二次元裏@ふたば

画像ファイル名:1619951960422.png-(1055870 B)
1055870 B21/05/02(日)19:39:20No.798621585そうだねx2 20:39頃消えます
トレーニングは休みでも、ミーティングはやることになった、そのまま保健室に一泊したあと、足を保護する包帯を巻いてしばらく車椅子生活。
なってみてわかったけど、これはすごく大変だ。真っ直ぐ進むのもゆっくりならまだしも、ちょっと急ぐと左側によれていって、車輪から手が離せない。それに横幅を取るからすれ違う時気を使う。
トレーナーがすいすいと芝の上でも移動しているのは実は凄いことだったんだなと思いながらトレーナー室に入る、いつもならトレーナーが先に来ているのに、今日は時間になっても来る気配がない。

今まで遅れたことなんて一度もないのに、電話をかけてみるけど繋がらない。
何かあったのかな、昨日の今日だから心配だ。
慣れない車椅子の車輪を転がして、ボクはトレーナー寮へ急いだ。
寮長さんに部屋番号を聞いて、トレーナーの部屋へ向かう。
ドアホンを押して、少し待つ。反応なし。
ドアに耳を押し付けると、微かに息をする音が聞こえる。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
121/05/02(日)19:39:32No.798621645そうだねx2
「トレーナー?」
ノックしてみても反応なし、寝てるのかな?
一応、とドアノブをひねると、鍵はかかってなかった。
「トレーナー、入るよー?」
ドアを開けると、お酒の匂いが鼻をついた。普段のトレーナーからは絶対にしない匂い。
カーテンが閉まったままの暗い部屋は、電気を点けるとひどい有様だった。
そこら中に書類やバインダーが散らばり、お酒の缶が何本も転がっていた。
そしてトレーナーは車椅子に座ったまま、ベッドに倒れ込むようにうつ伏せになっていた。
221/05/02(日)19:40:26No.798621969そうだねx1
慌てて近寄り、引き起こすと、すごくお酒臭い息を吐きながら眠っている。
ウマ娘の嗅覚は鋭い、普段からお酒を飲むような人ならすぐわかる、だから、自棄酒という奴だろう。
昨日、帰ってから酔っぱらい、それで自分で部屋を荒らして、そのまま鍵もかけないで眠ってしまった。
風邪を引かないように車椅子に座らせて布団をかけてから、どうしようかと見回した。ボクがトレーナーならこんな姿見て欲しくないけど、このまま鍵を開けたままもいくら学園内だからって不用心だ。

鍵がないか探していると、デスクに広げられたままのノートが目に入った。
ページいっぱいに『私のせいだ』『私のせいだ』と繰り返しなぐり書きされ、そばのへし折られたボールペンから漏れたインクが隅を汚している。
321/05/02(日)19:41:06No.798622234そうだねx1
そこに込められたあまりの強い感情、普段トレーナーが見せないものに、ボクは吸い寄せられるようにページをめくり、遡る。それはトレーナーの日記だった。
最初はボクの担当になった日から、日々のトレーニングの記録と無感情な所見がずっと続いている。
内容が変わり始めるのは、メイクデビューの日から、『シンボリルドルフに感謝しなければならない、私はあの子に何も返していなかった。』
そう綴られている。そこから、ボクをどう褒めればいいか、どう努力に報いるか苦悩する言葉がずっと続いていた。
421/05/02(日)19:41:26No.798622386そうだねx1
そして日本ダービーを優勝した日の日付『ついにテイオーが日本ダービーを取った、無敗の二冠、このままいけば無敗の三冠を取れるかもしれない、いやかもしれないではダメだ。絶対に取る、あの子ならそれが出来る。
 私はあの子を道具として使っていた、ウマ娘に対する復讐の道具として、しかし、もうやめよう。
 いつか打ち明けなければならない、最初の三年が要だとたずなさんに聞いている。私のわがままだが、その間は伏せておきたい、彼女の栄光のために私の事情は関係ない。
 夢を叶えた時、私の醜い本性を打ち明けよう。どんな結果になろうとも、受け入れよう。ただ、もし願うならば、ずっと彼女の走りを眺めていたい、私の代わりに、風を切って先頭を走る姿を目に焼き付けたい。』
521/05/02(日)19:41:46No.798622551そうだねx1
馬鹿だなあ、言わなきゃ伝わらないのに、示してくれなきゃわからないのに、こんなにボクに期待してるなら、そう言ってくれればいいのに。
どんな思惑があったとしても、トレーナーはボクの夢を叶えようとしてくれてるのに、どうしてこんなに不器用なんだ、ボクのトレーナーは。
胸が熱くなって、ぽたり、と不意に涙が溢れた。落ちた雫がノートの文字を滲ませる。
「んぅ…………ん…。」
小さくトレーナーが呻く、これ以上ここに居たら、ボクが居た証拠を残したらまずい。
もう一度部屋を見回すと、デスクのすぐそばの壁にかけられた合鍵を見つけた、ゆっくりと音を立てないように車椅子を動かしてそれを取ると、そろりそろりと部屋を出る。
鍵を閉めて、これで一安心。とりあえずポケットに合鍵をしまうと、ボクはトレーナー寮を後にした。
トレーナーはいつも頑張ってる、今日一日ぐらい、休んでもバチは当たらないだろう。
621/05/02(日)19:43:01No.798623023そうだねx2
前回までのログです su4819363.txt
トウカイテイオーはトレーナーの部屋の鍵を手に入れた!
721/05/02(日)19:43:54No.798623389そうだねx3
いつも読み応えがあっていいね…
821/05/02(日)19:56:57No.798628891そうだねx2
毎回楽しみにしてる
921/05/02(日)20:10:35No.798634640+
テイトレはこれくらい感情が重いくらいが丁度いい
1021/05/02(日)20:34:18No.798644805+
テイオーよりトレーナーの方が重いのいい…


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