その時になってトレーナーも私の状態に気付いたらしい。
青い顔をした彼に攫われる勢いで病院に搬送され、検査を受けさせられた。

結果は大怪我になる一歩手前。

あと少し気付く事が遅れてたら、どうなっていた事かと医師に脅された。
自分の事は自分が一番よく把握している。
見立てやレース予想から、そう大事にはならなかったと見立てていた。
だから一々大袈裟だなと何処か他人事のように思っていたのに、

「すまないフラッシュ……気付いてやれなくて、すまなかった……」

両膝をついて泣き崩れる彼を前に、私は何も理解していなかった事を自覚させられた。
今でもあの日の事を思い出すだけで、罪悪感で一杯になる。
私は、私だけの力だけでレースを走ってきた訳ではなかったのに。

脚の爆弾が判明し、有馬記念は回避せざるを得なかった。
悔しい思いはある。けれども、

『早く脚を治して、そしてリベンジだ』
『――――はい』

涙を拭ってニッコリと笑ったトレーナーに、私は小さく頷き返した。
それまでも胸に燻ぶっていた熱が、本格的な灯になったのはこの時だろう。

そして同じくして、私と彼との間にこの習慣が始まった。
トレーニングの後の疲れの溜まった脚を、ゆっくりと揉みほぐす。
足裏から膝までを丹念に。

「ふぅ……」
「大丈夫ですか？　今日はもうこれくらいで……」

「いいや、まだ大丈夫だ！　それにタイマーもまだ鳴ってないだろ」

額に汗を滲ませながらトレーナーはまたマッサージに戻る。
ウマ娘の発達した筋肉を解すのは、かなりの重労働だ。
にも関わらず、こうして献身的に接してくれる。

あまり長々としても効果が出るものではない。
それよりは毎日すべきだと医師からは指導を受けている。

そっとタイマーに視線を向けた。
設定時刻は医師に言われたものよりも、少しだけ延長済み。

「はい、まだ時間は残ってますね」

呟きながら私にトレーナーの大きな掌が触れ、指が私の肌を貫く感触を味わう。

几帳面で、自他共に厳しいエイシンフラッシュ。
……過ぎた評価だ。

だって本当は脚の調子は随分前から完治している。
医師は不調を心因的なものだろうと言っていたが、的外れだ。

（だって痛くありませんから）

調子はいい、本格的なレースにも参戦できるだろう。
けどそうすれば、彼との時間はどうなる……？

胸を抑え、口の端を噛んで痛みを誤魔化す。
そう。
私は今日もまた、彼と時間を独占するために、嘘を吐くのだ。

共に歩んできたトレーナーの情熱に焼かれてバグが生じたエイシンフラッシュ
しかし適性がないので失礼する

おい待てぇ、お礼まだ言ってないだろ。ありがとう

真面目な娘が卑しくなっていく過程がそんなに良いっていうんですか！？
私は好きです！報告は以上です！

おい待てェ
貴重なエイシンフラッシュ怪文書のお礼がまだだろうが
どうか受け取って欲しいもう一本いこう💉

堅物生真面目な女の子が、意中の相手に暗い独占欲と卑しさを見せるようになるのは芸術品ですよ！

痛みが治った事で別の痛みが出てくるのは最高ですね...

月並みな感想だけどとてもいいと思う…

少しくらい卑しくてもいいじゃないのさ

カタログで脹相の話かと

>どうか受け取って欲しいもう一本いこう💉
ｳｯ

ちなみにこの卑シンフラッシュは噓がばれても
「ごめんなさい、貴方との時間を失くしたくなくて……」
とか本音を言いながら泣けば、許されるし結ばれて一石二鳥！
程度の計算はしてる、その卑しさで胸が膨らむ。

またバレなくても、ある程度で奇跡の復活劇を遂げて
「私は貴方がいないと駄目みたいです」
とか言って、専属契約続行する腹でいる二段構え。

ああああ打算的でどこまでも卑しい子すき！

最初にトレーナーへ言った言葉に囚われて自分から踏み込めなくなったエイシンフラッシュが見たいわ！

なるほど優秀な産駒のようだ
もう数本いこうまた君の書く怪文書を楽しみにしてるよ💉💉💉

自分の卑しさに罪悪感を抱えてるんだろうな…

2人が幸せなのでOKです

>2人が幸せなのでOKです
まだ本音で語り合えてないからなぁ…

トレーナー側もいつしかマッサージに邪念を抱いちゃったりしてるともっとすき

>もう数本いこうまた君の書く怪文書を楽しみにしてるよ💉💉💉
>最初にトレーナーへ言った言葉に囚われて自分から踏み込めなくなったエイシンフラッシュが見たいわ！
ｳｯｳｯｳｯ
脚の嘘にまだ信憑性がある間に温泉旅行券が当たると
「湯治は昔から筋肉をほぐす効果があるとされていますね。連れて行ってくれませんか」

ねぇトレーナーさん？　と言って『男女で温泉は』という反論を封殺。

そのまま温泉に行ったら、湯当たりしたフリをして
「すみません、部屋まで肩を貸していただけませんか？　それに脚も……」
とか言って、着崩した浴衣姿で夜の寝室まで案内させちゃう。

部屋に着いたら転んだ振りをして布団へシュート！
断られたら事故で済ませて良し、ドキドキし出したら「私、貴方ならいいですよ？」でとどめ。
どう転んでも美味しい、溺れそうな息苦しさを覚えるが

これは賢さ1200ですね…

頭で考えていても行動に移せるかは別なんだよな…

>頭で考えていても行動に移せるかは別なんだよな…
いざ実行しようとするタイミングで噛み噛みになるエイシンフラッシュだなんて…

わるい子いいよね…

無茶苦茶打たれてて駄目だった

打てば響くとはこういうことか

>いざ実行しようとするタイミングで噛み噛みになるエイシンフラッシュだなんて…
これ良いね…もう時間ないからまた機会あったら書いて欲しい

>トレーナー側もいつしかマッサージに邪念を抱いちゃったりしてるともっとすき
>>頭で考えていても行動に移せるかは別なんだよな…
>いざ実行しようとするタイミングで噛み噛みになるエイシンフラッシュだなんて…
「はひゃっ！？」
「す、すまん！」
少女の悲鳴に我に返る。
浴衣が開け、豊満な胸が垣間見えそうになっているフラッシュから飛び退いた。
だが柔らかな肌、熱い吐息、そしてこれまでの思い出に股間が反応している。
くそ、情けない。トレーナーがウマ娘に邪な思いを持つなんて……。
なにより信頼を向けてくれている彼女への裏切りだ。
「ごめん、部屋に戻……「い、行かにゃいで……」……へ？」
頬を赤らめ、涙目になったフラッシュに手を惹かれる。
「わ、私、貴方となら一緒に居たい。公私、ど、どちらでも」
トレーナー……いえ貴方は？　そう問われて、自分は、オレは……！！！

良い…