07/11(木)00:15:23No.1209742538+
 噂話をしていた連中も流石に気まずいのか一瞬言い淀んだが無駄に高い自尊心が言い淀んだ僅かな良識を掻き消した。
「んだよ。何ムキになってるんだよ。そうやってムキになるって事は心当たりがあるっ「おい」
 鈴と噂をしていた連中を挟み机の上に荒々しく足が置かれた。
「随分と楽しそうじゃねえか高橋。」
「と…虎子」
「虎子ぉ?随分と慣れ慣れしいじゃねえかおめえ自分の粗チンの彼氏に私襲わせてその後泣いて彼氏共々土下座する羽目になったのもう忘れたのか?」
「な…なんだよ。何が言いてえんだよ?」
「おめえは佐藤の友達か?そこで吠えた田中と比べてそんなに佐藤の事知ってのかって聞いてんだよ?」
「知ら「じゃあなんでお前らにそんな失踪した理由が分かんだ?あぁ?」
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324/07/11(木)00:15:34No.1209742590+
A「やめなさい。というか机に足を乗せるな、はしたないだろ!」
「い…犬塚」
 恭介が虎子の脇を抱え机から引き剥がす。
「何かうるさい音がすると思えばまた君が騒ぎを!…いや今回は田中さんも一緒か!君達すまない!この馬鹿と田中さんには僕から言っておく!こら暴れるな!猫塚!田中さんも来たまえ!少し話をしないといけないらしい!」
「ふざけんな!おい離せ!セクハラだぞ!コラ!」
 ジタバタ暴れる抱えられ連れていかれる虎子の後ろをおずおずと鈴が着いていった。
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424/07/11(木)00:16:27No.1209742854+
B 虎子達が連れていかれたのがは普段使われていない空き教室だった。
「そう不貞腐れるなよ。ああいった手合いは弱いとこにいくもんだ。君にいかなくても田中さんにいくのは目に見えてるだろ。」
「るせえ…」
「す…すみませんありがとうございます。その…猫塚さんもありがとう。ついカッとなっちゃって…。」
「気にしないでくれ。気持ちは痛い程分かる。」
「確かに変わってる子だけどあんな事する子じゃないんです。」
「…んなもん分かってるよ。」
「それに…高橋さん達が言ってた事…違うんです。」
「あぁ分かってる。」
「違うんです!そうじゃないんです!」
「お…おいどうしたんだよ。」
「落ち着いてくれ田中さん。何が違うと思ったんだ?」
「えっと…その…。」
524/07/11(木)00:16:55No.1209743006+
何かを感じ取った恭介が急に手を叩いた。
「ラクモン出てきな。」
「恭介呼んだ?」
 恭介の呼びかけに天井からラクモンが顔を出した。
「きゃ!?た…たぬき?」
「むふーこんにちは眼鏡のおねえさん。」
「まぁその…こういうのを僕も猫塚もパートナーにしてるんだ。割とそういう話を馬鹿にしたりしないさ。」
「ひとを指してものって恭介ひどーい。」
 恭介の腕に納まっているラクモンが恭介の頬を引っ張った。
「え…あっそっか。その…これなんだけど。」
 鈴はスマホのデジラインを恭介達に見せた。そこには失踪の前日に美恵子から鈴に宛てたものであった。
「う〜ん。んだこれ?文字化けしてんのは珍しいけどよ。まあそういう時もあんじゃねえのか?」
「…最初から文字化けしてたのかい?」
「…違う。最初は普通に文字だったのにちょっとしたらこんなになっちゃって…警察に見せてもどうしようもできないって…。」
「なんて書いてあったんだ?」
624/07/11(木)00:17:21No.1209743158+
「戻れない。助けてって。」
 恭介の表情が僅かに硬くなった。
「知ってる?この街は霧がひとを攫うって。」
「…知っるよ。」
「高橋さん達にこの間…私絡まれてて度胸試しだって…美恵子が代りにひとりで…私怖くてそうしたら美恵子帰ってないって高橋さん達は戻るの遅いからって先に帰ったって…。」
