……世界的デザイナーが作った花嫁衣裳を着て、雑誌に載る権利ぃ？

――――くっだらねぇの！　はぁー、そんなの、お前、あれだろ、あれ。うん。
普段ドレスに着慣れてねぇ連中がや、やればいいいいんじゃねぇの？

……ちなみに花嫁には花婿がつきもんだと思うんだが？

へぇ――――担当トレーナーとのツーショット撮影、ねぇ……。

ちっ、そこは世界的俳優とかじゃねぇのかよ。しけてやがんな。
ま、けど逆に出たくなってきたぜ。トレちゃん登録よろしく。

あ”？　なんでって……そりゃ……あれだ！
しょぼいレースでも出ときゃ点数稼ぎになるだろ？
そういう事でトレちゃん、ちょっと走り込みしてくるわ。

　
　
　・　・　⏰　・　・
　
　

リョテイは素直だな…

いいぞ…

〜レース当日〜

おいおいおい、なんだよスズカにフクまで出んのかよ。
まさかお前らも副賞が欲しいってのか？
『好きな人と思い出を作りたい』？　『ラッキーアイテムだから欲しい』？

あー、やだやだ脳みそ桜色かよ。どいつもこいつも似たよーなことを。

オレ？　オレは……トレちゃんに勝手に登録されてただけだっつーの！
成績がヤバいらしくてよー……面倒くせぇたらねぇわー。
ま、今日は流す程度だからよぉ〜お手柔らかにな〜

「フクキタル」
「スズカさん」
「「…………（ｺｸﾘ）」」

少し掛かり気味のようですね

　
　
　・　・　⏰　・　・
　
　

『さぁ第四コーナー、最初に姿を見せたのはサイレンススズカ！』

爆撃音染みた足音を鳴らしながら、スズカは最後の直線に入った。
後ろは振り返らない。
見るのは先頭の光景だけというのもあるが、音と圧で大体分かる。
僅かな差で後続の集団も突入し、中から差し迫る馴染みの足音を耳が拾う。

『ここで来た！　リョテイが来た！　キンイロリョテイの猛追撃だァ！』

バ群の中から飛び出したのは、小柄な漆黒の影。
普段の飄々とした笑みを消し、黒髪を靡かせ前だけを見据えるリョテイだ。
抑えていた脚を今炸裂させて、先頭を走るスズカに狙い定める。

（退けやスズカちゃんよォォォ！　今日は先頭の景色とやらを譲ってもらうぜぇ！！）
（やっぱりね……どこが流す程度なのかしら、そんな嘘お見通しよリョテイッ！！）

滅多に出ない本気来たな…

獲物を追い詰める狼のようにリョテイは速度を上げて、スズカの影へと足を伸ばす。
だがスズカも脚を衰えさせるどころか、更に回転数を上げて加速。
が、後方を引き離す二人の背後から、突如プレッシャーが襲い掛かる。

だが二人は驚かなかった、何故なら正体を知っている。
日頃奇妙奇天烈な言動を繰り返し、とぼけた顔をするウマ娘。
だが実態は全ての不運悪運を粉砕するような、強烈な末脚の持ち主、それは、

『大外からマチカネフクキタルッ！　フクキタルが突っ込んできたァッ！』

集団最後尾に居たはずのフクキタルが、ここに来てスズカとリョテイを射程へ捉えた。
彼女の末脚は尚も加速し続け、これまでの遅れを一瞬にしてなくしてしまう。

（来やがったなフクッ！　普段通り、もっとケツで大人しくしてろ！！）
（このレースだけは、絶対スズカさんにも、リョテイさんにも負けませんっ！！）

マチカネゼンセイキキタル来たな…

今は気の抜けた表情も消え失せ、フクキタルは勝利を貪欲に求めている。
それはスズカやリョテイにしても変わりはない。余裕などかなぐり捨てていた。
全員が歯を食いしばり、残る脚を燃焼させる。
そのまま三人は完全に後続を引き離し、そして

『二百を切ったァ！　そして並ぶ、並ぶ、並ぶゥゥゥ！！！』

キンイロリョテイ、マチカネフクキタル。
ついに二人が先頭に立つサイレンススズカの牙城に脚を踏み入れた。

だが知った事かと、スズカも全力でゴール板目掛けて駆け続ける。
鎬を削る三人。たかが模擬レース、G1でもなんでもない。
だが勝利の重みに変わりはなかった、故にリョテイは悲鳴にも似た咆哮を上げた。

