踊る相手がいないというわけでもありません、むしろ色んな人から誘われたのですが、何故だか「今日は皆さんを応援します！」と隅で遠慮するようになってしまっているのです。バクシンオーさんらしくありません。
こういう時はトレーナーさんが誘うのが一番良いのですが、この場にはいないようです。そもそもバクシンオーさんのトレーナーさんはロボットのように無表情で、喋っても十語以内というぐらい無口なので、誘う所がちょっと想像は出来ないのですが。しかしこのままではバクシンオーさんが可哀そうです。
「フラワー、心配してる？」
風に流れる花のようにターンしながら、スカイさんが私に聞いてきました。
「あ、すいません……でもちょっと、バクシンオーさんが寂しそうで……わわっ」
するっとバランスを崩してしまった私を、スカイさんが腰に手を当てて支えてくれました。自然とポーズを決めたようになっちゃいます。なんだか顔が近くて不思議と胸がどきどきとしてしまいます。
「フラワーは優しいな〜、でも今は前を見てないと危ないよ？」
「えへへ、ありがとうございま……」

その瞬間、私の心臓がどきんと跳ねました。ドキドキとかじゃなくて恐怖と驚愕とです。なぜならば、立ち上がった時に見えた入り口に、なんだか羽根がいっぱい生えた大掛かりな仮面をつけ、防刃チョッキを装着したスーツ姿の人がいたからです。
もう一度言います、大掛かりな仮面をつけた防刃チョッキとスーツ姿の男の人がいました。その人は何だかバクシンオーさんのトレーナーと同じぐらいの背丈で、トレーナーさんと同じ時計を付けていて、トレーナーさんのスーツを着ています。まるでトレーナーさんようです、というより仮面と防刃チョッキを付けたただのトレーナーさんです！
「おぉ……バクシンオー……バクシンオーよ……」
その声に顔を向けた全員の動きが止まり、真っ青になっています。スカイさんもなんだか見ちゃいけないものを見てしまったような顔をしています。こんなところで恐怖した顔を始めて見てしまいました。
「ま……まさか……貴方は……！？」
一人仮面舞踏会と間違っているかのようなトレーナーさんはそのままバクシンオーさんの方へとやっていき、バクシンオーさんの方も彼を見つけて驚いたように目をまん丸としていました。

それはそうでしょうハロウィンも過ぎたというのにお化けさえちょっと逃げ出すような異様な雰囲気を纏ってトレーナーさんがやってきたのですから。
「バクシンの神！ バクシン・シーン様！」
全っっっっっっっ然違いました。何ですかバクシン・シーン様って、神様が踊ったらそれはもう社交ダンスじゃなくて神楽じゃないですか。
「貴方様はダンスは両足首を同時に挫くからちょっとムリ。だったはず！」
初めて知りましたのその設定。不器用通り越して逆に器用じゃありませんかそれは。
「安心せよ、そのような些細な事、バクシンの加護をもってすればサポーターを重ねるだけで解決できるのだ……」
「な……なるほどっ！ 流石バクシン・シーン様！」
それは普通にサポーターの加護ではないのでしょうか。
「おぉ、バクシンオー……私の可愛いバクシンオー……悩んでいるのだね？ バクシンを信条とするゆえにダンスでもバクシンしてしまう、しかしそのスピードでは誰かをケガさせてしまうかもしれない、このチョコレートファウンテンに桜餅つけ込んだら美味しそうだな……」

「さ、流石はバクシン・シーン様……なんというご慧眼！ そうです！ 私は悩んでいるのです！ 私はみなの模範となり導く学級委員長、それはダンスでも同じこと！ しかし、この自己表現の場で私は速すぎるのです、これでは皆さんの模範になるどころか迷惑だけをかけてしまうだけ……。バクシン・シーン様！ 私は一体どうしたらいいのでしょうか！」
人には向き不向きがあると言われる中で、バクシンオーさんはどんなことにもチャレンジする人ですが、それ以上に誰かのためになりたいと思う方です。きっと自分が速いスピードで踊ってしまって誰かを転ばせてしまうかもしれないと遠慮してしまっていたのです。
「おぉ……バクシンオー……流石は全人類を導く驀進星に愛された驀進ウマ娘……優しすぎる……天使……だが、忘れてはいけないよバクシンオー……バクシン！ それは誰よりも前へ！ 誰かに合わせることではない……全ての者が君の背中を追うことなのだから……」

