本当にカッコいいお兄ちゃんだよ…お前は…

レクイエム…

誰のためのレクイエムか…

まだ残る天使がある

振り向くな
もう戻る道はない

澪トゥルーエンドの代わりとなったのは真人レクイエムか…

真人ネバーエンドとも言えるかもしれない

色を失った髪が紅蓮の如く赤く染まって行く
灼熱の炎に包まれた右手からは【砲】が突き出し
白いウサギの頭部のようなガントレットが着いた左手からは氷で出来た巨大な剣が伸びていた
これが最後だと言わんばかりに、霊力で編み出したマントを纏って真人はウェストコットへ飛翔する
アイク:…っ！！
訳のわからない存在に邪魔をされた事が気に食わないのか、珍しく苛立ちが混じった顔のウェストコットは永劫瘴獄〈ベリアル〉を顕現させて真人を飲み込もうとする

アイク+999/真人'+999
dice2d100=80 84 (164)

ここで僅差か…

補正は同じ
勝敗を決したのはたった4の差か…

ここで勝てたか

なんてちっぽけで大きな差なんだろうか…

0.真人':みたか！これ、が…ッ！兄の、底力…だ…ッ！
dice1d1-0=1 (1)

ニヤケ面のウェストコットの苛立ち顔を間近で見れるのは気分がいいだろうな

永劫瘴獄〈ベリアル〉の侵食は確かに真人に当たっていた
だが…
アイク:………がふっ！
氷結傀儡〈ザドキエル〉の氷の剣は、ウェストコットに届き、そして更に貫いていた
ウェストコットの驚愕に染まる顔
それを見届けた真人はニッと笑い…ウェストコットから剣を引き抜いた
そしてウェストコットから黒い霊結晶〈セフィラ〉が排出され…それを【砲】で撃ち抜き燃やし尽くす
それと共に輪廻楽園〈アイン・ソフ〉の内部に充満していたマナの波は次第に収まり…

静かに消えて行く繭の中から令音と真人の姿が現れた

最期に満足することもなく消滅したか…

士道:…！令音！
複雑そうな顔をしつつも、5体満足で現れた令音に涙を流し士道は抱き付く
令音:士道、私は────
士道:馬鹿野郎！！勝手に死んだら絶対に許さなかったんだからな……！！！
琴里:令音！！良かった…良かったぁぁぁ！！
司令の立場よりも友達として、大粒の涙を流す琴里も令音に抱き付き…周りに居た十香達も一斉に令音に集う
一部七罪に抱きつく者もいたが
そして折紙と狂三はそれを遠目から見守りつつ…もう1人の琴里と同じ赤い髪の男へ視線を向けた
折紙:
1〜3.貴方は…
4〜5.どういう…事？
6.…真人？
dice1d6=1 (1)

対消滅じゃないのは皆の霊結晶の分で上回っていたからかな…

1.真人':間に合って良かったよ、士道
dice1d1=1 (1)

>対消滅じゃないのは皆の霊結晶の分で上回っていたからかな…
霊結晶だけになっても繋がりが真人を支えるのいいよね

対消滅云々はケメティエルとアインがぶつかった際のことだからね
今回は単純に霊結晶を抜いて壊したからだと思う

ケメティエルを抑えて勝つって本当に強いんだよな…兄は強しだ…

士道:兄、さん？
士道の問い掛けにゆっくりと頷く
真人':お前が六の弾〈ヴァヴ〉を用いて巻き戻った後…俺は何か出来ないかと考えて…澪に力を貸してもらったんだ
令音:…兄さんの身体は元は私の分身、だから
真人':ああ、丸ごと全部渡して貰った…どうせ消えちまう未来だったしな
真人:全く、無茶するな…お前
真人':自分自身に言われる筋合いはねぇな…
狂三:待ってくださいまし、六の弾〈ヴァヴ〉が使えなかったとなると…十二の弾〈ユッド・ベート〉でこの時間に来た筈ですわ

1.貴方、この後どうするおつもりですの？
dice1d1=1 (1)

澪はよく渡してくれたな…

よしのん:ど、どういう事…？
珍しく動揺を隠せないよしのんが狂三に尋ねる
狂三:十二の弾〈ユッド・ベート〉はその身そのものを過去に飛ばす弾…六の弾〈ヴァヴ〉とは違い、時間制限がありますの
その狂三の言葉に真人'以外は言葉を失った
つまり…元の時代に帰るという事だ
士道:ちょっと待ってくれよ！じゃあ兄さんは…
真人:…俺と記憶が統合される筈だ、士道はそうだったんだろ？
士道:あ…！
真人の指摘に士道は思い出す、未来が変わった時に目覚めた時は改変される前の記憶を伴った自分として目覚めたのだ
令音:…
1〜3.……
4〜5.………
6.………………っ
dice1d6=3 (3)

