今日はお休みなのでひとりでゲームセンターに来ています。 前にお兄さまといっしょに来た時にぬいぐるみをたくさん取ってもらった思い出の場所。 クレーンゲーム、リズムゲーム、他にもいろいろなゲームがあって楽しそう……と思っていると、ライスの耳に聞き慣れた声が入ってきました。 ｢よっしゃあ俺の勝ちィ！感謝しろよ相方テメー今日の夕飯に焼肉奢れ！｣ 目を向けると、お兄さまとその仲のいいトレーナーさん達が4人でならんで同じゲームをしていました。 ｢おい待て今の避けてただろ！運ゲーのマエストロか！？｣ いつもは、やさしくライスの練習に付き合ってくれるお兄さま。 たまに厳しい所もあるけれど、それはライスを強くしてくれるための厳しさ……だけど、今は。 ｢相方オメー今ぶっぱなしてスカしたの見えたぞ！俺の口座に2万振り込むか根性レベル5タイヤ引きするかどっちがいい！？｣ 楽しそうな笑顔で、ライスには聞かせた事の無いような強い言葉を投げるお兄さま。 これまでずっとライスに見せてこなかった、少しだけこわいけどとっても楽しそうなお兄さま。 心の中で、どきりと音が走りました。 ……ライスにも、あんな言葉を…… これは、きっといけない感情なんだと思います。これまでライスにやさしくしてくれたお兄さまへの、ちょっとした裏切りにさえなるかもしれません。でも、もっとお兄さまについて知りたい、いろいろなお兄さまが見てみたい。なにより…… （あんなふうに、笑顔で責められてみたい……） そう考えれば考えるほど、じんわりと体が熱くなって来るのが自分でもわかってしまいます。 自分からお兄さまにそんな事をして欲しいなんて、やっぱりライスは悪い子なのかもしれません…… …ライスもあのゲーム、はじめてみようかな？ 今日はお休み、いつものリズムゲームをやりにゲーセンに来た。 へっへー、新曲が追加されたんだよねー！しかもなんとあのカイチョーの曲！開発も見る目あるよねー！ そんなウキウキ気分でお目当ての筐体目指して歩いていると、こんな所で聞くとは思っていなかった声がボクの耳に入って来た。 ｢タンマ！1回待たない！？このムーブ突っ切って来られたら俺の機体もう対抗策が無いんだけど！｣ その声の方を見ると、ボクのトレーナー…と学園でよく見かける3人のトレーナーが並んでワイワイとゲームをしている光景が。 ｢あぁ困りますお客様これ以上私の弱機体をイジメるのはおやめ下さい！ｱｯｼﾝｼﾞｬｳ｣ いつもボクの前ではカッコよくて、弱点なんて無さそうに振舞ってて、でもボクが勝った時はにへらっと笑って撫でてくれる、そんなトレーナーが。 ｢今だ勇気の格闘！あっやめて急に光って加速しないでください！先頭の景色とかいくらでも譲るんで助けてください！！｣ あんな涙目で、弱みを見せてるなんて…… （ボクにも、あんな顔をして欲しい……） 目の前でトレーナーがあんな顔をしてボクを見てる事を考えると、胸がドキドキする。 …ボク、悪い子になっちゃったのかも…… ボクもあのゲーム、気になってきちゃった。 今日は休日、本来ならば引きこもり新たな研究にでも取り掛かるところだが、わたしのモルモット君に｢外の空気を吸ってくれ｣と言われてしまったので仕方なくあてもないまま街を歩いている。 ……むむ、あれはいつかにモルモット君と来たゲームセンター。あそこで取ってもらったぬいぐるみは今でも飾ってある。 ｢たまにはあんなところで暇を潰すのも悪くは無いだろう｣ 誰に言う訳でもなくそう口にし、その敷地に足を踏み入れると鼻腔をくすぐるよく馴れた匂いに気が付いた。 ｢よえぇ！心の底からこの機体が弱い！｣ そこに居たのは愛しのモルモット君と学園の敷地で見かけるトレーナーたち。4人が並んで同じゲームをプレイしていた。 ｢急速回転ッ……あれぇ弾がねぇ！？機体制御のどこが完璧なんだお前は！｣ あれは確か…モルモット君の部屋に模型なんかが置いてあるロボットアニメのゲームだろうか。