『うん!トレーナーさんはねすっごい優しくてカッコイイ人なんだ!』 『それでね……え?こっちに来る!?ホントに!?いつ来るの!?……来週ね!』 『お母さんたちだけ来るの?……おばあちゃんや親戚も一緒に!?』 『予定はもう組んだから大丈夫?それじゃあ結構前から考えていたんだね』 『うんうん!私もトレーナーさんも会いたがっていたし丁度いいね!』 『場所は?前来たときに行ったところ?それとも……え、京都?なんでそこ……あっ!』 『もしかして私のレースも一緒に見に来てくれるの!?だからみんなで来るんだね!』 『うわー……これはプレッシャーあるなぁ……だってみんなの前で走るのなんて何年ぶりかなー』 『でも大丈夫!だって私にはトレーナーさんがいるからね!うん!頑張るよー!』 『それじゃあ来週ね!うん!じゃあねー!』……ふぅ、あ、トレーナーさん! ごめんねミーティング中に電話来ちゃったから会議止めちゃって……別に問題ない?ありがとー さっきの電話?うん、故郷のお母さんからの電話だよ、来週来るんだって、こっちに うん、なんでもこっちに用事があるついでに私達に会いに来るって言ってた! それに来週のレースも見るって言ってたから恥ずかしいところ見せられないよね! あっ!それにお母さんね、トレーナーさんの顔を見たいって言ってたから一緒に行かない? なんかね、私がお母さんにトレーナーさんのこと話したら興味を持ったらしくてね それでお母さんが親戚やら知り合いやらに話して……って感じでトレーナーさんに会ってみたいんだって どれぐらい来るか?うーん、多分私の家族と親戚と古くからの知り合いで十数人ぐらいかな? 大丈夫だよトレーナーさん!みんな優しいんだよ!親戚もみーんな良い人ばっかり! それにイギリスの知り合いも昔私に優しくしてくれたから悪い人たちじゃないから安心して! うん!そのためにも来週のレース、勝たなきゃね!「エリザベス女王杯」!! 【イギリス王室とアイルランド公爵家が来日、日英愛三ヶ国で講談か】 昨日、イギリス王室の○○二世やアイルランド公爵家の△△公爵が共に日本へ訪問された。 来日理由は今週行われる「エリザベス女王杯」の天覧されるということ。 「エリザベス女王杯」は元々エリザベス二世が来日されたことを記念にして作られたG1である。 しかしこれまでは開催されても天覧しに訪問することはなかったために今回は異例となる。 しかもイギリス王室のみならずアイルランドの公爵家が一緒に来日されるなど前代未聞の衝撃だ。 イギリス王室直属のメディアとアイルランドの公報は天覧と講談目的で来たと発表しているが詳細は不明。 日本政府はこれを機に日英愛三ヶ国で親密になることを狙いとしている模様。 ⏰ 「4コーナー回って外からファインモーションが2番手から先頭に接近してきて……変わった!」 「さぁ直線先頭に立ったのはファインモーション!他も接近しておりますがファインモーション突き放す!」 「速い速い!1バ身、2バ身突き放して他のウマ娘を置き去りにした!最早ファインモーションの独走だ!」 「残り100M!50M!圧巻の走りだファインモーション!そして今ゴールイン!」 「勝ったのはファインモーション!栄誉を掴んだのはファインモーションだ!」 「トリプルティアラはここでもやっぱり強かった!他を寄せ付けぬ見事な走りでした!2着には……」 やっ……たー!!トレーナーさん!トレーナーさん!私、勝ったよ!勝ったんだよー!! うん!トレーナーさんがずっと応援してくれたおかげで私気持ちよく走れたんだよ! えへへ……こうやってトレーナーさんに撫でられるの私大好きなんだぁ……んふー♪ あっそうだ!お母さんたちが来てるから手振らなきゃね!えーと確か……あ!あそこだ!おーい! ほらトレーナーさんも手を振ってあげて!どこにってあそこ!上!建物の上の方に手を振ってる人いるでしょ? あそこに私のお母さんとお父さんとおばあちゃんと親戚と……ん~?