究極体3対1、数の上では不利であったがそれでもこちらの優位は揺るがない。 それだけの実力差が私と他の3体にはあった。 「…?」 何かがおかしい。 30秒ほど前からガンドラモンからの砲撃が来なくなっていた。 狙撃地点を移動している? 目の前のラジエルモンとノーブルパンプモンの攻撃を捌きながらも警戒は怠らない。 だが。 「ここだ!」 突如背後に現れたのはアサルトモン。 光学迷彩による奇襲。 そうだ、彼にはこれがあった。 この距離で装甲の隙間を狙われたらいくら自分でも大ダメージは逃れられない。 「アルファモン!」 「え…!?」 ユズがそこに割って入った。 人間がデジモンの攻撃、それも完全体の必殺技など受けたらどうなるか。 銃弾がユズの身体を貫く。 そのまま力なく倒れ… 「お姉ちゃんっ!」 「ユズっ!?」 撃ってしまったアサルトモン、そして敵対していたはずの人間達にも動揺が走る。 「マサキ!貴様ぁッー!」 私は怒りに身を任せるままマサキの胸ぐらを掴み持ち上げ、剣を突きつけた。 「や…やめて…」 それは最期の力を振り絞ったかのようなか細い声。 そうだ、マサキだってこの二年旅を共にした仲間だ。 それをこの手に掛けようとは。 そもそもこの戦いは抜けようとする私達を引き留めるための戦い。 彼らとて本気で殺そうとして来たわけではないはずだ。 そして私もまた彼らに対して本気で殺意を向けて攻撃していたわけでもなかった。 行き場のない感情のまま、私はユズを抱え、空へ飛び立った。 彼らは既に戦意を喪失し、追っては来なかった。 「くっ!どうすればいい!?」 既にユズの意識はなく、身体の末端はデジタル粒子となり崩壊が始まっている。 「それでも、私はキミを失いたくないんだ!」 それは最後の賭けだった。 自分という「個」を失う可能性もある。 だが迷うことはなかった。 私はユズの身体を地面に下ろすとその胸に手を当て、自らのデータを全力で注ぎこんだ。 光に包まれた二つの身体はやがて一つの影となる。 そこにユズを感じる。 私とユズは一つの肉体を共有する存在となったのだ。 だがユズの意識は眠ったままだった。 もう私はここにはいられない。 デジタライズ・オブ・ソウルの陣を描く要領でデジタルゲートを開く。 そして私は生まれて初めてリアルワールドへと旅立った。 ~6年後~ 私はユズの姿のまま宛のない旅を続けていた。 まだユズの意識は目覚めない。 それでもこの意識データの復元の手がかりとなりそうな人物には積極的に接触した。 旅の中で事件に巻き込まれることも多かった。 悪と断じたデジモンを斬り捨てたことも一度や二度ではない。 「またハズレか。 ユズ、私のパーフェクトはまだ見つからないようだ。」 今日も私はこの現実世界をさ迷い続ける。 設定: 譲子を助けるために一体化したアルファモン。 もとのアルファモンの姿に戻ることはできるものの10分の時間制約が付く。 譲子の姿のままでも完全体相手なら余裕で勝てるほどの戦闘力を持つ。 グレイダルファーおよびライトニング・シオンを振るうのは譲子状態で可能。 また、譲子本人とは違いライトニング・シオンを呼び出してもソードアイズの紋章は発現しない。