レースウマ娘にとって体重管理は大切です。
毎朝の体重を測り、それを記録してトレーナーさんに報告していないレースウマ娘はいないと思います。
これはアスリートとしてもはや当たり前の行為でしょう。
私は体重の記録表を持ち出して、トレーナーさんに詰め寄りました。
「ご覧になってください。ここ数日500gほどで微増を続けていますが、これは誤差というものです。この過去の増減サイクルを見れば一目瞭然！来週からはまた減少に転じますわ！」
私は必死になって訴えました。
「いやいや。今回は、えっーと、これだ、この微増の後ドカンと増えるパターンだ。間違いない」
トレーナーさんは過去の体重の記録表を持ち出して示しました。
あまりも思い出したくないものです。500gほどの微増が続いた後、そのまま1週間で3kgほど増えています。
この時の減量はなかなか耐え難いものがありました。
「どのような根拠があってそう判断されているのですか？納得がいきません！」

私が不自然に、強固に反対しているというのはわかっています。
しかし譲れないものというものはあるものです。
来週から販売開始されるコンビニスイーツの季節モノ新製品。それと並行して行われるドーナツショップの有名ケーキ店のコラボ企画。
テイオーやライスさん達と楽しみにしていましたのに。
それが食べられないなんて……ありえません。

「マックイーンの頬の輪郭でわかる。もう3年もトレーナーを務めているからね。君のほっぺたが、こう、もちっというかふわっとした感じに膨れてきたら体重が増える兆候なんだよ」
ほっぺた！？自分では全く気づいていませんでした。
「そのようなことをおっしゃっても、信用できませんわ。せめて1週間。1週間猶予をください。そのような法則性がないことを証明してみせますわ」
トレーナーさんは不満顔です。
「もしもその法則が真実で、体重が3kg以上増えるようなことがありましたら……私、何でもしますわ！」
「……何でもするなんて言葉を、君みたいな若い娘が口にしちゃダメだよ」
トレーナーさんは嘆息しながらも、納得してくださいました。

こうして私は1週間の猶予期間をいただき。
朝昼晩の食事量を減らす代わりに新作スイーツ達を堪能しました。

2週間後のトレーナー室にて。
「……」
トレーナーさんは何も言わず、ジッと体重の記録表を見つめました。
その後、私の顔を見ます。私は思わず、顔をそらしてしまいました。
記録表には約束をした頃と比べて4kg増の数字が並んでいます。
何なのでしょうか。信じられません。
しっかりカロリー計算を行ってスイーツも食べていたのに……。
「くっ……さあ、何でもおっしゃってくださいませ！私、トレーナーさんの言葉には何でも従わせていただきますわ！」
メジロ家のウマ娘たるもの、自分の発言には責任を取るのは当たり前です。
私は堂々と胸を張って彼と向き合いました。
「まあ、減量プランを考えるから……」
苦笑するトレーナーさんはそのまま奥のデスクに戻ろうとされます。

「それだけでは足りませんわ。私はトレーナーさんの指示が正しいと気づきつつも逆らったのです。それに相応しい罰を与えてくださいませ」
私はマゾヒスティックな性格ではないのですが……トレーナーさんから罰をいただく、というシチュエーションにどこかゾクゾクしてしまうのは気のせいでしょうか。
「罰……罰ねえ……」
私が言い出したら聞かないということは、トレーナーさんも承知されているのでしょう。
罰なんて不要などというつきなみなことはおっしゃらず、考え始めました。

「じゃあ、ほっぺたを触らせてほしい」
「え……」

「なるほど。4kg増のマックイーンのほっぺたはこんな感じなんだな」
トレーナーさんの両手が私の頬に当てられて、親指で揉まれます。
「体重のことはあまり言わないでくださいませ」
体重が増えたことではなくて、この行為が思った以上に恥ずかしいです。
「ごめん。でも、思ってた以上にふわふわでもちもちだ。気持ちいい」
「恥ずかしいですわ……」
トレーナーさんの少し冷たい手が私の頬、首、うなじに触れます。
何でしょうかこれは。恋人が睦言を交わすことよりも恥ずかしい行為に感じます。
彼は私の頬を揉むのに夢中です。
「おしまい！おしまいですわ！」
耐えきれなくなって彼から離れました。
「ああ、ごめん。これでこの状態でのマックイーンのほっぺたの感触は覚えたぞ」
「覚えなくて結構です」

