二次元裏@ふたば

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1355435 B24/02/26(月)00:17:38No.1161543118+ 02:13頃消えます
「すごい雨ね…」
イッシュ地方。
ヒウンシティでブルーは雨を見ていた。
立ち寄ったポケモンセンターの窓ガラスを無数の雨粒が叩く。
ブルーは製作したアイテムの納品のためにこの街を訪れていた。
先程納品が終わって、仲間のポケモンを癒してその後は観光して帰ろうと思ってたのだが。
昨日確認した時の降水確率は30パーセント程度のはずだったのだが、今の天候はそれどころではなかった。
ネットで調べてみると、今はもう90パーセントにまで跳ね上がっていた。
それも、大雨警報まで出ている。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
124/02/26(月)00:18:00No.1161543228+
「これ、下手したら帰りの船欠航かも」
時刻は夕方すぎ。
あと3時間後の船に乗る予定だったが、これでは難しいかもしれない。
今日はここでホテルに泊まろうか。
そう考えた時だった。
「あれ?ブルー?」
「え?レッド?」
聞こえた声に思考よりも先に返事が出た。
予想通りの顔が目の前に現れる。
224/02/26(月)00:18:27No.1161543350+
「こんばんは。レッドはこっちにバトルで?」
「協会経由で挑戦があったんだ。ついでにバトル終わったら観光でもしようかと思ってたんだけど」
たはは、と頭をかいて彼が笑う。
その様子だとバトルは勝ったようだ。
負けたなら彼でも落ち込んでいたであろう。
レッドが負けるはずがないとも思っていたので特に驚きもしない。
「それで、レッドはマサラに帰れる?
アタシは雨酷いし今日の船は諦めて明日にしようと思ってるんだけど」
324/02/26(月)00:18:46No.1161543463+
「んー、オレも今日はやめとこうかな。
別にすぐ帰らないといけない用事もないし」
「そう。じゃあ泊まるホテル早く探さないとね」
端末で周辺のホテル状況を調べる。
自分たちと同じことを考えている人もいるだろう。
早く予約を取らないと、その人達に先を越されてしまう。
検索してしばらく待つと、画面に結果が出た。
「あ…」
「どうした?」
レッドが画面を覗き込む。
424/02/26(月)00:19:08No.1161543615+
「あ…」
彼も同じようなリアクションをした。
候補に上がったものは少なく、中には隣街のまで表示されてもいる。
「遅かったみたいね…」
「いや、検索に引っかからないホテルもあるかもしれないし!
オレ探してくる!」
そう言うと、レッドがセンターを飛び出して行った。
524/02/26(月)00:19:31No.1161543752+
止める間もなかった。
あっという間に、レッドが行ってしまった。
「もう、待ちなさいって」
このまま待っていたり知らんぷりするわけにもいかない。
ブルーもセンターを出る。
傘を広げて、こちらもホテルを探し始めた。
合流するのは後でもなんとかなる。
そう考え、ブルーも歩き出した。
624/02/26(月)00:19:53No.1161543876+
その後、しばらくして。
「で、こうするしかなかったか…」
「仕方ないわ…」
2人で同時にため息をつく。
自分たちがいる場所。
それは、いわゆるラブホテルの一室だった。
あれから探し回ったが、ここしか部屋を取れなかった。
別々のホテルというのも無理であったし、部屋も個別で取れるわけでもなかった。
なので、やむを得ず2人で部屋を借りることとなった。
724/02/26(月)00:22:00No.1161544591+
「仕方ないし、お風呂入ってあったまりましょ。
先に入っていい?」
「ああ、それでいいよ」
黙っていても向こうから言ってくるだろう。
だから自分から言い出すことにした。
「ありがと、じゃあちょっと待っててね」
そう言って、ブルーは浴室に向かった。
が、すぐに戻った。
「レッドも一緒に入る?