「負、け、る、かぁ！　花嫁衣裳は――――花婿は！　オレのもんだァァァ！！」

　
　
　・　・　⏰　・　・
　
　

言っちゃいましたね…

レコード出てそう

どうなったんだ…

「……オヤジ、すげぇ事叫んでんぞ。どーすんだよオイ」
「絶対に気付いてないっスよ、アレ〜……」
「ねぇドリジャは先に帰って何も聞いてない、って言っといてくんない？」
「どーだよトレピッピ〜、今どんな気持ち？　ねぇどんな気持ち〜？」
「リョテイ……お前……」

ゴールドシップに肩を叩かれるも、何処か音が遠い。
普段全力を出さない事を課しているリョテイの走りに、視界が滲んだ。
軽く成績の補填程度のつもりで勧めたものだが、彼女の本気に胸を打たれる。

あのキンイロリョテイの心を動かす事が出来たのだから。

　
　
「そんなに記念写真撮りたかったのかぁ……」

「「「「クソボケが――――ッ！！」」」」
　
　

このくらいのクソボケで良いんだ…

遅くなったけどまだ6月だから許してくれるね
もっと熱いレース描写をしたかったが、適性がないので失礼する

誰が勝ったかは、それぞれの想像に任せるね
ちなみに三人全員覚醒して、実力も精神力も最盛期とする

リョテイの本気で走る姿見たらまあ泣いちゃうよねそうだとしてもクソボケがーッ！！！

余りのクソボケ具合にめまいがしてきたよ！

ブライダルイベントのやつってことはばっちりカメラ回ってるわけだが…

ク　　　ク
　ソ　ソ
　　ボ
　ケ　ケ
が　　　が

>ちなみに三人全員覚醒して、実力も精神力も最盛期とする
気軽に放火

見応えのあるレースなのは間違いないが…

ク

ク
　ソ
　　ボ
　　　ケ
　　　　が

これくらいクソボケなトレちゃんじゃないと毎回プールで助けに行かないし…

そんなに雑誌に乗りたかったのか…

>ちなみに三人全員覚醒して、実力も精神力も最盛期とする
開戦の狼煙を上げるのはやめろ！！！

見てスペちゃん。
可愛いわね

ク
　ソ
　 ボ
　ケ
が

めちゃくちゃドレス似合うのは間違いない

あのクソボケどうにかならないですかスズカさん

そうか！スズカ相手には本気で走りたがるからなリョテイは！
今度もまたスズカが出るレースを目途にして見るか

リョテイにはチャイナドレスも似合うと思う

虎よ、虎よ！で見たようなクソボケがたくさん集まってきた

>あのクソボケどうにかならないですかスズカさん
「本当スズカは走るの好きだな…本戦前の練習がてらの模擬だから軽くでよかったんだぞ？…？何で怖い顔してるだスズカ？スズカ？！」

奇を衒わずに真っ白なウエディングドレスで直球勝負が一番効く

>見応えのあるレースなのは間違いないが…
最盛期のサイレンススズカ、マチカネフクキタル、キンイロリョテイがそろい踏みのレースとか神か

フクちゃんも古馬で大舞台走れたらなあ…
成績だけだと菊だけの一発屋になってしまうのが

この後目撃者全員ダートに埋めるんですね

おうおやじー
このゴルシちゃんがこんなドリンク用意したぜー
ハチミツで作った微炭酸なんだけどよぉトレーナーと一緒に飲んでくれよな！

フクキタルは勝手にレース登録したのがトレーナーにばれて説教中

大丈夫？メジロブランドとかじゃないよね？

クソボケすぎる…

>ハチミツで作った微炭酸なんだけどよぉトレーナーと一緒に飲んでくれよな！
ハネムーン来たな…

オチに使われるリョテイ組

>フクキタルは勝手にレース登録したのがトレーナーにばれて説教中
（どうして一生懸命走ったかは察しているので怒らない）

顔を伏せ、全力で走って荒くなった息を整える。
結果は写真判定にまでもつれ込んでるらしい。
模擬レースなんだから全員勝ち、ってことにはなんねぇよな。
ついでに言や、スッキリしねぇ。と、芝に影が掛かり、顔を上げる。

「こうして本気でやり合うのは初めてかしら」
「本気？　今日は流すだけって言ったろうがスズカ」
「そう、じゃあそういう事にしておいてあげる」

クスクスとすまし顔で笑うスズカに鼻を鳴らす。
けっ、さっきまでてめぇも鬼の形相で走ってただろうが。
だが秋天からの事や色々な事含めて思えば、感慨深くもある。
そう、だから笑い話なのかもしれない。

