ふと、グラウンドに続く階段の方を見やると、テイエムオペラオーとそのトレーナーが目に入った。
「ああ、トレーナー君！どうして君はトレーナー君なんだい？」
「…？トレーナー試験で合格したからだけど…」
「そうじゃないさ！簡単に釣れない所も君の魅力といったところかな？」
「…？あぁ！ロミオとジュリエットか！ごめんごめん、急で…」
「構わないよ。では気を取り直し、て…？」
階段で寸劇をやっていたせいか、オペラオーが足を滑らせた。このままでは尻餅をついてしまう。その時。
「おっと、危ない」
トレーナーが華麗に彼女を支えた。腰に手を回し、抱き止めるその様はさながら演劇のワンシーン。トップロードは思わず拍手を送りたくなった。心做しかオペラオーも頬を朱に染めて照れているよう。
「オペラオー、大丈夫？どこか痛む？」
抱き止められたままモジモジと俯くオペラオーを心配して、トレーナーが口を開いた。
「いや、別に。たまには女役も悪くないと思ってね」
「…？ジュリエットは元々女役だし、君も元々女の子だろう？」
「ハーハッハッハ！ここまで行くと清々しいね！君の鈍さ加減も！」

いつものように笑ってはいるものの、その顔には苛立ちが混じっているのをトップロードは見逃さなかった。

ナリタトップロードは考える。愛とは何か、と。
愛とは内面をさらけ出すものなのかもしれない。日頃から自信に満ち溢れていて、レースでは無類の強さを誇るオペラオーだが、抱き止められた時の顔は乙女そのものだったし、その後の苛立ち混じりの顔も珍しい。彼女の内面に触れて、トップロードは愛とは何かを理解した気がした。
などと物思いに耽っていたらグラウンドの方が騒がしい。騒ぎの中心にいるのはアドマイヤベガのトレーナーだ。
「私の走りを見てくれませんか？」
「チームを持たないか打診が来たって本当ですか？」
どうやら彼と契約を結びたいというウマ娘が群がっているよう。彼はよく言えば面倒見が良い。アドマイヤベガ風に言うのなら『勝手に着いてきたお節介さん』。そのお節介っぷりたるや彼女を担当してからも、伸び悩むウマ娘を見ればアドバイスしたり、練習メニューを組んだりする程である。おまけに顔が良い。アドマイヤベガ風に言うのなら

『は？トレーナーに顔の良さは必要ないでしょ？重要なのは私達ウマ娘のことをしっかり見てくれるかどうかよ。これは何もコンディションばかりの話ではないわ。私達一人一人が持つそれぞれの事情や悩みにも理解を示して支えてくれる人でないと、いくら顔が良くても価値はない。いえ、これだって本当は高望みなのは理解してるつもり。私の妹のことなんて、関係ないはずなのに…本当に変な人。でも、あの人の変な部分に救われた私も確かにいるの。だから重要なのはやっぱりそこだと思う。私の抱える薄暗い部分を、一緒になって背負ってくれる人。心の底ではそんな人を求めていて、そして出会えた。だから今の私がある……少しお喋りが過ぎたみたい。忘れてちょうだい。くれぐれもあの人には言わないで。それと、私が求めることが全て出来るのなら、その、顔が良いのもとても好ましく思うわ……聞いてるの、トップロードさん？』

最後まで聞いた自分を褒めたい。そんなわけで、アドマイヤベガ本人からのお墨付きを貰えるほどの顔の良さも相まって、彼女のトレーナーは人気があった。しかし、そのことを快く思わない者もいる。誰あろう、アドマイヤベガご本人様である。
「練習の時間はとっくに過ぎているのだけれど？」
騒ぎが大きくなりすぎて、そろそろまずいかなとトップロードが思った矢先、耳を絞ってあからさまに「私不機嫌ですけど？」といった風のアドマイヤベガが姿を現した。群がるウマ娘達を掻き分けて、ずんずんと中心にいるトレーナーに歩を進める。
「愛想の良い子達に囲まれて随分と楽しそうね」
「すまん、時間を忘れていたわけじゃないんだが…」
「言い訳は結構よ。その時間がもったいないから」
そう言うと、彼の手を引き、ウマ娘達を振り払っていく。そうしてバ群を抜けた後、トレーナーを連れて行かれて不満一色のウマ娘達の方をチラと一瞥すると、アドマイヤベガは尻尾をしゅるりと彼の腕に巻き付けた。まるで、自分のモノと誇示するように。

