二次元裏@ふたば

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45950 B21/05/08(土)06:39:16No.800507227そうだねx1 09:44頃消えます
春の天皇賞を目標に今年も出走した日経賞。結果は16着と惨敗。昨年URAファイナルズ覇者の失態としてメディアにも大きく報じられた。

昨年の天皇賞・春ではハヤヒデに1バ身以上の差をつけられ私は2着に敗れていた。今年の春の天皇賞でリベンジを。そう意気込んでいた矢先の出来事だった。

昼休憩中の食堂。次の天皇賞で対戦相手となるチケットやハヤヒデにまで調整状況を心配されていた。

「久しぶりだなタイシン。先日のレースは見たが」
「…酷い内容だったって言いたいの」
ハヤヒデに言われるまでもない。自分自身が一番分かっている。イラつきを隠せずハヤヒデの言葉をさえぎるように言葉を放つ。

「トレーナー君には相談したのか?確か彼は今」
ハヤヒデの次の一言で私の導火線に一気に火が付く。全身の血液が勢いよく体内を駆け巡る。感情が爆発する。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
121/05/08(土)06:39:56No.800507256+
「アタシの問題だから!」
声が響く。ランチタイムで騒がしい食堂に一瞬静寂が訪れる。私の剣幕に、チケットは完全に固まっている。他のウマ娘達の視線が私に集まる。が、次の瞬間食堂はいつものように活気を取り戻していた。

「…ごめん。…頭冷やしてくる」
ハヤヒデに謝罪の言葉をかけつつ私は一足先に食堂を出ることにした。

「タイシン」
ハヤヒデが私の背中から声をかける。

「自分を信じろ。トレーナー君を信じろ。私からはそれだけだ」
ハヤヒデの言葉が背中越しに突き刺さる。すべてを見透かされたような言葉。何やら不安なのか叫んでいるチケットの大声も聞こえてくる。ため息をつき振り返り、静かにしろというようなジェスチャーをして見せると二人は笑顔で手を振り応えた。…私は溜息をつき足早に食堂を後にした。
221/05/08(土)06:40:21No.800507282+
『アレはタイシンを最後まで見届けられなかった俺が悪い!俺の責任だ!そもそもこんなタイミングで出張受けた俺が悪い!すまん!!』
「…そもそも、アンタのせいじゃないから…てか、何回目よこの話…」
電話越しでも暑苦しさが伝わってくる。私は電話を耳からかなり離しつつ、眉間に皺を寄せながら話を聞いていた。

「…出張さ、今日までだよね。何時に戻るの」
『トレーナー寮に戻るのは18時すぎになる!だから今日の練習時間には間に合わない!すまない許してくれ!』
「いいよ別に。…じゃ切るよ」
タイシンはトレーナーとの電話を終えた。通話相手は出張先から移動中だ。URAファイナルズを勝ち得たウマ娘のトレーナーとして講演会に呼ばれたとかで、日経賞の発走前に出張。この1週間、私とは電話かテレビ電話で練習の状況を連携するようになっていた。

スマホで現在時刻を確認する。時刻は15時を回っていた。今日の練習も集中できず、身が入らない。私は早めに練習を打ち切る事にした。
321/05/08(土)06:40:36No.800507291+
彼はちょうど18時ごろトレーナー寮に帰ってきた。
私はトレーナー寮のエントランス端で隠れるように彼が帰って来るのを待っていた。
彼は私の姿を見つけると驚いたように駆け足でやってきた。

**

「どうぞ。いや、まさかタイシンが来てたとは」
「…暇だったから。アンタ帰ってきたのもだいたい聞いてた時間通りだったし。明日休みだし…」
彼の部屋に入れてもらった私は、料理の準備に取り掛かりながら答える。

「すぐできるから、休んで待ってて」
「タイシンが作ってくれる料理なら、いくらでも待つよ」
「…いくらでもは言い過ぎ」
彼といつものような問答をしながら、食卓に料理を並べていく。持参し温めた白飯、味噌汁。それに箸休めの小鉢、漬物。
最後に漬液してきた生姜焼き用お肉の焼き上がりを確認し、千切りキャベツを添えた皿に盛り付けた。
421/05/08(土)06:41:12No.800507330+
「出来たよ」
下準備は全て終わっていたので、調理開始から10分程度の時間で食卓にすべての料理が並ぶ。
「もう!?」
「下準備終わってるの加熱しただけだから」
タイシンの手際は本当にすごいな!いただきます!と勢いよく彼は料理を食べ始める。ひとくちひとくち、美味しそうに料理を口に運ぶ。

「……出張お疲れ様」
「ああ!ただいま!」
彼はいつも通りの笑顔で答える。1週間ぶりだが彼は何も変わらない。久しぶりに2人でいる時間。私は少しずつ満たされていく。でも、満たされないものもあった。