休日に寮に薬を渡しに行った時にはその作品を見ていたような覚えがある。 いやそんな事はどうでもいい、今大事なのはあのモルモット君の言葉遣いだ。この天下のアグネスタキオンの担当トレーナーだぞ？その彼がまさかこんなところで笑顔で愚痴を叫ぶなんてことがある訳が…… ｢そーれ虹のー彼方ーへーゆこうー！…おっと鳥ビーム防がれて覚醒切れたらもうこの時代のC装備にやれる事はないぞ？あっそれは死ぬな…｣ 何度見ても耳を澄ましても入ってくる情報は変わらなかった。むしろかなり的確に愚痴を言ってることがよく分かった気がする。 ……しかし、あんな顔で拒否もするんだな、モルモット君。 （実験も最初の頃は多少の拒否反応を示していたが、最近は何を渡しても説明を聞いた後はノータイムで受け入れてくれるようになったからな…） モルモット君のあんな反応が少し懐かしいような、最近のはもはや諦観の域に入っているような。 あの顔。笑顔で私を嗜めてくれる、あの表情…… モルモット君のあんな顔が見れるのなら、あのゲームにも少し興味が湧くじゃないか。 バクシンバクシン！！！みなさんこんにちは、今日も元気に学級委員長！サクラバクシンオーです！！！ 今日は休日なのでひとりでお出かけして最近クラスメイト達が噂しているお店の食べ歩きを敢行中です！！学級委員長たるもの流行にも敏感でなければ！！！！ そんな訳で先程買ったお餅をモグモグバクシンゴックンと食べ終わると、ご飯とは違うよく馴れた匂いがするではありませんか！！これは学級委員長的に釣られるのも仕方がないのです！！！ そうして辿り辿って着いた先はゲームセンターでした！トレーナーさんと遊びに来たりと思い出深い場所ですね！！！ 更に建物の中に入りその匂いを辿っていくと…… ｢よし！覚醒吐いたから前行ってくる！大丈夫行けるって俺を信じ…ごめん落ちた｣ ややっ、あれはトレーナーさんとそのお友達の皆さん！！！ まさかこんなところで見つけるとは偶然ですね…せっかくなので皆さんをもう少し見てみましょう！！！学級委員長の担当に相応しいトレーナーとしての立ち振る舞いをしているのかバクシンチェックです！！！ ｢俺の因子が光って唸る！敵を倒せと輝き……輝き叫べなかったねぇ…やっぱ常に輝いてるアカツキみてーな奴がいるのがダメなんだ｣ ふむふむ…… ｢安心しろって流石にこの機体で覚醒通せなきゃ詰んでるだろ分かってるって……あれ？落ちたら負けたんだけど｣ ほうほう…… ｢ヒット確認ヨシ！負けるかこちとら鋭い眼光持ちやぞ！！！…少し掛かってしまったようですね…｣ バクシンバクシン…… なるほど、分かってしまいました トレーナーさんもやはりバクシンが好きなのですね！！？！？？ 一緒にプレイしている方から何度一旦下がれなどと言われても己のプレイスタイルを貫き通すその姿勢！！！まさにバクシンが人の形をして生まれたかのようではありませんか！！ そうと決まれば私もプレイしなければなりませんね！むっあそこにいるのはライスシャワーさんとトウカイテイオーさん、更にアグネスタキオンさんまで！！！皆さんも一緒に行きましょう！！！！！ 『ふりーはぐ。』 ミーティングをしようとトレーナー室に入ったアタシの目に映ったのはなんとも簡素なその5文字。 トレーナーさんは椅子に座りこくりこくりと船を漕いでいる。それだけならばいい、首から下げているフリップが問題なのだ。 ｢えぇーっと…？｣ フリーハグ、その概念程度は知っている。街頭で様々な人と抱擁をして愛とかなんとかそんな感じのアレ。 でも今は違う。ここは人通りの多い街頭でも無ければここに来るのは多分アタシか、もしくはたまに来るトレーナーの関係者ぐらいだろう。つまり。 ｢えっ、いいの…？｣ そういう事だろうか。今ならいいんだろうか。トレーナーさん寝てるし。いやそういう事じゃなくて。