「あの馬鹿達ガキみてえな事やってそれであの言い草かだったのかよ。」
「私が警察のひとに最後に会ったのは高橋さん達だと思うって伝えたから…何も見つからなかったけど多分その意趣返しだったと思う。」
 外からは蝉の鳴き声と部活の掛け声が聞こえる。
「私は霧よりこ青空が嫌い…美恵子があんな事になったのに、まるで何事もなかったみたいに澄み渡って突き放すみたいで…。」
 鈴が手に力を込めて握りしめた。
「…心配するな!田中さん!僕達はこういった事には慣れている!きっとすぐに見つけて見せるさ!」
 虎子が溜息をつきながら机から降りる。
「しゃあねえな。ま、あの馬鹿達に啖呵切った度胸に免じて探してやっかな。おい!レナモン話聞いてたんだろ!降りて来い!」
724/07/11(木)00:17:36No.1209743232+
 後ろの掃除入れからレナモンが顔を出した。
「ひっ!?」
「話は聞かせてもらいました。姐さん。私と…まぁそこの狸に任せてください!」
「むぅ〜またレナモン意地悪言う。」
 ラクモンが頬を膨らませてぷんぷんと文句を垂れる。
「えっと探すってどうするんですか?度胸試しの場所は警察も見てますし…。」
「ふっまあ見ててくださいよ姐さんの友達。すぐに見つけてみせますよ。ちょっと失礼。」
「あっ!待ってよレナモン!」
「えっ?えっ?」
 困惑する鈴を後目にレナモンとラクモンがスマホに入り込んでいった。
「大丈夫そうです。姐さん。追跡できそうです。」
「うっしじゃあ行くぜ!犬塚!鈴!」
「えっ?えっ?!」
 困惑する鈴を後目に虎子と恭介は意気揚々と教室を出た
824/07/11(木)00:17:49No.1209743301+
「なぁひとつだけいいか」
「ん?」
「お前レナモン達が学校来てたの知ってたのか?」
「…なんかノリでやったら出てきて田中さんの手前なんともないような顔してたけど正直驚いた。君は?」
「…私も」
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924/07/11(木)00:18:48No.1209743618+
C「ラインの発信場所は近いよ恭介。」
 ラクモン達が案内したのは駅前の大通りから裏手に入った路地であったビルが陽を隠すせいなのか夕暮れ時でもないのに暗くまるで黄昏時のようであった。
 そして快晴に似つかわしくなく霧が出ていた。
「確かに度胸試しの場所に近いな。」
 度胸試しの場所はここから少し離れた墓地であった。急な駅前開発の余波なのかビルの並ぶ都市的な街並みの近い裏手に似つかわしくない墓地がそのまま残る形となりそこに物語を感じてなのか尾ひれ胸鰭果ては足まで生えたようにありもしない噂話が憑いた、作られた曰く付きの場所であり肝試しに入り込む輩は後を絶たなかった。
「でもよぉ…あの墓地からここへはどうやったって来れないはずだぜ?」
「猫塚さん詳しいの?」
「まぁ喧嘩で呼び出される時もそこそこあったからな私がビビると思ってんだろうけど最初だけだったぜ。何も出やしねえよあそこは。」
「はは…」
 引き攣った笑いをする鈴の後ろで恭介が溜息をついた。
「姐さんこの先だ。だが、どうにもおかしいな。マップだともう行き止まりになっててビルに入ってる事になってる。」
1024/07/11(木)00:19:30No.1209743869+
「出るものが出たな。田中さん。ここからは危ない帰るんだ。」
「…いや。」
 鈴は一瞬怖がったが口を結んだ後、はっきりと恭介を見据えて答えた。
「あの時、私は友達なのに美恵子を置いてちゃって…ずっと自分が嫌だったの。弱虫な私が。だから今度は逃げない。」
「馬鹿言うな!そんな意地張ったって何かあったらどうするんだ!」
「いいじゃねえか犬塚。てめえだってこういう奴だと思ったから助けてやろうと思ったんだろ?ここではいそうですか。って引き下がる方がどうかと思うぜ。
私の傍にいれば守ってやれるさ。だから頼む。」
