「トレーナーさんこれからよろしくね☆」 「ああ!二人で伝説を作って行こう!」 ファルコンのトレーナーとして正式に契約した翌日トレーニング終了後にて… 「お疲れ様ファル子」 「ありがとっ!トレーナーさん。あとさ、このあとちょっといい?」 「構わないけど」 「ありがとう!!じゃあ呼んでくるね」 そう言ってファルコは一人のウマ娘を連れてトレーナー室に戻ってきた。 「おまたせ。どうしてもあいさつしたいって言うから…」 「ファルコンさんと同室のエイシンフラッシュです。以後ファルコンさんがお世話になります」 とその子は深々と頭を下げてきた。 「そんなに畏まらなくても大丈夫だよ。これからは知人になるわけだし」 「だとしてもファルコンさんのトレーナーさんですし…」 「ファル子の面倒は半分俺が見るから安心してよ」 「もーー!!本人の目の前で恥ずかしいこと言わないでよ!ファル子こどもじゃないよー!ウマドルだよー!」 そう言いながらファル子が背中をポカポカ叩いてきた。 結構痛かった。 「せっかくですし今日は三人で外食に行きませんか」 「いいんじゃないかな」 「ファル子賛成!!トレーナーさんとご飯行きたかったんだ☆」 「ファルコンさん。私もいることを忘れないでくださいね?」 「今日のフラッシュさんなんか怖い…」 そう言うことで夜は三人で外食することになった。 「どこかご所望の場所はございますか?ファルコンさんのトレーナーさん」 「変に気を使うような店じゃなければ何処でも」 「ファルコンさんは?」 「ハンバーグ食べたい☆」 「ではフラ○ングガーデンでも行ってみましょうか。ここから歩いて10分くらいの所にあるみたいですね」 そんなこんなでハンバーグ店に行くことになった。 「お待たせしました。爆ハンになります。カットしますのでマットを立ててお待ちください」 「うわぁ、大きい!」 「ここのお店はこれがウリですからね」 「見るからに美味そうだなこれ。フラッシュさんは元々知っていたのか?」 「知っているも何も月に一回食べに来ています。あとフラッシュと呼び捨てでも構いませんよ」 「会った初日だから流石に…もう少し親しくなったらそう呼ぶこともあるかもしれないが」 (トレーナーさんもっと私に話しかけてよ…) 「ん?ファル子なんか言ったか?」 「ううん。何でもないよ☆」 「俺のがチーズで」 「ファル子は和風ソース!」 「私は山わさびですね」 「それでは」 「「「いただきます」」」 「あっ!これ食堂のハンバーグより美味しい!!」 「名の知れたお店のハンバーグですから当然です。山わさびソースは初めてですが意外と行けるものですね」 「結構バッサリ切るのな…あとチーズだとご飯が進むな」 「チーズなんか太りそう…」 ワイワイ喋りながら三人は食べ進めていき… 「「「ごちそうさまでした」」」 「フラッシュさんこんないいお店一人だけ知ってるのずるい!ファル子に初めて会った時に教えてほしかった!」 「ウマドルは体重管理も重要でしょうから敢えて教えてなかっただけです。今日は特別ですよ」 「むーっ」 「フラッシュさん今日はありがとう。今度一人で行ってみようかな」 「いえ。知人として当然の行いをしたまでですよ」 「知人で普通そこまでやるかな…フラッシュさん」 「ファルコンさんが心配なだけですよ。では寮に戻りましょうか」 次の日ファルコンはちょっとした嫉妬心からかトレーナーと結構くっついていた。 ------ 今日は待ちに待った皐月賞当日だ。 『ファル子に何としてもWinning the soulを歌わせたい』 その一心で年始からトレーニングを重ねてきた。 「フラッシュさんも出るんですか。皐月賞」 「クラシックの初戦ですし落とすわけにはいきませんからね。あと、さん付けじゃなくてもいいと何度も言っているんですけども」 「その癖はなかなか抜けないって。自分の担当はファルコンだし」 「それもそうですね。あっ、あと5分17秒後にミーティングがあるので失礼しますね。ファルコンさんの仕上がり期待してますからね」 「はぁ~。今日のメニューやっと終わったよ」 「お疲れ様ファル子。いよいよ明後日だな。明日は最終調整だから軽めのメニューにしておいたよ」 「本当!?」 「明後日のため前日から力を蓄えないと本番失敗するかもしれないしな」 ということで明日のトレーニングを軽めにして、ライブの練習を多めにした。 「ふぅ~。