お互い同じ席に座って、同じハンバーグ定食に箸を進めている。まさか昼食を共にする間柄とは思わなかった二人は、どうにも好奇心が湧いてきて都合よく空いていた植物で隠れてトレーナー達からは見えない隣のテーブルに座ると聞き耳を立ててみた。
ウマ娘の耳は大きく自由が利くので、ピンと伸ばせばにぎわっているカフェテリアの中でもはっきりと聞きなれている男性の声を聴き分けることは容易である。
「ハンバーグ、気に入りましたか」
と言ったのはエイシンフラッシュのトレーナーだった。スマートファルコンのトレーナーとは先輩後輩の間柄なので、律義に敬語を使っている。
「お前が食えとうるさいから」
ため息交じりに答えたのはスマートファルコンのトレーナーだった。これが初めてではないような物言いである。
「貴方がいつまでも迷うから。でも美味いでしょ？ そうそう肉料理といえば、この前フラッシュがSchnitzelというやつを作ってくれましてね、あれは美味かった」
「しゅに……？」
顔を傾げながらそう言ったのは、スマートファルコンとトレーナー同時だった。

「薄くたたいた子牛肉を揚げた物です。こちらで言えばトンカツのようなものでしょうか」
エイシンフラッシュとトレーナーが同じことを同時に返した。
「担当バに料理を作らせるとは、羨ましいことだ」
「羨ましいなら、先輩もファルコンに作ってもらえばいいんです。料理できそうじゃないですか」
「字面通りに受け取るな。日々練習に忙しい彼女たちに負担をかけるなと言っている」
「分かってますよ、でもフラッシュの好意を無駄にするわけには行かないでしょう。貴方もそんなこと言いながら、いざというと断れない人の癖に」
「……好意を無下にするわけにはいかんだろう」
「ほほう☆」
スマートファルコンがいいことを聞いたと耳をぴくぴくと動かした。
そのトレーナーは咳払いすると、このままでは形勢が悪いとハンバーグを切り分けながら違う説教に移ったようだ。
「そもそも、休日は暇さえあればエイシンフラッシュと出かけていると聞く。トレーナーとしてはいかがなものなんだそれは」

「フラッシュとのデートは最高ですよ。きっちり予定が組み込まれていて、時間ギリギリまで楽しませてくれるし、予定と違ってもそれはそれで楽しい。学生なので、帰り際にこの後も一緒になんて言葉を飲み込まなきゃいけないのが、辛くて辛くて」
折角人が言葉を濁しているのに、それ以上の事をつらつらと喋るフラッシュのトレーナーに思わず先輩とその担当バは言葉を失ったようだった。フラッシュだけが面はゆさにゆらゆらと尻尾を揺らしていた。
「まさかとは思うが」
「失礼ですね、俺にも分別はあります。そうなろうとしても、いずれ、と言って抑えていますよお互いに」
また唖然とする相手に、トレーナーはくく、と喉の奥で笑った。
「ふ、フラッシュさん、進んでるんだね……」
「も、もう席を移動しませんか」
いよいよ、フラッシュは頬を真っ赤に染めていた。
「そう言えば、見ましたよ。この前のスマートファルコンの野外ライブ映像、あんなにしつこく推すものだから」
次はフラッシュのトレーナーの方から話題を変えた。これにはフラッシュは助かった思いだ、これ以上目の前の友人の視線に耐えられそうになかった。
「そうか！ ……そうか、どうだった？」

やっと初めてファルコンのトレーナーの口から上機嫌な声色が出た。辛うじて、すぐにいつもの調子に抑えたが、それでも相手の誉め言葉を期待しているようだった。
「流石に見事ですね。ダンスと歌の表現は手放しで拍手を送れます。フラッシュはまだそこら辺が固いですから勉強になりました」
「そうか、そうだろう。他には？」
「え、それが総評のつもりだったんですが」
「もっとあるだろう。笑顔を見たら元気になったとか、ファンサが抜群に素敵だったとか、心打たれたとか。もっとあるだろう、語彙に富んでるのは他人を口説くときだけか」
フラッシュのトレーナーは思わず出てくる笑いを堪えなければならなかった。バカにしてるのではなく、嬉しくなったからだ。どんな人間にも可愛らしい所が一つや二つあるが、みるところ岩のように堅物の先輩の唯一の可愛らしさがこれだった。担当のウマ娘にさえ堅ければもう救いようがない。
「大好きなんですなぁ、ファルコンのことが」
「当たり前だ、好きにならないはずがない。そういう素敵な子だ」

