二次元裏@ふたば

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365822 B21/06/25(金)23:00:35No.816989453そうだねx5 26日00:01頃消えます
けたたましくなるスマホの着信音。画面には「ねーちゃん」の表示。
今日は土曜日。オフということもあり前日にこれでもかと走りこんだので、体はまだまだ眠りを欲している。しぶしぶと着信のアイコンを押す。

「…もしもし。」
「ブライアン?!」

慌てたような声が耳をつんざく。頭はいつもデカいが想定外のことが起きると声までデカくなる。いつものことだ。

「…朝っぱらからどうした騒々しい。」
「どうしたもこうしたもあるか!実は私のところに…」
「長くなるならメッセージで送ってくれ。私はまだ眠い。」
「お、おいブライアン!ブライアン!!」

電源ボタンを長押しし、真っ黒な画面が寝ぼけなまこの私の顔を映す。どうせ他愛もないことだろう。そんなことで私の安眠を妨げるな。すこし乱暴にサイドテーブルにスマホを置く。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
121/06/25(金)23:01:12No.816989721そうだねx4
カタンッ
…もぞもぞ
「うおっ!!!???」

安眠はどこか遠くへ消え失せた。
221/06/25(金)23:01:59No.816990058そうだねx4
私のルームメイトは今、長期遠征にでている。帰ってくるのはまだまだ先のはずだ。

なのに、それなのに。誰もいないはずの向かいの布団の下で何かがうごめいている。その場しのぎに護身用の蹄鉄片手にしばらく観察したが、大きさを見るに人ではない。大きめの動物かなにかだろうか。目を閉じ、深呼吸をして意を決する。恐る恐る布端をつかむ。

「でぇぇぇい!!」

布団を一気にめくるとそこには
「むー…むー…!」

ジタバタと苦しそうに暴れる白い毛玉がいた。
321/06/25(金)23:02:40No.816990336そうだねx2
「姉貴…じゃないよな。」

毛玉を解きほぐすように櫛を入れながら、ひとりつぶやく。さっきかかってきた電話は間違いなく姉貴からのものであったし、なにしろ大きさが本物の3分の1程度しかないうえ全く覇気を感じられない顔。これを本人だというのは無理がある。とはいえこの白いモサモサの癖っ毛に赤ぶちメガネ、そして紫ベースの勝負服。特徴は実物そのものだった。

「まったく自分の髪で息ができなくなっていたとはな…私があそこで起きていなかったらどうしてるつもりだったんだ。」

「たすかった…。」

ムフーと息を吐きながら、なぜか湿り気を含んだしっぽが体にペシペシと当たる。喜んでいるのか感謝しているのかわからないが、敵意は向けられていないようだ。

「もしかしてオマエ、あのタヌキの仲間か?」
421/06/25(金)23:03:18No.816990598そうだねx6
「そうだ…。」

こくこくと頭を揺しながらつぶやく。やはりそうかと納得した。私がいつものように屋上で昼寝をしているときに、いつのまにか胸を枕にして寝られていたことがある。思いがけず払いのけてコロコロと転がって行った後、ポテポテとどこかへ逃げて行ってしまったが、あの大きさと表情には、コイツとカブる部分が多々あった。どうやら最近、サイレンススズカの部屋や学園周辺を根城にしてどんどんと数を増やしていると聞いたことがあったが、まさか私の部屋に出てくるとは…。

さてこれからどうしたものかなと考えていると、

くうぅ〜

腹がなった。

「…朝飯、まだだったな。」
521/06/25(金)23:04:36No.816991199そうだねx7
休日でカフェテリアも開いていないので、手っ取り早く白飯とみそ汁、そしてレトルトのハンバーグを用意していると、寝間着をクイクイと引かれた。
「…クラシアン…クラシアン…。」
「は?」
「クラシアン…。」
「私のことを言っているのか?私の名前はナリタブライアン、だ。いってみな。」
「クラシアン…。」
「だからブ・ラ・イ・ア・ンだと…」
「ク・ラ・シ・ア・ン…。」
「ええい!らちがあかん、なんだ?」
自分にもなにかくれ、とでもいいのだろうか。

