翌日、昼食のためにトレセン学園を出ようと正門に行くと、高級そうな車が正門前に停まった。出てきた男はサングラスを掛けていて顔は伺えなかったが、均整の取れた体つきで、見えた限りでは元パイロットで現俳優の○ム・クルーズに似ている気がした。理事長の来客だろうかと思いつつ、過ぎ去ろうとすると、呼び止められた。
「なぁキミ！」
何かと思い振り返ると、印象良く声をかけてきた男の態度が、一拍の間をおいてたちまち怒りに包まれた。呆気に取られていると、鋭い爆音と共に舗装が数度弾け飛び、腰を抜かしてしまう。
「運が良い。俺は貴様と話さなきゃならんことがあるらしい。今すぐ車に乗れ」
腰を抜かした俺に男の顔が迫って言った。白い硝煙が、男の拳銃から立ち昇っていた。

車は人気のない林道で止まった。
「降りろ」
冷たい声が響く。男は、車を降りた俺の正面に立つと言った。
「話ってのは他でもない。こいつのことだ」
男が取り出したのは一枚の写真だ。新しい勝負服姿のマヤと、腕を組む俺。
「お前これをどこでっ───！？」
尋ねる言葉は男に突かれ遮られた。拳銃を俺の股間に押し付け、男は言う。
「聞かれたことだけに答えろ。場合によっちゃあ、俺はこの引き金を引かなきゃならん」

男の雰囲気は剣呑だったが、質問はマヤとのことばかりだった。いつ出会ったのか、どう思っているのか、クリスマスをどう過ごしたのか、誕生日に何を贈ったのか───
質問が進むほど、男とマヤの親密さが伺えた。
「お父様...?」
俺は思いついた言葉をそのまま口に出してしまっていた。
「貴様の父じゃない！」
男が俺を再び突く。さっきよりも幾分強く。だが肯定の証でもあった。男は気まずそうに沈黙した後、言った。
「... ちっ。どうやら不純な付き合いってわけでもないようだ。今日はもう帰るが、よく覚えておけ。マヤを悲しませたら、そのどんぐりみたいな顔をすり潰してコーヒーにしてやるからな」
マヤの父は言うと、車にさっと飛び乗り、発進させてしまった。俺は慌てて
「お父様ー！マヤにも会っていってくださいーー！！今の時間なら食堂にいるはずですーー！！！」
と叫んだ。マヤのお父上は海外に住んでいて、親子会う機会は中々希少と聞いている。経緯はよくわからないが、今ここにいるのなら、ぜひ会っていってほしかった。

「夜のニュースです。警察は、トレーニングセンター学園正門前で銃を発砲したとして、男を捜索中です。本日12時ごろ、発砲音がしたとして110番通報がありました。駆けつけた警察によりますと、現場には複数の弾痕が残っており、車で走り去ったという2人の男を捜索中です。周辺地域には不安が広がっています。」
「続いてのニュースです。元パイロットで俳優の○ム・クルーズさんが、サプライズ来日されました。視聴者提供の映像をご覧ください。○ム・クルーズさんはお忍びだったようで、空港に居合わせた数名のファンと握手などの交流をしたあと、足早に去っていきました。」
ただ一人、二つのニュースの関連に気づいたマヤノトップガンのトレーナーは飲んでいたお茶を吹き出した。
それから数日間、トレセン学園周辺には物々しい警戒がなされたのだった。

おわり
新勝負服についてマヤのパパに怒って欲しいなって思って書いたら思ったより事件になった気がするが失礼する

cv森川智之

来たか…パパノトップガン…

○ート・ミッチェルさんじゃなくてト○・クルーズさんなのね

あくまで元空軍パイロットで元俳優のトップガンのBGMが似合う教官も出来る○ムクルーズだからな…

多分マヤが気付いたら本気で怒ると思う
分かっちゃう

ねぇこれまずママノトップガンがブちぎれる奴では…

トレーナーちゃんいじめるパパなんかマヤ嫌い！

マヤに怒られるパパも見たい

お…義父様…

一瞬であの白い歯が眩しい笑顔が変化したんだろうなって…

でもあんな可愛い娘がいたらそうなる気持ちはわかるよね
トレーナーとしてマヤがちゃんとした相手を見つけられるようにしないと！

>トレーナーとしてマヤがちゃんとした相手を見つけられるようにしないと！
クソボケがーっ

💥🔫

このトレーナー、臆せずパパに娘に会って行け！って言えるあたり相当キモが強いな…