でもご丁寧に隅っこに｢ご自由にどうぞ｣って書いてあるし。 頭の中がぐるぐるして、今すぐに叫んで頭を掻き毟りたいけどそれで起こしたらそれはそれで勿体無いなんて卑しい考えも浮かんでくる。 ｢…いい、よね？｣ アタシはこれまで頑張ってきた。そしてこれからもトレーナーと頑張っていく。なら少しぐらい欲張ったっていいじゃないか。多分三女神様もヨシって言ってくれてる。うん、いいよね？ …………よぉし。 意を決して両手を少し広げ近づいていく。普段より五感が鋭くなっていくのを感じる。トレーナーさんの匂い。息を吸って吐く規則的なリズム。こくりこくりと前後する頭。 あと一歩。あと一歩で射程圏内。もう少し……もう少し……で…… ｢いや無理！｣ いつも以上にドキドキする！あれ、寝てるトレーナーさんってこんなに魅力的なの！？こんなあどけない寝顔しててよくこれまで自然界で淘汰されなかったね！？ ｢頭、冷やそ｣ ぼそりと呟き、トレーナーさんから離れて一旦顔を洗いに部屋を出ようとする。 ｢いくじなし｣ ……うん？今、鋭敏になったこの五感に1番聞かせちゃいけない声が聞こえたような？ ギギ、ギギギと身体が軋むような音が響くぐらいゆっくり振り返る。油も差さず使い続けた自転車だってこんなにぎこちなくはない。 そうしてやっと振り向いた先では、トレーナーさんがこちらを笑顔で見つめていた。それはもうニッコニコで。 ｢ちょまっ、そっ、いつっ、どどっどどどっど……！｣ 落ち着けアタシ、青いくるみもすっぱいカリンも無いぞ。 ｢ネイチャさんが部屋に入ってから15分ぐらいですかね？しばらくフリーズしてたので流石に心配になりましたよ｣ 最初か。最初からか。おのれは初めから謀っていたのか。なにが淘汰されそうだ、思いっ切り食物連鎖の頂点に立つ側じゃん。 ｢……可愛かったですよ？｣ ｢ばか！｣ 思いっ切りドアを開け全速力で逃げるしか無かった。ちくしょう。 ドッキリ検証企画！ 『担当ウマ娘がヒトになったらトレーナーはどうリアクションするのか』〜！ どうも、司会を務めさせていただくスペシャルウィークです！ 今回はこのトレセン学園に所属するトレーナーさん達をターゲットにドッキリを仕掛けていと思います！ 企画としては、ウマ娘の耳や尻尾をウィッグなどで隠しカミングアウトした時に担当トレーナーはどう反応するのか、どう答えるのかを見ていくものとなっています。 では早速1組目、トウカイテイオーさんのVTRを見てみましょう！ よーし、いつもからかわれてるお返しだ！迫真の演技で騙しちゃうもんね！ （ｺﾝｺﾝ）｢…ねぇ、トレーナー…いる…？｣ ｢珍しいなノックなんて、入っていいぞー｣ うん、しおらしくしおらしく… ｢とれーなぁ…僕、おかしくなっちゃった…｣ よーし驚いてる驚いてる ｢なぁテイオー、その、耳は……｣ ｢なんか、朝起きたらこうなってて…尻尾の方も、無くなっちゃってさ。ちょっと走ってみたら全然スピードもスタミナも無くなってて…これ、人になっちゃった、のかな？なんて…えへへ｣ ｢それは、その、つまり｣ ｢…うん。レースとかは、もう出れそうにない、のかな。お医者さんも原因不明だって。｣ お、いい感じにショック受けてる表情じゃない？これは騙せてるんじゃ…うわあぁぁ！？ なんで！？なんで急に抱きしめてくるのさ！？ ｢そっか…つらいよな、走れなくなるのは…｣ ｢あ、あのあの…！｣ ｢なぁテイオー、何かやりたいことあるか？俺に出来る事ならなんだって手伝う。不都合があるなら、この職場を辞めてでもキミに寄り添いたい。｣ ｢あわわわわ…！｣ ヘルプ！だれか！スペちゃん！カメラさん！緊急終了！ネタバラシ！人になる前に茹でダコになっちゃう！ ｢……あんな、気持ちよさそうに走ってたテイオーも、もう見れないんだな…｣ 見れる！見せてみせるよ！何度だってキミの前で伝説を作ってみせるから！はなして！ ｢あの〜ぅ…｣ ｢……スペシャルウィーク？