「バクシンオーさん、大丈夫ですか？」

「はい、ニシノフラワーさん！ バクシンの準備は万全、いつでも走れますとも！ まぁ、まだトレーナーさんが来ていませんが！」

そういって花咲くような笑顔を見せてくれるバクシンオーさんですが、やっぱりどこか元気がありません。それに彼女は未だ一人でした。彼女のトレーナーさんは無口で、無表情で何があっても一言以上は喋らないような不器用の極みのような人で、ミホノブルボンさん以上にロボットっぽい方なのですが、その姿がトイレに行ってると言ったっきり帰ってこないのです、これではバクシンオーさんはレースにも出られません。ファンたちも見ているのにな、大丈夫なのかな。

「おぉ、バクシンオー…バクシンオーよ」

その時でした、周りの人の目線を釘付けにしながら関係者席から、アメフトのような防具とフルフェイスヘルメットを付けた人がこちらに歩いてきました。

>こんにちはニシノフラワーです。
この始動は！

もう一度言います、アメフトみたいな重装備とフルフェイスヘルメットを付けた人がこちらに歩いてきました。その不審者は大体バクシンオーさんのトレーナーさんぐらいの背丈で、ヘルメットから聞こえた声はトレーナーさんそのもので、そしてバッチリとトレーナーさんの名前が書かれたタスキを付けています。いやもう自己紹介してます確実にバクシンオーさんのトレーナーさんです！

「あ、あなたは…っ！」

バクシンオーさんが驚愕の表情でトレーナーさんを見ます。それはそうでしょう、二人三脚というのにトレーナーさんがいきなりアメフトと競技間違えたんじゃないのかっていうぐらいの装備でやってきたんですから。周りもざわついてますし、というか重そうではぁはぁ中から荒い息も聞こえてきます。

「バクシンの神！ バクシン・シーン様ッ！」

全っっっっっ然違いました。何ですかバクシン・シーン様って、公の場に堂々と出てこれるんですかその神は。

「貴方様はこういう走る競技は脚挫くから無理と言っていたはずッ！」

初めて知りましたその設定。

奴がきたか！？

「今日はこういう防具を付けてるからとても安全…セーフティだからセーフなのだ…」

「な、なるほどっ…！ 流石バクシン・シーン様っ！」

いや神様ならもっと物理的にじゃなくて奇跡とかで何とかできないんですかそれ。あっブルボンさんが物欲しげにヘルメットを見て、横のトレーナーさんが必死に止めていました。

「おぉ、バクシンオー…私の可愛いバクシンオー…悩んでいるのだね？ ファンの夢とのギャップ、今まで応援してくれたファンが去るかもしれない、売店で見た焼きそばおいしそうだったな…」

「そう、そうなのです！ 私は委員長として皆の模範となる身、つまりファンも大事にしなければなりません！ しかしそのファンの皆さんは短距離の私を望んでいます、大事な人の皆からそう思われたとき、私はどうすればいいのでしょう！ どちらが正解なのでしょうか！」

バクシンオーさんがそう言うと、観客席の人たちも静かになりました。彼女の抱えた悩みを聞いたトレーナーさんはがしょんがしょんと音を立てながら彼女の足首に二人三脚で使うマジックテープ式のベルトを付けました。

「おぉバクシンオー、流石は驀進の星に生まれた誰もを導く優しき王…だがこれに私が言えることは一つ…驀進するのだ」

「バクシン…？ しかしそれでは御身が…っ」

「私の心配はいらない…驀進せよっ！」

「……はいっ！」

そうして全員がバクシンシーンの異形に困惑したまま位置について、スタートピストルがかき鳴らされたときに信じられない光景が見えました。
バクシンオーさんがバクシンしたのです。つまりレースのように全速力で走っていきました、当然人間ではついていけないのでトレーナーさんは転んで引きずられて行くのですが、その手でしっかりとテープが千切れないように手を伸ばして抑えていました。いやアリですかそれは。
しかし凄いことです、重い防具を着込んだトレーナーさんを足だけで持ち上げて走っていくのですから。あそこまで強い脚を鍛えるのですから並々ならぬ努力が必要だったでしょう。思わず観客席の人たちもどよめきを上げます。私のトレーナーさんはズッコケてテープが千切れました。

まぁ当然、バクシンオーさんのトレーナさんはびったんびったんと地面に高速で叩きつけられ、引きずられボロボロになっていくのですが。たった200メートルでしたが、バクシンオーさんがゴールする頃にはバクシンシーン様の防具はもう壊れかけでした。
観客席からはあれ死んだんじゃない…？ とざわめきが声が聞こえてきましたが、トレーナーさんがよろよろと立ち上がり、最後まで千切れなかったバンドを掲げると歓声に変わります。これなんの競技なんでしたっけ。

「ば、バクシンシーン様！ お身体は…！」

「見よ…バクシンオー…」

そう言ってトレーナーさんが顔を向けると、そこには声援を上げるファンたちがいました。皆さんは「すごかったぞ」、「これだけトモが強いなら長距離だって行けるかも」、「応援するぞ」と口々に応援を発しています。