澪の分身だったとはいえ時を超えた上にここまでの力を行使した以上…

無理か…

真人':…ごめんな
そういって、士道の頭を撫でようとし…
手のひらが────宝石のように砕け散った
士道:────────は？
目を見開きそのまま動かなくなる士道
十香達も、現実を受け入れられないと言ったように黙ったり、首を横にゆっくりと振ったり、そこから先の事を理解して涙を流したり…
狂三:…っ！…くっ…ふっ…

1.巫山戯ないでくださいましッッッ！！！！！
dice1d1=1 (1)

狂三のように、怒る者も居た

もう限界か…

令音:士道が六の弾〈ヴァヴ〉を用いて遡った時点で未来は変わっていた…そこに無理矢理真人が十二の弾〈ユッド・ベート〉で時間遡行を行った結果…本来既に上書きが終わった世界に存在し得ない者が現れてしまった…
真人':それが、俺だ
狂三:俺だ、じゃありませんわ！貴方何を考えておりますの！？このままじゃ、あなた、消えっ…！
ただ顔を覆って狂三は俯く
よしのん:ねぇ真人君、大丈夫なんだよね？ちゃんと真人君として此処に戻って来れるんだよね…？
真人':俺はもう此処にいるじゃないか
よしのん:そうじゃないよ…！君の事を言ってるんだ…！精霊の力を纏った君の事を…！
真人':
1〜3.大丈夫だよ、よしのん
4〜5.…後の事は任せるぞ、俺
6.これで良いんだ、俺は守りたいものを…帰れる場所を守ったんだ
dice1d6=2 (2)

よしのん…

最期くらい…泣き言くらいみんな許してくれるよ…

真人':元々居なかった者が現れて、居なくなるだけ…ちゃんと元に戻るから
よしのん:世界にとってはそうかもしれないけれど…よしのん達にとってはそうじゃ…そうじゃないんだ…！
たまらずよしのんは真人の残った方の手を掴もうとする
左手は…触れた瞬間に砂のように崩れた
よしのん:あ…ぁ…！！
真人':しっかし、士道はよく頑張った！偉いぞ！あんな酷い未来だったのに見ろ！ちゃんとみんながいる
1〜3.これ以上ないトゥルーエンドじゃないか？
4〜5.あとは自分達の人生を生きるんだ、きっとみんななら大丈夫…それに困ったら俺を頼れば良い
6.…令音
dice1d6=6 (6)

振り返れば…よしのんがこんなに親身になってくれるくらい仲良くなったんだよな…

真人'…こんなところで…

よしのんと真人'の関係大好きだよ…

いつもいい所で6を出すんだな…

折紙:なんで、どうして…っ！いやぁ…！
ボロボロと涙を溢す折紙は《狂三》に抱き付き声を殺して泣き
《狂三》もまた、真人の手をぎゅっと握っていた
七罪:四糸乃…
美九:四糸乃さん…
六喰:…
地面にへたり込んで動かなくなってしまう四糸乃の手を七罪が握り、もう片方を美九と六喰が握る
二亜:こんなの、こんなのってないよ…！なんでこんな事になっちゃうんだよ…ッ！
頭を抱えて蹲る二亜
そして黙って視線を逸らす十香の目は…片方が異なる色に染まっており、小さく…僅かに言葉を漏らした
反転十香:馬鹿者が…ッ
夕弦:懇願、どうにかならないのですか？令音
耶倶矢:そうだよ！同じ力なんでしょ！？ほらこう…なんか…なんかさ！！
八舞姉妹は令音の手を祈る様に掴む
しかし…その令音もまた、涙を流していた

消えた時の出来事を全部知った上で真人'が消えようとしてるんだもんな…そりゃ辛いよな…

本当みんなに慕われてるよな真人
だからこそそれに応えるべくここまで無理したんだろうけどさ…

真人':令音
令音:…いやだ
真人':なぁ令音
令音:いやだ…！
真人':聞いてくれ令音
令音:いやだ！！聞きたくない！！！
嫌だと断っているのに話そうとする真人'に耐え切れず令音は叫ぶ
令音:なんで！どうして！！私じゃなくて兄さんなんだ！！私が全部やったのに！私が全部、壊したのに…なんで、なんで兄さんが…っ
真人':
1〜3.それが兄ってもんさ
4〜5.格好付けて…なんか良い感じにして
6.それで、家族を守るんだ
dice1d6=3 (3)

