「動かないで。アタシはウマ娘よ」 それは絶望的な囁きだった── 代わり映えしない朝、平凡な出勤、見慣れた到着時刻。 今日も退屈な一日が始まる……あくびを噛み殺しもせず、それでも男は給料を貰うべく電車に乗り込む。 乗客で押し合いへし合い、すし詰めになるのも毎日の事。苦しいが今更堪えたりはしない。 スマホをいじる空間さえ確保出来なかったため、窓の外でも眺めていようかと思った時── 「っ!?」 尻を、触られている。 しかし満員電車の中では、意図せず他人の身体を触ってしまう事はよくある。慌てず尻を避けようとしたが。 「……!」 違う。明らかに手は尻を追いかけてきている。痴漢……いや、無理矢理感じさせられる手と指の大きさから、恐らくは痴女。 男でも女でもたまったものではない。何とかして逃れなくては。 周囲の迷惑も顧みず、停車と同時に飛び出そうとした男は、驚きと恐怖で動けなくなる被害者が多い中で、勇気があると言えた。 しかし、その行動は実を結びはしない。 「動かないで。アタシはウマ娘よ」 それは絶望的な囁きだった── 一般的ウマ娘の腕力は成人男性の三倍。相手の機嫌を害すれば、怪我をさせられるでは済まない……! 冷や汗が流れ、逃げ出そうとする動きが止まる。万が一上手く車外に行けたとしても、追い掛けられたら助からない。 状況は、詰んでいた。 「話が早いわね……そうよ、じっとしてなさい」 今も背後から人の尻をまさぐる変態でなければ、聞き惚れるような美しい声だった。 尻の形を確かめるように、ゆっくりと掌を滑らせ、僅かに指を食い込ませては弾力を楽しんでいる変態でなければ。 抵抗しないと見るや、長く楽しむ触り方に移行したと考えられた……こんな事を考えたくはなかった。 「ン……いいお尻じゃない。張りがあって、キュッと締まってる」 つ、つ、と指の一本一本を尻に這わせてくる。どこで呼吸を読まれたのか、苦痛や嫌悪感が高まってくると、手の動きが優しくなるのだ。 優しくするならもう止めて欲しかったが……っ!! 「派手に動くと、見られちゃうわよ……大人しくしてなさい」 尻の谷間を、指で擦られている。ご機嫌を伺うような緩やかな動きは、却って汚辱を意識させられる。 腰を前に突き出して、逃れる訳にもいかない。前にも乗客がいる……歯を食い縛って、耐えるしかなかった。 一秒でも早く終る事を祈り、目を瞑って痴女のしたいようにさせる。 言いなりになれば、怪我はさせられずに済むと信じて。だからその感触は不意打ちだった。 「はぁぁ……♥ アンタばっかり触られるのも、不公平よね……♥」 背中に量感のある、柔らかいものが押し付けられた。確かめるまでもなく痴女の乳房だろう……これ程の!? 自分のスーツと女の服が隔てているにも関わらず、明らかに大きい。潰れて形を変えているのが分かってしまう。 これはまずい。只でさえ……只でさえ見目麗しい事間違いないウマ娘に襲われているというのに! 「あは♥ アンタ、アタシに襲われて硬くしちゃったんだ♥ これってもう合意よね……♥」 見られた──! 尻を揉む手はそのままに、こちらの股間を覗き込む痴女。 艷やかに長いツインテール、形が良く興奮に揺れる耳。痴女でなければ恋に堕ちてしまいそうな姿だったが、痴女にズボンを押し上げる勃起を見られた! 「まだまだ終わらないから、安心していいわよ……♥ アンタも楽しませてあげる♥」 髪に遮られて顔が見えないまま痴女が引っ込んでしまう。違うと叫べたらどれだけ良かったか、現に勃起していては説得力がなかった。 背中に押し付けられた巨乳が、柔らかさを教えるように緩やかな上下をして、そのひしゃげる様を触覚が拾ってしまう。 一方、尻を襲う手は二つになり、攻め気を隠そうともしない。左は撫で回され、右は揉み解され、性感帯がなくともおかしくなりそうだった。 「耳真っ赤……♥ アンタも感じてきてるんじゃない♥ アタシ分かっちゃうんだから♥」 興奮した荒い吐息が耳にかかる。甘ったるい女の香りが擦り付けられて、襲われているのに脳が喜びそうになっている。 逃れなくては。そう思っても打開策は出てこないまま── 「ねえ……そろそろ、前も触って欲しいんじゃない♥」 つづかない 痴漢プレイとかいうレスを見て思いついた なのでこれ全部プレイだし実は電車の中でもないし二人きりだし男はトレーナーなので実際あんし~ん