あっおばあちゃんの友達も見に来てる! うん、おばあちゃんの友達も見に来るって昨日言ってたから多分その人達だと思うよー うーん名残惜しいけどそろそろインタビューに行かなきゃ……ってあれ?『ボンドさん?どうしたの?』 『インタビューが終わったらお母さんたちと会いに来て欲しい?トレーナーさんも一緒に?分かった!』 『うん!伝えてくれてありがとうね!』……っとお待たせトレーナーさん!え?今の人? おばあちゃんのボディーガードさんだよ!ボンドさんって言うんだ!顔は怖いけどとっても優しいんだー で、そのボンドさんから伝言でインタビューの後お母さんたちのところに来て欲しいって! 多分だけど寧ろ私よりトレーナーさんに会いたいんじゃないかなーって、予想だけどねー おっとっとそれじゃあ早めにインタビュー終わらせないとね!……お待たせしましたー!    ⏰    ふーインタビュー終わりっと!それじゃあお母さんたちのところに行こっか!……あっボンドさん! 『もしかしてインタビュー終わるまで待っててくれたの?ごめんね待たせちゃって』 『あっ案内も兼ねてたんだ、それじゃあお願いしまーす!』トレーナーさーん!こっちだってー! それにしてもトレーナーさんに会いたいってお母さんたち何考えてるんだろう……『ボンドさん何か知ってる?』 『……えっ!?』あっ……ごめんトレーナーさんちょっとビックリしちゃって…… 『ど、どういうことなの!?私とトレーナーさんがつ、付き合ってるって!?』 『ち、違う違う!そんなんじゃないって!それに私まだ……あっ……違うんだよボンドさん!』 『え、えっと、その、ね……わ、私はそうなったらいいなーって思ってるだけでまだそんな……』 『と、とにかく私とトレーナーさんはまだそんな関係じゃないからねっ!……もしかしてこのために呼ばれたの?』 『うー……お母さんたちならまだしもおばあちゃんとおばあちゃんの友達にまでその話で持ち切りだなんて……』 と、トレーナーさん!あのね、これからお母さんたちから色々質問されると思うけど……断ってもいいからね! もしかしたらプライベートな質問もされるかもしれないから答えたくなかったら答えなくていいからね! うん!大丈夫!トレーナーさんは私が守るからねっ!……ってもう着いたの!?待って、心の準備が……! 深呼吸?そ、そうだね!スーハー……スーハー……よし、落ち着いた……それじゃあ入るよトレーナーさん? コンコン  ……失礼しまーす ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ トレーナー視点 自分はファインモーションのトレーナーである 彼女のトレーナーになったのははファインを支えてあげたいというのがきっかけだ アイルランドから留学ということ+世間知らずという点もあって彼女は何かと危なっかしかった だからこそ自分がファインを支えなければと思いスカウト……そして即OKを貰った 自分で言うのもなんだが騙されてるかもという危機感は彼女にはないのだろうか……? まぁ、ファインを騙す気なんてこちらには微塵もないが   ⏰   エリザベス女王杯当日、ファインはいつもより緊張しているのが目に見えて分かった 「落ち着いて……落ち着いて……スゥー……ハァー……」 ファインが言うにはこのレースをファインのご家族が見ているから一層緊張しているとのこと ……確かに今日のエリザベス女王杯は何かと異例尽くしだ イギリスから王室が、アイルランドから公爵家が、そして日本から皇室が天覧という……明らかに異常だ アイルランドと言えばファインはアイルランドからの留学生だ、何故か王族なのではという噂もあるが…… 確かにファインは立ち振る舞いは上品で世間知らずと言う点から見て上流階級のお嬢様なのではという予測はつく しかしそれが王族と結びつくかは甚だ疑問だ、それなら自分みたいな一般トレーナーがつくはずもないだろう? しかし……どうしたものかな、いつもならファインは自分にハグをしてきて緊張をほぐすのだが…… 今回はその余裕すらなさそうだ……だったらこっちからハグをしてみようか……セクハラじゃないよな? 