「んっ……あっ……ああっ」 「ふふ……あんなに乱れて。カワイイ」 日々混沌を深める都市、ネオサイタマ。その象徴とも言える退廃IRC空間。そこには合法・違法問わぬ無数のポルノが集まり、相手に恵まれぬ宿主がために無駄打ちされる哀れなDNAを日々ティッシュの染みに変えていた。 名もなき男が耽溺しているものも、そういった猥雑なるニューロン直結式体験型VR映像……なのだが。男はいつものように冷笑的に見ることはできなかった。 「もっと…もっと、してください…!」 「気持ちよくできるよう、私もご奉仕致します」 うっとりとした面持ちで金髪のオイランドロイドが喘ぎ、黒髪のオイランドロイドは恍惚の面持ちで応える。シンプルに映像の品質が凄まじいのだ! コーカソイド・オイランドロイドと黒髪ナース・オイランドロイドを総取りで前後する内容は本物と見まごうばかりで、この手のヘンタイに慣れた男をも何度も達させた。出どころがよくわからないサークルという怪しさに反比例した高品質さは、男が正気であればウィルスの存在を予感させただろう。 しかしながら男もストレスが溜まっていた。自分は懸命に裏ビジネスで働いているのに、賭け事なんぞで必死に儲けたつもりになっている闇カネモチのメスガキの失禁姿を数日前に見たことで、メラメラとした怒りは続いていた。オマケに会場スタッフの仕事は開催地の都合で暫く見送りとかで収入も消えた!もう我慢の限界だ! ビッグユージ=サンのバカ!! そんな中にこのヘンタイVRである。あの時見たメスガキのお供をしていたオイランドロイドそっくりの2体が映るパッケージを見て、息を呑んで決断的にカート移動。即座に購入に至った。冷静さを欠いているが気にしない。ムラムラしているのだ! しかも、ダウンロードして説明文を見てみれば…! 「ンアーッ……! ……んっ……んん…っ……アリガト……ゴザイマス……」 「ふふ……いっぱい出ましたね。鼻が高いです」 「そろそろ…っ……準備、出来ましたでしょうか…?」 「ええ……きっと。あの方も」 ……この後にもう一人いる! きっとあのメスガキめいた褐色金髪の幼女だ! 好きなようにわからせられる! 本番を前に高鳴る鼓動が、男に鼻血を流させた! 「さぁ、お迎えに行ってあげてください」 「あの方はシャイですから…」 二人に送り出され、男はカーテンで仕切られた部屋の一角に立つ。目の前には華奢な少女の下着姿。実際小さく10代前半くらいの容姿に見える。その胸は平坦だった。そそる有様だ。 「あ……あのう。本当にわたしもやるんですか?」 困惑するような、怯えるような、期待するような声。感情が混ぜこぜになった音声は、ますます男の男を昂らせる。 「うう……恥ずかしいです。……ぼくは男なのに」 男!?男と言ったのかこのメスガキは!?そんなナリをして!? 強い困惑を抱きながらも、男の男はさらに膨張! これだけカワイイならばどちらでも構わないのだ! 「アッ……ご、ごめんなさい……足が震えちゃって……その……こっちまで……きて、くださいますか?」「ワァ……」「はじめて……だから」「ワァァ……!」 恥ずかしそうに影が悶える。なんといういじらしさ。 これを作ったものはソンケイに値するヘンタイだ。 もはやウィルスであろうとも気にするものか。むしろウィルスなんぞのためにこれほどのものを用意するなんておかしいと思いませんか? あなた。これはいわばそう! 「優しさなんだ!」男の男が頂点を突く! 男はスケベ・ドミネイターを踏み倒し掘り尽くす覚悟で、一度深く呼吸をしてから──カーテンを開く! そこには!! スターン!…………………「エッ!?」 「ヘイ!ヘイヘイ! よく来てくれたなゴシュジンサマよ!」トロジャンヘアに醜い顔のイカつい男!!? その腹とケツは肥えて実に見苦しい!! 「アイエエエエエエエ!? さっきまでいた美少年は!?」男はへたり込み絶叫! あたりを狂った人形のように左右に見回すが誰もいない! ハメられた!!! 「ドーモ、ワルッチです。だから言ったじゃねーかYO!男の子だってな! ゲーップ!」胸ぐらをつかまれ顔が近い! 息が臭い!! 「アイエエエ!?アンタなんか知らない!! 」男は抵抗!どうにかワルッチの腕から逃れる! 「イヤーッ!」「グワーッ!?」そこにワルッチの尻が殺到! 強烈なヒップアタックだ! 「オラッ! アンタ散々楽しんだじゃねぇか! 俺にもファックさせな!」「アイエッ俺男で…」「関係ねェよ!!」「アイエエエエエエエ!?」性欲異常者!! 男は死にもの狂いで逃げる! 汚い尻を退けて走る! だがしかしそこに二つの影! 「イヤーッ!」「グワーッ!?」 「イヤーッ!」「グワーッ!?」 明らかにシリコン豊胸手術した肥大バストとヒップが揺れる! 連続攻撃2! ボールめいて吹き飛ばされた男は部屋の中央に連れ戻される! オーテ・ツミだ! 「何逃げようとしてンですか?」イビテンが倒れた男の腕を押さえる。「あンだけ好き勝手しといて」 「姐さん、こいつチャメしましょう」ワルタマがもう片方を押さえる。「そンで楽しんだ後バラしましょ」 「まァー待て。ソイツは俺がやる」ワルッチが合流! そして立つ位置は……ナ、ナムサン……!男の背後! 「ケツを高くあげて押さえときな! 猥褻行為(ワルッチ)するゼ! 」「「ンンーッ!!」」ブロンド女たちは何やら勝手に盛りつつ男を強く抑え、ワルッチのワルッチが抜き放たれる! 男を目掛けて!! 「アイエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!」 男は絶叫! 狂乱! 首を振って抵抗! しかし誰も助けは来ない! ここは彼のニューロンの中なのだから!! 「ウッ!」「アアアアーッ!!!」 「ウッ!」「アアアアーッ!!!」 「ウッ!」「アアアアーッ!!!」 「ウッ!」「アアアアーッ!!!」 おお…ナムアミダブツ! ナムアミダブツ!! ──────────── 翌朝男は、自宅で冷たくなっている所を発見された。 ニューロンを焼き切られる、ネオサイタマではチャメシ・インシデントな死に様。 しかしその表情は凄まじい恐怖と恍惚に満ち、下半身は……あまり見たくない状況。担当のデッカーを大いに辟易させたという。 「ネオサイタマいい加減にしなさいよ……」 赤ら顔の女デッカーはヒキながらスキットルをあおった。いつも通りの朝だった。