二次元裏@ふたば

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699797 B24/05/19(日)01:19:46No.1190704819+ 03:52頃消えます
デジモンでバトル怪文書を書きました
お借りした子への感謝は最後に回させて頂きますご容赦ください
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ウチの子です
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このスレは古いので、もうすぐ消えます。
124/05/19(日)01:20:27No.1190705052+
「あれか、噂通り派手に暴れてるな」
「どこにいるか明瞭なのは助かりますね、お師匠さま。どうしますか?」
「流れ弾に気をつけながら近づこう。飛ばしてくれメイルドラモン!」
飼縄ナイトはパートナーのメイルドラモンに騎乗しながら、とある森の上を駆け飛んでいく。向かう先には、戦場を思わせるほどの暴虐の嵐が巻き起こっている。
224/05/19(日)01:20:58No.1190705246+
*****
『暴れデジモン?』
『そうなんじゃよ。最近村の近くで暴れとるようでの、小さい子たちが怯えるわ挑もうと興奮するわで面倒なんじゃ。よかったらちと見に行ってくれんかの』
滞在する村の食事処で、そこを切り盛りするババモンからそんな噂を聞く。
『おまかせあれババモン殿!お師匠さまならその程度の輩ども、一太刀でござる!』
ナイトのパートナーのコテモンが、威勢よく答える。が、ナイトはそれを嗜めた。
『こら、そんな大言しないでくれコテモン。まぁ、ババさまの頼みなら断らないけどさ』
『おお、行ってくれるかい。助かるねえ、場所はこの村の南にある森じゃよ』
『わかった。代わりに、帰ってきたら美味い飯を頼むよババさま。じゃ、行こうかコテモン』
『はい、お師匠さま!』
『ほほ、そのくらい朝飯前じゃて。頼んだぞいナイトよ』
ナイトはババモンの頼みを聞き入れると、コテモンと共に店から外へ足を向けた。
『そういえばババさま、その暴れデジモンの見た目とかってわかる?』
『おお、そうじゃったそうじゃった。なんでものぉ――
 ――半分こなデジモン、らしいぞい』
324/05/19(日)01:21:25No.1190705391+
*****
巻き起こる争乱の中心部が近づく。木々が薙ぎ倒され、砲弾が乱れ飛んでいる。おそらくは、近接系と砲撃系デジモンの戦いなのだろう。
「確かに、これは凄いな。村のデジモンたちじゃ巻き込まれたら一溜まりもない」
「お師匠さま、そろそろ見えてくる頃合いで――」
そんなメイルドラモンの言葉を遮るように、一発の砲弾が彼らに向かって飛んでくる。
「構えろメイルドラモン!カードスラッシュ、『プロテクター』!」
ナイトの援護により、メイルドラモンの前にバリアが展開される。バリアは砲弾を弾き飛ばすと、その勢いで砕け散っていった。
「大丈夫か!?」
「はい、バリアのお陰でダメージはありません。お師匠さまの方は」
「こっちも問題ないさ。けどマズいな、今の遠くからの一撃でプロテクターが吹き飛ぶなら」
ナイトの顔色がわずかに翳る。