「……ふぇっ?!と、とととトレーナーさん!?」 大丈夫かファイン?ゆっくり……ゆっくりと呼吸をするんだ…… それでも落ち着かないなら俺の心音を聞きながら深呼吸だ、他人の心音はリラックス効果があるらしいからな 「う、ううううん!……スゥー……ハァー……スゥー……ハァー」 うん、そのままゆっくりと……そうそう、良い調子だよファイン…… 「スゥー…………ハァー…………ふぅ、ありがとうトレーナーさん、やっと落ち着けたよ」 よし、いつものファインに戻ったな 「うん……お母さんたちが見に来てると思ったらいつも以上に緊張しちゃって……」 「でももう大丈夫だよ!トレーナーさんがは、ハグしてくれたからね!」 それなら良かった、俺はファインが明るくて元気なのが一番好きだからな 「っ!……トレーナーさん、私を口説いてどうするつもりですか……?」 口説いてなんかいないよ、ただ俺が思ったことをそのまま言っただけだからな 「…………そういうところ、だよ」 ?、何か言ったか 「ううん何でもないよ!よし!それじゃあ走ってくるね!お母さんたちに勝利を見せるんだ!」 あぁ、行ってらっしゃい …………少しキザっぽくなってしまったかな?だけどさっきのは自分の本心に変わりはない それに、今のファインなら大丈夫だ……きっと、じゃない、絶対に勝てる ⏰   『勝ったのはファインモーション!栄誉を掴んだのはファインモーションだ!』 よしっと小さくガッツポーズをする、蓋を開ければファインの圧勝だった 「やっ……たー!!トレーナーさん!トレーナーさん!私、勝ったよ!勝ったんだよー!!」 勝った嬉しさからか抱き着いてくるファイン、これは褒めなければと頭を撫でる 「えへへ……こうやってトレーナーさんに撫でられるの私大好きなんだぁ……んふー♪」 耳をピコピコしながらこちらを見てくるファイン、正直言って滅茶苦茶に可愛い 「あっそうだ!お母さんたちが来てるから手振らなきゃね!えーと確か……あ!あそこだ!おーい!」 そういえばファインのご家族が見に来てると言ってたな、しかしどこにいるんだろうか 建物の上の方らしいが……正直ここから見ても分からないのが現実だ、ファインは分かるらしいが やはりファインのご家族ということもあって招待席とかにいるんだろうか、うーむ分からん そしてファインが言うにはご家族以外にもその友人も一緒に見に来ているらしい、仲が良くてなによりだ さて、そろそろインタビューの時間だが……あれ?ファインの隣にいる人はどなただろうか あっどうやら話し終えたようだ……ファイン?今の人は?……成る程、ボンドさんと言うのか それに伝言?……ふむふむ、インタビュー後にファインのご家族のところへ行くんだね?分かった   ⏰   ファインのインタビューが終わってすぐに先ほどのボンドさんに呼び止められた どうやらボンドさんが部屋まで案内してくれるそうだ……流石と言うべきか しかし自分が行っても良いのだろうかという不安はある、家族水入らずのがファインにとっても嬉しいのではないのか? だがファインが言うにはファインのご家族は自分に興味があるらしいが……至って普通のトレーナーなのだが それに何か会話してるファインの顔が先ほどから忙しくなっている……驚いたり赤くなったり表情が豊かだ おっ、どうやら着いたみたいだ、この扉の向こうにファインのご家族たちがいらっしゃるのか 「と、トレーナーさん!あのね、これからお母さんたちから色々質問されると思うけど……断ってもいいからね!」 「もしかしたらプライベートな質問もされるかもしれないから答えたくなかったら答えなくていいからね!」 入る前に何故かファインから念入りに忠告をされた、何をそんなに焦っているのだろうか 質問されたぐらいで死にはしないよファイン、落ち着いて落ち着いて よし、ファインのトレーナーとしてしっかりと挨拶をしなければな コンコン ……失礼いたします     数秒前の私よ、私は今日死ぬかもしれない