「私は、私達が好きな人のために走るのも……それはそれで良いと思う」
はっと顔を上げるとそれが伊達や酔狂で言っていることではない頬を染めた顔をしていた
「嘘やろ！？オグリまでそんなこと言うんか！？」
クリークに毒されたんかいな！というツッコミに、オグリは笑いながらも頭を振り、
「走る理由が一つでも増えれば、私達はもっと頑張れるだろう？」
お腹を満たしたいと思うのもそうだ。と一人納得しながら、お腹を鳴らして食堂の方へ歩いていく
ちょ待てや！と叫ぶももう遅い、勝ち逃げに近い後ろ姿を見ながらモヤモヤと気持ちを燻ぶらせていると
「どうしたタマモ？」
振り返るとトレーナーが不思議そうに立っていた。オグリキャップと喧嘩でもした？とすれ違った方をちらちら振り返る
「なんやアンタかいな……なぁちょっと話でも聞きぃ」

ふわふわと髪を巻いた愛され系らしいウマ娘がドレス姿に照れながらも周りの友人に手を振っている
トレーナーと二人ベンチに座ってむすっとした表情で撮影風景を眺めながらこれまでの経緯を話した
「タマモは……家族のために走ってるものな」
やっぱりこいつはウチのことを分かっとる、と少しだけ安心したタマモクロスは頷く
「オグリに言われたで、嫌いかって。そんな訳ないやろ、むしろ知らん人でも祝福したるで」
「他人同士が家族になるってのは……すっごく素敵なことやと思う」
走ることが好きで、走って勝つのが好きで、貧乏だけどもトレセン学園へ送り出してくれた家族を常に想っている
ああいう両親のようになりたいと思い、家族になれたらいいと幼心に思ったことは何度もある
家族とはいいものだ──だが、そんなことにかまけている余裕など、自分には無いのだとも知っている
「走りたいだけならどこでもええ、でもウチらはレースに出て勝ちたい！そんなワガママでここへ来てるんや。
ウマ娘は極論お遊びで飯を食っていこうって立場で、恋愛なんてしてる暇は無いと思ってるで」

地方で燻りながらここへ来たがっている連中もいる中で、トレセン学園へ来た初心をもう忘れてしまったのだろうか
半端に実力があるからこそ今の立場で驕っているのなら、この白い稲妻が目ぇ覚まさせてやるわ！と強く息巻く
改めてレースへの意気込みが伝わったのか、トレーナーはからからと笑いながらも頭をぽんぽんとして撫でる
「俺はお前のそういうところが好きだよ、タマモ。俺が見込んだ通りのウマ娘だ」
プチンとキレそうになる。別に撫でられたからどう、というわけではない、これは日常の範囲内だ
「──それやそれ！だいったい、すぐ女に"好きやで"とか言ったり乳繰り合うのが気に食わん！」
「ああなるほど、やっぱりああいうの趣味に合わないのか」
「気持ち伝えたならただ信じればええんや、人前なら手ぇ繋ぐぐらいが愛ってもんやろ」

今どき古い価値観かもしれないのは理解しているが、トレーナーは隣でうんうんと頷いているので得意げになる
気を良くしたのでアドバイスもしておく。休日は常に自分と一緒で、彼女の影すら感じさせない寂しい男なのだ
「トレーナーも今度好きって言うならこの人や！って決めた相手やないとダメやで？」
「ありがとタマモ。忘れないように覚えておくよ」
そろそろ昼でも食いに行こうか、との声に言いたいことも言えて鬱憤も晴れたので楽しげにせやな〜と後ろを着いていく
ツッコミが響いたのか、撮影で人だかりになっていたウマ娘の誰かが、トレーナーと一緒に歩くタマモクロスを見てクスクス笑っていた


タマモクロスがこの話を思い出したのは、トレセン学園を卒業した後に彼からプロポーズをされた時だったという

アプリでウェディングイベントやるのでタマトレ書きました
タマの家族観や頑張る理由絡めつつやっぱイチャイチャしてほしくてこうなりました
撮影してるのは個人的な趣味でお嫁さん姿が見たいランキング一位のタンホイザちゃんです

タマちゃんが幸せだと気分が良い

タマ…幸せにおなり

タマ結婚したい…

寝る前にいいもの見せてもらった…

タマはいくら幸せにしてもよい

走る理由はいくつあっても良い

家族を大事にするタマちゃんいいよね

幸せそうなタマでご飯が進む

トレセン学園は時空入り交じるところなのだから昭和の価値観の熱血稲妻が居たって良い

タマが幸せだと嬉しい

タマの幸せは健康に良い