そうするとぺきっとバクシン・シーン様改めトレーナーさんは一瞬骨が折れたんじゃないかと思うほど下手くそに指を鳴らしました。そのあと十秒ほどして、こっそり私のトレーナーさんが演奏をしてくれている楽団の人たちへと耳打ちをしました。いや、何をやっているんですかトレーナーさん。
次の瞬間、ゆっくりとしたワルツのリズムは剣の舞もかくやというほどの速いテンポの音楽へと変わっていき、その音楽に包まれながらバクシンオーさんのトレーナーさんはバクシンオーさんの手を引きました。
「さぁ、バクシンオーよ、君が場を作るのだ！ 我の体のことは気にするな、加護がある！ シャルウィバクシン！」
「バクシン・シーン様……はい！ お相手させていただきます！ 行きますよー！ バクシンバクシーン！」
バクシンオーさんは花が咲いたように笑うと、トレーナーさんの手とあと加護という名の防刃チョッキを掴んで、早い速い音楽と共にグルグルと踊り始めました。あまりのスピードにトレーナーさん浮いてます。秒速何回転もかくやというほどです。サポーターとかチョッキマシマシじゃないと確実に骨が折れてます。

二人はまるで竜巻のようになってきて、近づいた瞬間吹き飛ばされそうで誰も近づけませんでしたが、その様子は笑い声と共にとても楽しそうで、その周囲では生徒会長さんが自身のトレーナーさんと共にルンバのように踊り始めると周りの皆さんも続いて、どんどん会場は賑やかになっていきました。
「にゃはは〜びっくりしたけど、というか恐怖したけど、私たちも踊ろっか」
「そ、そうですね！」
そうして私もスカイさんと飛んだり跳ねたりして踊って、賑やかなダンスはしばらく続いていきました。ブルボンさんはライスさんと一緒にもうロボットダンスでした。
汗をいっぱいかいてしまうぐらい踊った後、スカイさんと一緒に水分補給をしていると。インターバルのようにまた静かなワルツへと戻っているところへ、1200回転を超えたあたりでバテたバクシンオーさんから降ろされて隅で倒れていたアグネスデジタルさんと保健室に一緒に運ばれたトレーナーさんが元の姿で戻ってきました。
何ともないようにけろっとした……というか何を考えているかわからないほど無表情なので何もわかりませんが、とりあえず平気なようでバクシンオーさんの隣に立ちました。

「トレーナーさん！ なんと先ほどバクシン・シーン様が降臨されまして！ 私、久しぶりに思いっきり踊れました！ とても、とっても楽しかったです！ もうヘロヘロで、脚が上手く動きません！」
「そうか」
「それで、その……何と申しますか！ 気付いたのですが、この状態であれば、なんとこのリズムでも合わせることができそうなのです！ トレーナーさん踊りませんか！」
バクシンオーさんが元気に手を伸ばすと、トレーナーさんはそれに手を重ねて二人で歩いて行きました。バクシンオーさんはまだ疲れているのか、手を握ると、そのまま体を全て預けるように密着し、それを支えるようにトレーナーさんは腰に手を伸ばして二人で小さく揺れていきます。
でもそっと、隙間から見えるバクシンオーさんの顔はなんだかとっても、融けたような、静かに咲く花のようで、それを見て私は何だか、頬がかっかと熱くなってきて。
あぁ、お父さんお母さん、私はまだまだ大人には程遠いようです。あ、トレーナーさん達が転びました。

寒いので唐突にバクちゃんを書きたくなった反省はバクシン

こいついつも同期に頼ってるな…

バクシンの神ひさしぶりに見た

久しぶりに見たなバクシン・シーン…

この書き出しはまさかと思ったら久々のバクシン・シーン様ありがたい…

しれっと巻き込まれて竜巻トルネードされてる皇帝の右腕でダメだった

(デジたんは恐怖より前に尊みで気絶しているのでいない)

社交ダンスをしたらウマそうなのはこのペアエイシンフラッシュ&トレーナー

久しぶりにバクシン・シーン見た

フジキセキペアとかダンスうまそうだよな…

バクシン・シーン様いつもたすかる…この独特の距離感好きなんだよね

もうまともな目で見れないと思っていたフラトレが欠席なのは嬉しいやら寂しいやら

ｷﾀ━━━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━━━ !!!!!