「それにここで離れる方がもう危ないよ恭介。これ結構立ち悪いよ。自分達の腹の中に入れるまではただの路地だったもん。これやってる奴相当陰険で性格悪いしただで引き返させるわけないし引き返せてもまた僕たちが連れてこれるか分からないよ。。」
 恭介は暫く悩み渋々了承した。
「だが危なくなったら必ず田中さんを優先して全員一緒に戻る事!その判断は僕がするからな!いいな!」
「ああ。分かった。約束だ。な?鈴。」
 虎子が鈴の肩を組み笑いかける。
「う…うんありがとう猫塚さん。」
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1124/07/11(木)00:21:23No.1209744464+
D 目の前に街灯で照らされた敷居の入り口があった。
 周りの街灯はどこも消えてるか点滅し、今にも消えそうである。
 「進むべきところはここしかない」言葉になくとも暗に言われているような意志をそこから感じ取れた。霧もこの入り口から漏れ出しているように見える。
 虎子達が恐る恐る敷居を跨ぐとそこはビルの一部が突起し入り組んだトンネルとなっていた。
 街灯やどこからか漏れた人工的な光が薄く暗闇を照らし敷居の外に思えた黄昏時より更に暗い夜がここにあるように思えた。
 しばらく狭いそのトンネルを抜けるとそこには異様な光景が広がっていた。
1224/07/11(木)00:21:34No.1209744530+
そこにあるもの自体は変哲もない住宅街であった。ただそれを包むもの、やたらと赤くそして夜の紺色を含んだ夕空。住宅はあれどそこに人の気配を全く感じない家もどきとも言えるようながらんどうさ。
 そしてそれらを気にならなくなるような…
「人なのかこれは…」
 そこには夥しい程の人間が何をするでもなく宙に佇んでいた。
 レナモンとラクモンが屋根伝いに触れられる人間を見つけ触れてみる。
「姐さん、鈴の姐さん、眼鏡。大丈夫だ。脈拍も浅いが呼吸もしている。ただ…目は開いているがどうにも意識は…」
「引っ張れば動きそうだよ。どうする恭介?」
 3人は困ったように目を合わせた。
「とりあえずそのままだ!ラクモン!レナモン!数が多すぎるし、まずは目的の佐藤さんを見つけよう!」
1324/07/11(木)00:21:45No.1209744572+
「なあ犬塚あのおっさん。」
「あぁ僕みたいな気になっていた。敷居を跨ぐ前の路地にあった行方不明者のポスター…それに以前ニュースになっていた社長だ」
「もしかしたらいるかもしれねえ…」
「?どうしたの猫塚さん犬塚君?」
「私達がこういった事件追い始めたのはよぉ…ウチの隣にいた芽衣子って子を探すためだったんだ。」
「正直君達の話を聞いてからもしかしたらとも思っていたんだ。同じような行方不明者がいるところを見つけられるかもしれないって。すまない。」
「そ…そんな謝らないでよ。ふ…4人が善意でやってるのは分かってるから」
「そう…だな」
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1424/07/11(木)00:22:06No.1209744681+
E 霧が一瞬だが濃さを増した後、遠くに人影が見えた。
 虎子が警戒しつつ目を細めるとそれは知っている人物だった。
「…!芽衣子!?芽衣子なのか!?」
 芽衣子は静かに手を上げアパートを指さした。
「そこに探してるひといるよ。」
 かなり距離があるにも関わらず声が虎子達へ届いた。
 芽衣子は少し間を置いてそのアパートへと歩いて行った。
「待て!どこ行くんだ!危ねえだろ!」
 虎子達が芽衣子が消えたアパートに向かう。
「姐さん。あの子は何なんですか?」
「あぁ!?人間に決まってるだろ!後にしろレナモン!」
「なんだか胸が苦しいんです…あの子何か私にとって重要な気がするんです。」
「…お前大丈夫か?」
 レナモンの顔が青くなっているのが虎子には手に取るように分かった。
 恭介とラクモンも心配そうに見ている。
1524/07/11(木)00:22:16No.1209744729そうだねx1
