はい、トレーナーさん。ご飯が出来ましたよ。 最近のトレーナーさんはまともにご飯を頂いていませんからね。 どうして知っているか、ですか?ふふっ。見てきましたから。ずっと。 心配ありませんよトレーナーさん。もうカメラやマイクはありませんから。 はい、トレーナーさんが好きな肉じゃがですよ。いっぱい食べてくださいね。 ……ふふっ。こうやっているとやっとトレーナーさんと一緒に居られると実感します。 今まで私は燻っていたままでしたから……この日を待ちわびておりました。 ……まだエイシンフラッシュさんとは契約は続けるつもりですか? …………そうですか、トレーナーさんは優しいですね。ええ、本当に……。 私も貴方の優しさに救われましたが……時にその優しさは仇となりますよ。 私や彼女以外にもそうやって優しくされてるのでしょう? ええ、トレーナーさんの活躍はあの時以来にも時々耳にしましたから……。 優しさは美徳です。そこに間違いはありません。ですが過ぎれば毒となります。 トレーナーさんも知っての通り、エイシンフラッシュさんがその例です。 彼女は貴方に甘えすぎています。ええ、これは許せ……コホン、由々しき事態です。 まだ彼女は他への害を為してはいませんがいずれはすると、私は思いますね。 …………それでも自分はエイシンフラッシュのトレーナーでもあるから、ですか。 ここまでトレーナーさんに思ってくれているのにあの方は何なのでしょうか。 トレーナーさん。今から私はかなり厳しめな事を言います。ですが受け止めてください。 彼女はトレーナーさんと釣り合っていません。それは周囲から見ても明らかです。 いくら輝かしい成績を残したからってあのままの態度では皆に示しがつきません。 ですので一刻も早く彼女から離れる事をお勧めしているんです。 貴方の叱咤激励は凡百の応援とは比較にならないほど力が篭っています。 そのおかげで彼女はURAを優勝出来たと言っても良いほどです。 分かりますか?彼女が特別ではなく貴方が特別なんですトレーナーさん。 そんな貴方の担当になれた私も幸運である他言い表せないんですよ。 ええ、貴方の担当になりたいウマ娘は私以外にもいます。これは断言出来ます。 ですが彼女は貴方を束縛するあまり近寄れない状況を作っていました。 …………それでも彼女を離すつもりはない、ですか……。 ……ご飯の前にこのような話をしてすみません。ですが知っておいてほしかったんです。 ええ、早いうちに食べてしまいましょう。温かいうちが美味しいですもの。ね。 ……ソファに寝そべった瞬間寝てしまいました……。 そこまでお疲れだったんですね……。やはり彼女は貴方と一緒に居てはいけない存在ですね。 それにしても……トレーナーさんの寝顔、とても可愛いですね。 これをエイシンフラッシュさんは3年間ずっと独占していたんですね……。 本当は貴方からじゃなくて彼女からスカウトしたんですよね……。知っています。全部。 私が離れている間ここまで私の安息の地が穢されるとは……この怒りどうしてくれましょうか。 ヴーッ ヴーッ あらトレーナーさんの携帯が震えていますね。こんな時間にとは非常識ですね。 まぁほぼほぼ彼女でしょう。この際ですから彼女の履歴とアドレス全部消しておきましょうか。 ………………………………………………………………ふふっ。ふふふふふふ。 ああ、貴方は本当に優しいのですねトレーナーさん。本当に……優しいですね。 私にも、彼女にも、あの子達にも。