「……相手は究極体かも」
424/05/19(日)01:21:55No.1190705613+
もしもそうなら、今の自分たちでどこまでやれるのか。ナイトはわずかの思案の後、作戦を定めた。
「なら真っ直ぐに突っ込むのは流石に危険だ。あの戦ってる場所の真上まで飛んでくれるか、メイルドラモン」
「わかりました。危ないのでしっかり掴まっててください…ねっ!」
進行方向を一気に上方へ転じ昇っていく2人。しばらくの後、争乱地点の直上へと辿り着くと、ナイトはメイルドラモンから飛び降りた。
「後から合流だ、メイルドラモン!」
「ご武運を!」
「ああ!カードスラッシュ――『超進化プラグインM』」
上空から降下しながら、ナイトはD-アークにカードを読み込ませる。『超進化プラグインM』、デジモンを進化させる効果を持つこのカードによって、テクスチャの剥がれたナイトの右腕が「ナイトモン」としての形を取り戻していく。
地上が近づく。争乱の様子も段々と鮮明に見えてくる。だがそこで、ナイトはわずかな違和感を覚える。
524/05/19(日)01:22:33No.1190705833+
「なんだ?戦ってるんじゃない、一体のデジモンが暴れている……?」
そう、ナイトの想定では2体のデジモンの争いだった。だが違う。この惨状は、ただ一人によって引き起こされたものだ。
ナイトの耳に、悲痛な叫びが聞こえてくる。それは、暴れ狂っている元凶の『デジモン』のものだ。
「なんで、なんでなんでなんでなんでなんで!なにこれなにこれなにこれワケわかんない!わかんないわかんないわかんないィィィ!!!」
叫びながら、右腕の砲を乱れ撃つ。狂いながら、右腕の刃を振り回す。ただそれだけで、木々は倒れ、千切れ、吹き飛んでいく。森のデジモンたちは逃げ惑い、時にその暴虐に巻き込まれている。
「ついんは、ついんは悪くない!何もしてない!なのになんで!?なんでなんでなんで!!!」
その『デジモン』の直上から、一塊の鋼が突き刺さる。落下してきたナイトは、その勢いに合わせて剣を叩きつけるように振り下ろした。
「ッ!!」
「!? なになになになんなの!?アンタ誰!?」
624/05/19(日)01:23:00No.1190705990+
野性的な勘か、ナイトの攻撃をその『デジモン』は右腕で受け弾く。相当な衝撃があったはずだが、彼女にダメージが入っている様子はない。
「なんっ、だ…?『人間』…!?」
「アンタも…アンタもついんをイジメるの!?わああああ!!!」
混乱しながらも彼女はナイトを明確に視認し、砲門を向け一撃を放つ。『ズィード砲』、とある究極体デジモンの必殺技にして最終兵器である。
「!! しまった…グゥッ!」
受けるナイトは、相手の『姿』に動揺、混乱し、行動が一瞬遅れてしまった。とっさに右腕の剣を盾代わりにするも、その一撃に耐え切れるものではない。剣が、真ん中から砕け折れる。
「けど、この程度でッ!!」
剣が砕ける瞬間生まれたほんの僅かな猶予、ナイトは身を捩り砲弾の射線から逃れた。背後から、大木が倒れる轟音が響く。
724/05/19(日)01:23:28No.1190706141+
「ハァ…ハァ…!」
「なんなのよ…もうワケわかんない…!」
ここで、ようやく二人は互いの姿を正しく認識した。
ナイトモンの右腕を持った少年、飼縄ナイト。
砲門と大剣を併せ持つ特殊なオメガモン、その写し身を『右半身』に繋がれた少女、欠片野ついん。
共にその身へ異形を宿す二人は、しかし大きな差異があった。
「知らない…こんなの知らない…!帰して…お家に…!返して…ついんのカラダを返してよォ!!」
自らに降り掛かった不幸なる事故。それを受け止めきれず、絶望と狂気に少女は囚われた。
再び、ナイトへと砲撃が放たれる。
「――そうだな、あんたの気持ちは、わかる。だから――」
砲弾が迫る。ナイトは動かず、ただ左拳を握り締める。そこに輝きが、宿る。
ナイトは信じている。自分に未来を託して逝ったナイトモンを。彼の遺したものを。
「――あんたを、止めてやる」
824/05/19(日)01:23:57No.1190706289+
砕けたナイトモンの剣を構える。それに、左拳の輝きを殴りつける。
「デジソウルチャージ!ナイトモン バーストモード!」
ナイトモンの剣が、姿を変える。金色の輝きを放つ、片刃の大剣へと。
振り下ろされた刃は果たして、迫りくる砲弾を両断した。
「なっ!?なに、それぇ…!?」
「さあ、ここからが本番だ!カードスラッシュ、『高速プラグインT』!」
困惑するついんを置いて、ナイトは新たにカードを使用する。『高速プラグインT』、自らの機動力のみならず、思考能力も加速し、あらゆる状況への対応を可能にさせるプラグインだ。
「そら、そらそらそらッ!」
「ひっ、なになに、なんなのよォッ!?」
機動力を武器に、ナイトはついんを翻弄する。ヒット・アンド・アウェイを基本にした接近戦を仕掛け、ついんに砲撃を使う暇を与えない。そうして切り結ぶ中、ナイトは分析を深める。
924/05/19(日)01:24:23No.1190706428+
「(……彼女は『人間』だ、それは間違いない。オレと同じく、人間がデジモンの力を揮っているだけ。何度か試しに『左側』の服に掠らせたけど、弾かれる感覚は無かった。)」
ナイトの苛烈な攻撃を前に、ついんは防戦一方に見える。だが、その天秤は容易く傾く。
「う、うわあああああッッッ!!!」
ついんが自棄気味に大きくその右腕を振る。あまりにも単純な攻撃、しかしそれには究極体の力が込められている。ナイトは大きく回避するも、生まれた隙に砲撃の雨が降り注ぐ。
「甘いッ!!!」
その砲弾の内、躱し切れないものだけを正確に斬り払う。バーストモードの力を集約させた片刃の大剣は、その鋭さのみ究極体に迫る威力を発揮しているのだ。
砲弾の雨を掻い潜り、ナイトは再びついんへと迫り行く。
「(そう、戦いに関しても素人同然。ただ刃を振り回し、真っ直ぐにしか撃たない。デジモンに関してもおそらく無知だ。半身の力を『必殺技』として使うこともしない。だからこそこちらが優位に立ち続けていられる訳だが、それでも駄々っ子のように暴れられれば退くしかない。なら――)」
1024/05/19(日)01:24:49No.1190706583+
「ひっ、来ないで、来ないでぇぇぇ!!!」
「こうするしか、ない…!――『フルンディング・ソード』!」
ナイトは、ナイトモン バーストモードの力を必殺技として解き放った。大剣は輝きと斬れ味をさらに増し、目にも止まらぬ斬撃の嵐が巻き起こる。降り注ぐ砲弾は斬り刻まれ、もはや微塵と化している。
「これで、終わりだ……ッ!」
「い、いや……いやぁぁぁぁぁ!!!!!」
刃の届く距離。迫りくる『死』に対し、ついんは、その場にうずくまることを選んだ。選んでしまった。だがそれは、戦いに縁の無い『普通の人間』ならば、無理もない反応である。そう、異形と成り果て、絶望と孤独に心を圧し潰されても、彼女は『人間』であった。
1124/05/19(日)01:25:19No.1190706775+
「――なんて、ね。それを待ってたんだ。カードスラッシュ――『争いはやめましょう』」
「……えっ?」
しかし、ついんに刃は振り下ろされなかった。代わりにナイトが切ったのは一枚のカード、『争いはやめましょう』。様々な制約があるものの、その場の戦いを穏便に止めるプログラムカードである。
二人の武器にデジコードが絡みつく。急速に、その刃から輝きが喪われていく。
「な、なに…何をしたの…?」
「脅かして悪かったよ。これでもうオレたちは『戦えない』。――自己紹介から、始めようか。オレは飼縄ナイト。キミは?」
「つ、ついん。……欠片野、ついん、よ」
1224/05/19(日)01:25:36No.1190706867+
ナイトから差し出された左手に、ついんは警戒しながらも手を伸ばし、握手を交わす。するとそこに、森を駆ける轟音が近づいてきた。
「お師匠さま〜ッ!!ご無事ですかお師匠さま〜〜ッッ!!!」
「ああ、ちょうどいいところに来てくれたなメイルドラモン。戦いは済んだよ」
「お、おっきな怪獣…!?」
「むっ、どなたですかこの失礼な方は。危険は無さそうですけれど」
「それも含めて、帰りの道中で話そうか。――あぁ、そうだ。ほら、ついん」