｣ ｢はい、あの…ドッキリなんです｣ おずおずと『ドッキリ大成功ッ！』のプラカードをあげるスペちゃん。そして腕の拘束が緩んだ隙にそっと離れてウィッグを外すボク。 ｢…………よかったぁ…｣ 心の底から漏れたような安堵の溜息を出しながらトレーナーはその場にへたりこんだ。 ｢まだ、テイオーの走りを見ててもいいんだな？｣ ｢…うん！無敵のテイオー伝説、ちゃんと見せてあげるから！｣ そしてスペちゃんは｢いい映像が撮れました！ご協力ありがとうございます！｣という言葉と共に去っていった。いやぁ一件落着… ｢映像？｣ あっ。 ドッキリ検証企画！ 『担当ウマ娘がヒトになったらトレーナーはどうリアクションするのか』〜！ どうも、司会を務めさせていただくスペシャルウィークです！ 今回はこのトレセン学園に所属するトレーナーさん達をターゲットにドッキリを仕掛けていと思います！ 企画としては、ウマ娘の耳や尻尾をウィッグなどで隠しカミングアウトした時に担当トレーナーはどう反応するのか、どう答えるのかを見ていくものとなっています。 それでは2組目、ライスシャワーさんのVTRを見てみましょう！ スペシャルウィークさんが仕掛け人を募集しているのを見て、どっきりというのに挑戦することにしてみました。 ライスにうまくできるかわからないけど、これでみんなが笑顔になってくれるならライスも嬉しいし、ちょっとだけお兄様の反応も気になるし…頑張るぞ、おー！ ｢ひっぐ…ぐすっ…おにいさまぁ…｣ ｢…ライス！？どうした！？｣ 近くのお部屋でたまねぎをたくさん切って出した涙といっしょにお兄様のお部屋にはいります。 ｢ライス、ライスね…？｣ ｢…ッ！その、耳…？｣ ｢うん…｣ びっくりしてるみたいです、気付かれてはいないのかな？ ｢しっぽも無くなってて、朝になったらこうなってて、朝ごはんも食パン1枚しか入らないし、ぜんぜん走れなくて、あっ、あの、あの…！｣ あわわ、準備してもらってた言葉が混ざっちゃった…！ ｢…走れ、ない…？｣ ｢ひぐっ…うん…｣ あっ、お兄様がとてもショックを受けた表情をしています… ｢…お兄様も、やっぱり走れないライスなんて、いらな…｣ ｢そんな事は無い。｣ ｢えっ？あわ、あわわわわ！｣ お、お兄様が急に両膝を着いてライスを抱きしめてくれました！お顔が隣でドキドキする！ ｢ごめんなライス、君がもう走れないって言われた時、一瞬だけ安心してしまった｣ ｢ふぇ？｣ ｢もう君が、恐ろしい怪我と隣り合わせで練習をする恐怖と向かわなくていいのかなって、思ってしまったんだ｣ お兄様… ｢俺は…悪いトレーナーだよ…キミにお兄様なんて呼んでもらう資格なんて無いのかもしれない…｣ そっと、ライスを抱きしめる力が強くなります。 肩には少しだけ濡れる感覚。 ｢それでも…叶う事なら、君をこのまま抱き締めて…守り続けたい…！｣ あの、それって…！ ｢…あの〜う、ごめんくださ〜い｣ ｢…………スペシャルウィーク？｣ ｢えぇ、あの、ドッキリです。｣ 『ドッキリ大成功！』のプラカードをそっと掲げるスペシャルウィークさん。ライスもそっとウィッグを外します。 ｢……えぇーっと、じゃあなんだ。ライスは、まだ走れる？｣ ｢うん！朝もいっぱい食べてきたよ！｣ ｢なるほど素晴らしい。となるとだ、俺はスペシャルウィークの前でただただ恥ずかしい発言をしたというだけになる、のでは？｣ …そっとお兄様の顔が赤くなっていきます。 ｢…では失礼しますね！本放送は学園内でのみ行われます！｣ ｢待て本放送ってなんだ｣ ドッキリ検証企画！ 『担当ウマ娘がヒトになったらトレーナーはどうリアクションするのか』〜！ どうも、司会を務めさせていただくスペシャルウィークです！ 今回はこのトレセン学園に所属するトレーナーさん達をターゲットにドッキリを仕掛けていと思います！ 