士道:っ…
突然の自身を襲う浮遊感に身構えるが…すぐに警戒を解く
フラクシナスの転送装置…澪のものでは無く琴里が指示したものだ
琴里:士道…っ！
僅かな涙声で士道の名を呼ぶ
様子を見ていたのだ…当然令音の話していた事も耳に残っていた
士道:琴里、
1〜3.まだ諦めちゃダメだ
4〜5.兄さんと連絡は取れるか？
6.…大丈夫だ
dice1d6=3 (3)

そうだよな…親友だもんな…

青いクマのぬいぐるみを手に士道は立ち上がる
令音は言っていた…頑張ってと
ならば
士道:まだ令音だって諦めてない筈だ…！
琴里:……そうね…まだ、終わりじゃない！
自分はフラクシナス司令官なのだ、攻略の要となる自分の兄が一片たりとも諦めていない状況で折れている暇があるだろうか？いや、ない
すぐにクルー達に指示を出す
澪がDEMの相手をしているうちに作戦を考えなければ────と
瞬間…ピピピピッ、というアラームのような音が響く

令音先生取り込まれて澪がフルスペックか…

真人も分身ではあるけど令音程じゃないかも

二亜:何この音？シリアスなシーンなんだけど…なんか異常アリって感じ？
鞠亜:『まだ何方とも確率がある状態ですね…琴里、何者かがこちらに通信を試みています、どうしますか？』
鞠亜の言葉を受けて、琴里は僅かに眉根を寄せる
琴里:通信…？いいわ、繋いでちょうだい
鞠亜:『了解』
真人ならば此方に通信する際に既存の連絡先を用いるだろうから通信主不明の状態になる筈が無い…となるとDEM、かと思ったが
琴里:
1〜3.これは…来禅高校の生徒？
4〜5.真那:日下部隊長達も映ってやがります
6.七罪:私の知り合いも居る…！
dice1d6=2 (2)

なにっ

通信相手の顔でも映っているのかと思ったが…違う
どちらかというと、監視カメラの映像か隠し撮りといった風情である
幾人もの人間が映っているのだが、皆カメラの存在に気づいていないかのような様子だった
しかも、一つのみではなく…画面が細かく分割され、何カ所もの場所を映した映像がメインモニタに表示される
そして映っているのは他でもない、士道達のクラスメートやASTの隊員達、美九のアイドル仲間や四糸乃と七罪が体験入学に行った際に出来た友達等々…精霊達の日常を表すに相応しい者達が映っていた

ハナミか…？

一体何が起こるんだ…？

そして…その日常は突如崩壊した
士道のクラスメート…亜衣麻衣美衣達のいる教室の窓ガラスが盛大に砕け散ったかと思うと、そこから数体のモビルスナッチが威圧感のあるツインアイを光らせながら現れたのである
そしてそれは他の画面でも
学校で、自衛隊駐屯地で、ライブ会場で、夕陽に染まる街路で
空間震警報の鳴っていない街の至る所で、人型の機械人形がその姿を現した

1.アイク:やあ、聞こえているかな？ラタトスクの諸君
dice1d1=1 (1)

もしかして人質に取ることでハナミの計画の巻き添えにならないようにでもするのか？

アイク！？

クリファ無しで表舞台に出てきた？

狂三:アイザック・ウェストコット…！
普通ではありえない光景
顕現装置〈リアライザ〉もまた、精霊と同じ秘匿された存在にも関わらず衆目に晒し
一般市民に危害を加えようとするなど、正気の沙汰ではない
いや、正気など鼻から捨てているからこそ…こんな事を起こせるのだろう
至極落ち着きを持ち、それでいて楽しげで…付け加えるならば無性に神経を逆撫でする声色でウェストコットは通信越しに士道達の前に現れる
アイク:さて…
1〜3.楽しんでもらえているかな？
4〜5.私としてはどう転んでも構わないが…これも作戦でね
6.彼女は本当に優秀だ、残念なのは…この作戦には否定的だった所かな？
dice1d6=4 (4)

