二次元裏@ふたば

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388189 B24/06/02(日)12:49:57No.1195894401そうだねx3 14:32頃消えます
気分が重い。
陰鬱な曇り空はただでさえ億劫な出勤の足取りをさらに鈍くさせる。溜息を吐けば連動するように雨まで降り出した。この後の通勤電車の様相を思えば足取りも重くなる。やりがいの無い職場に、苦痛を伴う出勤が待っている。
自然と目線は足元を向き、溜息が止まらない。

〜♪

そんな中で、ふと、雨音に混ざっての耳心地の良い声に顔を上げた。
すれ違った横顔に浮かんでいる笑み。長い髪は雨に濡れて重たそうに背中に張り付いている。
──いや、君!
思わず、声をかけてしまった。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
124/06/02(日)12:51:47No.1195894983+
「? アタシ?」

降り頻る雨の中で、彼女は口角を持ち上げながら振り向いた。正直なところ、彼女に声を掛けたのは会社に行く時間を少しでも伸ばしたかったから──というのもあるが、少々面食らう。
こんな天気で、ずぶ濡れになって、彼女はどこまでも楽しそうで堂々としていたから。
てっきり、傘を忘れたか、或いは取られてしまったのかと思ったのに。

「傘? もったいないよ。こんな天気なのに」

彼女は手を広げて、くるくると回り出した。まるで映画の一幕のような唐突な言動。
つい思わず声を掛けてしまったが、どうやら彼女は何ともないようだ。だったらさっさと立ち去るべきだろう。子どもの気まぐれに付き合っても、出社時刻は待ってくれないのだから。

「ねぇ、一緒にどう?」

でも、俺は、気が付いたら彼女の手を取っていた。
224/06/02(日)12:52:39No.1195895289+
強まる雨を全身で受け止めながら、彼女と踊る。
背広が雨を吸い、ワイシャツが肌に吸い付き、革靴の中がグチョグチョになる。髪が顔や首に張り付く。放り投げた鞄の中ではスマートフォンが鳴っている。恐らく職場からの連絡だろう。
でも、構わない。

「〜♪」

そんなものより、彼女の歌声を聴いていたい。
何もかもを放り出して、動きたくなる時だってある。
実行に移すのは初めてだが、中々に気分がいいものだ。
前後も見えなくなる程に雨が強まる中で、俺はガムシャラに手足を動かし続けた。
324/06/02(日)12:53:31No.1195895572+
夢中で踊り続けて、いつしか雨は上がっていた。
雨足が途切れて、雲の切れ間から光が差す。俺と彼女は同時に足を止めて、見詰め合った。
後先考えずに乗ってしまったが、中々に清々しい気分だった。
俺はありがとう、と礼を告げ──しかし、彼女はどこか気まずそうに笑った。

「あ〜……とりあえず、前を隠した方がいいんじゃないかな?」

言われて、気が付く。途中で背広を脱ぎ捨て、ワイシャツで雨を全て受け止めたのだから、肌に張り付いて思いっ切り透けてしまっていることに。
これは見苦しいものを見せてしまったか──と、彼女の目線に釣られて下を向く。

「……?」

そこには、雨に濡れた、艶めかしいシルエットがあった。
424/06/02(日)12:53:57No.1195895738+
思わず声を失う。
全身くまなく雨を吸ったワイシャツは、身体にピッチリと張り付き、女性のシルエットを強調させている。胸の二つの膨らみも、くびれも。ズボンも同様に、肉付きの良い太ももやスラリと長い脚を見せている。
そんな、バカな──反射的に胸や下半身へと伸びる腕も細く、指先の爪は桜色で綺麗に整えられていた。その指先からは柔らかく温かい感触が伝わり、触れられた箇所も同じように肉が沈む。
風が吹いて、長い髪が靡き、雲が移動する。
足元の水溜りから、緑色の瞳が、俺を見詰め返している。
呆然と立ち竦む俺の肩に、大きなサイズの背広が掛けられた。素肌を隠すために、彼女が落ちていた背広を拾って羽織らせてくれたようだ。

「とりあえず、お風呂入っちゃおっか。家、すぐそこだし」

彼女が、俺の手を引いて歩き出す。
ついていくしか、なかった。
524/06/02(日)12:54:28No.1195895903+
一人暮らしだという彼女の部屋に招かれて、お風呂を一緒にいただくことになってしまった。
狭いけど、たまにはこういうのもいいね。そう笑う彼女と一緒に。
俺としては目のやり場に困るしか無かったが、彼女は全く気にしていないようだ。