「どっちみち今は集中しろ。事が動き出したんだ。お前が頼りなんだからよ。」
「は…はい!」
 アパートは2階建てで内部に階段がある形式であった。誰もいない筈なのに薄暗く照明が付いている。
「なぁ…なんか機械みたな音しないか?」
「私にはなんかねちょねちょした音に聞こえる…」
「とりあえず1階から手当たり次第探して行こう。」
 1階は何も変哲のない古びた畳のある和室の1ルームの部屋だった。家具も何もなくただ部屋だけがある。探索はすぐさま終わり5人は息を呑み階段を上がった。
「声がしねえか?」
 階段を上がっていると微かにだがくぐもった人間の声が聞こえる。
 階段を上がりきるとそこは一本道となっており奥に1つだけドアが見えた。
 虎子と恭介はお互いの顔を見合わせて頷いた。恭介が前に出て扉を開ける。
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1624/07/11(木)00:23:02No.1209744970+
F そこは異界であった。今までも十二分にそうであったが先の光景はそれとはまた異質なものであった。
 基本は1階にある和室と同じであったがそこに異質で異様なものが侵食していた。
 まず、感じたのは音であった。なんの変哲もないこの木製の扉にどれ程の防音能力があったのか。
 何重にも重なる金切り声に近い赤ん坊の泣き声が聞こえた。そして人間ではあるがひととしてではなく人間という動物の喘ぎ声が小さく混じり合っていた。
 そして、湿度と濃縮されていてであろう籠った臭いが鼻を突いた。
 灰色のスキムミルクと魚が腐ったような臭いそこに陸上動物の肉が腐った臭いが混じりあった臭いであった。
 そして、視界に広がるおぞましい異様な光景。
 巨大な赤ん坊の顔が幾つも壁から生え泣き叫んでいるものが何なのか気づかされる。骨と肉が混じり合ったような装飾が古びた和室を覆い囲み奥には二人の女が骨と肉の設備から生える鉄のような無機質とも肉塊の有機質とも言えるような機械に手足を拘束され犯されていた。
 目の焦点は合っておらずただただ喘ぎ声を漏らしている。ひとりは年端もいかない少女であった。
1724/07/11(木)00:23:21No.1209745094+
 手前には全裸のままの女と服を着ている男女の3人が外の人間と同じようにただ佇んでいた。
 そして部屋の中央いは部屋の機械から精肉場の肉のように吊るされているラバーに身を包んでいる恐らくデジモンと思われるものがいた。
 ただ、そのデジモンは入ってきた5人に反応するでもなくただ吊るされていた。
「美恵子!」
 服を着て佇ずんでいるのは美恵子であった。後ろで吐くのを我慢していた鈴がたまらず駆け寄った。
「お…おい!鈴前に出るな!」
 虎子達がデジモンを警戒したがデジモンは何も反応しなかった。
 それに安心した虎子達は捕まっている女性達を開放した。
「完全体でやっとかありがとうコゲンモン。」
「構わない恭介。それより早くここから。」
 そう言うとコゲンモンはラクモンへ姿を戻した
1824/07/11(木)00:23:42No.1209745219そうだねx1
「美恵子!ねえ美恵子!」
「鈴。気持ちは分かるけど今はこっから早く逃げるぞ。レナモン進化すればこの5人なんとか運び出せるか?」
「ええギリギリですが。」
「ラクモンも今度は…」
 捕らえられた人間が扉を跨いだ瞬間であった。赤ん坊が一斉に泣き止み虎子達、捕らえられていた5人を睨みつけた。。
 瞬間、地震のような揺れが起こり始めた。しばらくし揺れが収まると照明の揺れが吊るされたデジモンを照らした。
 一瞬の静寂だった。
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1924/07/11(木)00:23:52No.1209745269+
G「逃げろ!!!」
 固まっていた5人の中で一番初めに声を上げたのは恭介であった。
 その声に金縛りが解けるように全員が走り出した。