コイツ…

そしてウェストコットは右手に二亜の囁告篇帙〈ラジエル〉に似た本を────神蝕篇帙〈ベルゼバブ〉を顕現させた
琴里:なっ────！
あれはハナミが所有している筈、なのに何故…！？
アイク:彼女が持つに相応しい力であったのは間違い無い…だが、私も欲しくなってしまってね
貸して貰ったというわけさ、と左手で指を鳴らすと…モビルスナッチは挙動不審な動きを取り始め、内部から崩壊して行く
それは二亜が反転した際に紙片から生み出した化け物が現れる時の様で…
二亜:マジ…？
恐らくはモビルスナッチの内部に神蝕篇帙〈ベルゼバブ〉の紙片が格納されていたのだろう
機械と融合した化物は人間を食い殺さんと舌をなめずり回した

ヤバいな…

アイク: もっとも理想的なのは、彼女らが人質として機能してくれることかな？それならば私は
悪辣な誘拐犯よろしくこう宜言しよう…彼女らの命が惜しくば、イツカシドウの持つ霊結晶〈セフィラ〉を全て渡せ、と
士道:ぐ……！
このままでは亜衣麻衣美衣はおろか、大勢の人達の命が危ないと…士道は歯を噛みしめ顔を顰める
するとそこで、落ち着け、とでも言うように、琴里の手が肩に置かれる
琴里:──悪いけれど、それは私たちを舐めすぎじゃあないかしら？損得の勘定くらいはできるつもりよ？あなたに霊結晶を渡したら、この世界が丸ごと上書きされてしまうかもしれない…もちろん、守ったはずの彼女たちごと…一時の感情でそんな愚行を加すことはできないわ
琴里が、低くした声音でそう言う。だがその頬には汗が滲み、眉間には深いしわが刻まれていた
これが音声通話のみなのは僥倖であったかもしれない
当然だ、琴里がただ冷静にそんな言葉を発しているのでないことは容易に知れた…本当ならば、ウェストコットを卑怯者と罵りたいところだろう
だが此処で感情を発露させるわけにはいかない…琴里は感情を殺してウェストコットを挑発した

アイクが貸してもらってるのは前回でもあったから初めてではないんだが…

真人―！《狂三》ー！来てくれー！！

本当にクソ野郎だな…

ウェストコットは琴里の言葉に「ふむ」と言うと、さして驚いたふうもなく続けてきた。
アイク:まあ、それならば仕方がない…私は無慈悲な独裁者の如く、彼女らをできるだけ惨たらしく殺せと命ずるだけだ…友人が殺される光景を見て、精霊が一人でも反転してくれたなら儲けものさ
士道:……！
それに士道達は思わず息を詰まらせた
士道は精霊たちが死んでしまう未来を変えるために、六の弾〈ヴァヴ〉で時を越えた…だが今、まさに士道の行動が原因で、本来ならば何も起きなかったはずの友人たちに死が迫っている
琴里の反応似たたようなものであったが、士道の自慢の妹は徹底して司令官であった
声だけには震えを生じさせず、落ち着いた調子で返す
琴里:……あら、それは怖いわね…じゃあ今すぐ映像を遮断しないと…わざわざ宣言してくれるなんて、親切な敵もいたものね

駆け引きだな…

アイク:おや、これは失策だったかな？ならば仕方ない…仮に精霊たちが反転しなかったとしても────私が楽しむには十分だ
士道:てめぇ……ッ！
常軌を逸したウエストコットの言葉に、土道は腹の中に渦を巻いた怨嗟を、絶叫に変換して喉から発した
ウェストコットと対面したときに見た、あの錆び付いたような双眸が思い起こされる
人を人として見ていないような、無機的な目
────彼ならば、『やる』
呪いじみた確信、その言葉は明らかに…脅しや駆け引きのみから生じたものではなかった
アイク:──さて、では答え合わせといこうじゃあないか…取り敢えず、表示されている映像をいくつか、血に染めてみせよう…そのあとで、もう一度感想を聞かせてくれたまえ
1〜3.最も、感想を聞ける様な状況で居られるかは別だが…
4〜5.ハナミ、君にはこの決断力が足りなかった…それさえあれば君は私以上に素晴らしい存在だったろうに
6.…さぁ、君達の友人はどんな声を上げてくれるかな？
dice1d6=1 (1)