この言葉に大変動揺したのが、もちろんとなりで聞いている担当だった。耳をしなしなと折って手で顔を塞げば、次にはウマドルらしい笑顔を作って何ともない風な顔を見せる、と思えばやはり同じように顔を覆って頬を赤くする。あまりにも壊れた時計の秒針のように同じ行動を繰り返すので、さしもフラッシュも心配になってきた。
「だから支えたくなるんだ。輝かせたくなる、良かったら違うCDも貸してやる」
「先輩は可愛いなぁ」
後輩はつい、真面目に先輩の顔を見た。
「な、何を言う」
ファルコンのトレーナーは慌てて顔を撫でた。そして誤魔化すように、携帯を取り出すと耳元にやった。
「誰にかけてるんです？」
「ファル子にだ。そういえば、午後の練習コースが整備で使えなくなったことを伝えるのを忘れていた」
「えっ」
「へっ」

まずいと思ったのは、隣のテーブルのウマ娘たちである。慌ててどうにかしようとするが、流石にウマ娘といえど電波よりは先に動けず、ファル子自身の持ち歌着信音が鳴り響いてしまった。
「おや」
と、覗いたトレーナーと顔だけでも隠そうとしたフラッシュの目が合った。
「いかん」
と、ふと腰を上げたトレーナーと慌てて撤退しようとしたファルコンの顔があった。
五分もないお昼時の出来事だった。

自分のいない所で自分の事を話すトレーナーを見たウマ娘学会の者でした

トレーナーもキャラが立ってていいね！
この後四人の関係は…

私
性
合

フラトレの言動が色男のそれすぎる…

フラトレお前本当に日本人か…？

むっこの一見堅物だけどめっちゃ情熱注いでるファルトレいいねぇ…

こういうの好き...

いいよね…こういうの

この伊達男ちょっと対人能力が強すぎませんか

この二人のトレーナーのコンビはある一定の層のウマ娘とかから人気がありそう薔薇が咲き誇る的な…

絶対にアルマーニのスーツでキメてるやつだろ…

熱い本音を聞かされたファル子とトレーナーのその後が見たくなるな

しゃい☆

ここまでのイベントがあれば流石のファル子とにぶトレーナーも進展するか…？

>絶対にアルマーニのスーツでキメてるやつだろ…
フラッシュとの付き合いを始めてからはヒューゴボスに鞍替えしてそう

フラッシュもトレーナーもすでにそういう仲か…

フラッシュがかかり気味になると優しく静めていずれ…とか言っちゃうんだ…

>しゃい☆
こんなに気恥ずかしそうなしゃい☆初めて見た

こんなの聞いたらフラッシュ暫くトレーナーの顔見れないんじゃ

こんな会話が毎日行われてるとかトレセンは凄い世界だな…

これが中央のトレーナーか

少なくとも片方は大分どころかとんでもなく特異例だと思うぜぇ！！

>こんなの聞いたらフラッシュ暫くトレーナーの顔見れないんじゃ
こんなタラシなら君の綺麗な目を伏せられたら悲しくなるのでこっちを見てくれないか？とか言って口説く材料に変えるだろうし…

>>こんなの聞いたらフラッシュ暫くトレーナーの顔見れないんじゃ
>こんなタラシなら君の綺麗な目を伏せられたら悲しくなるのでこっちを見てくれないか？とか言って口説く材料に変えるだろうし…
そういう事やってっから掛かるんだろうがよぉ！！
でもまあ最後にはちゃんと全部の責任取りそうだからいっか！

ウマドル大好き全力サポート堅物一番のファンいいね…
そのイメージでライブのコール大声でやってるの想像してちょっと笑っちゃったけど

「この人も自分と同じく男女の仲になりたいと思ってる」って言質を得るけど我慢するエイシンフラッシュ
いいよね

フラトレは思春期の女の子に対して毒すぎる

>ウマドル大好き全力サポート堅物一番のファンいいね…
>そのイメージでライブのコール大声でやってるの想像してちょっと笑っちゃったけど
>先輩は可愛いなぁ

にぶトレから堅物仏頂面イケメンの気配がする…

色男で人たらしでいざという時は頼れるとかどこかのギャルゲーの方ですか？

にぶいというより堅い…

>色男で人たらしでいざという時は頼れるとかどこかのギャルゲーの方ですか？
トレーナー概ねこんなやつばかりだわ

マジでファル子のこと大好きなんだろうな…
男としては意識しないように頑張ってそう

フラッシュからすればこんな色男が一目惚れしたって自分に一途に夢中になってくれているんだよな…

お互いガード固いせいでにぶにぶしてる奴じゃん…

ウマドルだからとライン引くファル子
そもそも教え子だからとライン引くトレーナー
つまり挟み撃ちの形になるな…

>ウマドルだからとライン引くファル子
>そもそも教え子だからとライン引くトレーナー
>つまり挟み撃ちの形になるな…
物凄い斥力が働いてるようなんですが…

>物凄い斥力が働いてるようなんですが…
そこに人たらしのかわいい後輩がヌルッと入ってくるってわけよ

こいつらどうしてうまぴょいしないんだ…？

>こいつらどうしてうまぴょいしないんだ…？
未成年相手は犯罪だしそうなればお互い傷付くんだ

してても黙ってるだろうさ！

ベースは沖トレと南坂トレっぽいけどさらに武骨&エレガントにしたイメージが目に浮かんだ