中広そうだし水着もあるわ。
さすがそういうホテルなだけあるわー」
824/02/26(月)00:32:13No.1161548028+
からかいのための冗談。
慌てたり、顔を真っ赤にしたりするかと思っていた。
だが、彼の視線。
いつもと違う、強いものになっていた。
女を見る男の目。
性欲の混じった危険な光を宿していた。
「い、いややめておく。ごめん」
顔を背けて、レッドはそう言った。
理性で抑え込んでくれたようだ。
924/02/26(月)00:38:19No.1161550113+
「う、うん。変なこと言ってごめん」
素直に謝って、改めて浴室に向かった。
慌てるのはこっちだった。
服を脱いで、掛け湯をしてから湯船に身体を沈める。
やってしまった。
こんなはずではなかった。
自分とレッド。
女と男。
その性別の違いはあった。
だけど、ただの友人。
今更そういった仲になることはない。
そう思っていた。
1024/02/26(月)00:44:56No.1161552464+
自分の身体を見る。
女性として、成長した肢体。
異性からも魅力的に見えるだろう、起伏に富んだプロポーション。
自分でもそう思うほどには自信がある。
ならば、彼からそう見られても仕方はないことなのだろう。
レッドの、先程の視線。
正直に言えば、恐怖があった。
1124/02/26(月)00:50:30No.1161554279+
今まで、仲の良い友達として接していた。
そんな彼も、自分に性を意識する。
ひょっとしたら、自分を本当に抱く可能性だってある。
変わることのない関係が、崩れる。
そんなことはないと甘えていた。
「アタシ、どうしよう…」
深く、湯船に沈み込む。
結論が出ない。
迷いも、心の奥に沈んでいくようだった。
1224/02/26(月)00:57:32No.1161556514+
風呂から上がった後。
レッドも風呂から上がってきた。
「…さっきはごめん」
「ううん、アタシが変なこと言ったのが悪いから」
肩を落として謝罪するレッドを慰める。
ここまで落ち込んでる相手をからかうなどできない。
ましてやこちらが原因ならば、なおさらだ。
1324/02/26(月)01:03:42No.1161558276+
「あの、レッド」
「うん…」
彼の手に触れる。
大きく、固い手。
自分の小さな手とは違う、男の人の手。
こういったところも、自分たちは違う。
改めて、性の違いを実感する。
「アタシ、さっき怖かった。
レッドにいやらしい目で見られて」
正直に話す。
黙っているより、こうした方が。
彼の謝罪に対して誠実な対応だと思った。
1424/02/26(月)01:11:25No.1161560185+
「でも、それであなたが嫌になったわけじゃないから。
怖かったり、びっくりしたけど。でもね」
じっと、彼を見つめる。
安心させるために、手をさすりながら。
「でも、レッドならって。
あなたなら、もしそうなっても。
それでもいいかな。
そう思ったの」
「う、うん…」
目を見開き、短くレッドが答える。
1524/02/26(月)01:14:08No.1161560755+
落ち込みは脱したようだが、緊張したような声音。
それに違和感を覚え、ブルーはさっきの発言を思い返した。
「…!?」
今度は、自分こそ赤面することになった。
レッドになら。
彼相手ならいい。
これは、もしかして告白なのでは。
レッドは、そう受け取ってしまったか。
そう思うと、ブルーは頭の中が真っ白になった。
1624/02/26(月)01:20:37No.1161562120+
「えっと!違うの!
そういう意味じゃなくて!
でも、ほんとにその…」
次に何を言えばいいか。
どうすればいいか。
ブルーはわからない。
ここまでの仲になったのはレッドが初めてだから。
どう対応するかの経験も知識もなかった。
いっそこのまま勢いに任せようか、とも思ったがそれも違う気がする。
渦を巻く思考。
出口のない迷宮のようで、こちらの目も回るようだ。
1724/02/26(月)01:24:46No.1161562970+
「と、とにかく!
そういうことだからレッドは気にしなくていいから!
おやすみ!」
逃げるようにベッドに入って、布団を被った。
恥ずかしい。
先程とは違った意味で、レッドと顔を合わせたくない。
こんなことは初めて。
今更、ここまでウブな面が自分から出るとは思ってもみなかった。
1824/02/26(月)01:34:12No.1161565016+
「お、おう。おやすみ」
背中から、レッドの声が聞こえた。
その後、布の擦れる音もした。
明かりも消え、部屋に静寂が満ちる。
心臓の音が聞こえて、落ち着かない。
眠りたくても、羞恥で眠気に集中できない。
酔った時のような、頭の中の混濁。
そこから抜け出せず、ブルーは眠れなかった。
1924/02/26(月)01:36:57No.1161565688+
翌朝。
「すごいクマ…」
「ブルーこそ…」
顔を突き合わせて初めてのセリフがそれだった。
結局一睡も出来なかった。
レッドも同じだったようで変な連帯意識が出てくる。
「もう出ましょう。
チェックインまでそんなに時間ないわ」
「うん…」
疲れ切った身体に鞭打ち、身支度を整えた。
2024/02/26(月)01:40:23No.1161566474+
外に出ると、日差しの強さに目が眩んだ。
昨夜とは打って変わって快晴。
雨なんてなかったと言うかのように、雲一つない青空が広がっていた。
「船の中で、寝直しましょうか」
「そうだな。じゃあ行こうか」
眠気と倦怠感に苛まれながらも、港へと向かう。
2124/02/26(月)01:44:24No.1161567421+
ぐだぐだで、なんとも締まらない。
散々な一夜だった。
でも、嫌ではない。
レッドとだからよかった。
そんな気持ちがあることを、ブルーは否定できなかった。
その感情がなんなのか。
答えを、今は出せない。
でも、そのうち見つかる。
今は焦らなくてもいい。
そう思いながら、ブルーはレッドの手を取った。
過剰に驚くレッドに、こちらも釣られて後悔したが。
2224/02/26(月)01:44:35No.1161567471そうだねx1
以上です
閲覧ありがとうございました
2324/02/26(月)01:48:54No.1161568376+
そういえばラブホシチュはあまりやってなかったと思って今回の話にしました
単にホテルネタならレッド視点はしたから今回はブルー視点で


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