「み、皆さん…！」

「よいかバクシンオー…王の前には誰もいない、孤独にも見えるかもしれない。だが、それは違う、誰もが王の背にいるからだ。ただ見せつけるだけでいい、王は強いと！ 離れた者も、見限った者にも見えるように！ そうすれば声は背中から聞こえてくる！ それが驀進！」

「バクシン…！ そう、そうでした！ 私は皆さんを導く委員長なのです！ つまり私が皆さんを引っ張るのでした！」

つまりトレーナーさんはファンの皆さんにまだまだバクシンオーさんは大丈夫だと安心させて、バクシンオーさんを元気にさせたかったのでしょうか。やり方がもう信じられないほど不器用に身を張っていますが。

「それでも寂しくなったら振り返ることなく、ただ横を見なさい、必ず僕がいるから。あとトレーナーさんのいうことは聞こうね、会場は走らないこと…では私は見守っているぞ…」

そうちょっと保身を入れながらよろよろとバクシンシーン様は会場から去っていきました。バクシンオーさんはすっかり元気を取り戻してファンの皆さんに手を振っています。

協議の結果サクラバクシンオーさんは失格となりますというアナウンスにまぁ納得の声が包んで、みんなでコースの外に出るとスーツがビリビリ破れているトレーナーさんがやってきました。
どうやらスーツの上から防具を着ていたようです、怪我無くて何よりですけど。

「ちょわっ！？ トレーナーさん、どうされたんですかその服は！？」

「転んだ」

「そうですか…あっ競技はなんとバクシンシーン様が一緒に走ってくれたんですよ！ お陰で一位でした、早すぎて失格となりましたが！ はっはっは！ しかしお腹がすきました、焼きそば食べませんか！」

「あぁ」

久々に見たなバクシン・シーン様…

そうして歩くトレーナーさんを見送っていると、ふとバクシンオーさんは隣に並んでそっと尻尾を彼の脚に巻きつけましたのが見えました。どうやらトレーナーさんは気づいていないようです。
ただそれを呆然と見ていると、ふと私の視線に気づいたバクシンオーさんは私に顔を向けて、見たこともない表情でしーっと人差し指を唇に当てました。
なんだかそれが、妙に色っぽいような言葉にできない目で、私は悶々としながら焼きそばを食べる羽目になりました。お父さん、お母さん、私はまだまだ子供のようです…

