「はぁはぁっ…くそっ」
悪態をつきながら庭園に付く
辺りを見渡せば思ったよりも簡単にその人影を見つける事ができた
茂みに隠れるように佇む黒髪のウマ娘の後ろ姿がそこにあった
たしかに遠目からはあれはマンハッタンカフェに見える……だが…

「相変わらずクソな威圧出しやがって…！」
ビビってたら一瞬で足をすくわれそうなあの雰囲気
何しに来たんだと怒鳴りながら突っ込む覚悟を腹の内に決める

しかし
「…………」
「……えぇ……まぁ……」

どうやら誰かと話している最中だったようだ

しかもこの声は聞き覚えがある
足を止め木の陰に隠れながら覗いてみれば…
「トレちゃん…！」
オレの担当トレーナーがアイツと話していた

「……っ」
嫌な予感どころではない…最悪の末路が頭を廻った
廻ったが……それもすぐ落ち着く…
オレのものに手を出すつもりなら誰だろうと潰す
それだけだ

オレは再び前に出ようと足を動かした…が…
「え？また言うの？」

トレーナーの能天気な声に再び足を止めた
そう言えばそもそも何を話しているんだ？

「えー…コホンッ」
ワザとらしい咳払いをするトレーナーの顔を見つめる
その表情は……あぁ……オレの惚れた男の真剣な顔だ
「彼女は…キンイロリョテイの物語はこれで終わるわけではありません
　この黄金の旅路はきっと続く…それこそ彼女が走らなくても…
　自分はそれを支え…共に歩み…時には先に進み手を差し伸べて…彼女の物語を見ていきたいと思います」

これは……聞いた事がある
「どうかな？この前のインタビューのセリフなんだけど」
トレーナーは心配そうに黒髪のウマ娘に問いかける
真剣な顔も消えた……ははっ……オレの惚れた男の情けない顔だ

「これリョテイにはキザッたらしいセリフだって不評だったんだよ」
当たり前だ！それを横で聞いたオレがどれだけ必死で笑顔を作り続けてたと思ってやがる！
もう少しで全国に赤面して緩み切った顔がオンエアされるところだったんだぞ！
「……いやいや確かに飾った言葉だけど本心のつもりだよ…あの子が許してくれる限りついていくさ」
あーもう！あーもう！

なんでそんな話をソイツとしてるんだトレちゃんは！
いい加減乗り込むか！？いや…どうする！？

そんな感じで迷っていると再びトレーナーの声がする
「えっ！！？何で！？」
彼が驚いた表情を作っているのを見た瞬間
こちらの頬を温めていた血の気が一気に下がったのを感じた

アイツ一体何をしやがった
よく見るとトレーナーは何か書類を眺めている
さっきまでは持っていなかったはず……アイツが渡したのか

「いきなりこんなのを貰っても……はぁ……しかし……」
顔を青ざめて困惑しているのを見るに想定していなかったものが書かれているはずだ
……アイツが他人に渡す書類なんて大体ろくでもない物なのは知っている
「わかった……はい……」
トレーナーは苦笑い…ひきつった笑いをしながら何度も書類を眺めていた

「……」
別れの挨拶したのだろう
ヤツはトレーナーに軽く会釈すると踵を返して立ち去ろうとする

……そう…オレの方に向かって

「っ！」
ヤツはオレが見ていた事なんてとっくに気づいていたのだろう
悠然とこちらに向かって歩いてくる

その姿は確かにマンハッタンカフェに似ている
だがあの額の流星…この威圧…
これがカフェのそっくりさんだなんて言ったらカフェの方が可愛そうだ

この迫力にはオレでも半歩下がってたじろいでしまうだろう
……まぁ…昔だったらな

ヤツに向かって睨み返す
当然だ…こいつはオレのトレちゃんにちょっかいを出しやがったんだ
恐怖心よりも大切な気持ちが今のオレを動かしている…怯んでいる場合じゃない

しかしこちらの気持ちなど関係ないかのようにヤツは歩みの速度を変えない

ドンッとわざと肩をぶつけてきたと思ったら
「……」
何も言わずただ不敵な笑みを浮かべるだけ
そのまま茂みから抜けてどこかへ歩いて行ってしまった

「……挨拶も無しかよ」
すぐさま追いかけたかったが…今はヤツよりもトレーナーの方が心配だ

「トレちゃん！」
まだ書類を眺めていたトレーナーに大きく声をかけて駆け寄る
「あぁ…リョテイ……」
彼は相変わらず青ざめた顔をしていた

「無事か！？ヤツに何を渡されたんだ！？」
「え？あぁ…カフェにか？」
トレーナーの方は未だにヤツをマンハッタンカフェと勘違いしているようだった

「トレちゃん…その…アイツは…実は…」
「いやな…こんなの貰っちゃってさ…なんていうか…」
訂正を入れる前にトレーナーの方が書類をこちらに渡してきた
とりあえず先に書類の方を確認しようと手を伸ばそうとすれば…