ウワーッただの不審者！！！！

いつもそうだろうがっ！

ウワーッ！？

この不器用の極みのような男が踊れるのかと思ったら振り回されててダメだった

ゴルシとかああ見えてめちゃくちゃ上手に踊るしちゃんとアシストしてくれそう

不審者過ぎて変な声出た

タキオンは論外としてカフェが意外と踊れそうである

バクシン・シーン様のやつは珍しくスレ画のウマ娘でもスレ画のトレーナーでもない別のキャラが視点なのでそういったところでも楽しめる

ちゃっかりフラウンスしててありがたい

二人で互いにもたれ掛かってゆっくり踊る様が見えるようだ…

ここの委員長しっかり女の子してて好き

>もうまともな目で見れないと思っていたフラトレが欠席なのは嬉しいやら寂しいやら
演奏に耳打ちしてるからいるにはいる
まあフラワーと踊るには身長差的に難しいだろうけど

想像以上に不審者でダメだった

甘酸っぱいようでいて謎の味がする怪文書

バクシン神久しぶりに降臨なされた

フジキセキは当然としてオペラオーも踊れるだろうな…ドトウは転んで相手を押し潰してしまいそう

>ここの委員長しっかり女の子してて好き
しっかりいたせ

>甘酸っぱいようでいて謎の味がする怪文書
全てに置いてバクシンシーン様がイレギュラーすぎる…

ゲェーッ！あれはバクシンの神！
久々に見られて嬉しい

（よし…今日も上手く変装できたな！）

マヤもすぐコツを掴んで踊れそう

>しっかりいたせ
毎回最後の締めで女の子してるだろ！！！！
…いやこれ女の顔だわ

ｷﾀ━━━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━━━ !!!!!

>（よし…今日も上手く変装できたな！）
…ええ

>…いやこれ女の顔だわ
フラワーがツッコミを入れようとするとこの上なく不器用だけど自分のためにいつも頑張ってくれる男を想わない女がいますか？って目を向けてくる…

シーン様助かる

>想像以上に不審者でダメだった
タイヤタワーだったこともあった
不審者どころか不審物だ

どっかの絵描きみたいな見た目になってんのか

>>想像以上に不審者でダメだった
>タイヤタワーだったこともあった
>不審者どころか不審物だ
ワカメみたいなの纏ってたこともなかったか

バクシンシーン様なかなか無骨な感じでかっこいいな…

>全っっっっっっっ然違いました。何ですかバクシン・シーン様って、神様が踊ったらそれはもう社交ダンスじゃなくて神楽じゃないですか。
この辺の頭いい娘設定ちょくちょく拾ってるのすき

>1636990671017.png
この見た目なのに内心では不安がったりグッドコミュニケーションと思って小躍りしてるんだ…

>「おぉ、バクシンオー……私の可愛いバクシンオー……悩んでいるのだね？ バクシンを信条とするゆえにダンスでもバクシンしてしまう、しかしそのスピードでは誰かをケガさせてしまうかもしれない、このチョコレートファウンテンに桜餅つけ込んだら美味しそうだな……」
このへん毎回一字一句その通りなんだろうな…そりゃ惚れるわ

しかしバクちゃんがバテるまで振り回された後にダンスできるくらい元気って本当に人間なのか？

ログ消えちゃったから久々に見れて嬉しい……

>しかしバクちゃんがバテるまで振り回された後にダンスできるくらい元気って本当に人間なのか？
神だが？

バクシン・シーンシリーズの委員長ぶっちゃけ桜餅と同じくらい色っぽいと思ってる

上ような強面さなのにめっちゃ不器用ででも自分のために全力でボロボロのお守りとか作ってくれるトレーナー！どうです？

>しかしバクちゃんがバテるまで振り回された後にダンスできるくらい元気って本当に人間なのか？
本編でもバクちゃんと取っ組み合いをしてパワーを上げる人間だぞ

>1636990671017.png
力ちゃんとか堀内賢雄じゃんこんなの！

前の見ようと思ったら消えてる…
まとめほしい…

あとこの人見た目とは違って弱点やたら多いんだよな

>あとこの人見た目とは違って弱点やたら多いんだよな
ケーキより饅頭派だったりするしな

ダンスするだけあって人間の姿で現れてくれてよかったバクシン・シーン…

ｷﾀ━━━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━━━ !!!!!

>1636992138094.png
可愛いヒト…