「だって、アタシだもん。キミも、アタシも」

狭い湯船に浸かる自分の身体。胸に感じる浮力は、この出来事が夢でもなく、今のこの身体が作り物でも無いことを教えてくれる。

「着替え、適当にそこから取っちゃっていいよ」

どこまでも彼女に言われるがままで、頬が熱くなるのを止められなかった。
624/06/02(日)12:54:45No.1195896012+
リビングに案内されて、テーブルの前に腰掛ける。風呂上がりの自分の身体から立ち昇る女の子の匂いに、どこかドキドキしながら。
これから、どうしよう。
気分のままに放り投げたら、こんなことになるなんて。

「好きにやればいいんじゃないかな。キミは、アタシなんだから」

彼女は笑う。しかしそういう訳にもいかない。さっきは放り投げてしまったとはいえ、俺は男で、人間で、会社員で……彼女では、ない。やらなきゃいけないことが、沢山あって。

「さっき、アタシのこと羨ましそうに見てたよね。一緒に踊って、どうだった?」
724/06/02(日)12:55:08No.1195896135+
彼女の眼差しを受けて、俺は部屋の隅を見た。ずぶ濡れの背広を干したハンガーと、スマホの通知音が鳴り止まないビジネスバッグ。
でも、だけど──自分に言い聞かせるように、そんな言葉が止まらない。
会社に事情を説明するべく、ビジネスバッグへと歩み寄る。会社からの鬼電が、止まらない。

「それは」

バッグを開けて、スマホを取り出す。
ピリリリリ、ピリリリ……と、引っ切りなしに鳴り響く職場からの着信。  

「本当に、キミのやりたいこと?」

俺は、スマホを操作して──着信を、切った。
824/06/02(日)12:55:24No.1195896240+
「……制服、濡れちゃったね」
「いつものことじゃない?」
「そっか」

目の前には、ハンガーに掛けられたトレセン学園の制服。そして足元にはずぶ濡れのスクールバッグ。テキストの類は学校のロッカーに放り込んでいるから無事。

「いいのかな、俺は」
「いいんじゃないかな、そういうので」
「そっか」
924/06/02(日)12:56:13No.1195896530+
冷静に考えれば、有り得ないことだ。
今までのことはどうなってしまったのか。
いきなりウマ娘の、女の子の身体にされて、これからどうやって生きていけばいいのか。

──ピンポン、とインターンが鳴った。モニターの向こう側では、エースが眉を吊り上げていた。

「あ、エースからの着信、無視してた」
「あー……そういえば、サボっちゃったね。授業」
「……どうしよっか」
「謝らないとね。でも、大丈夫だよ」
「……そっか」

俺は、アタシなんだから。
1024/06/02(日)12:56:33No.1195896658そうだねx11
こんな雨の日はシービーにされたい
1124/06/02(日)12:57:34No.1195897001+
シームレスに世界が変わり過ぎる…
1224/06/02(日)12:58:17No.1195897251+
良かった今回はホラーじゃない
1324/06/02(日)13:14:06No.1195902228+
>良かった今回はホラーじゃない
そうかな…そうかも…?
1424/06/02(日)13:20:08No.1195903971+
大丈夫?この後エースがシービーズに部屋に引きずり込まれてめちゃくちゃにされない?
1524/06/02(日)13:25:22No.1195905575+
ここでシービーが二人いるっておかしくない?って突っ込むとTSさせられる
1624/06/02(日)14:03:14No.1195915966そうだねx1
うらやましい
1724/06/02(日)14:05:49No.1195916647そうだねx3
>ここでシービーが二人いるっておかしくない?って突っ込むとTSさせられる
俺もなりたい
三姉妹目になりたい
1824/06/02(日)14:06:28No.1195916847そうだねx2
あれ?いつのまにか着信が職場じゃなくてエースに変わって…?
1924/06/02(日)14:12:02No.1195918393+
シービー姉妹がいるなら俺はエースの妹になってくる
2024/06/02(日)14:15:30No.1195919398そうだねx2
>あれ?いつのまにか着信が職場じゃなくてエースに変わって…?
会議資料が宿題のプリントになってて…?
2124/06/02(日)14:22:31No.1195921458そうだねx1
寝て起きたらウマ娘の姉妹にTSしてねぇかな…


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