(オペラオー、どうしたのだろうか) その日、オペラオーはどこか精彩を欠いていた。 自信に満ちた仰々しい振る舞いはいつも通りだが、時折何かを気にするような素振りを見せる。 「……トレーナー君、失礼する」 疑問を抱いていたトレーナーの部屋を、そのオペラオーが訪ねてきた。 「キミに折り入ってお願いしたい事があるんだ」 厳粛な雰囲気に思わずトレーナーは居住まいをただす。 「……これを見てほしい」 オペラオーはジャージのファスナーをおろし脱ぎ捨て、体操服をまくりあげた。 「!? お、おい!……えっ?」 突然の事に動揺したトレーナーだが、さらに驚くことがあり絶句した。 オペラオーの身につけていた、白い絹をベースに薄紅色のユリが刺繍されたブラ。オペラオーの控えめではあるが女性らしい丸みを帯びた胸を包むその布から、母乳が滴っていた。 ――――甘ったるいミルクの香りが辺りを漂う。 「ホルモンバランスの乱れによる母乳の分泌か」 その現象を知識としては知っていても、いざ自分の愛バに現れるとなると流石に動揺する。 「それでキミに、どうか搾ってほしいんだ」 「…………………ん?まてまてまてまてなんでそうなる!!」 (年頃の女の子の胸を触る時点でアウトだろうに、あまつさえ搾るなんてまずいだろう!) トレーナーは本気でうろたえている。 「同じ現象になったドト、その、他のウマ娘がトレーナーに搾ってもらったら一晩で症状が治まったんだ」 「マジかよ……」 「一度自分で搾ってみようとはしたんだが、その、途中で力が抜けて……」 普段のオペラオーには見られないはっきりとしない物言い。それだけ深刻な状況ということなのだろう。 「……分かった、協力する」 共に歩むトレーナーとして、自分を頼る愛バの願いはかなえなければならない。そう決意した。 「ありがとうトレーナー君……!!」 決してこの部屋を漂う甘い匂いや上半身にブラしかつけていない愛バの姿に、判断が鈍ったわけではない。 「それじゃあ外すぞ……」 「うん、よろしく」 オペラオーをパイプ椅子に座らせ、その後ろに位置取りブラのホックを外す。母乳による確かな湿り気を感じつつ、肩ひもをずらし腕を通していく。 否応なしに彼女の鎖骨から胸のふくらみ、その淡いピンクの頂きからしたたる様が目に入る。 (落ち着け落ち着け落ち着けこれは愛バへのケアだ治まれ治まれ治まれわが愚息!!) 「……搾るよ」 「うん。……んんっ!」 「い、痛かったか!?」 「大丈夫、すまない、すこしばかりびっくりしただけさ……!」 「分かった……痛かったら止めてくれ」 気を取り直してオペラオーの胸を下から掴む。手に収まるほど良い大きさの胸は、しっかりとしたハリがあり手にみずみずしい感触を伝える。 「ふっ、ん……はぁ、んんっ!」 悩ましい、熱のこもった声。覇王という称号とはとても不似合いなほっそりとした首筋。いつも入っているお風呂によるものだろうバラの香りと、女の子特有の香り。 搾れば搾るほど濃くなる甘いミルクの香り。そして彼女の身体をしたたりタオルへと流れる母乳。正直自分の精神力がどんどん削られていくようだ。 ――――――――ゴクリっ 飲んだ唾が思いの外大きな音を立ててしまった。 オペラオーが振り返り、目が合う。 (気まずい……) 「……もしよければ、直接吸ってみるかい?」 本来なら『いや、駄目だよ!』と言うべきところだろう。しかし、 「ああ……」 溶け始めた思考はその禁断の果実にあらがう術を持たなかった。 「ど、どうかな?ボク自身の味は?」 自分の胸に吸い付く、トレーナーの髪を優しく撫でながら問いかけるオペラオー。 「甘くて、おいしい……。いつまでも飲んでいたいくらいだ」 「そうだろう、流石はボク、っん、ダメ、トレーナー君、吸うの強ぃ……♥」 オペラオーの乳首からしたたる蜜を吸いつつ、半ば無意識に胸を揉み舌でころがす。 「やっ、トレーナー君、トレーナー君っ……♥」 「ダメだったら、っう、やっ♥、ダメっ♥」 (オペラオー……オペラオー!) 相乗し合うかのようにオペラオーの悶える様に掻き立てられトレーナーの攻めが激しくなる。そして遂に――― 「ひっ♥、あっ、あっ♥、うんぅぅぅぅぅぅ!!」 ひと際強いけいれんと共に大量の母乳を溢れ出しオペラオーは果てた。 (やっちまった……) 母乳が止まり、しばらくしてトレーナーは正気に戻った。目の前には椅子にくたりともたれるわが愛バ。 「あー♥、ふぅー、うぅ♥」 「……オペラオー?オペラオー?」 恐る恐る声をかける。 「とれーなーくん……」 「……大丈夫か?お、おい!」 よろよろとしつつ立ち上がるオペラオーに動揺するトレーナー。 「トレーナーくん、もう一つおねがいがあるんだ」 オペラオーは体操服の短パンをするりと脱ぐ。そこには、 「今度はこっちをキミにしずめてほしいんだ」 ぐずぐずに濡れ、淡く生える栗色の恥毛すら透けて見えるショーツがあった。 一度溶け落ちた思考はもう戻らなかった。 俺はオペラオーを一心に喰らい、オペラオーもまた俺にしがみつき背中に爪を立てた。ドロドロに溶け合い、一組のつがいはお互いに少しでも多くの痕を残したいかの様に貪り合った。 オペラオーのこぼれ出る声に、涙に、涎に当てられ何度も俺の熱を注ぎ込み、そのたびにオペラオーは高みに至る。 どれだけの時間が過ぎたか、漸く落ち着きを取り戻した二人は、改めてお互いの思いを確認し。今までよりも深い意味でパートナーとなった。 そんな結末を迎えた次の日―――― 「やあおはよう!」 「おはようございますぅ……あれ?」 オペラオーに朝の挨拶を返したドトウは、いつもとの差異に気づいた。 「素敵なスカーフですね……」 「ありがとう!」 オペラオーの首に巻かれたスカーフ。その下には先日トレーナーにつけられた沢山のキスマークが残っていた。ただ隠すのではなく、己を飾り立てる一環にする当たり、まさにオペラオーといった所か。 ただし、あえてキスマークを隠したのは羞恥ゆえではなかった。 (キスマークはマーキングの証) (ボクはボクのすべてに誇りを持って全てをさらけ出している) (そんなボクが、彼との特別な証をあえて隠してるなんて、誰も思わないだろうね……♪) 最愛のトレーナーしか把握していない自分の姿。自分しか把握していない最愛のトレーナーの姿。 そんな、二人だけの特別な関係に胸を躍らせつつ、今日もまた覇王は高らかに歌い歩み始める。愛する伴侶と手を携えながら。 ――覇王の快進撃はまだまだ止まる事はないだろう。