スタンドマイクを激しく動かしながら歌うのって結構疲れるね…」 「前日だけだったけど良かったか?」 「全然大丈夫だよ☆絶対勝てるって保証はないからさ…」 「あまり思いつめないでよ。ダート路線で頑張るって決めたんだろ?」 「これは挑戦だからあんまり口出さないで欲しいんだけど…」 「余計だったか。ごめんな」 少し陰鬱な雰囲気のままファル子と別れた。 そして翌日、 「おはようトレーナーさん☆」 「ああ、おはよう。早速レース場に行こうか」 そしてファル子たちは何のトラブルもなく予定通りにレース場に到着した。 「ちょっと苦手な芝だけど頑張って走るね」 「俺もできるだけのことはしたつもりだ。全力で走ってこい!!」 「わかった☆ファル子のこと絶対応援してね」 「ああ」 そう決意を胸にしてトレーナーは一旦楽屋を後にした。 ファル子に精神統一をしてあげたかったからだ。 「ちょっと時間あるし同僚と話してみるか」 いつも話している同僚を探してみたがどうにもいなかった。 「どうしていないんだ?」 『皐月賞に担当が出るんだよ』と誇らしげに彼は言っていたのに。 そうこうしている内にパドックの時間が近づいてきた。 「ファル子。そろそろ行こう」 「わかった」 そうして二人で地下バ道を歩く。 「緊張するか」 「ううん、全然。一人にさせてくれてありがとね。おかげでレースに集中できそう」 「ならよかった」 しかしトレーナーは少しそわそわしていた。 「それじゃ、行ってくるね☆」 「ケガだけは絶対するなよ!」 「わかってる☆」 パドックをぼーっと眺めていると、ある一人のウマ娘が目に留まった。 「エイシンフラッシュ…」 気づかぬうちにトレーナーは彼女に目を奪われていた。 当の本人は獲物を捕らえたかのような目つきをトレーナーにしてきた。 「くそっ何だったんだ…今の」 そわそわした空気にあてがわれたのかもしれない。そう思い観客席の後ろの方から観戦することにした。 「最後の直線に入った!各バ一斉に距離を詰めていきます!先頭は変わらずスマートファルコン!後ろからゴールドシップも来ている!がスマートファルコン逃げる! あぁっとエイシンフラッシュ差をじりじり差を詰めてくる!残り100メートルだ!エイシンフラッシュとスマートファルコンほとんど同時にゴール!内側のエイシンフラッシュがやや有利か!?」 惜しかった。と苦虫をかみつぶすような形で掲示板を見つめる。 ファル子が二着なのは誰の目が見ても明らかだった。 急いで地下バ道に向かう。 そこで偶然にもエイシンフラッシュと鉢合わせてしまった。 「私のことずっと見てたのわかってますからね?ファルコンさんのトレーナーさん」 とフラッシュが囁きかけてきた。 その時トレーナーはものすごい悪寒がした。 「ごめん!俺の調整不足だった!!」 「そんなに謝らなくてもいいよ☆センターじゃなくてもフラッシュさんの隣で歌えるだけでも十分」 「そうか。ライブパフォーマンスで見返してやろう!」 「うん☆」 ライブはファル子のためにいつも通り最前列で見ることにしたが… 「私たちの想いを聞いてください。Winning the soul」 『光の速さで~♪』 しかしながら、ファル子の声がソロパートでもかすんで聞こえてしまった。 というよりフラッシュのパフォーマンスに完全に魅了されてしまっていた。 「い、いかんいかん。俺はファル子のトレーナーだろ!」 鋼の意志は今このタイミングでは通用しなかった。 ファル子の楽屋に戻る前にまたしてもフラッシュと遭遇してしまった。 「私のパフォーマンスどうでしたか?」 「完全に圧倒されたよ。ファル子が霞んで見えるくらいには」 「それ本人には言わない方がいいですよ。絶対落ち込んじゃいますからね」 「そ、それはわかっているよ」 「あと、私の勝負服見て興奮してませんでした?」 「し、してないって!」 実際パドックの段階で見惚れてしまっていた。 誤魔化すのも騙し騙しだった。 「すみません。もっと話したいんですけどあと6分ほどで約束の時間ですね。ファルコンさんのトレーナーさんまた会いましょうね」 「またご飯食べような」 「ふふっ。今度は二人きりで行きたいですね」 「ばっ!俺にはファル子という担当がいるんだぞ!」 「冗談ですよ。ふふふ」 最後の笑い声に悪魔を感じた。 ライブ終了後、楽屋のファル子に声をかける。 「大丈夫か?」 「いいよ」 許可をもらいドアを開ける。 そこには少し涙目になったファル子がいた。 