 ラバーをした顔が上がる。ただ言葉は発せず一瞬にして吊るされていた骨を引き千切り人型でありながらも爬虫類のように4足でデジモンはこちらに向かってきた。
 恭介とラクモンが庇うように前に出た瞬間、デジモンが大きく床を叩いた。威嚇であったのだろうがその一撃はアパートを瞬間崩壊させた。
 足場が崩され身動きが取れない中デジモンは翼をラバーから突き破り一番近くで落下していた虎子に襲い掛かろうとしていた。
 恭介の目に映るそれは昔見た光景に重なるものであった。
「ラクモン!!!」
「恭介!!」
 ラクモンの身体が光に包まれた。
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2024/07/11(木)00:24:03No.1209745317+
H 「ラクモン!!ワープ進化!!!!」
 虎子に襲い掛かろうとしたデジモンを一閃が弾き飛ばす。
 光の中から黒色の人型のデジモンが現れた。
「ホノニギモン。」
「恭介。分かっている。上の人々を他の家屋に居るかもしれない人々を傷つけないようにだな。」
「だが…」
 ホノニギモンが恭介の方を見て微笑む。
「分かっている。君と我はパートナーだ。私も君と同じ気持ちだからここにいる。例え傷つく事があっても。一撃で鎮める行くぞ恭介。」
「ああ!」
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2124/07/11(木)00:24:19No.1209745387+
I 左足を切断されたにも関わらず少し停止してからデジモンは恭介達へと向かって来た。
 それに合わせるようにホノニギモンも駆け出した。
 デジモンが尻尾を振り抜く。発生した衝撃波がホノニギモンの身体を引き裂くがホノニギモンは止まらず向かって行く。
 間合いに入りホノニギモンが刀を振り抜こうとした瞬間腹をデジモンの腕が貫いた。
 デジモンの左腕は地面を潜り背後からホノニギモンを貫いていた。
 ラバーで包まれていて分からないがデジモンはほくそ笑んでいるようであった。
 ホノニギモンの刀を握る手の力が緩むが再び力強く握りしめた。
「我は守る!恭介を虎子を!人間を!!!」
 一瞬にしてデジモンの残りの四肢を切り落とし宙に浮かせホノニギモンは一閃をデジモンへ打ち込んだ。
2224/07/11(木)00:24:34No.1209745460+
「はぁ…はぁ…」
 そのままデジモンは完全に動きを止めた。
 ホノニギモンはそのまま倒れ込むように膝を付きラクモンへ戻った。
 倒れそうなラクモンを恭介が抱き抱えた。
「ありがとう。ラクモン。」
「へへ…アイス2本だよ恭介。」
「おい大丈夫か!?」
 虎子達が心配そうに駆け寄って来る。
「ああ、疲れて眠ってるだけだ大丈夫だよ。」
「たく、おめえら2人はどっちも無茶ばっかすんな。」
「さっきも姿変わったけど凄いねデジモンって…」
 しげしげと鈴はラクモンを見た。
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2324/07/11(木)00:25:14No.1209745665+
J 「確かに随分と面白いものを見せてもらった。」
 レナモンに抱き抱えられていた女性が突然を声を発した。
 「!こいつ!?」
 レナモンはすぐさまその女性を突き放し鬼火を放ち焼き払った。
「お、おい!」
「姐さん急にあの女の匂いが変わった。アレは人間じゃない…もしかしたらデジモンでも…。」
 灰すら残らず女が焼き切れたように思えた。次の瞬間倒したデジモンのジッパーが開きそこから焼き切れたはずの女が現れた。
「軟弱。成長期とは言えこの程度か。宝の持ち腐れだな。」
 頭部が燃えながらもそれを何も感じていなかのように平然と女は喋り続けた。
2424/07/11(木)00:25:25No.1209745724+
「よくその程度で究極体まで進化する事が出来たものだな。人間の学習をさせ人型に近づける事はできてもまだまだ未完成品。」
