…でもそんな余裕もアッという間に無くなっちゃった
ゲートに並んだ時に飛び入りでやってきた飴を舐めているあの子
アナウンサー体験の人はカフェさんって言ってたけど…どうして名前を間違えちゃったんだろ？
その子がとても速そうに見えたから…わたしも負けてらんない！


レースが始まるとわたしはいつもの様に先頭になるよう走り出した
ダートを走るのは得意だもん！このままずっと前に居て走り続ければ勝てる！
トレーナーといっぱい考えていっぱい練習したわたしの走り！
……だから自信はあったんだ……

『ドゴォン』
後方から突然大きい音が響いた
『ドゴォン』
地面がぐらぐらと揺れている

『ドゴォン』
後ろから皆の声が聞こえた
驚いている声…怖がっている声……泣いている声…
『ドゴォン』
音が近づいてくる
一生懸命走っているのにどんどん…どんどん…

後ろの確認のために振り向こうかと思ったんだけど
もうその時にはその必要もなくなっちゃったんだ
あの子があっという間にわたしの横を通り過ぎて行ったの

黒い髪をなびかせて…勢いよく…ワザと自分に合わないような走り方で
あの子はわたしを追い越して先頭になった
大きい音はわたしの前で響くようになって…胸をぎゅ〜っとさせるような…そんな気持ちになったんだ

でもね！思い出したの！この気持ちは前もあったなーって
キングちゃんのレースを応援しに行った時なんだけどね
もしわたしもあそこで走ったら…って考えたことがあったんだ
皆一人一人が色んなモノを背負って一生懸命走ってるあのレースで…わたしだったら…って
その時皆の顔を…キングちゃんの顔を見たらぎゅ〜ってなったの

だからこれは…この気持ちは…


「んぃ〜〜〜〜っ！」

走るんだ！あの子に追いつくんだ！
じゃないとあの子に走るの楽しいねって言えない！
一緒に走ってくれてありがとうって言えない！
この気持ちは多分そのためにある！

走り終わってみれば2着
結局あの子に追いつくことはできなかったーザンネン
でもでも！トレーナーが言ってくれた「走る楽しさ」はしっかり感じたよ！…ちょっと最初の頃のとは違うけど

早速あの子に駆け寄って一緒に走ってくれてありがとう！凄い走りだったね！って言えたんだ
そしたら驚いたような表情を見せた後「アメリカの土とは違う」って呟いてたの
いつもと違うからあえて変な走り方したのかな？りゅーせんけー？が綺麗な足だし本当の走り方は……


わっぷ！しゃべっている途中で服をつかまれちゃった
あの子が急に服を引っ張ってわたしを引き寄せて顔を近づけてきたの…おでことおでこがくっついてるぐらい

何かとても怒って……ううん…憎んで…悲しんでいる目をしている…
わたしの目を見ているのに…わたしに向けているんじゃない
わたしの目の奥の奥……とてもとても深いところ…そしてわたしの目に映るこの子の目の奥の奥

なんで悲しんでいるのかわからない
でも……わたしの目の奥にある…何かがこの子を悲しませているのならわたしも悲しい
「わたしは…今幸せだよ？キングちゃんもライスちゃんも…トレーナーも一緒だもん」
「…ッ」
そう言うとその子はパッとつかんでいたわたしの服を放した
「あなたは…今…………日本に来て幸せ？」
その質問にさっきと同じように目を見開いちゃった…また驚いているみたい


レースが終わってからずっと周りは静かだった…小さな声で話してるのとかはあったけど
「ウララー！」
だからその声はすぐに聞こえたんだ
「あっトレーナー！」
わたしのトレーナーが遠くからわたしを呼びながら走ってくるのを見つけちゃった

わたしがトレーナーに手を振っていると隣に居たその子はそのままどこかに歩き出していた
「…ねえねえ！」
後ろ姿のその子にもう一つ質問してみる
「アメリカではダートをいっぱい走ってたの？」

その子は少しだけ歩く足を止めて
「……芝もやった」
それを聞いてわたしはまた胸がぎゅ〜ってなった気がした

「わたしも！わたしも走るね！次は負けないよ！」

その子は…ほんのちょっとだけ首を後ろのわたしの方に向けた
髪に隠れて顔は全然見えなかったけど…口がニィ〜ってしてたのは見えた
「にぃ〜っ」
だからわたしもいっぱい…いーっぱい！口を広げて笑い返してあげたんだ！

「ウララー！大丈夫か！」
トレーナーが息を切らしてこっちへとやってきた…お仕事はいいのかな？
「なんか凄い音がしたから慌てて…怪我！怪我はないか！？」
トレーナーは心配そうにわたしを見つめる
「大丈夫だよトレーナー！今のレースもね！すっごい楽しかったんだ！」
「…………そうか…それならよかった」
トレーナーはわたしの手をぎゅっと握ってくれた…震えていたのはその時気づいた…何も言わないでわたしに微笑んでくれる
「ねえトレーナー」
「うん？」

「わたし…やっぱり有マに出たい…」
「……わかった」
冬の寒空の下で春花が咲き乱れるような…そんな奇跡を…

私は求め走り続ける

え？ウララさんをわたくしの街に？
もちろん！あの子もトレーナーと一心同体なのでオールオーケーですわ！

げぇ！メジロシティ！?

強者感がすさまじい方のカフェか
いや実際強者なんだけど

>え？ウララさんをわたくしの街に？
>もちろん！あの子もトレーナーと一心同体なのでオールオーケーですわ！
何してくれてんの！？

ウララも人に振り回された馬生だったからってことかな
ニチヨーさんのは

むぅ強制ハッピーエンド装置メジロシティ…!

ワルウララならシティの怪文書があった気がする

SSさんメジロシティに出資してそうだしな

かっこいい怪文書かと思ったらちくしょう！

>ウララも人に振り回された馬生だったからってことかな
おじきとウララってなんか関係性あったっけと思ったがなるほどな

1位を望まれなかった子と言うのは色々刺さるウマ娘も多いわな
いやウマ娘なんだから望まれてないわけではないか

SSさんは自分の事心配してくれる子とかには優しいからな…

私
性
合

この怖い方のカフェってパワータイプじゃなくてしなやかな走り方だったのね
体も小さかったらしいしそりゃそうか

>体も小さかったらしいしそりゃそうか
と言うよりライバルがイケメンで体も大きかった

というか知ったらタキオンが脂汗ダラダラになりそうな…
基本あの人の相手出来るのマックイーンくらいだし

ではディクタストライカを…

ウマソウルでは悲惨な目にあっても今は穏やかだったと言う意味で共通点がある

まあこの対応はウララしかできないだろうな…

ちょっとキンイロリョテイさん呼んでこなきゃ…