「私、もっと頑張れば…」 「ライブ良かったぞ」 うわべだけの誉め言葉を言い連ねる。なんて愚かなんだ。フラッシュのパフォーマンスに圧倒されていたはずなのに。 「フラッシュさんのことずっと見てたのわかってたし…うそつき」 「なあ、ちょっと待てって。ジャパンダートダービーで頑張ろうよ」 「それもそうだね。変に考えるのやめた!JDD頑張ろうね!」 「ああ!」 そう決起してレース場を後にした。 ------ 🧠💥逆NTR注意 ダービーの二週間前フラッシュに「ちょっとお茶しませんか?夕方からで構いませんので」と誘われたので、喫茶店に二人で行くことになってしまった。 「いきなりすいません。お呼びたてしまって」 「別に全然いいよフラッシュさ……フラッシュ」 無言の圧力を感じて思わず屈してしまった。 「やっと呼び捨てで呼んでくれましたね。折り入って相談があるんですけど、私のトレーナーさんが急にやめてしまって」 「えぇっ!?」 「それが先週『実家に戻って来い』と言われてやめてしまったみたいで…私のトレーナーさんは度々レースのある日曜日に限って見に行けない時が多くて…」 「まさか…当日いなかったアイツってフラッシュの担当だったのか。それで度々レースのある日曜日に来れない。実家の方も結構な嫌がらせだな。メイクデビューはどうだったんだ?」 「新バ戦は見に来てくれました。私が勝ってとても嬉しそうな顔をしていたのをよく覚えてします。ところで、彼とお知り合いだったんですか?」 「よく話す仲だったんだよ…トレーナー室も結構近かったしな。辞めた理由が実質担当のレースを見れないのが辛いからだろこれ…」 「トレーナーさんはいつもトレーニング中浮かない顔をしていましたね。私とはとっても優しく接してくれていたんですけどね…」 「なんか嫌な話だな。担当いないってってなるとレース出れないけどどうするんだ?」 「そこでお願いがあるんですけど…貴方が私のトレーナーになって欲しいです」 「ち、ちょっといきなり急すぎるって」 「明後日の朝までには決めてほしいです。専用メニューを組んで早くトレーニングしたいので」 「え、えぇっ…」 口に入れたコーヒーはいつもより苦く感じた。 「一緒に面倒見ることってできるのか?」 喫茶店から帰ってきて、トレーナーはひどく苦悩していた。 そんな時ファル子から連絡が入った。 『フラッシュさんが元気がないんだけど』 『専属トレーナーがいなくなったみたい』 数分待ってやっと返信が来た。 『トレーナーさんはファル子の担当やめないよね?』 激烈に胸が痛くなってしまった。俺はこの子の気持ちを裏切ることになるかもしれない、とトレーナーは覚悟していた。 『できる限り頑張るよ。フラッシュに頼まれているのは確かだから。一緒に面倒見れたらいいんだけどな…』 次の日のトレーニング終了後もフラッシュに呼び出された。元トレーナーのトレーナー室で待っていると聞いたので終了後直行した。ファル子の許可も得ている。 「お、お待たせ」 「あっ、待ってましたよファルコンさんのトレーナーさん」 彼女は何故か勝負服姿で待っていた。 「なんで勝負k…」 「昨日きっぱりと決めないあなたが悪いんですよ…もう手段は選んでられませんので…」 そう言って、下の衣服を脱がしてきた。 既に硬くなった肉棒が姿を見せる。 心なしかフラッシュの顔はとても火照っていた。 「やっぱり私の勝負服姿で興奮しているんですね♡へんたい♡」 逆レされるかもしれないという期待と興奮で肉棒はすでにビクついていた。 「ちょっと、いきなり強引すぎるって」 トレーナーは当然ながら動揺を隠せない状態でいた。 「10分間私の奉仕に耐えてください。耐えきったらファル子専属でもいいですよ。もし、耐えられなかったら、一緒に面倒を見てもらいますからね」 「一緒にって…掛け持ちってOKなのか?」 「理事長からも許可をいただいています。本当は私だけのトレーナーさんになって欲しかったんですけどファルコンさんもいますので」 「重いこと急に口走らないでよ…」 「では、始めますね」 そうして、フラッシュは肉棒を自分の胸の谷間に挿入してきた。 「うっ」 今まで感じたことのない快感がトレーナーを襲う。 一瞬クラっと来て理性を失いかけたが何とか踏みとどまった。 「30秒しかたっていないのにもうギブアップですか?そんなにおっぱいが気持ちいいんですか?」 「ま、まだ行ける…」 『おっぱい』という言葉でさらに肉棒が硬くなる。