「おっつかれー‥‥、いやぁ、今日も無事撤退出来ましたねぇ」 エト・テルダースは、相棒である大原フューエルと共に息を吐く。 探索中に地面から急に表れた大ムカデのようなオルドセンターから、 どうにかこうにか拠点まで逃げ切る事に成功した二人の心に、安堵の感情が訪れる。 「あいつ、本当にしつこかったな‥‥」 フューエルの小開拓船、エクストリーム・ランドランナー号もオルドセンターとの追跡劇でダメージを受けており、修理には少し時間が掛かりそうだ。 他の開拓者達の元へと何とか逃げ込み、合同でオルドセンターを撃退した。 報酬は山分けとなり、修繕費と合わせれば若干プラス、といった所だろうか。 「それより、その怪我、大丈夫か?」 突然の奇襲からフューエルを庇った事で、エトは左腕を負傷し、だらりとぶら下げていた。 「うん、大丈夫。これくらいなら明日になれば治ってますよ。それより無事でなによりです」 実際、スクワイヤーである彼女は、致命傷であろうと、再び呼び出されれば傷一つ残らずに蘇る事だって出来る。 エトは笑いながら、フューエルの肩を叩く。 「危ない!って思ったから思わず飛び出しちゃっただけですから、それに、約束もありますし」 怪我を気に病むフューエルにかけたエトのその言葉に、彼は少しだけ違和感を憶える。 「‥‥珍しいな、エトが約束の事より先に別の理由を挙げるなんて」 「えっ?あぁ、まぁ、そうですね。確かにちょっと不思議‥‥なんでだろう?」 そんな話をしながら、二人は拠点へと戻る。 彼女が約束より前に、行動に出た事。 それがどういう意味なのかを、フューエルも、当人であるエトでさえ、まだ理解していない。