ナリタトップロードは考える。愛とは何か、と。
愛とはウマ娘を変えるものなのかもしれない。アドマイヤベガは元々彼女のトレーナーに負けず劣らず面倒見の良いウマ娘だ。伸び悩んでいる子がいれば、何だかんだと言いつつもアドバイスの1つ2つ送る子である。しかし、好いた相手が絡むとそうはいかないらしい。とはいえ元々自己をあまり表現しない子。あれだけ独占欲を出す一面を見ると、友人として少し嬉しく思う。後でトレーナーへの態度や他のウマ娘への牽制諸々に後悔してそうだけど。アドマイヤベガの変化に触れて、また一つ愛を理解した気がした。そんなことを考えていたら。
「トレーナーさぁぁぁぁぁん！！！」
元気な、というよりむしろ絶叫にも似た声のする方を見てみると、メイショウドトウが勢い良く駆けていた。その先には彼女のトレーナー。
「お弁当作ってきました！美味しく出来たと思うので、一緒に食べましょうぅぅぅぅ！！！」
なるほど、お弁当を作ってきたらしい。それをトレーナーに食べてもらおうと、ああも必死に……
トップロードは嫌な予感がした。
ステーン！

案の定、何も無いところでドトウは盛大にずっこけた。
「痛ぁ…うぅ…ト、トレーナーさぁぁぁん！！！」
と思ったらまた駆け出した。
ステーン！
そしてまた転んだ。
「トレーナーさぁぁぁん！！！」ステーン！
「何のぉ！！！」ステーン！
「まだまだぁ！！！」ステーン！
元々ドジっ子なところはある子だが、どうしてああも何も無いところで転ぶのだろう。トップロードは不思議で仕方ない。そしてトレーナーはと言うと、ドトウが転び、立ち上がり、また転ぶ様をただただ見つめていた。能面の張り付いたような真顔で、ただただ見つめていた。トップロードは怖くて仕方ない。やがて…
「はぁ、はぁ…ト、トレーナーさぁん…おべ、お弁当作ってきたので良かったら一緒に食べましょおぉ…」
気合いでトレーナーの元に辿り着いたドトウ。ところが。
「ああっ！そんな！」
どうやらお弁当はめちゃくちゃに潰れてしまっていたらしい。あれだけ転べばそうなるだろう。しかし、トレーナーはそのめちゃくちゃになったお弁当から、ひょいと一つ、おかずを摘むと、自身の口に放り込んだ。
「うん、とても美味しいよ。ありがとう、ドトウ」
彼は初めて笑顔を見せた。

ナリタトップロードは考える。愛とは何か、と。
いや、あれは愛なのか？あんなに転ぶ前に助け起こしてやるべきではなかったか？ドトウはパァッと花のような笑顔を見せていたがどうにも腑に落ちない。
あの二人のせいで分かった気がしてきた愛がまた分からなくなってしまった。やはり愛とは難しい。
しかし、分かったこともある。傍から見れば異常でも、あの二人にはあの二人の信頼があって、そこに確かな愛がある……はずである。
愛の形はそれぞれで、そこに答えなんてないのかもしれない。だからこそ、ヒトもウマ娘も、長いこと愛とは何かと考え続けているのであろう。
そんな大きな謎を、自分一人で解こうだなんて不可能に違いない。


だから、だからですよ？いつか一緒に、貴方と愛とは何か考えられる日が来れば嬉しいなって。そうなることを願って。私と貴方の間に、確かな愛があると願って。今日も私は。
「トレーナーさん！好きです！すごい、すごく大好きです！」

哲学的なトップロードさんを書きたかった

ﾋｿﾋｿ…やっぱり全員爛れてるわ…

早口アヤベさん好き

なんか最近のトレセンは愛に溢れてるな…

いい話かな？そうかな？

ドトウが転んでおっぱいで弾んでる…

ちゃんとオペラオーの乙女らしさを書いてるのは加点！

そんなに顔がいい人に「アヤベが好きだから！」なんて言われたらアヤベさんの情緒壊れちゃうから禁止カードにしろ

一周回ってトプロが一番健全じゃないか？
見ろよあのオペラオーの顔を…

哲学的だ

>「トレーナーさん！好きです！すごい、すごく大好きです！」
>「ありがとう、俺も大好きだぞトップロード」
これトプロが納得してないってだけで実はトレーナーもがっつり本心とかっていう解釈は？