パイズリの気持ち良さは想像しているよりはるかに大きなものだった。 慣れない手つきながら、胸を上下に動かす。 グニュッグニュッとイヤらしい音が部屋中に響く。 3分経ってもその勢いが収まることはなかった。 「なんかあたたかい感覚がしますね…まさか」 「これは…我慢しているから自然と出るもの…うっ」 「出したわけではないんですか…あっ、もうそろそろ4分経ちますね」 気づいたらエイシンフラッシュの胸に肉棒が飲み込まれて4分も経過していた。 その間はずっと悶えており、トレーナーはまるで映画を見ているかのような長さに感じられた。 残り5分になった途端、胸に突っ込んである肉棒を抜いて、頭を掴んで無理やりキスしてきた。 「んむっ」 「んちゅっ」 さらに肉棒が苛立ち始める。 今までの快感でもうとっくに弾けてしまいそうだった。 「わぁ。キスだけですごいビクンビクンしてますね。私の方が女として好きなんですか?」 「そ、そんなことはない!!」 「口ではそう言ってても体は嘘をつけないんですよ?」 そう言いながらフラッシュは手淫を始める。さらに肉棒が脈打つ。我慢しているが故、気持ち良さでどうにかなりそうだった。 しかし、彼女も興奮を抑えれない様子だった。 「はぁはぁ。んんっ。私ももうせつなくなってきました。あと1分ですし…」 そう言って強引に肉棒の先端にあらかじめ用意しておいたゴムをそれの先端に付けさせ、肉棒をフラッシュ自身の膣内に突き入れた。 エイシンフラッシュの温かさをより感じ、心拍数が上がってくる。 「そ、それは反則!!中に入れるのは反則だって!!!」 「私も貴方と繋がりたくてうずうずしてしまって…もう我慢できませんよね?出しちゃえ♡♡出しちゃえ♡♡♡♡」 彼女の甘い囁き声でトレーナーの理性は完全に崩壊した。 彼はもうヒト科の動物のオスでしかなかった。 「うあああっ!も、もう我慢できねぇっ!!!」 「♡♡♡♡♡っ――!!」 中に突き入れられて20秒後、オスの子孫繁栄の本能のみにしたがって精液がドクンドクンと勢いよくゴムに注がれていく。 彼は今までに経験したことのない快感と興奮と共にエイシンフラッシュの膣内で果てた。 「あっ♡♡すっごいきもちいい…」 初めてだったからか彼女の口から快感を告げる声が出ていた。頭は快楽で真っ白になっていた。 そして今までにないほどの倦怠感がトレーナーを襲った。 「あなたの絶頂顔とっても気持ちよさそうでしたよ。またしましょうね♡」 「もう二度としたくないです…」 「ということで明日から私の面倒も見てもらいますからよろしくお願いしますね?」 「はい…」 そうして次の日からフラッシュとファル子の掛け持ちトレーナーが始まったが、70%くらいフラッシュの面倒を見ている。 ダービーの方が先に来るから仕方ないといえば仕方ないのだが… 「トレーナーさん。明日のメニューはなんですか」 そう言って徐々に距離を詰めてくる。 「トレーナーさんは相変わらず可愛いですね。私が顔を近づけるとすぐに赤くなって」 「わざわざ口にするんじゃない!」 (そう言い返してるのも可愛い…トレーナーさんのことを考えると胸がざわついてしまいます) 「ファル子のこともちゃんと見てほしい…」 その彼女の想いが届く可能性はまだ残されてはいるのだが… ------ 今日は待ちに待ったファル子のJDD当日だ。 夏合宿会場からそのまま直行するため、フラッシュは一人でトレーナーの考えたメニューをこなすはずだったのだが… 大井レース場でウォームアップ後控室に二人でいる時に彼女は現れた。 「来ちゃいました♡」 「いやなんで?」 「実は寮長さんに『トレーニング終了後JDD現地で見に行ってもよろしいですか?』とダメ元で聞いたところ最初は拒否されましたけど、マルゼンスキーさんが連れて行ってくれるってことで何故か了承してくれました」 「来ちゃってよかったんですか?マルゼンスキーさん」 トレーナーが問いかける。 「バッチグーよ!逃げで強い後輩ちゃんのレース私も見たかったところだし…じゃあ私は観客席に行くわね。バイビー」 そう言ってマルゼンスキーはファル子の控室を後にした。 「だったらいいのかな…」 「一応トレーニングは早く終わったので」 (夜のトレーニングよろしくお願いしますね?) 「しねぇよ馬鹿!!」 思わず声を荒げてしまった。 「あのトレーナーさん。フラッシュさんに弱み握られてない?」 