>それでも寂しくなったら振り返ることなく、ただ横を見なさい、必ず僕がいるから。
ねぇこれトレーナーさん隠せてませんよね？

バクシンシーン男だな…

ねえこれ最初から気づいて…

バクシンオーが悲しむ怪文書を見てしまい思わず特急で書きました

久しぶりに見たけどやっぱ面白いわ…

バクシンシーンさま何ヶ月ぶりだろう

これで乗ってくれるファンはいい奴らだな…

>ねぇこれトレーナーさん隠せてませんよね？
初めから何も隠せていないからセーフ

>ねえこれ最初から気づいて…
そうですけど？

言うのは野暮ってもんよ

ありがたい...自分の中でバクシントレーナーはバクシン・シーン様のイメージが強いんだ

せめて名前書かれたたすきは外して来ようよ！？

>せめて名前書かれたたすきは外して来ようよ！？
着けてないと出場出来ないし…

バクシンシーン様いいよね…
久しぶりに見たけどやはりいい…
正体に気づきながらも周りも乗ってくれるのもいい…
バクシンオーはかわいい…

これ続き物なのか！前の見たいから漁ってくる

こ、この書き出しは…！バクシンの神バクシン・シーン様！？ってなったよ久々に…

ウマに引きずられるって西部劇とかでたまにあるやつ…

ニシノフラワーのトレーナーは色んな意味で巻き込まれるな…

>ウマに引きずられるって西部劇とかでたまにあるやつ…
まあ控えめに言って刑罰の類ですよね

ここのブルボンホント可愛いな…

最後のしーってやる委員長が想像するだに色っぽすぎる…

>>ウマに引きずられるって西部劇とかでたまにあるやつ…
>まあ控えめに言って刑罰の類ですよね
スプリントのウマで1ハロン猛ダッシュ…

やったことはアホだし不器用にも程があるけど身体張ってるのは漢前すぎる…

バクシンシーン…ブルボンボーン…セイウンウーン…ニシノンノーン…四つが揃う時エイシンフラッシュ訪れる…

特急で書いてこの仕上がりかよ

久々にご光臨なされた
ありがとうございます

バクシン・シーン様のとこのバクシンオーいつも食べ物関連の悩み抱えてるな…

親に挨拶するやつが最後に見たやつだったんだがその後も来てた？

おい待てェ
もっとトレーバクシンシーン様とバクシンオーの話を書け

もしや本家！？

バクシン・シーン様数ヵ月ぶりに見た

>バクシン・シーン様のとこのバクシンオーいつも食べ物関連の悩み抱えてるな…
トレー…バクシンシーン様は普段のバクシンオーもよく見てらっしゃると言うことだ

ハッピバークシンが最後だった気がするけど間に何かあった？

可愛い人…

アホっぽそうに見えてものすごい緻密な恋愛の駆け引きしてない…？

不器用だけど男前すぎる…そしてファンもバクシンに着いていけるのはあんたしかいねえ…ってなるわこれ

>ハッピバークシンが最後だった気がするけど間に何かあった？
タイヤバクシンってその後だっけ前だっけ

まとめがほしいです…

ゲェーッ！バクシンの神！
久々に見られて嬉しい

>ハッピバークシンが最後だった気がするけど間に何かあった？
いやこれが最新のはず本当に久しぶりのバクシンシーン様が降臨なさった…

地味にちょっとしか出てこないブルボンが毎回可愛くて楽しみにしてます

>ありがたい...自分の中でバクシントレーナーはバクシン・シーン様のイメージが強いんだ
ついでになんかゆでっぽいイメージに！

ブルボンボーンも可愛いからな…

(これでよし！今日も上手くやれたな！と特にバレてるとは微塵も思っていないトレーナー)

>(これでよし！今日も上手くやれたな！と特にバレてるとは微塵も思っていないトレーナー)
>可愛い人…

>(これでよし！今日も上手くやれたな！と特にバレてるとは微塵も思っていないトレーナー)
>ただそれを呆然と見ていると、ふと私の視線に気づいたバクシンオーさんは私に顔を向けて、見たこともない表情でしーっと人差し指を唇に当てました。

>私のトレーナーさんはズッコケてテープが千切れました。
もうちょっと心配してあげて…

こっそり尻尾を巻きつけるのがいじらしくもエッチすぎる…

ゲームのほうでもそうだけどニシノさん高度な惚気に巻き込まれてる感あるよね

>地味にちょっとしか出てこないブルボンが毎回可愛くて楽しみにしてます
女児に変な影響与えまくってる…

ニシノン・ノーンはブルボンの事呼び捨てなんだな…

まとめて…

つまりこっちがバクシンオー曇らせ怪文書を書けばバクシンシーン様は現れてくれる…？

おい三女神やめろ

>つまりこっちがバクシンオー曇らせ怪文書を書けばバクシンシーン様は現れてくれる…？
外道〜〜〜！！！

設定借りたと思わしきやつもあったな
あれも楽しんだけど

>設定借りたと思わしきやつもあったな
>あれも楽しんだけど
あっちはあっちでゆで因子が継承されていて良かった

>「あとトレーナーさんのいうことは聞こうね、会場は走らないこと…では私は見守っているぞ…」
相変わらず切実すぎる

召喚の儀式みたいな事を思いつくのはやめよう

トレーナーの言う事は聞こうねっていうけど喋らないじゃん

ｷﾀ━━━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━━━ !!!!!

ハッピーバークシンから久々にバクシン・シーン様の降臨を見た

オトナだ…

>トレーナーの言う事は聞こうねっていうけど喋らないじゃん
やめてとかダメとかは言うのかもしれない

>1624206666207.png
大人すぎる…

>1624206666207.png
ウワーッ！？ 力作！？

ウンス会員だ捕らえろ

むっ！快活バクシン娘が見せる大人の表情がいい…

可愛い人…

幻覚が連鎖反応を起こしてる！

幻覚絵師もやってきた！！

加湿バクちゃんはみんなの集団幻覚だが実在する

バクシンオーからすると自分が少しでも悩むといつでも必死に応援して助けてくれるんだよなこのトレーナーただやり方が不器用の天元突破してるだけで

>バクシンオーさんは元々短距離での大活躍で有名になりました、しかし今は中距離、長距離路線で走り勝利は増えてきたものの、掲示板外も多く、それを見たファンたちの多くが短距離に戻ってくれと懇願するのです。
さらっと中長距離でも勝ってる
バクシン・シーン様凄い…

まぁジェミニ杯でも普通に見かけたしな長距離因子注がれた委員長…

割と居たらしいなバクシンオーと芝の砂のサイレンススズカ

長距離だけじゃなく中距離も因子あげたのかバクシン・シーン様…すごいな

やり方めっちゃ不器用だけど有能なんだな…メンタルケアも万全だ！

ニシノさんが毎回委員長心配してバクシンシーン様に突っ込んで大人委員長を見せつけられる流れが定形になってるのがだいすきなんだこのシリーズ

久々のバクシンシーン様助かる。

何度も読んでみて気付いたけどバクシンシーン様脚挫くから無理って言ってんのに上半身しか守ってなくて駄目だった

>何度も読んでみて気付いたけどバクシンシーン様脚挫くから無理って言ってんのに上半身しか守ってなくて駄目だった
不器用だし引きずれるからOKとか思ったのかな…

サクラバクシンオーとそのトレーナー…実に気ぶり甲斐がある

バクシン・シーン様の供給があってありがたい…
怪文書の中で1番楽しみにしてる

久々の委員長とバクシンシーン様は週明けの心に染み渡る…