企画としては、ウマ娘の耳や尻尾をウィッグなどで隠しカミングアウトした時に担当トレーナーはどう反応するのか、どう答えるのかを見ていくものとなっています。 それでは3組目、サイレンススズカさんのVTRを見てみましょう！ もし自分がウマ娘では無くなったら。 考えた事もなかったけれど、走れなくなっていたら同じような景色は有り得たかもしれない。 ゾッとするのと同時に、でもそんな時トレーナーさんはどんな言葉を投げかけてくれるのだろうと、少しだけ気になってしまった。 ｢トレーナー…さん…？｣ ゆっくり、しおらしく、ウィッグもズレないように… ｢ああスズカ、ノックなしなんて珍し、い……｣ 耳を見て言葉を失っているようです、とりあえず掴みは成功でしょうか？ ｢その、スズカ｣ ｢はい…朝起きたら、耳も尻尾も消えていまして…｣ ｢…走りは、どうだ？｣ むっ、私の気遣いより走りが気になるんでしょうか。深刻な顔でこちらに質問を投げかけてきました。 ｢どれだけ走ろうとしても、身体が重くて…これって、人になったってこと…なんでしょうか…｣ 瞬間、スッとトレーナーさんから表情が消えました。 ｢病院は？｣ ｢…原因も、分からないそうです｣ 少しだけ俯いてこちらの顔が見えないように、気付かれないように… というかトレーナーさん、さっきから走りの事を聞いてばかりで私を気遣う台詞の1つも無いじゃないですか。ちょっとショックですよ？ と隠した顔で少しだけむすーっとしていると、唐突に打鍵音が聞こえてきました。 ｢…あの、トレーナーさん？｣ ｢流石にそう簡単には見付からないか、ウマ娘、人になる…転生？うるせぇオカルトやってる場合じゃねぇんだ｣ 見てみると、かなり必死の形相でパソコンに向かっていました。 ｢……あのう｣ ｢あーもう探せど探せどオカルト記事か創作しか出てこねぇ、もういっそ紙媒体を…｣ ｢どこに行くんですか！？｣ ｢…どうにかしてスズカをまた走らせたいだけ、だが？｣ 何を聞いてるんだお前は、とでも言いたげな顔でこちらを見られました。いえそもそもこれウィッグなんでそんな病気も症状も実在しないんですが。 ｢いやとりあえず他の病院とかにも行ってみるか、車出すぞ｣ ｢ちょっちょっちょっと待ってください！｣ 部屋の外にはスペちゃんが居るし…仕方ない、抱きしめて少しだけ止めます！ ｢…なんだ、一分一秒でも惜しいんだが｣ ｢その…どうして、そこまでしてくれるんですか？｣ ｢…お前があんな気持ち良さそうに先頭の景色を走ってる姿に惚れたんだ。お前が先頭の景色を見れないのも、俺がその走りを見れないのも絶対に御免なんでね。｣ ……惚っ、惚れっ！？ ｢お前が誰も寄せつけずに独占した先頭の景色を共有する権利を貰ったんだ、絶対にまたお前を走らせる｣ 共有… ｢一生かかってでも見つけだす、何があってもお前とまた同じ景色が見たいんだよ｣ 一生…！ ｢…ところで、人になったにしては力強いなスズカ。1歩も動けんのだが｣ 動けないのはこちらのセリフです！恥ずかしくてもう隠しカメラに顔が映せないぐらい赤くなっちゃったじゃないですか！もうしばらく背中に顔うずめてます！ ｢もしも〜し…｣ ｢…スペシャルウィーク？なんでここに｣ ｢いえですね…ドッキリです。｣ 『ドッキリ大成功ッ！』のプラカードを上げるスペちゃん。 顔は見せられませんが私もウィッグだけ外してトレーナーさんの前に持っていきます。 ｢…つまり？｣ ｢トレーナーさんはまたスズカさんの走りが見られるという事ですね！｣ ｢…そっ、か。｣ あ、体勢が変わらないまま私の頭に手が伸びて来ました。そうして、頭を撫でながら愛おしそうに私の耳に触れてきます。 ｢うん…これからもよろしくな、スズカ｣ ｢…………はい。｣ ｢では失礼しますね！さて編集始めますよー！｣ ｢待て編集ってなんだおい…ッ！？ちょっスズカ！そろそろ離してくれてもいいんじゃないかな…！？｣ 嫌です。しばらくこのままです。