「そ、そんなことはないよハハハ…はぁ…」 「では私はマルゼンさんのところに行ってきますので、レース期待してますね!」 「フラッシュさんありがとー☆」 フラッシュと別れたところでちょうど時間がいい頃合いとなった。 「じゃあ、地下バ道に行こうか」 「うん☆」 地下バ道に出た途端、オーラの強い黒髪のウマ娘が一人いることを察知した。 「あの子なんか只ならない気配を感じるんだけど…」 「アイツは確か…サクセスブロッケン?」 フラッシュの出た日本ダービーで最下位だった子だった。 彼女のトレーナーとの話声が壁に反響して聞こえてくる。 「ダービーに出してほしいってワガママを聞いてくれて嬉しかった。ありがとうトレーナーさん。最下位だったけどいいよね?」 「JDDを取れたらそれこそクラシックのダート王だから頑張れよ」 「一着何が何でももぎ取って見せるから」 「期待してるぞ」 「なんか皐月賞で最下位になった夢思い出しちゃった」 「どちらにしろ俺はファル子を最初からダートで走らせて無双させてやるって最初から決めていた。皐月賞2着はさすがに想定外だったが…とりあえず負けないように頑張ろうな」 「トレーナーさん…私頑張る。ブロッケンちゃんに負けないよう頑張るよ☆ダートでトップウマドル目指すんだもんね!!」 「その意気だ。さあ行ってこい!!」 「うん。行ってきます☆」 そして元気よく彼女はパドックに向かっていった。 満面の笑みでパドックに立つファルコンにフラッシュは 「やっぱり励ますのがすごく上手ですね。私のダービーの時も…そんなだから私はトレーナーさんのことを…」 レースはサクセスブロッケンが快勝。ファル子は二着だった。 終了後控室にはトレーナーの担当二人がそろい踏みしていた。 「くやしー!!なんであんなに速いの!」 「まさか私のダービーの最下位だったあの子がダートではあんなに強いだなんて。ちょっと驚きましたね」 「ごめんな。ファル子勝たせてやれなくて…」 「ううん。全然気にしてないよ。ライブ頑張るから」 「フラッシュの時みたいにパフォーマンスで負けるなよ!そのためにライブの練習も合宿開始からやってるんだから」 今回のライブではファル子が実質センターみたいな形でライブを席捲していた。 勝ったサクセスブロッケンはマイクを落としたりコードを踏んだり少しドジっていた面もあったが何とか乗り切っていた。 「少しドジ入ってるんですね」 「まあ、彼女の優駿のレース展開がレース展開だしな…」 「ありがとうございましたーっ☆」 「うおおおおっ!!」 ライブは大盛況のうちに幕を閉じた。 ライブ終了後の控室でファル子はあることを実感していた。 「なんかお客さんが多かった気がする」 「というか去年より来てるみたいだ。たぶんファル子見たさなんじゃないか?皐月賞頑張ったし」 「本当!?やったー☆」 気づいたらファル子とハイタッチしていた。彼女の手のひらはとても暖かかった。 「ブロッケンとは仲良くなれたか?」 「一緒にライブやったらもう友達だよ☆」 「ファル子は凄いな」 「でしょ☆」 今日のファル子はいつもより積極的な気がした。 「じゃあ、合宿所に戻るからな。フラッシュはマルゼンさんに送ってもらいなよ」 「わかってますよ。勝手に貴方たちのところに乗ったりしませんから」 そして三人は二人と一人に分かれて合宿場へ帰ることになった。ほとんど行きと同じである。 「戻ったらちゃんと寝るんだぞ。明日はメニュー少し軽めにしといてあげるから」 「あのさ…話半分でいいんだけどトレーナーさんはファル子のことどう思っているの?」 「ど、どうって」 「大事なの?」 「滅茶苦茶大事だ」 「どのくらい?」 「どのくらいって言われてもなぁ…担当だから大事に決まっているとしか返せないよ」 (すっごいにぶいんだね…トレーナーさん。フラッシュさんに弱み握られてそうでなんか心配だけど私はほかの誰よりもトレーナーさんのこと…) そう呟いて、ファル子はトレーナーの隣で寝てしまった。 その呟きは彼には届いていなかった。 合宿所についたときにはもうフラッシュが着いた後だった。 ファル子とは早く寝てとお願いしているので早々に宿舎前まで送り、海岸で星をみていたフラッシュに話しかけた。 「フラッシュいつ着いたんだ?」 「10分ほど前です。待っていましたよ。トレーナーさん」 「というかフラッシュも寝なきゃだめなんじゃないのか?」 「私はトレーナーさんと寝たいです♡」 「あのなぁ…二人きりだからって」 「冗談です。本当は星を見たかっただけです。