「今年度は一番目、一番目立つ代表としての男雛、女雛に理事長から直々に候補が挙げられている」
ふぅん、随分気に入られたやつもいるもんだ。
「推薦！ナリタブライアンとそのトレーナー！URA優勝を果たした彼女達に誉れを務めてもらい、来年度のURAに向けての機運を醸成したい！との事だ。意見のある者は—」
「待て待て待て！なんで私がそんな事をせねばならん！却下だ却下！」
「他にも匿名希望バナナ好きからやその他多くの推薦が上がっている。私は問題ないと思うが、エアグルーヴはどうだ？」
「ブライアンで有れば王子喫茶などで実績もあります。やると決めてしまえば逃げる性格ではありません」
「一番目のペアはある種憧れですからね、これを目指して来年からも頑張ってくれる子が増える事を理事長は期待しています」

「た、たづなさんまでどこから……」
私も、私も賛成でーす！いいと思います！😇！
「うむ、それでは一応採決を取ろうか。ブライアンが代表をやる事に賛成の者は——満場一致で可決だな」
「私は賛成していないぞ！」
「皆、ありがとう。それじゃあブライアン、やってくれるな？異議申し立ては模擬レースでいつでも受け付けよう」
ぐうううぅぅぅぅ、独裁者めえええ！
「“民意”で決められた結果がそんなに不満か？」
ああ、これは酷く雑な煽りだ。走りたいのなら真正面から向かってくればいいのに。
「もしもし、トレーナーか。ああ、すまない。今日は負けられない勝負がある。すまないがトレーニングは……」
「あれ、会長面白がってるだけだよね」
「シッ、ブライアンに聞かれないうちに作業に戻れ」

勝負服を着込み、影さえも怯えて逃げんばかりの闘志を纏いターフに向かった彼女は、だが鼻先の壁に破れた。
いい走りだった。かつてこれほどに美しく力を発揮した姿を自分は見た事があったであろうか。
似た脚質同士の戦い、先んじて前に出たブライアンは、しかしほんの僅か一瞬、外からでも注視していなければ気付けないほどの綻びをルドルフに差し切られ、敗北した。
100人が100人褒め称える走りの末、何らかをシンボリルドルフに囁かれた彼女は俯きがちにコースを外れる。

「いい走りだった。次こそは君が勝てるだろう」
「やめてくれ！今日の負けは、私のせいだ。余計な事を考えて、アイツとの勝負を自分から捨ててしまった……」
ふむ。精神的なところであれば、どうケアしてあげたものだろうか。気分転換にでも—
「一瞬だけ、良いかなと思ってしまったんだ……チッ、なんでもない。いいか、頼みがある」
「君の頼みなら、何でも」
「簡単にそんな事を言うな、そんなアンタだから私は！はぁ……その、だな……お内裏様を、やってくれないか？」

理事長の私費だとさえ噂がされる、立派な十二単の衣装。わざわざ外部からこの日のためだけに呼ばれたプロに何枚もの衣を着せられていく。
常とは異なり煌びやかに彩られた自分であるが、衣装に着られているのは明白だ。
姉貴と違って粗野でガサツな自分では……そもそもなぜそこまで考え込んでいるのだろうか。
いつものように、普段通りやり過ごせば良いだけ、普段と違う事など。
「待たせたな。……笑うなら笑え」
違う、こんな事が言いたかった訳じゃないのに。
「綺麗だよ」
顔が熱い、アイツの方を向けない、たった数文字の言葉に心臓が早鐘を打つ。
「君の隣で大役を果たせて光栄だよ」
「バカ……私の隣は、アンタだけだ」
クソ、これでは無敵のブライアンも形無しだ。
ええい、官女役のマヤまで笑っている。後で必ず薙ぎ倒してやるからな！

はぁ、散々写真も撮られてしまった。回収は最早不可能であろう。
それが嫌だったかと自問するのであれば……悪い気は、しなかった。それはそれとしてであるが。
何にせよ疲れた。礼も兼ねてミーティングルームへと向かう。
「アンタも戻ってたか。今日は面倒に巻き込んで済まなかった」
「いや、楽しかったよ。こちらこそありがとう」
「束帯も似合ってたよ」
きっと私と、不釣り合いなくらいには。
自嘲して顔を背けると、ふと小さなお雛様が部屋に飾ってあることに気づく。
「どうしたんだ、あれ？」
「ああ、正月もそうだけどブライアンは結構季節物が好きなのかと思ってな。邪魔なら片付けるよ」
「いや、いい。嫌いじゃない」

返した後で、この返答は失礼だったなと思い至る。どうにも今日は頭が上手く回っていない。
「違うな、うん。ありがとう、綺麗だな」
お内裏様とお雛様だけの小さな一組は、けれどどこか楽し気に、誇らしげに前を向いている。
私もこうだったのだろうか。わからない、今度マヤにでも問い詰めるとする。
「どうする、適当なところで片付けるつもりだったけど、しばらく飾っておこうか？」
「いや、いい。来年もまた飾ってくれるんだろう？」


「それで、結局何もなかったのかブライアン！ブライアン！！！」

声と頭がデカいぞ姉貴！

バナナ好きは匿名希望であってもわかりやすいと思うぞ姉貴！

なんか最近キブリハヤヒデ多くなってきたな
私の性癖には合っていますよ

姉貴も義兄貴となんもないだろ！

私と彼はそういうのではないし...

私のことよりお前の方が大事だ！

クソボケがーっ！

マヤほっとけばそのうちくっつくと思うよ

ブライアンの方がくっつくのめちゃくちゃはやいのは分かる

散々気ぶられた姉が逆襲してきたな
私性合
姉妹揃って早くくっついてしまえばいいのに

最強姉妹メジロWデートとかだれか書いてください

>マヤほっとけばそのうちくっつくと思うよ
そんな本当の事言うからなぎ倒されるのよマヤちゃん