「なんなんだこいつ…」
 女は怪訝そうな顔をして虎子達を見た。
「何を言っているのだお前達が呼んだのだろう。このようなつまらないシステムを作りこの依り代にデータを注ぎ込んだのでは…そうか。貴様達ではないのか。そうか。そうか。ただの餓鬼達がここまで。」
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2524/07/11(木)00:26:01No.1209745866+
K 「今の私は機嫌がいい。お前達への処遇だが…」

 炎が虎子達を追いかける。着かず離れず嬲るように纏わり付いて来る。

「生き残るがいい。ゲームは拮抗しなければ面白くもならん。貴様らはその器ににデータを欲望を情念を溜め込むのだ。
そして忘れるな私は影だ。どにいてもお前達を見ているということを。」

 いくら走ってもまるで出口が見えない。おかしな空間ではあるが来た時とは距離が明らかに伸びている。
「こいつはどうなってんだよチクショウ!」
「遊ばれてるんだろ!」
「ってうわ!」
「姐さん!」
 進化し鈴達を乗せたキュウビモンが虎子に駆け寄ろうと足を止めようとする。
「大丈夫だ!君はラクモンや田中さん達をしっかり守るんだ!」
 恭介は虎子を抱え上げ再び走り出す。
2624/07/11(木)00:26:11No.1209745918+
「おっおい!もやしが無理すんじゃねえ!」
「足を思いっきり捻ったろ!無理してるのは君の方だ!それに君は軽い!黙ってるんだ!」
「っ」
 黙り虎子は身を委ねた。ふと視線を上げるとそこにひとりの人間が映った。
「母さん…」
「え?」
「母さん!?ここに!?おい!犬塚降ろせ!」
 虎子は明らかに取り乱し暴れはじめた。
「落ち着け!母さ…クソ!今の状況じゃ無理だ!キュウビモンの定員だってそうだろ!?今は逃げるんだ!!」
「母さん!!!!!」
 虎子の叫びがこだまする。それに呼応するかのように炎の中から笑い声が響き渡っているように思えた。
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2724/07/11(木)00:26:25No.1209745992+
L 「美恵子!美恵子!ごめんね美恵子!」
「うんうん!いいのいいの…!」
 気が遠くなる程走った。気付けば見知った街の路地裏に出ていた。
 しばらくして美恵子は目を覚ました。
「ありがとう猫塚さんっ本当に本当にっ」
「…ああ」
 号泣し感謝を述べる鈴の言葉を素直に受け取れなかった。
 あの時恭介に抱き抱えられている状態でなければ自分は全員を置き去りにしても…
「ごめん。私は…」
 言葉を遮るようにレナモンが虎子の肩に手を置く。
「いいんだ姐さん。それは言わなくていい。」
「そっか…」
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2824/07/11(木)00:26:36No.1209746043+
M 行方不明者を病院に送り、警察に事情を説明しとりあえずはこの一件の決着はついた。
 虎子はいつものように屋上で空を見上げていた。
「足はもう大丈夫なのか。」
「ああ…」
 恭介が虎子の横に座る。
「…悪いな警察への説明とか厄介事押し付けて。」
「いいさ。こういうのは慣れてる。」
「…」
 しばらく無言の時間が流れた。
 最初に口火を切ったのは虎子であった。
「話したことなかったけどよ。私のガキの頃母さん行方不明になってたんだは」
「…そうか」
2924/07/11(木)00:26:48No.1209746106+
「私さ昔はすげえ泣き虫で近所のクソガキに母さんから貰ったお守り近所で有名な出るって噂の祠に隠されて鈴みたいに度胸試しさせられたんだ。」
「…」
 少し恭介の顔が引き攣った。
「でもさ、そん時私庇ってくれてた名前も知らない別の学区だったんかな。男の子がいてさ。そいつが一緒に行ってくれるって手引いてくれてさ…