都会ではこんなきれいな夜空見れませんからね」 「俺はたまたまフラッシュがいたから話しかけたってだけだよ。だって超眠いし何なら今すぐ寝たいくらいには」 「トレーナーさんは私の前で本音を言ってくれることが増えましたね」 「べ、別に惚れてなんかいないからな!!」 (やっぱりからかい甲斐がありますね。トレーナーさん。いつも一生懸命で私とファルコンさんのことを考えてくれて…今すぐにでも抱きしめてあげたいです) フラッシュは恋心を完璧に自覚していたが、トレーナーは肉体関係を持ったとはいえ少しずつフラッシュに惹かれていることをまだ自覚できずにいた。 ------ 「ファルコンさん聞きましたよ。あなたも秋天皇賞で勝ったらトレーナーさんとデートするってこと」 「あーっ!何で知ってるの!?」 「トレーナーさんがデジャヴって言っていたので」 「じゃあフラッシュさんもトレーナーさんのこと好きなの?」 「大好きですよ。あなたよりも」 「むーっ!絶対負けないから!!私の方がトレーナーさんと先に仲良くなったもん!」 「一緒にいる期間と恋愛感情は必ずしも比例しませんよ?結局最後はトレーナーさんが決めるんですから」 「そうだね…」 時は経ち10月後半菊花賞当日控室にて… 「ところでお出かけという名目のデートはどうするんですか」 「秋天後すぐにしよう」 「そうですか。では行ってきますね」 「よし。頑張ってこい!」 結果は2着で惜敗だった。 「惜しかったな」 「まあそんなときもあります。ダービーに勝てただけで十分です」 「お出かけはなくなったけどファル子の応援はしような」 「わかっていますよ」 次の週には天皇賞だった。 「ファル子ちょっと不安なんだけど…」 「ファル子ならやれるよ。頑張って!!」 「トレーナーさんに励まされるといつも元気が湧いてくるな。なんでだろう…とりあえず行ってくるね」 天皇賞はファル子が快勝した。 「やったー☆いぇい」 久々にファル子とハイタッチした。 それを求めてくるファル子は少し可愛く感じた。 「ということで、ファル子一緒に出掛けような」 「よかったぁ…」 秋天から一週間後ファル子とデートすることになった。 「あれ?フラッシュは?」 「そんなにフラッシュさんのこと大事なの…ひどい…」 「ごめんな!!本当は二人きりが良かったんだよな!」 「うん☆じゃあスイーツ食べに行こっ☆」 「おいおい…夜ご飯少な目にするけどいいのか?」 「全然いいよ☆トレーナーさんと一緒にいられるだけで嬉しいもん☆」 そうして腕にくっついてくる。今日はファル子に完全にメロメロになっていた。 今日のファル子はとても積極的だった。 「トレーナーさん☆パフェあーんしよ」 「えぇっ!?」 「はい。あーん」 「あ、あーん…」 パフェをあーんしたり… 「ファル子の服選んで☆」 「俺センスないよ?」 「いいからいいから☆」 トレーナーに服を選ばせたり少々強引なアプローチでまさにフラッシュから逃げているようだった。 「気づいたらもう夕方か…」 「すっごく楽しかった☆トレーナーさんこのあとは私と…やっぱなんでもない!」 「ん?とりあえず寮まで送るよ」 「あのさ…私のこともっと見てほしい」 そう言ってトレーナーの顔をじっと見つめてくる。 「フラッシュさんばっか見てないで私のことも見て…ちゅっ」 夕焼けの空気にあてがわれたのか、ファル子は無意識のままトレーナーの唇にキスをしていた。 「――っ!!今キスしちゃった!!」 「ファル子…」 「忘れて!!」 「忘れられるわけ…」 「今日は楽しかったよ!じゃあねトレーナーさん!」 ファル子は恥ずかしさを誤魔化すかのように走り去ってしまった。 「そんなことされちゃったら俺の立場どうなっちゃうんだよ…俺ファル子のことも女の子として…いやそんなわけには!トレーナーなのになんて邪なことを!!」 この日からトレーナーは二人の想いに気付き苦悩し始めるようになってしまった。 ------ FLASH END あの日以降二人の面倒をずっと見てきたが、来るべき一つの転機が訪れた。 URAファイナルズ決勝である。 「えっ、私なんで芝中距離なの?」 「そりゃあ、あれだ。2年目で秋天勝ったからだよ」 「二年目は回避しましたけど、三年目で勝てて本当に良かったです。ありがとうございます♡」 そう言ってエイシンフラッシュは腕に絡んでくる。 「むーっ」 そうしてファル子がふくっれっ面をするのももう見慣れてしまっていた。 