「というわけで咲笑さん、この人拾ってきたんでレコンパンスで働かせてあげられないですか?現在絶賛無職中らしいんですけど」 なんすか人のことを犬か猫みたいに拾ってきたって…まあ就活に行く途中に公園に寄り道して休んでたら捕まったんである意味そうなのかもしれないっすけど… 「あらあら!まばゆちゃんの交友関係がこんな大人のお姉さんにまで広がって…成長が嬉しいわ…!でも学校の知り合いでもないとなるとさすがにどんな人か気になるわね…」 「あ、それだったら面接でもしてみます?履歴書は持ってるみたいなんで」 ついに来てしまったっすか…ひかるが(脳内で)トレーニングした面接力を見せる時が… 「じゃあちょっと履歴書読ませてもらうわね…お名前は煌里ひかる…ひかるちゃんね…年齢は28…職歴特になし…ちなみに学校を卒業してからはどう過ごしてたのかしら?」 「この空白期間は?ってやつですね(いきなりの難問…しかしひかるさんも答えは用意してるはず…さてどう答えるんでしょう…)」 「あ、あのー…知り合いの家の子供の世話のお手伝いを少々…」 「特に何も用意してなかったー!」 うっ…めまいが…やはりここでもだめっすか… 「あら!いいわねぇ~!私も自分では産んだことはないけど子供のお世話って大変だし手伝ってもらってそのお知り合いもすごく助かったと思うわ!」 あれ?いけるっすか?イージーゲームイージーモードっすか? 「ふむふむ、お家も近いしここから楽に通えるわね…よし、採用!」 「マジっすか!?これで結菜さんに凍りつくような目で見られることも無くなるっす!最近段々癖になってきてちょっと心配だったっす!」 「よかったですねひかるさん!なんか人間として開いてはいけない扉を開けずに済んだみたいですし…」 「…の前に大事な質問をします」 あ、空気がマジになったっす 「本当の本当に大事だから真剣に答えてね」 さっきまでのニコニコ顔が嘘みたいに真剣にこっちを見つめてきてるっす…思わずひかるも生唾を飲み込んで…って顔近っ!いつのまにか近づかれていたっす!しかも頬に手を添えられて…????? 「え!?咲笑さん!?」 まばゆさんも驚いてる!?もしかしてひかるが店長さんの開いてはいけない扉を開けてしまったっすか!? 「ひかるちゃん…」 あ…糸目だった時は意識してなかったけど目が綺麗…ってぼーっと見てる場合じゃないっす! 「ちょっ…初対面でいきなりそんな…それにひかるには結菜さんという人が…」 「このお肌なにか秘訣はあるの!?普段のお肌ケアは?化粧水は?使ってる洗顔料も教えて!!」 「店長さんそんなキャラだったっすか!?」 「お菓子のこと以外でこんなに早口になる咲笑さん私も初めて見ました…咲笑さんも色々気を使ってたんですね…」 そうだったっすか…長い付き合いのまばゆさんも知らない一面があったっすね… 「いや、特別なことはなにも…洗顔料もアオさんと同じで近所のドラッグストアで買ってる安めのやつ使ってるっすし…」 「そんなぁ~!何か秘密はないのぉ~?」 「あ~…強いて言えばストレスがない生活を送ってたからっすかね…ほら、無職でしたっすし…」 本当は多分魔法少女だからっすけど…そんなことは言えないっすよね… 「ストレスフリー…それは確かに大事ね…でもお店をやってると気苦労は絶えないし新作スイーツ作りも楽しいけどそのせいで夜更かししちゃうこともあるし…あぁ~!私も無職になりたいわぁ~!」 「ちょっ咲江さん!?それはさすがにだめですよ!?」 「就職できたと思ったらもう無職に逆戻りっすか~!?」 おしまい