ちらりと視線をラチに向けると、生モノが引っかかってた。

そんなに好きなら普通にプロポーズしてウェディングドレス着りゃいいんじゃないすかね

>そんなに好きなら普通にプロポーズしてウェディングドレス着りゃいいんじゃないすかね
それが出来ないからこうなっている

フクトレはフクにアイアンクローした後ため息ついてビシッとタキシード着てくれるはず

これにはキンイロ組も苦笑い

クソボケすぎて若い衆が暴走しません？

トレちゃんが…

逆にどのシチュならこの平行線が交わるのか気になる

全力を出し切って燃え尽きたフクだ、最早立ってられないらしい。
レース中と今とのギャップ差に呆れつつ、肩を貸して引き起こす。
見捨てても良かったが、流石に古い馴染みだ、寝覚めが悪い。

「ううう、すみませんリョテイさん……」
「謝るくらいならヘバんじゃねぇよ、っと」
「片側持つわね」
「おう、助かる」

いつの間にかスズカも来て、フクの肩を持ち上げてくれていた。
流石にオレ一人だと引き摺っちまうしな。
とりあえずゴルシ達がいる辺りまで連れて行く事にして、

「……おい何やってんだトレちゃん？」
「おお、リョテイ！　それにサイレンススズカ達も、ささっ早く早く！」

リョテイトレは「そっかぁ〜〜！リョテイにも花嫁願望があったかぁ…！あいつはいいお嫁さんになるぞ！」って一人で勝手に感極まってウンウン頷いてる
（こいつクソボケだ）って確信するキンイロ組

リョテイ優しい…

古びたカメラを構えるトレちゃんに急かされ、集められる。
すでにゴルシやドリジャ達も身長順に並ばされていた。
んだよ、これ。

「折角いいレースをしたんだから、記念撮影くらいいいだろ？」
「いいじゃんオヤジ！　撮ろうぜ写真！」
「そうっス、撮るべきっス」
「まぁいいけどよ……んじゃトレちゃんも来いよ」

なんか自分だけ無関係の撮影係気取ってやがるが、そんな訳行くか。
通りかかったオペラオーにカメラを投げつけ、トレちゃんを引き込む。

「……むしろボクの姿を撮影すべきでは？」
「うるせぇ、寝言は寝てから言いやがれ。ほら早く撮れよ」
「はいはい」

皆可愛いな

いいね…

なんだかんだ合わせてくれるオペ好き

私こういうの好き！

やっぱり同期はいいね

はい笑ってー、と言われるが、ふと気付く。

今オレ、トレちゃんと腕組みしてない？
ピッタリ密着してと自覚して、顔が熱くなり逃げ出したくなる。
だが真横に立つドリジャが邪魔して動けねぇ！

「オヤジ、写真だって」
「いやけど！」
「いいからいいから！」

背後のゴルシに肩を押さえつけられ、しぶしぶ前を向く。
そうこいつらが邪魔したから、オレは仕方なくトレちゃんの隣に……。

そう呟いて、そっと頬をトレちゃんの腕に寄せた。
正直疲れていたのもある。そして……気を遣われたのも分かる。

リョテイさん一人だけウェディング衣装が黒だったりするやつ

実装されてたらリョテイさんスズカフクで97世代の3バカ扱いになっていたんじゃないだろうか
タイキは煽る役でドーベルは呆れ役

ｷﾃﾙ…

キブリキンイロ組いい…

正面ではオペラオーがニヤニヤと笑ってやがるが、まぁ今は許そう。
写真係の駄賃と思え、命拾いしたな。

わいわいと騒ぎながら、じゃあ撮るよと歌劇王の美声が届く。

どこか抜けた強敵たち。
からかってくる可愛い舎弟共。
そして、オレを支えてくれる相棒。

青空の下で、輝く光の中にこの一瞬を切り取った。
　
　
後日、トプロが最終直線でオレが無意識に叫んでた事を煽りやがった。
だからダートに埋めた。他の連中は……まぁ忘れろの注意で済ませてやった。
記念撮影してなかったら、埋めてたぜ。ったく。

>リョテイさん一人だけウェディング衣装が黒だったりするやつ
トレーナーにはシルクの白タキシード着てもらおう

終わった…よかった…

またトプロがー！

同期皆のアルバムに絶対あるやつじゃん！

という話があったのよスペちゃんはいこれその時の写真
可愛いでしょ？

めっちゃよかった…ありがとう…