二次元裏@ふたば

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323777 B24/03/26(火)16:52:39No.1171681753そうだねx2 18:49頃消えます
二次試験を終え、受験者たちにはまたしばらくの休息期間が設けられた。
「これ、どうしようかな」
フリーレンとフェルンは、宿屋の自室で床に広げた木や金属の破片を見下ろしていた。あまりにも粉々になっており第三者にはもはや原型を推し量ることはできないくらいだった。
「これ、って…」
破壊された自分の杖をこれ扱いされた事に、あからさまにふくれっ面を示すフェルンをやや警戒しながら、フリーレンはできるだけ説明をしてあげることにした。
「ここまで粉々だと修復はムリだよ。込められた魔力も霧散してる。例え形を元に戻しても、魔法使いの杖として機能しない」
「だって」
フリーレンの指摘はあまりにも整然としていて、いちいちもっともで、めげそうになるが、フェルンは食い下がる。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
124/03/26(火)16:53:04No.1171681846+
「捨てるだなんて…この杖は、ハイター様から頂いた、大事な…」
言葉が詰まる。薄々、自身でもその通りなのではないか、という諦めがあった。だがそれでも。
「…大事な、何?」
フリーレンから出たのは、意外にも促す言葉だった。フェルンは一つ息をついて、気持ちを押し出した。
「…ハイター様から頂いた、大事な杖なんです。私の…繋がり、なんです」
フェルンは破片の一つを手に取り見つめる。細かい傷の一つ一つに、思い出を感じた。フェルンにとってこの杖は、大切な絆であり、恩人であるハイターとの、繋がりだった。フリーレンから貰った髪飾りや、シュタルクから貰ったブレスレットと同じように。
それを喪いたくないと、杖の破片を慈しむ弟子の横顔を、師匠は黙って見ていた。その翡翠の瞳が、わずかに揺らぐ。
「…そう」
だが、あくまでそっけない態度のフリーレンは、一旦会話を切り、フェルンに背を向け開け放した窓の方を見た。
それは、不機嫌、不満からではなく…顔を見られたくなかったからだ。俯くフェルンの寂しげな表情を見て、この場にいない人間の顔を想起してしまった、自分を。
224/03/26(火)16:53:26No.1171681949+
「…じゃあ、やるだけやってみようか」
「…フリーレン、様」
平静な、いつもの顔を作り直して、フェルンに向き直る。
「ここは大陸最大の魔法都市だからね。もしかしたら、腕のいい技師もいるかも。探して回ろう、一緒にね」
「…はい」
花の咲くように、柔らかな微笑みを取り戻すフェルンにほっとする反面、フリーレンの心には静かな焦りが降り積もっていた。

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「杖、直せたのか」
その夜、宿屋近くの食堂で、フリーレン一行は3人揃ってテーブルを囲んでいた。夕飯時で、店内は色々な客層が集まり活気に満ちている。フェルンはそこで、シュタルクに杖の修復がうまく行ったことを誇らしげに伝えた。
「はい、フリーレン様と一緒に色々探して、最後に行った魔導具店で」
「不承不承だったけどね」
「なんだそりゃ」
324/03/26(火)16:53:51No.1171682030+
テーブルに並んだ料理をよそいながら、話を続ける。今日はフェルンの希望で肉料理を多く頼んだ。賑やかな店内の雰囲気や、美味しい料理も手伝い、自然に会話が弾む。
「良かったな、フェルン。あの杖、大事な物だって言ってたもんな」
「はい。小さな頃から、ずっと一緒でしたから」
「私は買い替えたほうがいいと思ったんだけど」
「フリーレン様?」
「…ごめんて」
フェルンは膨れながらも、そんなやり取りも、楽しいと思った。不器用な師匠が、それでも自分のことを考えて、思いやってくれた。それが、嬉しかった。
「そんな事言ってるけど、フリーレンも杖を直したかったんだろ…フェルンのために」
「そうかな…オイサーストなら、直せる人がいるかもって思っただけで」
「いや、違うさ」
声のトーンがいつもと違うな、と感じたフェルンは、皿に向けていた視線を上げた。
「どうして…そう思うの」
そう聞き返す声も、少し震えて聞こえた。シュタルクは薄い微笑みを浮かべ、まっすぐフリーレンを見つめていた。フリーレンは表情にこそ表れないが、長い付き合いのフェルンにはわかる程度に、瞳が揺れていた。
424/03/26(火)16:54:19No.1171682112+
「お前が、そういう奴だからだよ」
「…何、それ」
シュタルクの優しい声に、か細い返事をして、フリーレンは何かに驚いたように俯いた。暫く言葉のやり取りがそこで止まる。フェルンはシュタルクに同意する気持ちと、どこか釈然としない気持ちが混じり合いなんとも言えない気分になったので、腹いせにジャブを打つことにした。
「全然似合いませんよ」
「へへ…酷っ」
屈託なく笑って、皿の肉にナイフを入れるシュタルクは、特にこたえていない。むしろ面白がっているようだった。
…何、その態度。
その様子がまた、フェルンの心のどこかをざわざわと、嫌な感じに撫でてくる。何か、噛み合っていない気がした。それは二人のことか、それとも自分のことか。
言いしれぬ妙な気分を飲み込むように、フェルンは皿に盛られた料理をすべて平らげた。ちょっと残したフリーレンの分まで。

