トレーナーが取り出したのは今朝事務から渡されたチームを作る際の書類。メンバーの欄にはアグネスデジタルの名前がすでに書かれていた。
「ほら、この3年間、デジタルがすごい実績を残してくれたからさ。そろそろチームを作ってくれないかって理事長から頼まれたんだ」
「へぇ……チームですか」
「デジタルも最近後輩の面倒見たりしてるし、ちょうどいいんじゃないかなって。もちろん無理強いはしないけど」
「じゃあ、嫌です」
「……え？ あ、嫌なの？」
「はい！ チームよりはトレーナーさんと二人三脚でやっていきたいですけど」
トレーナーは困惑した顔でデジタルを見つめた。ウマ娘を愛する彼女ならすぐに快諾すると思っていたのだ。
「一応、理由を聞いてもいい？」
「いやぁ……トレーナーさんにはあたしだけ見ていてほしいというか……もちろん、他のウマ娘ちゃんを見るな！ なんて言うつもりはないんですけど、でも担当として推すのはあたしだけっていう状態がよくてぇ……」
「お……おぉ……」

「そもそもトレーナーさんには選択肢がたくさんあるかもしれないけど、あたしにはトレーナーさんしかいないんですよね。こんな変態に付き合ってくれて、なおかつ同志として楽しんでくれる人なんて。だからここで逃すわけにはいかないんですよ。でも、もしチームを持って他のウマ娘ちゃんを見ることになったら、もしかするとトレーナーさんがあたしを見なくなっちゃうかもしれないじゃないですか。というか、絶対一緒にいる時間は減るじゃないですか。それは正直嫌で……まぁ、ウマ娘ちゃんを間近で見られるっていうのは確かに魅力的ではあるんですけど、そこの感情とトレーナーさんに関するそれは結構別というか、それはそれ、これはこれで考えているというか……推し活の時間も減っちゃいますよね？ 正直週末、トレーナーさんとの推し活が生きるモチベの6割くらいを担ってるのでそれもキツイんですよね。というか理事長さんもウマ娘ちゃんに対する愛も理解もアリアリのアリなのでちゃんと説明すれば断れると思うんですよ。なのでそういうことでお願いします！」
「あ…………うん。わかったよ」

思わず抱えていたクソデカ感情を洗いざらい吐き出してしまったアグネスデジタルだったが、その表情に後悔は一切見られない。それもそのはず、彼女はトレーナーのおおらかさ……悪くいえば鈍感さを、この3年間で身に沁みて実感しているのだ。開き直って感情をぶつけるくらいしなければ彼はいつか離れてしまう。そう思っての行動なのだ。
「じゃ、じゃあチームの話は理事長に言っておくよ」
「ありがとうございます！ ささ、ではトレーナーさんも一緒にウマ娘ウォッチングといきましょう！ こちらへどうぞ！ ささ、早く早く！」
2人、窓際で揃って双眼鏡を覗き込む姿は傍から見れば微笑ましい光景だろう。しかし、窓の下ではアグネスデジタルの尻尾がトレーナーの腰を引き寄せるようにぐるりと巻き付いており、彼女はときおり双眼鏡から目を外し、熱の籠もった目つきで隣りにいるトレーナーの横顔を見つめているのだ。そして彼女のトレーナーは、それらの全てに気づかないふりをしながら、彼女とウマ娘観察に勤しむ。

犯しちゃおスレ？

あと2週間もすれば、そんな彼女たちの様子が「推せる」と新入生の間で有名になることを、彼は知る由もない。

「んふふ……幸せですなぁ」

開き直ったオタクは強い。そのことを実感しながら、トレーナーはこれからの学園生活に思いを馳せるのだった。

好感度カンストしてる女の子っていいよね……と思うので書きました
デジタルにはクソデカ感情を抱いてほしいです

反応に困る

かかっちゃお

ちゃおっちゃおっちゃおっちゃおっちゃおっちゃおっちゃおっちゃおぉぉぉ〜〜〜

>反応に困る
そりゃそうだこのクソデカ感情に水をかけても油をかけてもマズイ

この重い感情をデジタルが持ってるのが良いな…

>そりゃそうだこのクソデカ感情に水をかけても油をかけてもマズイ
…？

だからこうして気づかないふりをする必要があったんですね

言えたじゃねぇか…

>この重い感情をデジタルが持ってるのが良いな…
デジたんもmtb会だからな…

わかるよ