「なるほど…聞いたことはありましたが、本当なんですね」
「俺は好きだったんだけどね…でも、相手がどう思ってたのか確かめられなかったから…俺には分からない」
「そう…ですか」
「彼女って呼べるか分からないけど、今話したのが最初で最後だよ」

分かっていた、彼に恋愛経験があるなんて、年齢を考えれば無い方が珍しい…全部過去形と分かっていても、やはり淡い期待をしていた分、少し悔しい。
しかし恋愛経験ぐらいがあるとは思っていたとはいえ、自分が住んでいる国とは違う、付き合いの境界線が曖昧な異国の恋愛をしていたとは予想外だった。

「もし良ければ…どんなお方だったとか教えてもらえませんか」
「…あんまりいい話にはならないけど、聞きたい？」
「はい、ぜひ聞かせてください」
「…うん、そうだな…すごく優秀なトレーナーだったけど、素行がそれ以上に悪かった。簡単に言えばそんなウマ娘だった」
「海外から来たトレーナーでウマ娘なんて珍しい…というかよく素行悪いのにアプローチしましたね」
「まあ…一目惚れってやつだよ、それに若かったから行動力もあったし…でも最初は話しかけても暴言吐かれて終わりだったな…」
「一目惚れ…そうなんですね」

外はもう真っ暗になっていて、少し気温も下がってきた。
私は質問をしたつもりが、いつの間にか彼は対面のソファに座ってかつて思いを寄せていたウマ娘について語り始めました。

半年経ってやっと会話してもらえたとか、見た目は怖いけど中身は芯が通っていてかっこいいだとか、何度か自室のドアを蹴られて壊されたことがあるだとか……私は一体何を聞かされているんでしょうか。
そしてかれこれ思い出を語り始めて一時間程が経った頃、流石にそろそろ聞き手でいるのも疲れたと思った矢先、誰かが私の横を通り、呆れた顔で彼の横に座りました。
黒い長い髪に鋭い目つき、でもどこか顔立ちも私と似ていて、先ほど見た感じ身長は私とほぼ同じ…前髪の流星が無ければドッペルゲンガーを疑う所です。
しかし…偶にトレーナー室で見かけるこのウマ娘は誰なんでしょう…彼が何の反応もなく話し続けている辺り、私のお友達と同じなはずなんですが…
…もしかして

「…それでさ、運転免許持ってないって言うから毎回俺が運転してて…」
「トレーナーさん」
「…どうした」
「その…気になったんですけど、その彼女は今…何をなさっているんでしょうか」

…予想はおおかた合っている…と言った所でしょうか。申し訳ないと思いつつ、私が質問すると彼は黙り込んでしまい、先程の和やかな雰囲気とは打って変わって暗い雰囲気になってしまった。
そして彼の隣に居る元彼女さんはというと、相変わらず足を組んで座っている。

「…ごめんなさい、やっぱり何でもないです。それより…そろそろ門限の時間なんですが…」
「…そうか…というかもうこんな時間だったのか…ごめん、長い時間引き止めちゃって」
「いえ、またお話聞かせてください」

時計を見ればもう時刻は午後九時になろうとしている。
自分からこの状況を作り出しておいて逃げるなんて卑怯だなとは思う…でも私は耐えきれなかった、逃げ出してしまった…それが、今の私だった。

「また話すかは分からないけどね…」
「ふふっ…あんなに思い出を語るなんて…今でも彼女が大好きなんですか？」
「…まあそうだけど、そんな言い方は照れるからやめてくれないかな…」
「じゃあ…また今度から気を付けますね。それでは、また明日」
「うん、また明日」

そう言って彼とトレーナー室のドアの前で別れの言葉を告げる。いつも通り、やっぱり少し寂しさを感じてしまう。
…本当に私はいつからこんなに卑怯になったんでしょうか。顔と体格が似ている、ただそれだけ…でも、試すぐらいなら自由ですよね…

そう…本当に試すだけですから、そんなに睨まないでください、元彼女さん。

余談ですがこのトレーナーさんは英語がそれなりに出来る顔と頭が良いだけの人です

コワー...

>英語がそれなりに出来る顔と頭が良いだけの人
十分すぎる…

SSの亡霊か…いや生霊か？

SSさんだと霊体でも殺しにきそうでこえーよ…

亡くなってるから一応亡霊じゃないかな…

トレーナーは彼女だったか分からなかったと話しているけど彼女さんはそうは思ってないみたいね…
ほら今でもすぐ近くにいるじゃん

>トレーナーは彼女だったか分からなかったと話しているけど彼女さんはそうは思ってないみたいね…
>ほら今でもすぐ近くにいるじゃん
トレーナーさんはクソボケなのでそういう事です

たまにトレーナーさんのタバコが2本か3本いつの間にか無くなるなんて事がありそう

いい…

確かにSSは愛情表現しなさそうではある

SSさんかなり愛が重い方だと思う

トレーナーの方も結構重くないか？

SSが免許持ってないのは過去の事もあるんだろうな

生霊だったら意識不明の重体でも起き上がって誰の男か教えに来そうなレベル

カフェ愛人ぽいの本当似合うな…

公共交通機関ほぼ無理だから移動は最終的にトレーナーさん頼りっきりになるの良いよね…

>半年経ってやっと会話してもらえた
よく半年も暴言に耐えたな…

SSさんは一途な愛情に飢えてそうだしな…

>SSさんは一途な愛情に飢えてそうだしな…
誰よりも愛に飢えてて
誰よりも愛が怖い
SSはそんな感じだと思う

>SSさんは一途な愛情に飢えてそうだしな…
愛に飢えた者に一目惚れというストレートな愛をぶつける…素晴らしいですっ！

いつでも探しているよどっかに君の姿を

地味にカフェ一時間ぐらい惚気話聞かされてるの面白いな

NTRじゃねぇか〜！

>NTRじゃねぇか〜！
寝てから…言ってください…ふふっ

実は死んでいるのはトレーナーの方だったりして

>実は死んでいるのはトレーナーの方だったりして
怖いよ！

確信を持った後に元彼女さんって呼び出すの絶対に負けねぇぞって闘争心感じていい…