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その夜から、宿屋の部屋に空きができたので、フェルンと相部屋にしてもらった。湯浴みを終えて、髪が乾くまで寝転がるなと厳命された私は、ベッドに座り魔導書を読んでいた。
「シュタルク様、どこであんな、キザったらしい…」
524/03/26(火)16:54:40No.1171682202+
フェルンは杖の手入れをしながら、ぶちぶちこぼしている。まあ、私もちょっとかっこつけてるなと思った。
まるで…
やめるべきだと理性は訴えるが、記憶と感情の糸が勝手に結びついていく。あの静かな微笑み、優しい眼差しを…私は知っている。そうだ、今思えばあの表情こそ、いちいち私の記憶に強く焼きついていたのかもしれない。
「…よし、終わり」
手入れが終わったのか、杖をランプ越しにかざして見た。フェルンの頬はほのかに色づいて、暫く後、満足してから大事そうに杖を仕舞った。そして、私に向き直ってくる。
「フリーレン様、ありがとうございました」
「直したのはあの魔導具屋だよ」
すみれ色の瞳が、今日はなおさら優しい。それが、私には少し痛かった。
「いいえ、フリーレン様が後押ししてくれたから…もしかしたら、私一人では諦めてしまっていたかもしれません」
「…そう」
「シュタルク様の言うとおりです。フリーレン様は、優しい人ですから」
…違うよ、フェルン。私は。
624/03/26(火)16:54:56No.1171682254+
「さあ、髪も乾きましたね。寝ましょうか」
「まだ読みかけなんだけど」
「おやすみなさい」
「はい…」
フェルンは有無を言わさず、何度か私の髪を撫でてから、ランプの灯りを落とした。仕方ないので魔導書をベッドサイドに置いて毛布をかぶる。薄暗い天井を見ながらしばらくじっとしていると、温かくなってきて、私は思考の渦に呑まれていく。
…壊れた杖を見つめる、フェルンの顔を見た時、シュタルクを思い出した。私を見つめている時のあの子の瞳と、似ていたから…胸の奥がちくちくして、早くそれを止めたくなった。
フェルンを蔑ろにしたことはない。だけど、あの時私を動かしたのは…こんな原理で行動した私は、本当に優しいと言えるだろうか?答えをくれる人は、今はいない。もしヒンメルがいたなら…浅ましいと叱ってくれたかもしれない。きっと後悔すると、教えてくれたかもしれない。
このままでいたい気持ちと、ここのままではいけないという気持ちがまだら模様を作り、それが眠気と温かさで少し溶け合う時、私はすとんと眠りに落ちた。

