… | 1024/06/13(木)01:10:06No.1199708200そうだねx2(自分はどんな風に見られているか、自分をどんな風に見せたいか、その研究を怠ったことはなかった。マジックショーでも社交界でも、あるいはレースでも、自分を演出することは強力な武器となるのだから。 けれど見せたい自分と相手の受け取る自分との間にはいつも差がある。哲学的に聞こえるけれど、要するに、自分の中で「強大な相手」のイメージを越えられなくなってしまう……とかもその一例だ。そしてまた、自分のイメージする自分と現実の自分そのものとの乖離も悩ましい。 目下私の悩みが、それについての話になる。 シュヴァルと正式に交際をするようになり、彼女が私へと向ける深い感情に改めて気づくようになった。 「クラウンさん、お疲れ様。……あの、タオル、よかったら……」 例えば並走の後、差し出される手や言葉、そこに込められた心地よい優しさ。私の忘れ物を何も言わずにカバーしてくれる観察眼と思慮深さ。 「あの……!今日の帰り、良かったら……駅前の喫茶店が、新作のメニュー出したみたい、で……」 彼女なりに自然な言葉や話題を探し、何気なく誘ってくれる勇気と大胆さ。 きりのない細やかな配慮がいつも溢れている。 |