メジロ饅頭いかがっすかー

私は自分のほっぺたを触ってみました。
そんなに膨らんでいるのでしょうか……毎日、自分の顔を鏡で見ているのに。
顕著な変化があるようには見えませんでした。
「マックイーンの体重が戻るまで、毎日やるからね」
「そ、そんなことを聞いてませんわっ！」
朗らかに笑うトレーナーさんの目は全く揺らいでいませんでした。

「なるほど、これが3kg増のほっぺた……」
「止めてくださいまし」
うぅ……2週間経っても慣れません。恥ずかしいですわ。

「2kg増。ふわふわ感が減ってもちもち感が出てきたな」
「なんですの、ふわふわとかもちもちとか」
そういう言葉を聞くとお腹が減ってしまうではありませんか。

「残り1kg。あとちょっとだな。吸い付くようにもちもちだ」
「それを褒め言葉として受け取るのは難しいですわ」
なんとか慣れてきました。代わりに、彼の指がうなじにふれるたびに、ドキドキします。
妙な快感に目覚めてしまいそうな自分が怖いです。

そして2ヶ月後。レースの前日。
私は完璧に体重を取り戻していました。
「この張り付くような程よいもちもち感。この丸み。完璧だよマックイーン」
「ありがとうございます」
すっかり安らいだ気持ちで彼の賛辞（？）を受け入れます。
彼の程よく冷えた手が首筋に触れるたびに、体に心地よいさざなみが走ります。
トレーナーさんはいつの間にか、私の頬を触るついでにリンパ節の確認、簡易的なリンパ腺マッサージも覚えられたようです。
私の体調はこの時間で確認されるようになりました。
彼いわく、ほっぺたと首筋は嘘をつかない、だそうです。
本当でしょうか？

「……これで減量も、太ったことへの罰もおしまいだよ。お疲れ様、マックイーン」
彼の指が頬から離れました。
名残惜しさを感じるようになったのは、いつからだったでしょうか。
「ええ。でも本番は明日ですから。こんなことで疲れてなんていられませんわ」
心の揺れを隠すように、私は不敵に微笑みました。

レース当日。
明かりの少ないトンネルを通って、コースへ向かいます。
私もトレーナーさんも緊張しているため、無言です。
出口付近で、彼は足を止めました。
「マックイーン……」
トレーナーさんが何かを言う前に、私は彼の手を取りました。
少し汗ばんだ手を、私の頬に導きます。

銘菓メジロ饅頭…私にも一ついただけないでしょうか

「落ち着きまして？」
「……ああ、ありがとう」
彼は両手で私の頬を包みました。メイクが落ちない程度に、そっと触れます。
「君は俺の最高のウマ娘だよ。マックイーン」
「もちろんですわ」
彼の手の冷たさが、私の緊張を吸い取っていく気がしました。
これをルーチンワークにするのも悪くないです。
「では、行ってきますわ」
ここに来て、細かく交わす言葉は必要ありません。
その代わりに積み重ねたものが山ほどあります。
「ああ。悔いのないように」
トレーナーさんも同じ気持ちでしょう。
彼の手からそっと抜け出し、トンネルの先の光浴びるコースへ私は歩き始めました。

4kg増えると触感はだいぶ変わるぞ…

一級メジロ饅頭鑑定士か…

新たなイチャつき方か？

リンパマッサージをエロ目的に使わない人初めて見た

可愛いお饅頭だ

これはとても良いお饅頭

温泉引けたら絶対うまぴょいしちゃうだろう饅頭

ヒトでいうヒト耳がある辺りの部分は
ウマ娘にとってうなじ並の性感帯である事は知っているな？

正しいリンパマッサージ初めて見た

他のレース関係者も通るトンネルでやってたら絶対誤解されるやつじゃん…

>他のレース関係者も通るトンネルでやってたら絶対誤解されるやつじゃん…
（顔真っ赤で頬をかいてるけど止めづらいライアン）
（顔を覆った手指の隙間からガン見してるテイオー＆ネイチャ）
（キラキラした瞳で見ているライス）
（真顔で今度やって貰おうと思ったブルボン）

周りのみなさんに誤解されてしまいますね…
ですが

>周りのみなさんに誤解されてしまいますね…
>ですが
わたくしは

>>周りのみなさんに誤解されてしまいますね…
>>ですが
>わたくしは
一心同体

まるでリンパマッサージをエロ目的で使うウマ娘がいるようですわね

>まるでリンパマッサージをエロ目的で使うウマ娘がいるようですわね
ちょわ？