「ごちそうさま!やっぱりタイシンの料理は美味いな!」
「…お粗末さま」
彼はお腹を空かせていたのか、あっという間に用意していた食事を平らげた。
521/05/08(土)06:41:39No.800507350+
「そう言えばタイシン。今日は練習軽めにしたのか?」
テーブル上の食器を流し台へと運びながら彼が口を開く。

「…なんか気分が乗らなかった」
「…そうか。少し休養が必要かもな」
台所で食器を洗い終えた彼がリビングに戻ってくる姿を見ながら言う。

本当は違う。彼無しでレースに臨んだあの日、トレーナーに出会う前の、弱い、1人だった頃の過去がフラッシュバックし冷静さを欠いた私は敗北した。
練習にも集中できなくなった。1人でいる事が怖かった。過去が、私を闇に引きずろうと迫る影が、怖かった。

トレーナーが部屋を歩く足音で現実に引き戻される。彼の大きな体が私のすぐ横を掠め部屋奥へと移動していく。
今日、私がここに来た理由を思い出す。

私は椅子から腰を上げた。
621/05/08(土)06:42:01No.800507371+
フォースと共にあれ
721/05/08(土)06:42:23No.800507390+
顔が、燃えているのかと思うほど熱い。彼の姿をまともに見ることができない。立ち上がりはしたが目は伏せている。震える体をなんとか抑え、彼がいる方角へと歩きだす。
彼の胸めがけ、頭を垂れたまま直進する。ごつん、と彼の胸に頭突きを当てたような形になった。

緊張で言葉が出ない。頭を、ぐい、と更に彼の胸へと押し付ける。彼の腰に腕を回し、一方的に彼の体を抱きしめる。

彼は驚いた様子で私の名前を呼んでいる。突然組みつかれたので、何かあったのかと私の体を引きはがそうとしている。
受け入れられるだろうか。拒絶されるだろうか。彼の行動を縛る私の両腕に、ぎゅううと力が入る。

「一人でいるのが、怖い」
顔を彼の胸に押し付けつつ言葉を絞り出す。

「…ここに、居たい」
彼の体が硬直する。部屋から一切の音が消えた。お互い、次の言葉が出てこなかった。私は、この体が離れないように夢中で彼にしがみつく事しかできなかった。
821/05/08(土)06:43:13No.800507437そうだねx4
以前しっぽトリートメントのお詫びにタイシンがトレーナーに料理を振る舞う話(メ欄)を書いたのですが一応それの地続きです。
長くなりそうなので前後半で分けます ごめんね

根性が不足しているのでそんなにすけべな展開にはならないと思います
921/05/08(土)06:46:26 ID:.ovw5aOANo.800507608+
ちくわ大明神
1021/05/08(土)06:48:18No.800507700そうだねx6
甘々タイシンは体にスーッと効いて一週間の疲れを癒す
1121/05/08(土)06:50:05No.800507809そうだねx2
とてもとても良かった
今からやろうか……根性トレーニング……!
1221/05/08(土)06:51:48No.800507911そうだねx17
>以前しっぽトリートメントのお詫びにタイシンがトレーナーに料理を振る舞う話(メ欄)を書いたのですが一応それの地続きです。
むっ!いいねぇ…
>根性が不足しているのでそんなにすけべな展開にはならないと思います
坂路調教
1321/05/08(土)07:00:23No.800508382+
タイヤを引いてもらう
1421/05/08(土)07:09:05No.800508961+
神社行くぞ!
1521/05/08(土)07:10:18No.800509034そうだねx1
気ぶりハヤヒデのタイシン理解度合いはさすがだな…
1621/05/08(土)07:12:00No.800509147そうだねx2
う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!゛タ゛イ゛シ゛ン゛と゛ハ゛ヤ゛ヒ゛デ゛が゛喧゛嘩゛し゛て゛る゛と゛気゛ま゛ず゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛!゛!゛!゛
1721/05/08(土)07:50:28No.800512115そうだねx2
しっぽトリートメントが一瞬しっぽりトリートメントに見えた
1821/05/08(土)08:02:50No.800513169+
タイトレの存在がタイシンの平常心を壊しすぎる…
1921/05/08(土)08:20:09No.800514890+
タイシンは通い妻が似合うな…
2021/05/08(土)08:25:03No.800515443+
家事万能みたいだからなタイシン
2121/05/08(土)08:28:07No.800515803+
俺も早いとこタイシンをURAファイナルズで優勝させてやらないとな…そしたら怪文書書くんだ…
2221/05/08(土)09:25:25No.800524194+
タイシンにはタイシンが依存しない程度に優しくしてあげたい


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