オペさんって顔が近くなるとすぐ照れそうだよね

美しいって言えよぉ！ってキレて美しいって言われたら赤くなるやつだぞ

ドトウのトレーナーがゲイのサディストにしか見えないけど
巻き込まれないためには大人しくしてるしかないから仕方ないよね

>ドトウのトレーナーがゲイのサディストにしか見えないけど
>巻き込まれないためには大人しくしてるしかないから仕方ないよね
何で真顔なんだよ！

ナリタ哲学ロード

自力で立ち上がるドトウを見守ってるんだぞ

元からドトウが半日かけて机破壊してるのを観察する変質者だぞ

>>「トレーナーさん！好きです！すごい、すごく大好きです！」
>>「ありがとう、俺も大好きだぞトップロード」
>これトプロが納得してないってだけで実はトレーナーもがっつり本心とかっていう解釈は？
すごくすごいいいと思います

ウララなら愛を理解してるかもしれない

最後すっごく爽やかだから誤魔化されるけど
やっぱり覇王世代よ……

私は告白します！じゃないんだよ

>一周回ってトプロが一番健全じゃないか？
>見ろよあのオペラオーの顔を…
真っ赤になって白旗振っとる！

ドトウ以外は真っ当だっただろ！

尻尾ハグ独占欲描写好き

>そう言うと、彼の手を引き、ウマ娘達を振り払っていく。そうしてバ群を抜けた後、トレーナーを連れて行かれて不満一色のウマ娘達の方をチラと一瞥すると、アドマイヤベガは尻尾をしゅるりと彼の腕に巻き付けた。まるで、自分のモノと誇示するように。
手を取るのにさらに尻尾までホールドして二重に取るのいいよね…

>ウララなら愛を理解してるかもしれない
みんなのトレーナーさんが言葉は少ないけどどんな人となりか分かるのは
みんなの姿にトレーナーさんの姿が透けて見えるからであって
それはお互いが鏡のようにお互いの輪郭を形つくるからで
それは…それ「も」愛なんじゃないかなぁ
うっららー♩

ドトウだけわけがわからない…

トプロは自分のトレーナーがアヤベのトレーナーと似たようなシチュに置かれてたらどう行動するんだろう

>>そう言うと、彼の手を引き、ウマ娘達を振り払っていく。そうしてバ群を抜けた後、トレーナーを連れて行かれて不満一色のウマ娘達の方をチラと一瞥すると、アドマイヤベガは尻尾をしゅるりと彼の腕に巻き付けた。まるで、自分のモノと誇示するように。
モブ（推せるー！）

ウララさん？！

トプロ
一応オペラオーは指輪をプレゼントしてるんだぞ

えぇと……とにかくアヤベさんは面食いということは分かったよ

…あの人がたまたま容姿端麗だっただけよ

>えぇと……とにかくアヤベさんは面食いということは分かったよ
はぁ……………………（ガタッ）

>えぇと……とにかくアヤベさんは面食いということは分かったよ
はぁぁぁぁ......いい？別に私はあの人の顔がいいからとかそういうのじゃなくてね

（これ長くなるやつだ…）

長時間コースだこれ

面食いではないけど性格も好きな人が好みの顔だったら困るよね

2000年代は爛れてるわ…

>ドトウだけわけがわからない…
頑張るドトウと信じて自力で立ち上がるまで待つトレーナー
信頼関係も愛だよね

覇王世代がちんたらしてる間にウララちゃんはとっとと差し切ってゴールしてそう

>覇王世代がちんたらしてる間にウララちゃんはとっとと差し切ってゴールしてそう
アヤベさん＞ウララちゃん＞ドトウ＞トプロ＞オペラオーくらいの着順

何だか分からないうちにクレーン操縦したりセレブ集めたりできるのが不思議なオペトレ
恐らくオペラも遠からず出来るようになる

やっぱりアヤべさんって…
耳大きいしね…

>やっぱりアヤべさんって…
>耳大きいしね…
オペラオーもでかいぞ
なんと男子中学生の2倍！

アヤベさんは情緒育ち初めだしむしろ遅いイメージだわ

>幸いここはトレセン学園、愛し愛され、そんな関係を多く見られる場所。学ぶにはもってこいではないか。
もしもし理事長？

変なのに絡まれたからレス消しておく

>もしもし理事長？
祝福ッ！ウマ娘の幸福こそ本願故！

4組とも全員ラブラブぶっちゅーバカップルになれ！

そして覇王世代仲良しママ友になれ！