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724/03/26(火)16:55:23No.1171682349+
まぶたを開いた瞬間、夜空いっぱいの青い流星が視界を満たした。フリーレンは、その光景に見覚えがあった。
「…半世紀流星」
次に盛大な篝火と、街の喧騒に気付く。フリーレンは石造りの胸壁に寄りかかり、気付いた。これは過去の光景だと。
「綺麗だな」
ふと、声が聞こえた。忘れるはずもない、彼の声。
「…そうだね」
フリーレンは相槌をうった。過去に話したこととは違うが、構わないと思った。どうせ、これは夢なのだから。闇夜に飛び散っていく青の粒は、そう考えるといくらかぼやけて乱反射しているように見えた。
「珍しく素直じゃないか」
「別にいいでしょ」
フリーレンが向き直った時、ヒンメルはもう、見つめていた。視線が合う。何度と無く思い出した、勇者の姿は変わらない。フリーレンの記憶の中で確かに光り続ける、優しい微笑み。
「君らしくないけれど…いいな」
こつ、こつとブーツを鳴らして、ヒンメルは歩み寄る。その時、フリーレンは気付いた。周囲の喧騒が止み、記憶の中ではいた筈の、ハイターとアイゼンが見当たらない。
ヒンメルはやや屈んで、しばらくフリーレンと見つめ合ってから、その細い背中に腕を回した。
824/03/26(火)16:55:49No.1171682442+
「え、ぁ…」
フリーレンが発したそれは声ではなく、単に肺から出た空気が音を立てただけだった。そのまま、抱く力が強まり、フリーレンの身体は強張る。記憶の中のヒンメルは、こんなことは絶対にしない。魔法による攻撃かと疑い、思考が駆け巡るが、精神防御を破られた形跡は無かった。
「どうした、の」
「だって…こうしたかったんだ、ずっと」
腕に力がこもる。ヒンメルに抱きしめられた記憶はないはずなのに、その感触を、フリーレンは知っていた。何度も味わってきた。腕の逞しさも、焼けるように熱い、その温度も。
…私は、錯乱している。視覚と触覚があべこべだし、ヒンメルに、こんなことをさせている。自己嫌悪がフリーレンの口角を歪ませる。だが、抱きしめる腕から逃れることはできない。
「ぁ、あぁ」
「フリーレン…」
フリーレンの顎に指が這う。くすぐったいその感触は、少ない記憶の中に残る、ヒンメルのものではなかった。傷だらけ、マメだらけの、戦士の指。
924/03/26(火)16:56:04No.1171682506+
それがゆっくりとおとがいを持ち上げる。顔が近づく。ヒンメルはもう目を閉じていた。フリーレンは自分を止めようとする。夢よ覚めてくれと抵抗する。だが身体は動かず、目も覚めなかった。それは果たして、不可抗力だったのか。それとも。
…重なりあった唇は、かさついて、乾いていた。身だしなみにうるさいヒンメルなら、ありえない。何度も味わってきた。自分の唾液で潤してきた、その唇。自己嫌悪が、恐怖に変わる。
「なあ、フリーレン」
ゆっくりと唇を離し、フリーレンを抱いていた男はあくまで優しく語りかけた。流星は絶え、その赤い髪の背後には真っ暗な空間が広がる。フリーレンは、驚きと恐れとともに、その朱色の瞳を見た。
「お前、ほんとはさ、もう」
肩を抱いたまま、シュタルクは優しく問いかけの言葉を続けようとする。聞きたくない。声にならない悲鳴と、激しい拒絶反応がフリーレンの身体を強制的に覚醒させ、そこで夢はぶつりと途切れた。
1024/03/26(火)16:56:23No.1171682583+
次に見えたのは、薄暗い天井だった。動悸が激しい。首筋が気持ち悪い。べっとりと汗をかいていた。だが、それを拭う気にも慣れないだるさが身体を支配している。

あぁ、駄目だ。私、このままでは…

最悪のまどろみの中で、フリーレンは思った。
1124/03/26(火)16:57:25No.1171682819+
ヒンフリあってこそシュタフリなんだと思うんですよね
1224/03/26(火)16:57:42No.1171682871+
。。。。。
1324/03/26(火)16:58:11No.1171682983そうだねx2
雨の日も消えぬHIASOBI
1424/03/26(火)17:00:41No.1171683515そうだねx1
フェルンが可哀想ですよね。
1524/03/26(火)17:05:33No.1171684500+
昔の男と今の男を天秤にかけるな
1624/03/26(火)17:12:30No.1171685947+
火遊びがガチ恋になるのいいよね
だめだね
1724/03/26(火)17:13:53No.1171686242+
こうやって人は過去を乗り越えていくんだね…
勉強になったよ
1824/03/26(火)17:21:20No.1171687827+
>ヒンメル様が可哀想ですよね。
1924/03/26(火)17:25:39No.1171688897+
>フェルンが可哀想ですよね。
フェルンもいつか分かる時が来るよ
2024/03/26(火)17:26:47No.1171689182+
なんだ夢かぁ
2124/03/26(火)17:29:12No.1171689705+
昔の親しいだけだった友人がうつらうつらと夢に出てきてイチャイチャするのはいいんだけどさー
そこからなんだよなー
2224/03/26(火)17:31:23No.1171690232+
久しぶりに見た
2324/03/26(火)17:34:49No.1171691005+
女出しすぎですよね。
2424/03/26(火)17:39:59No.1171692232そうだねx2
シュタフリえっちシーンが無いので星4です
2524/03/26(火)17:41:22No.1171692558そうだねx1
行動原理にシュタルク様が入っちゃってるのかなり凌辱されてますね。
治療が必要です。
2624/03/26(火)17:52:00No.1171695227+
ちょっとメスになりすぎなので殺しますね。
2724/03/26(火)18:00:06No.1171697372+
淫夢じゃないですか。
2824/03/26(火)18:05:45No.1171698975+
忘れてしまいたくて閉じ込めた日々も
抱きしめた温もりで溶かすから
2924/03/26(火)18:10:12No.1171700239そうだねx1
もう火遊びじゃないからね
愛の芽生えだからね
3024/03/26(火)18:39:09No.1171708966+
3124/03/26(火)18:39:28No.1171709064+
女子コミのフリーレン!


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