トレーナーの狙いはほかにあった。 「これで勝ったら付きっ切りで面倒見てあげるから」 「「えっ」」 トレーナーの鶴の一声で二人の空気は一変した。 彼は二人とも同じくらい好きで決められないというのが実情だった。 「これは勝たなければマズいですね…」 「ファル子も負けてらんないけど…」 「でも一緒のレースに出ないようにフラッシュには長距離に行ってもらうから安心して」 誤解を招かないように補足説明をしておく。 「頑張りますね」 「ファル子のこと応援してよ…」 「わかってるから」 先に長距離のレースが開催されその一週間後に長距離が開催される運びだった。 結果フラッシュがぶっちぎりで優勝した。 「フラッシュさん凄い!」 「今までの努力の結果です。有馬記念程度の距離でしたし、さほど疲れたりはしませんでした。春の天皇賞の距離だとちょっと怪しかったかもしれませんね」 「やったなフラッシュ!!」 「あっトレーナーさん♡」 フラッシュは真っ先に抱き着いてくる。 ダービー直前からの一年間で情緒が安定したのか、赤面はしなくなっていた。 「お疲れ様。レース最高だったよ。まさか5バ身差まで突き放すなんて」 「トレーナーさんのおかげですよ♡」 「なんでフラッシュさんばっかり…」 一週間後待ちに待った中距離戦となった。 エイシンフラッシュと当たるということで予選段階で長距離を回避したメジロマックイーンが一番人気。ファル子は二番人気につけていた。 どうでもいいがマックイーン曰く『これに勝利いたしましたらスイーツ食べ放題&一心同体ですわ!』らしい。担当トレーナーから偶然にも聞いてしまった。 それをファル子+フラッシュトレーナーに伝えてくるなんてやはり超お惚気さんなのだろう。 「じゃあ行ってくるね☆」 「ファルコンさん私も応援してますからね」 「内心負けてほしいって思ってない?」 「そんなことはありませんよ」 その満面の笑顔は嘘であることを隠喩しているかのように見えた。が、内心は本気で応援していたみたいだった。 レースの結果最後の最後でハナ差でマックイーンに抜かれてしまい二着で終わった。 勝利後のインタビューでは『トレーナーさんとお付き合いすることにいたしますわ♡』と堂々と発表していた。 スイーツじゃなくてすごい重要なことを記者会見でもないところで発表するだなんて頭のねじが外れているんじゃないかとトレーナーは感じた。 「ま、負けちゃったね…」 「お疲れ様です。ファルコンさん」 「ということで、俺はフラッシュと同棲することにするよ」 「えっ…付きっ切りってそういうこと?てっきり捨てるのかと」 ファル子はものすごく困惑している。ここはガツンと言ってやらないとダメだと思った。 「そんなことは絶対しねぇよ!!被害妄想しすぎ!」 「ごめん…フラッシュさんに取られるってことばかり先行しちゃって。ちょっと一人にしてもらってもいいかな」 「構いませんよ」 「わかった。落ち着いたら連絡くれ」 「本当にごめんね…」 ファル子は今にも泣きそうな表情でトレーナーとエイシンフラッシュを見つめていた。 「うわぁぁぁぁぁん」 二人が部屋を出た瞬間溜まっていた悲しみが一気にあふれ出てきた。 「どうして…どうしてフラッシュの元々のトレーナーがいなくなっちゃうの…どうして同室のウマドルに大事な人を取られちゃうのかな…」 私は一頻り泣いた。もう涙が枯れて、声がガラガラになっても泣き続けていた。 ウマドルは声と顔が命なのにこの時だけはその命が絶たれてしまっていた。 「はぁ。私も頑張るしかないよね…」 そうして美容院に電話をコールする。 『あっファル子さん!一カ月ぶりねどうしたの?ってどうしたのその声』 『気にしないで。それより明後日空いてる?ショートカットにしてほしいんだけど』 『えっ。まさか失恋?』 そう聞かれて黙り込んでしまう。わざわざ口にしないで欲しい。また大声で泣き叫びたくなってしまう。 『あちゃー、図星だったか。了解しました。明後日の11時半に来てちょうだい』 『ありがとう』 心なしか沈んだ声で返答した。 「私もさすがに立ち直らないと」 次の火曜日ファル子は今までに見たことのない髪形でトレーニングに現れた。 「あれ?ファル子その髪」 「専属の美容師さんに頼んで切ってもらったの。ショートボブ。似合ってる?」 「すごい似合ってるな。