クシャ

「ん？」
いつの間にか自分の手の中に紙切れが握らされていた
困惑することも無いだろう…こんな芸当はアイツしかできない

書類を受け取りながら紙切れの方にも目を移す
「…元々そのつもりではあるし…予定を早く作ろうとは思ってはいたんだ」
「……」
「ただな…これはちょっとやりすぎと言うか…何でカフェがこんなの用意してくれるのか…しかも自分も参加すると言ってくるし…」

紙切れには小さく文字が書かれていた
『手放すな』

「リョテイってカフェとそんなに仲良かったんだな？」
書類と紙切れ両方を見て…いい加減オレの精神が限界を迎えた


「待てやぁ！！クソ親父ぃいいいいいいいいぃ！！！！」
書類をトレーナーに押し付け
ヤツを…親父をブン殴るためにオレは勢いよく駆け出した

■■■■■■■■■様宛『一心同体ブライダルプラン』ご予約案内


・メジロシティ三女神教会貸し切り
　・チャペル挙式セッティング一式
・メジロホール貸し切り
　・披露宴会場セッティング一式
　　・お2人専用ブライズルーム（ベッド・シャワー付）、親族控室有り
　　・装花、引き出物は別紙記載
　・グランメゾンOiseauVert考案創作フレンチ（ドリンク飲み放題付き）
　・パティスリーメジロ監修1007mmタワーケーキ 4点

・ウェディングパレードコース
　・風船、紙吹雪込み
　・メジロ中央通り交通規制及び周辺の交通整備
　・メジロモーターズ設計パレード用装飾車両（マジックミラー機能搭載）
・メジロタワー最上階スイートルーム2泊3日プラン
　・アメニティ、冷蔵庫完備（一心同体向け小物一式、ウマピョイZ�U凛含む）
　・シンボリルドルフ著「ウマ娘に送る上手な甘え方」全3巻
　・電話によるスタッフサービスは別紙記載
・新婦衣装
　・MEZIRO　オーダーメイドウェディングドレス　6点（追加注文可）
　・MEZIRO　オーダーメイドクロッチレスランジェリー　6点（追加注文可）
　・その他小物一式
・新郎衣装
　・MEZIRO　オーダーメイドタキシード　小物一式

・その他当日までご注文承ります

・担当者ご挨拶
「わたくしメジロマックイーンは、懇意の友人である■■■■■■■■■様の
　ご息女の一心同体を祝う晴れの日の舞台を、全身全霊を持ってサポートいたしますわ！
　思えばわたくしとその一心同体である旦那様との挙式は何とも質素で、それでも暖かみのある
　――――（略）――――
　今ならその挙式も幸せだったと思いを馳せ、先日旦那様との24回目の一心同体挙式をいたしました
　この気持ちは全世界の一心同体のパートナーを持つ者に必要な事でしょう
　さあ黄金の旅路を盛り上げていきますわよ！！」

>先日旦那様との24回目の一心同体挙式をいたしました
何してんだよマックちゃん…

最後までほんの一欠片もメジロシティと思い当たらないメジロシティ初めて見た

なんで気ぶってるのそっくりさん…

例の気ぶり親父
色んなウマ娘のとーちゃんである

見てスペちゃん
あれが本気で走っているキンイロリョテイよ
速いわね私も走りたくなっちゃった

しまった！またメジロシティか！

スズカさん？あれ私たちのお父ちゃんですよ

良かった…不穏な話じゃなくて良かった…

真っ赤な顔して全力ダッシュしてるんだろうなリョテイさん…

スペちゃんのお母ちゃんが見たら殴りに行きそう

キレた空気出してる癖に子孫とマックイーンには優しいんだなみんなのパパ…

マブダチの頼みですからプランはバッチリですわ〜

メジロ注文書の量がえぐい

芦毛性癖開祖のヤクザ

てっきりカフェを乗っ取ったかと思ったが似てただけか

最後まで読んだらなんか真顔で女握りしてるカフェのそっくりさんの絵が浮かんだ

>キレた空気出してる癖に子孫とマックイーンには優しいんだなみんなのパパ…
さんざん言われた自分に瓜二つと言われるカフェには同情すらしてるかもしれない

そういやマックイーンとめちゃくちゃ仲いいんだったなカフェのそっくりさん…

マジックミラー号でパレードって
そりゃトレーナーも引くか

予約内容がこれだから青ざめてたのか
うまい文章だ…

キャッチザゴールド最低だな...