>4〜5.ハナミ、君にはこの決断力が足りなかった…それさえあれば君は私以上に素晴らしい存在だったろうに
じゃあハナミは既に素晴らしい存在だな

ハナミはそういう手段を使わないという決断をしたからアイクに分かったように語られるのは腹が立つな…

ゆっくりと…しかし確実に、死は近づいて行く
亜衣、麻衣、美衣…そして殿町とタマちゃん先生達に向かって化け物が大型のナイフを束ねたような爪を大きく振り上げる
美紀恵と日下部、ミリィの前に…手の平を魔力光で輝かせた人型の化け物が近づいて行く
美九のアイドル仲間…朝倉日依に向かって機械混じりの化け物達は無機質な視線で日依を捉え、その身体を四方から串刺しにするかの様に爪の先端を向けた

際限のない悪意がよ…

が────次の瞬間

十香:おおおおおお────ッ！！
教室に響く十香の裂帛の気合いと共に化け物が左右に断ち分かれる
折紙:ふ──ッ
細い吐息が聞こえたかと思うと、日下部達に襲い掛かろうとしていた化け物の腕が絶滅天使〈メタトロン〉から放たれる光線により弾け飛ぶ
美九:よかった…間に合いましたねー！
日依が頭上を見上げると、幻想的な衣装を纏う美九が浮遊していた…化け物はいつの間にか皆仰向けに倒れていた
そして精霊達に共通する点があるとすれば…背後に人が余裕で通れるくらいの大きな「穴」が、ぽっかりと空いていた

士道:────っし！ありがとな、六喰！
フラクシナスの艦橋で士道は十香達の活躍を見てガッツポーズをする
六喰の持つ封解主〈ミカエル〉の力…それによって十香達はそれぞれの友人達のもとへと駆けつけ、窮地を救っていたのである
六喰:──むん、長距離の移動は不安じゃったが……どうにか上手く行ったようじゃの
六喰は封解主〈ミカエル〉の先端をゆっくりと地面に突き、モニターから十香達の様子を眺める
化け物達は成す術もなく、討ち取られていた

ミカエルマジで便利や…

殺傷力も高いし便利だな

琴里:……ああ、もう…いくらラタトスクでも、こんなの誤魔化しきれるかしら？今から胃が痛いわ
琴里がにわかにざわめき出す画面の中の人々を見て、やれやれと額に手を置く
しかし琴里は「でも」と呟くと、キッと視線を鋭くした
琴里:────凌いでみせたわよ、アイザック・ウェストコット
アイク:ふむ
するとウェストコットは、小さくるようにそう言ってから続けた。
アイク:実に鮮やかな手並みだ…賞賛に値するよ…ただ、言わなかったかな？私としてはどう転んでも構わない、と────奥の手は常に残しておくべきだよ
琴里:……なんですって？
ウェストコットの言葉に、琴里が怪訝そうに表情を歪める
次の瞬間、まるでその声に呼応するかのように凄まじい爆発音が響き、（フラクシナス）の艦体が大きく揺れた
士道:……！？ 琴里！
アイク:これで此処に残る精霊は〈イフリート〉と〈ナイトメア〉、〈シスター〉…

1.さて、あと何人守れるかな？
dice1d1=1 (1)

どうしたんだアイク勘定が合ってないぞ

ウェストコットは頬を歪め指を鳴らすと…更に画面が表示される
そこには────
士道:父さん、母さん…！？

士道と琴里の両親も、映っていた

>どうしたんだアイク勘定が合ってないぞ
ベルゼバブでは識ることの出来ないイレギュラーいいよね

という訳で次スレへ

後出ししやがった…

クソカス過ぎるこいつマジで