「…やさい…たべろ…。」
「…姉貴みたいなことをいうなタヌキが!」

ずっこけそうになった。
621/06/25(金)23:05:07No.816991414そうだねx5
たぬきにまで説教されてる…
721/06/25(金)23:06:15No.816991949そうだねx2
「オマエ、なにか食べなくていいのか?」
「…やさい、たべろ…!よくかんで、たべろ…!」
何も手をつけず、目を吊り…上げているのか?わからないがこちらをじっと見てくる。これでは姉貴と飯を食べている時と大して変わらない。こんなところまで似ているとは。やれやれと頭を振った。
ぐうぅ〜と腹がなった。私ではない。タヌキだ。見つめていた顔が伏し目がちになる。
「なんだ、やっぱりオマエも腹が減ってるじゃないか。…ハンバーグ、食べるか?」
「いらん…。」
「チッ人の好意を…。じゃあ飯あまってるからよそってきてやるぞ。」
「いらん…。」
「じゃあ何が食べたいんだ!?」

「…バシチ…。」

「え?」
「バシチをくれ…。」
「…なんだそれは?」
821/06/25(金)23:07:10No.816992342そうだねx2
部屋にあるものを手当たり次第にこれかこれかと出してみる。ポップコーン、ポテトチップ、プリン、カップケーキ…。しかしどれを出しても

「ちがうぞ…。」
と、ぺチリと払いのけられた。しまいには
「バシチ…バシチ…。」
とじたばた暴れ始めた。

「だあああっ!バシチなんて食い物は無い!」
「あまいのだ…。きゅーしゅーりつがいいんだ…。」
「チョコレートのことか?」
「ちがうぞ…。おかしばっかりたべるな…クラシアン…。」

プツン。

何かがキレた。
921/06/25(金)23:08:07No.816992755そうだねx3
「いい加減にしろ!…私はもうしらん。」
「っ…クラシアン…。」
「うるさい!」

タヌキをつまみ上げ、放っぽってあったのスポーツバッグに押し込む。もはや私の手に負えない。アマさんに助けを求めるか、いや餅は餅屋でサイレンススズカのところへいくか、それとも…。
しばし考えていると、スポーツバッグから出ていたお尻のしっぽが激しく揺れた。まさかまた髪の毛が絡まって…。

「おい!」

急いでジッパーを開けて持ち上げると、とそこには


「バシチ…バシチ…!」

運動後の栄養補給にと入れておいたバナナを抱えながら、満面の笑みをたたえているタヌキの姿があった。
1021/06/25(金)23:09:16No.816993253そうだねx3
「バしち…バ七ってことか…。」
一心不乱にバナナをむさぼるタヌキを見ながらフン、とひとり笑う。

『お姉ちゃん、黒いのが後ろから追ってくるよ…!』
『落ち着けブライアン、その黒いのお姉ちゃんにもあるぞ。』

ふと幼いころの思い出がよみがえってくる。影すらも恐れていたあのころ、こんな勘違いはよくあったものだなとぼんやりしていると、タヌキがジタバタし始めた。手が届いていないが胸をたたこうとしている。顔色がみるみる勝負服のように紫色になっていく。

「バカ!がっつきすぎだ!」



チューチューとジュースを飲み、プハーと息をつく姿にホッと胸をなでおろしていると、タヌキがモジモジしながらこちらを見てきた。
「…ありがとう…。」
1121/06/25(金)23:09:23No.816993295そうだねx8
>餅は餅屋でサイレンススズカ
嘘でしょ…
1221/06/25(金)23:10:37No.816993902そうだねx3
「…よせ。偶然用意してあっただけだ。」
「いや…。いっしゅくいっぱんのおんというやつだ…。ありがとう、ブラ…ブラ…。」
「ブラ?」
「…ブライアント…!」
またずっこけそうになった。それと同時に、ククッと笑みが漏れた。言い間違いに笑っただけではない。

___もし私に妹がいたらこんな感じだったのだろうか。

そんなことが浮かんだからであった。

「さて、これからどうしたものか…。」
「…ブライアント…かつじの本はないのか…まんがばっかりよんでると…ダメだぞ…。」
「はいはい。」
タヌキを適当にあやしていると、ドンドンと戸をたたく音がした。
「ブライアン!ブライアン!」
1321/06/25(金)23:12:13No.816994663そうだねx2
「…ブライアント…かつじの本はないのか…まんがばっかりよんでると…おバカになるぞ…。」
「はいはい。」