しかしディクタストライカとはめちゃくちゃ仲悪い

伏線は既に最初の1行にあったと言う

日曜日さんも血縁多いから大変だな

これだけやっても99%割引になりそうだな…

なんで銀魂のゴリラ入刀みたいなことせにゃならんのか

プラン内容がえげつねえ

なんで親父さんエロ下着プレイのこと知ってるんだ
と思ったがそういえばマックイーンに直接相談だもんな

なんだかんだ孫世代には優しいオジキ

うまぴょい結婚式を何度もするな

>これだけやっても99%割引になりそうだな…
逆にゴッドファーザーならマックイーンに札束どんっと積みそうだなとも

ですが

マックイーンのやる事なら協力は惜しまんよ…出来る事ならなんでも言ってくれ…って出資してるレベル

普段は仏頂面崩さないのにマックイーンと孫達にはちょっと表情崩してそう

>お2人専用ブライズルーム（ベッド・シャワー付）
お色直しするたびにうまぴょいか…

そらマックイーンだって親友の息子割で100%オフよ

きぶり大種牡バきたな…

どんだけ大掛かりな式にするつもりだ沈黙日曜日

まあ親父なら割引なし現金一括払いも余裕だろ

>どんだけ大掛かりな式にするつもりだ沈黙日曜日
ちょっと産駒全員呼ぶくらいだろ

リョテイが唯一勝てない相手

ステマ配合は可愛がりそうだ

>「あのゴルシがカフェからお菓子貰った時に一瞬委縮したような顔したんだって」
か，勝てない…

>なんで親父さんエロ下着プレイのこと知ってるんだ
>と思ったがそういえばマックイーンに直接相談だもんな
やだなぁオヤジにプレイ内容筒抜けなの…

孫には甘いんだなぁ

マックがゴルシにだけお菓子一杯上げようとしてステゴママに怒られてる絵を昨日見た気がする

>マックがゴルシにだけお菓子一杯上げようとしてステゴママに怒られてる絵を昨日見た気がする
個別包装のにしてください！

全国に放映された愛娘への公開プロポーズを見たら、そりゃ親父もハッスルするよな…

>個別包装のにしてください！
それそれオルフェがウサゾエ人形壊しちゃってるやつ

予約内容が盛大すぎる

メジロシティだからハッピーエンドなのは確かではあるが

あれ、カフェに流星あったっけ？

>あれ、カフェに流星あったっけ？
カフェじゃない
カフェのそっくりさん

リョテイですら奴よりはましと言われるほどのヤバさを持った
ただのおじいちゃんよ

このおじいちゃんゴルシ可愛がりそうだな確かに

>リョテイですら奴よりはましと言われるほどのヤバさを持った
>ただのおじいちゃんよ
マックイーンとディクタストライカ連れてこないと…

カフェのそっくりさんというかカフェがそっくりさんというか…

>・シンボリルドルフ著「ウマ娘に送る上手な甘え方」全3巻
会長……

この学園そっくりさんが親父の子多すぎない？

なんならマックイーンが居ない時はこの世の大半のものに喧嘩売った態度取るレベルだったりしたからか…

問題児だったバカ娘がようやく男捕まえたんだ
多少気ぶりもするさ

直接的な血縁関係がなかったとしてもウマソウル的な縁で色々関係築いているって感じがいい

この>このおじいちゃんゴルシ可愛がりそうだな確かに
自分の孫兼親友の孫で親友似だしな
可愛いだろうね

みてスペちゃん
お父さん登場であたふたしてるけど
よくよく見るとリョテイはいつも通りトレーナーさんにデレッデレよ

>なんならマックイーンが居ない時はこの世の大半のものに喧嘩売った態度取るレベルだったりしたからか…
医者と馬主には敬意を払ってたと聞いたぞ

あの手この手でメジロシティが侵食してきやがる…！

いいでしょう？
メジロですのよ

>いいでしょう？
>メジロですのよ
あぁそうだな

なんかクソ厄介なコンビが誕生してません？

>なんかクソ厄介なコンビが誕生してません？
四次元殺法コンビのポーズがよく似合うコンビだと思っている

そうして生まれたのがゴルシお前だ

実力も立場も資金もある無敵コンビだ…

>この学園そっくりさんが親父の子多すぎない？
アニメ1期の相関図みたらスクールデイズより酷かった