真那:兄々様！大変でやがります！兄様が…兄様が澪さんをデートに誘いやがりました！
真人:…ついに来たね
少女が澪となってから2週間程の時間が過ぎたある日の事、遂にその日が訪れた
真那:兄々様はこの事を予期してやがったんですか…！？
真人:正直いつ起こってもおかしく無いと思ってたぐらいには
真士が外の事を教える為に澪と出掛けた日、澪がゲーセンで手に入れたと思われる小さなクマのぬいぐるみを大事そうに抱き締めながら帰って来たのを見て「あ、これは恋する少女の顔だ」と気付いた、正直こうなる事は既定路線だろう

遂に…

運命を受け入れろ…

真那:さっすが兄々様！察しの良さはピカイチでやがりますね！
真人:もう…煽てても何も出ないよ？それより真士は？もうデートプランは決めてるの？
真人の問い掛けに「それが…」と不安そうな表情をする、どうやら上手くいっていないらしい
真人:なら僕達でサポートしよう、真士だって初恋なんだ…無理はさせられない
真那:相変わらず過保護でやがりますねぇ…まぁあまり人の事は言えねぇですけど
そういって誰かに連絡を取る真那、話し声からして同じクラスメイトのだろう
真那:取り敢えず真那の知り合いに手を貸してもらう事にしやがります
真人:知り合い…？

決して変わる事ない悲劇が目と鼻の先にあるの頭おかしくなる

遥子:どもー！真人さん！そして真那！話は聞かせて貰ったわ！
勢い良く現れたのは真那の友人の穂村遥子、どうやら澪の服をコーディネートしてくれるらしい
真人:遥子ちゃんが来てくれたなら200人力だね…ってあ、真士…弁当忘れてる…
どうやら澪をデートに誘って気が動転でもしてたのか、せっかく作った弁当を置いて行ってしまったようだ
仕方なく真那と遥子にコーディネートは任せ、澪と共に学校へ向かう
本当なら真那達と家にいて欲しかったが…どうやら真士に弁当を渡したいらしい

澪:ごめんね、我儘言っちゃって…
真人:良いんだよ、これくらいなら全然迷惑じゃないし
申し訳無さそうに俯く澪の頭を撫でる、なんだか妹が増えたように感じた
真人:あっごめんつい…
偶に真那や真士にしている事をしてしまった…だが澪はそれを続けて構わないと言ってくれた
澪:…ねぇ、真人
真人:うん？どうしたの？
と、澪が立ち止まって此方を見上げる
少ししゃがんで視線を合わせると…
澪:私も、真人の事…兄だと思って良いのかな…？
真人:それってどう言う…？

もじもじとしながらも勇気を出して澪は口を開く
澪:私ね、シンみたいに真人の事を兄さんって呼んでみたいんだ
どうやら真士の真似をしたいとの事だった、きっと好きな人と同じ事をしたい…という事に通ずるものだろう、多分
真人:成る程…そういう事なら全然平気だよ、だって僕達は家族でしょ？
家族、同じ家に住み生活を共にする、配偶者および血縁の人々
だが真人にとっては配偶者や血縁は関係無く、同じ屋根の下で暮らしてるなら家族だと…そう言った

此処からだったのか…

可愛い妹だな…

どんな顔して真人を霊力の器に移して士道の防衛装置にしたんだよ…

澪:…ありがとう、兄さん
真人:うん、あ…何か困った事があったら言ってね？ お兄ちゃん頑張って助けになるからさ
そうこうしている内に学校に到着し、真人は上履き、澪は来賓用のスリッパを履いて真士の所へ向かう
教室では真士の友人の五河竜雄が真士と和気藹々と話していた
真人:澪、僕は此処で待ってるから真士に渡しに行ってあげて、きっと喜ぶから
澪:うん！

五河！？

琴里パパの学生時代だぜ

案の定澪が渡しに来た事に驚きつつもあからさまに嬉しそうな顔をしている真士、竜雄は此方に気付いたのか軽く会釈をしていた
弁当を渡した後は真っ直ぐに家に帰る事に
早めに戻ってあげないと遥子の気迫に真那がそろそろ参ってしまうだろう
澪:シン、とっても喜んでた
真人:そうだね、今度のデート…いっぱい楽しんで来るんだよ？

澪:うん！ありがとう、兄さん！

…こんな時間が、ずっと続けば良かったのに
澪が何の変哲もないただの少女だったら良かったのに
でも…きっとそうだったら真士と澪は出会わなかった
その方が…二人にとって幸せなのかどうかは…
僕には、わからない

破滅の足音が近づいてきたな…

>琴里パパの学生時代だぜ
今は30年くらい後だからな…

真人:ぐ…っ…はぁ…はぁ…っ！
左足の感覚が鈍くなっていく
ベージュのズボンは赤黒く染まり
かつての色は見る影も無い
真那を攫った黒服の男達、突然の出来事に反応した時には…パシュッという音と共に左足に激痛が走った
(真那:逃げてください！兄々様！！)
あの時逃げなきゃ良かった
立ち向かう事が出来たら…何か変わってたかもしれない
なのに僕は…その場から逃げる事しか出来なかった

真人:狙いは…澪ちゃん…なのかな…！
だとしたら2人が危ない
でも…僕はどうすれば…
取り敢えず警察だろうか、しかし何故か携帯の電波は圏外を表示しており…通話が出来ない
黒服の男:いたぞ！！
真人:…くっ…！
路地裏に隠れていたが意味は無かった
すぐさま逃げようとするが…足がうまく動かない

(真人:これ…死んじゃうのかな…)
男達は素手で此方へ向かって来る
此方が無防備なのを良い事に真那と同じく此方の身柄を拘束するのだろう
(真人:人質…か)
だとしたら自分は交渉の材料となってしまうのだろうか…そんな事になったら真士と澪に迷惑を掛けてしまう
(真人:だったら…)
逃げる/立ち向かう
dice2d100=17 62 (79)

昔から真人は真人か

お前は…

真人:う…うわぁぁああああ！！！
黒服の男:こいつ…！大人しくしろっ！
直様男は銃を取り出して撃って来る
しかし此方が走ってる為狙いが定まらないのか
頬を掠めるくらいで直撃はしない
多分、捕まってしまうだろう
でも…少しだけでもコイツが真士達を探すのを妨害出来れば…それで…！

脚を撃たれて立ち向かうか…

その勇気は真性であったか

その時、叫び声と衝撃音が聞こえた
それは悲痛に満ちていて…聴くだけで辛くなってくる
そして…それは聞き覚えのある声だった
澪の声だ
でもどうして彼女がそんな声を発するのだろう
景色がゆっくりと目に映る
なんとなく、自身の死と共にその理由に気付いた
あの子があんな声を出す理由は…ただ一つだろう

真士が、死んだ

ああ

そして胸に衝撃が走る
男が銃を撃ち…弾が胸の中心を直撃したのだろう
もう手も足も動かない
視界がぼやけ始める
此方を厄介者を排除したとでも言いたそうな目で男が見ている
真士は、真那は、澪は────？
ぐるぐると思考が巡る
でも…もう何も出来ない
そこで真人の意識は…ぷつりと、途切れてしまった

次スレは22時半から

お兄ちゃんだったんだな…最初から…