古くより 海賊とは地上であくせく働くより楽に儲かり へますればそれまでで 太く短く生きる それはC.E.になっても変わらない。 とある宙域にて、ふたば海賊団の母艦コーネリアス級シルバーに1隻の貨物艇が横付けする。 すぐに貨物艇との間に通路が接続され、物資搬入が開始される。 「こちら、ご注文の酒類に食材です」 「ご苦労、代金は裏で送金する」 「ではでは、今後ともご贔屓に」 横付けした貨物艇は食品を取り扱う業者で、こうして海賊に食料品の販売をしていた。 積み荷の内容はほとんどが宇宙でも飲めるようにしたビールやワイン、肉は宗教的禁忌に該当しにくい鶏肉であった。 この海賊のパイロットの多くは頭も含めてコーディネーター、しかも地球各地からやってきており、宗教の権威が失墜して今日でも彼らの中には心の支えとして、また食生活に浸透しているので鶏肉が安パイなのである。 船長はすぐ近くの通信端末を操作すると、キッチンにつないだ。 「コック長!新鮮な食材が手に入った、腕によりをかけて最高の料理を頼む!」 『あいよキャプテン!』 コック帽をかぶった小太りの男は画面越しに敬礼すると、すぐに部下に指示を出して搬入された食材をチェックする。 今日は宴会の日である、金をかけて手に入れた食材を調理し喰らい、酒を飲む日なのである。 「しかしコック長…このフルーツの山は?」 そんな頭が気になったのは、今回大量のフルーツが搬入されていたことである。 昔の海賊ならいざ知らず、現代の海賊はビタミンC補給も手軽に行えるので生のフルーツはここまで必要ないように思えた。 『何言ってんですかキャプテン、本日の目玉はケーキバイキング!あまーいフルーツケーキがなくちゃ拍子抜けでしょ!』 「そ、そうなのか」 『なんでも訓練航海の一番の楽しみだったとかでね、まぁ甘い物はみんな好きですからねぇ』 「わかった、ぜひうまいものを頼む」 『もちろん!』 頭はそこで通信を終えたが、男たちがケーキバイキングに群がる光景が、海賊らしくないなと思っていたのだった。