そん時も…霧が出てた。なんで気付かなかったんだろうな化物に襲われたんだそん時…きっとあれはデジモンだったんだと思う。
泣くだけで何もできない私をその子は庇ってくれたんだけど怪我してさ。
母さんが探しに来てくれて…庇ってその子に私を連れて逃げなさいって。
それから母さんは見つからなかった。あの子は自分のせいだってずっと言っててそのまま疎遠になっちまった。
親父もじいちゃんもばあちゃんも今でも探してんだよ母さんの事。」
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3024/07/11(木)00:27:00No.1209746167+
N 「…その子を君はなんて呼んでたんだ?」
「ん?あぁ?きょーちゃんって?どうしたんだよ?」
 恭介の顔がどんどん青ざめていった。恭介はその思い出を知っていた。
 そこにいたのは、自分を庇っていなくなったその子の母親を、父親が自分に向けた怒り、悲しみ、哀れみ、慈しみを混ぜたあの表情を。
 その男の子は自分であった。
 蝉の声が煩い。あの日のように。
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3124/07/11(木)00:27:14No.1209746262そうだねx4
オワリ
3224/07/11(木)00:28:04No.1209746514+
来やがったなおとなのえほん…
3324/07/11(木)00:28:56No.1209746750+
ついに気づいたか…
3424/07/11(木)00:32:37No.1209747805+
物語が核心へ迫ったし真実の一片が明らかになった
3524/07/11(木)00:33:12No.1209747984そうだねx1
ホノニギモン…スタイリッシュたぬき
3624/07/11(木)00:33:40No.1209748136+
なんだか詩的
3724/07/11(木)00:34:04No.1209748253そうだねx2
えっちなえほんなのに
アオハルと不穏なフラグがどんどんでてくる!
3824/07/11(木)00:34:46No.1209748483+
この時間に読むとちょっと怖いんだ
でもおもしろ…
3924/07/11(木)00:39:01No.1209749643そうだねx1
>ホノニギモン…スタイリッシュたぬき
サクヤモンの旦那じゃないか…
4024/07/11(木)00:42:06No.1209750582+
ホラーの空気感がいいね…こういうの上手くなりたい
4124/07/11(木)00:51:02No.1209752957そうだねx1
相変わらず…凄ェ量だ
4224/07/11(木)00:55:05No.1209754068+
怪文書も絵も速くて憧れる
4324/07/11(木)00:58:42No.1209754975そうだねx5
パイパンも描けたのか…
4424/07/11(木)01:00:44No.1209755518+
やっぱりキャラ達がしっとりし始めてるじゃないですか!ヤダー!
4524/07/11(木)01:05:46No.1209756717+
>パイパンも描けたのか…
てっきりインモウモンから二度と退化出来なくなったのかと…
4624/07/11(木)01:08:48No.1209757414そうだねx3
芽衣子ちゃんは小学4年生10yoなので流石に生やさないよ
というか普通にスジも好きだよ
4724/07/11(木)01:10:46No.1209757853+
>というか普通にスジも好きだよ
!?
4824/07/11(木)01:14:41No.1209758765+
そんな…インモウモンがスジモンだったなんて…
4924/07/11(木)01:29:03No.1209761781+
オメコモン…


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