タヌキを適当にあやしていると、ドンドンと戸をたたく音がした。

「ブライアン!ブライアン!」

たぬ…間違えた姉貴だ。たぬきと姉貴って似てるよな、今度会長に言ってみるか。
そんなことを思いながら扉を開けると、姉貴が血相を変えて入ってきた。髪の毛が膨れ上がっている。ろくに整えずに来たな。

「なんだ姉貴。用件ならメッセージで伝えてくれといったはずだぞ。」
「だからといって電源を切るやつがいるか!ああよかった…。」

その場でヘナヘナと崩れ落ちる姉貴をみて、さすがに決まりが悪いので問い質した。
1421/06/25(金)23:13:51No.816995403そうだねx2
「おい、いったい何があったんだ?」
「実は私のところに…お前になにかあったのか心配で心配で…あの子は泣いてばっかりでろくに質問に答えないし…チョットナツカシクテカワイカッタガ…」

内容に要領を得ない答えだったが、いやな言葉が聞こえた。


「あの子」


おい。もしかして姉貴、まさか。
膨れ上がった髪の毛の隙間から、ヒョコっと頭をもたげるなにかがいた。
黒のポニーテールに鼻のテープ。涙目でずっと「ねーちゃ…。ねーちゃ…。」とつぶやいている。
…タヌキな私が、目の前にいた。
1521/06/25(金)23:14:54No.816995894+
おわり。大昔のクラシアンコピペ思い出して書かずにはいられなかった。
1621/06/25(金)23:17:05No.816996880+
すき
1721/06/25(金)23:17:05No.816996882+
とても良かったのでビワハヤヒデ側も書け書いてください…
1821/06/25(金)23:22:01No.816999071そうだねx6
>サイレンススズカの部屋や学園周辺を根城にしてどんどんと数を増やしている
嘘でしょ…扱いが外来種…
1921/06/25(金)23:23:11No.816999574そうだねx5
> たぬ…間違えた姉貴だ。たぬきと姉貴って似てるよな、今度会長に言ってみるか。
順調に会長に毒されてってダメだった
2021/06/25(金)23:24:21No.817000073そうだねx6
>「…やさい…たべろ…。」
これだいすき
2121/06/25(金)23:25:32No.817000660+
ブライアント…いい選手でしたわね…
2221/06/25(金)23:26:42No.817001187+
>ブライアント…いい選手でしたわね…
コービーの方かもしれないだろ!
2321/06/25(金)23:28:30No.817001980+
たぬきブライアンは溺愛されてそう
2421/06/25(金)23:30:12No.817002722そうだねx5
最近ほのぼの系たぬき話が多くて癒されるし…
2521/06/25(金)23:34:51No.817004842+
こういう女の子と珍生物がほのぼのと生活する話は健康にいいとされている
2621/06/25(金)23:37:00No.817005785+
かわいい生き物すぎる…すき…
2721/06/25(金)23:43:12No.817008531+
ぷちますだこれ!
2821/06/25(金)23:45:09No.817009373+
発端の会長じゃなくてスズカさんとこで増えてるんだ…
2921/06/25(金)23:46:54No.817010057+
ブライアント❤️
トレーシーくん❤️
ビワハヤヒデ(低音)
3021/06/25(金)23:47:38No.817010392+
タヌハヤヒデはハヤヒデとも険悪じゃなさそうな気がする
3121/06/25(金)23:47:49No.817010473そうだねx1
>「…ブライアント…!」
>またずっこけそうになった。それと同時に、ククッと笑みが漏れた。言い間違いに笑っただけではない。
>___もし私に妹がいたらこんな感じだったのだろうか。
>そんなことが浮かんだからであった。
ここ好き
3221/06/25(金)23:49:28No.817011166+
>ブライアント❤️
>トレイバーくん❤️
???「猛牛魂や゛あ゛あ゛」
3321/06/25(金)23:51:37No.817012058+
>タヌハヤヒデはハヤヒデとも険悪じゃなさそうな気がする
妹と仲良くする術を伝授してそう


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