ツインテールもいいけどこれも捨てがたい」 「ならよかったよ…フラッシュさんとお幸せにね」 「えっファル子なんでお別れみたいな…んっ」 「ちゅっ…」 今まで大好きだった人をマーキングするように唇にキスをする。 私があなたに恋していたことを忘れないでねと念じるように口先だけのキスをした。 これでファル子は今までの想いに分別がつけられた。 「もうこれでおしまいっ☆ファル子は真のウマドルとして生まれ変わったのだ☆」 「えっ」 「真のウマドルは恋愛をしませんっ☆これからもプロデュースよろしくね!」 「おう!」 失恋を経験してファル子は一回りオトナのウマドルへとランクアップした。 そのファル子を裏から支えて、フラッシュとは永遠の愛を誓って… 二人を掛け持ちのトレーナーはとても大変なのである。 ------ HAPPY END あの日以降二人の面倒をずっと見てきたが、来るべき一つの転機が訪れた。 URAファイナルズ決勝である。 「えっ、私なんで芝中距離なの?」 「そりゃあ、あれだ。2年目で秋天勝ったからだよ」 「二年目は回避しましたけど、三年目で勝てて本当に良かったです。ありがとうございます♡」 そう言ってエイシンフラッシュは腕に絡んでくる。 「むーっ」 そうしてファル子がふくっれっ面をするのももう見慣れてしまっていた。 トレーナーの狙いはほかにあった。 「これで勝ったら付きっ切りで面倒見てあげるから」 「「えっ」」 トレーナーの鶴の一声で二人の空気は一変した。 彼は二人とも同じくらい好きで決められないというのが実情だった。 「これは勝たなければマズいですね…」 「ファル子も負けてらんないけど…」 「でも一緒のレースに出ないようにフラッシュには長距離に行ってもらうから安心して」 誤解を招かないように補足説明をしておく。 「頑張りますね」 「ファル子のこと応援してよ…」 「わかってるから」 先に長距離のレースが開催されその一週間後に長距離が開催される運びだった。 結果フラッシュがぶっちぎりで優勝した。 「フラッシュさん凄い!」 「今までの努力の結果です。有馬記念程度の距離でしたし、さほど疲れたりはしませんでした。春の天皇賞の距離だとちょっと怪しかったかもしれませんね」 「やったなフラッシュ!!」 「あっトレーナーさん♡」 フラッシュは真っ先に抱き着いてくる。 一年間で情緒が安定したのか、赤面はしなくなっていた。 「お疲れ様。レース最高だったよ。まさか5バ身差まで突き放すなんて」 「トレーナーさんのおかげですよ♡」 「なんでフラッシュさんばっかり…」 一週間後待ちに待った中距離戦となった。 エイシンフラッシュと当たるということで予選段階で長距離を回避したメジロマックイーンが一番人気。ファル子は二番人気につけていた。 どうでもいいがマックイーン曰く『これに勝利いたしましたらスイーツ食べ放題&一心同体ですわ!』らしい。担当トレーナーから偶然にも聞いてしまった。 それをファル子+フラッシュトレーナーに伝えてくるなんてやはり超お惚気さんなのだろう。 「じゃあ行ってくるね☆」 「ファルコンさん私も応援してますからね」 「内心負けてほしいって思ってない?」 「そんなことはありませんよ」 その満面の笑顔は嘘であることを隠喩しているかのように見えた。が、内心は本気で応援していたみたいだった。 レースの結果最後の最後でハナ差でマックイーンを抜かして見事URA優勝で幕を閉じた。 マックイーンのインタビューでは『悔しいですわ~!!』とそこらへんを絶叫しながら走り、最終的にはゴルシに捕まってお茶の間の笑いを誘った。 もうお笑い芸人だろ…とトレーナーは感じた。 「か、勝った!!勝ったよ!!!」 「お疲れ様です。ファルコンさん」 「まさかそうなるなんてな…じゃあ三人で暮らそう」 「「えっ」」 まさに青天の霹靂であった。 「三人で暮らすってことは重婚ですか?」 怖い顔でフラッシュが問い詰めてくる。 「違う。違うからさ…シェアハウスで暮らそうよ」 「言い方が悪いよ…てっきりフラッシュさんと籍を入れて私だけ別室で一人なのかと…」 「そんなことは絶対しねぇよ!!被害妄想しすぎ!」 「じゃあさ…トレーナーさん学園に戻ってきたらトレーナー室に来て」 「わかったよ。フラッシュはどうするんだ」 「私も同行しましょう。二人だけだと何するかわからないですし」 (フラッシュ院) 「な、なんかトレーナーさん劇画っぽい顔になってるよ」 「き、気のせいだって」 そうして3人はトゥインクルシリーズ引退後も和気藹々と日々を過ごしていった。