バサリと、ナイトはついんに大きな布を投げ渡した。

「……えっ。なに、この汚いボロ布…」
「ホントに失礼だなあんた!……マントだよ、マント。そんなんで村を歩いてちゃ大変だろ」
「あっ。えっと、その……まあ、ありがと」

こうして、『暴れデジモン』の一件は、終わりを迎えた。欠片野ついん…その『左側』は、異形たる姿を覆うマントと、デジモンとデジタルワールドに関する知識、まともな戦闘技能を得て――ほんの僅かに、その絶望感と孤独感を手放したのであった。
1324/05/19(日)01:28:59No.1190707976そうだねx1
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という訳でこちらのテイマー様をお借りしました
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正確にはこちらの(左)の方です
敵役として生み出された彼女にもささやかな救いがあってもいいのではと筆を執らせて頂きました
拙作ながらお読み頂きありがとうございます
1424/05/19(日)01:29:59No.1190708234+
キテル…!
1524/05/19(日)01:30:40No.1190708445そうだねx2
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ウチの子のバーストモードになります
icは持ってませんが「自分の身体に直接デジソウルを流すのならイケるのでは?」と考えでっち上げましたよろしくお願いします
1624/05/19(日)01:31:49No.1190708803+
左ついんちゃんちゃん早速止まったな…
1724/05/19(日)01:35:46No.1190710147そうだねx3
この後何事も無かったかのように別れ洗脳され戦闘技術とデジモン知識を得たついんちゃん(左)が暴れ回っても一向に大丈夫です
「彼女にもマントを渡したかった」この怪文書はそれが全てです
1824/05/19(日)01:38:30No.1190710907そうだねx1
なんというか…モテそうだなナイトくん
1924/05/19(日)01:39:48No.1190711297そうだねx1
>「彼女にもマントを渡したかった」この怪文書はそれが全てです
モテる男だ…
2024/05/19(日)01:45:19No.1190712977そうだねx2
この怪文書の発端はもちろん「欠片野ついん(右)」がマントを貰っていたからです
ならば彼女にもマントを渡さねば…暴れる彼女をなんとかしなければ…頑張ってくれナイトくん…!
2124/05/19(日)01:58:32No.1190717210+
左と右のついんちゃんに挟まれるナイトくん?
2224/05/19(日)02:00:02No.1190717558+
>左と右のついんちゃんに挟まれるナイトくん?
アシュラーP1の絵面しか思い浮かばなかったから
2324/05/19(日)02:22:22No.1190722246+
右ちゃんとはまだ絡めてないので今後異形の縁があればいいなと思う次第です


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