真人は長男だからな…

お兄ちゃんだからな…

どんどん割れていくのを見ているしかないのは心苦しい…

ハナミ…

士道:なんだよ、それ…！そんなのおかしいだろ…！
真人':まぁちょっとカッコつけすぎたか、うん
士道:そういう意味じゃねぇ…！
同じ時間から来て、自分は生きて、真人は…
そんな事実を士道は受け入れたくなかった
真人:…後は任せろ、お前の分まで俺が引き受ける
真人':おう、あんま気負い過ぎたらそれはそれで許さねぇからな
《狂三》:そこは《わたくし》がサポートしますわ、だから…安心して下さいまし
そんな中、真人と《狂三》だけが真人'と別れる事を惜しむ事なく、前を向く事が出来た
真人':…《狂三》がいるなら大丈夫だな…それと令音、あんまり時間が残って無さそうだからちゃちゃっと伝えちまうからな？
右腕の罅が身体まで達しかけ、左腕は既に崩れてしまっている真人'は令音の方を向く
1〜3.…令音…俺は澪を許す事にするよ、やっぱり…恨む気にはなれない、でも恨む者は数多くいるだろう
4〜5.だから…お前はこれから村雨令音として生きるんだ
6.崇宮澪としてではなく、1人の精霊、令音として…罪を背負ったまま、生き続けるんだ
dice1d6=4 (4)

ごちゃまぜで令音として名乗っていたのって…

償いは生きてこそだからな…

ここで赦せちゃうんだもんずるいよ…

真人':死んだらそこで終いだ、でも…生きている限り罪に向き合うチャンスはきっとある筈だ
令音:兄さん…っ！
真人':士道と、幸せにな
真人'はそう言って微笑むと…後ろを向いて空を見上げた
ハナミ:兄さんッ！！！
空上からは…必死の形相をしたハナミが真人'の元へ向かっていた
状況を確認している後、事の顛末を真那や折紙の纏うCR-ユニットから知ったハナミは己のしでかした事に気付き
真人'と話そうと…謝ろうと、していた

真人':ハナミ
ハナミ:兄さんッ！！
後少し、後少しで真人'の側に────

1.真人':自分を貫き続けろ、ハナミ
dice1d1=1 (1)

瞬間…真人'の身体は光の粒へと、霧散した

謝れないのか…？

心に一生残り続ける傷じゃん…

これが…ハナミへの罰なのか…？

士道:ぁ────
さよならも、ありがとうも…何も、伝える事が出来なかった
士道:…っ、…っ！
真人:士道…俺が選んだ道だ、気に病むな
士道は真人の胸に蹲り…震え始め
真人が頭を撫で…優しく抱きしめる
真人:…頑張ったな、士道
その言葉で士道の我慢は決壊し…号哭が、夜の砂浜に響いた

ハナミ抜け殻になっちゃう

どちらにしても真人'はハナミが何もしなくても消える運命だったんだ

ハナミ:あ
兄さんが、死んだ
ハナミ:あ、あ…
私のせいで、死んだ
ハナミ:あああ
私が、殺した
ハナミ:ぁ？
兄さん？殺し？私？私？私？

(真人':─分─貫き──ろ、ハナミ)

ハナミ:あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

まさか反転？！

ハナミ壊れちゃった…

目の前で兄が消滅すればこうもなろう…たとえそれが己が関係ないとしても…

一番大切な存在が目の前で崩れていくのは耐えられないよ…

真人…エレンでもいい…ハナミをどうにかしてあげてくれ…

それから、数日の時が過ぎた
未来からみんなを守る為に死んだ未来の兄さんが戻ってくる事などなく…
吹っ切れてこそいないものの、普段の生活をできる様になっていた
そうなれたのはやっぱり真人が励ましてくれた事
そして、未来の兄さん自身、沈んだままの自分達をみたら、きっと悲しむだろうと…
因みに現在(いま)の兄さんは、背負いそうになってた所を《狂三》さんの一喝で立ち直ったらしい…やっぱり《狂三》さんはすごい
俺自身も…立ち直りを兼ねて令音を誘ってラ・ピュセルにデートに行っていた
最初は暗い顔だった令音も、スイーツを食べ、話しているうちに笑顔を取り戻してくれた
そして────

天宮市を一望出来る高台、そこに立って…空に向かって叫ぶ

士道:俺…頑張って生きるよ、兄さんがくれた明日を、全力で生きてみせる！

だから、見守っててくれ…俺達のデートを