二次元裏@ふたば

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34609 B21/04/30(金)10:38:40No.797787059+ 12:13頃消えます
キングヘイローの誕生日――――三日目
「もう突っ込む気も起きないけど…いいわ。一応話す権利をあげる」
キングの実家、その客室のベッドで寝ていた自分を朝よと揺り起こした彼女を誕生日三日目の開催を告げるとややげんなりした表情で呆れ気味な表情でそう言われる。少し悔しいので抱き締めたらもうお母様達は起きている筈よおばかと怒りつつも抱き締め返してくるキングはとても可愛い。
さて、一昨日の誕生日が半日程度しか祝えず、思えば昨日だってほぼ丸一日二人きりの誕生日ではなかった。(su4812307.txt参照)つまりまだ今日の15時まではロスタイムではなかろうか。言っててかなりこの天丼は辛いものがあるかとは思ったが普通にデートに誘うのも気恥ずかしいから許してもらいたい。口実があればいつだってキングと一緒に居たいのだ。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
121/04/30(金)10:47:53No.797788747+
トレーナー頭からアルバハとか出してない…?
221/04/30(金)10:48:53No.797788933+
「とりあえず…身支度して降りるわよ。もう食事の準備だってできているんだから」
身体を離して手早く着替えるキングに倣って着替え、鏡で寝癖を整える。それにしても素晴らしいベッドであった。将来二人で棲むならこのような大きなベッドがほしいと考えていると、その邪な気持ちを感じ取られたのかキングに手を引かれる。そういえば…と、ふと昨日のキングの誕生会(二日目)の後の事を思い出す。彼女の両親の前でキングに渡した小さなケーキ。そのチョコレートプレートに書いたプロポーズは受け入れられ、昨日は遅くまで使用人やキング邸にいた関係者を巻き込み家族で騒いでいた。だというのにキング本人は意識することもあまりないようで緊張しなくていいな、と思う心と少し意識してほしかった、というようなわがままな感覚に振り回されつつもキングの両親が待つ朝食の場に到着するまではそれほど時間がかからなかった。
321/04/30(金)10:59:08No.797790940+
三日目!?
421/04/30(金)11:06:28No.797792348+
>トレーナー頭からアルバハとか出してない…?
ゴルシウィークも2週間あるから気にしちゃいけない
521/04/30(金)11:07:44No.797792570+
トレーナーがハジケリストと化してる…
621/04/30(金)11:08:03No.797792635+
なんなら365日祝ったっていい
721/04/30(金)11:08:50No.797792787+
キング邸の朝は慌ただしかった。顔を合わせて食事を終えたかと思えば両親共に仕事で出掛けていき、去り際に娘を頼んだと力強く肩を叩くお義父さんはこちらの威厳がある方が本来なのだろう。お義母さんもキングに「今度は卵焼きを作りにいらっしゃい」と言い残し、あっという間に出掛けていった。彼女にいつもああなのか、と訊ねれば「今日はかなりゆっくりしていた方ね」とのこと。食事を済ませて家政婦さんに予定を確認されたので、そろそろお暇しますと返事をしてキング邸を後にする。部屋までの送迎の提案は丁重にお断りし、彼女と二人でゆっくりと散歩しながら帰ることにした。
「それで、これからどうするの?」
手を繋いだ彼女にそう聞かれ、悩む。誕生日三日目と勢いで言ったはいいものの昨日のインパクトが強すぎていざ二人きりに戻ると、昨日を超えるプランがまったく思い浮かばない。本来のプランをこれからやり直すのもと悩んでしまう。
821/04/30(金)11:14:48No.797793933+
今日も長文かテメー!!
921/04/30(金)11:19:54No.797794984+
>なんなら365日祝ったっていい
メジロシティの一心同体記念日じゃあるまいし
1021/04/30(金)11:20:00No.797795008+
「私ね、やりたいことがあるの」
言葉に詰まっていると、キングに提案をされる。
「ここのところ忙しかったでしょう?たまにはゆっくり散歩しながら帰りたいわ」
繋いだ手を離し、腕に抱きつかれる。こちらを見上げるキングの表情は穏やかで…そうか、何をしていようと二人きりでいられることには違いない。今日は青空が広がっており、風は涼しく絶好の散歩日和。何はなくとも平凡で、かけがえのない時間を共に過ごすことに決めた。彼女に誘導された感は否めないが、不足を補い合ってこその一流だろう、と都合よく考えることにして取り敢えず最寄りの駅まで遠回りして景色を楽しみつつ、トレセン学園を目指すことにした。
1121/04/30(金)11:20:59No.797795228+
普通にお義父さん呼びになってるしキングとくっつく気満々だな!
いいぞ!
1221/04/30(金)11:23:07No.797795665+
肉体関係あるのにくっつく気無かったらいやだよ!
1321/04/30(金)11:23:42No.797795783+
>普通にお義父さん呼びになってるしキングとくっつく気満々だな!
>いいぞ!
二日目に見本のケーキ使って両親の前で告ったぞこやつ
一流の旦那として相応しい…
1421/04/30(金)11:25:49No.797796247+
一流のハジケリスト来たな…
この前のは最高だったぞ
1521/04/30(金)11:30:05No.797797196+
――ここが、昔よく遊んでいた公園。よく遊具の取り合いになっていたわ。当時の写真が見たい?いいわよ、今度ね。もちろんあなたの写真も見せてくれるんでしょう?
――この駄菓子屋さんまだ残ってたのね!少し寄ってもいいかしら?懐かしいわね
キング邸からの帰り道、それはキングの過去と強い繋がりがある。歩く先々で、彼女の思い出を教えてもらう。その一つ一つが今のキングを形作るもので、それを聞かせてもらえることを嬉しく思う。果たして彼女の誕生日のエスコートという主題から逸れているような気がすることに関してはこの際考えないこととする。
「私ばかり話しているじゃない。喉が乾いたわ?あなたの話しも聞かせて頂戴」
キングの行きつけだったはちみーショップで大きめの飲み物を二つ買い、クラシック路線を目指し始めた頃に使っていたという河川敷コースの斜路に汚れを気にすることもなく座る。さあ、聞かせて?と興味たっぷりな声をあげる彼女に何から話したものかと流れる雲をみながら、トレーナーになろうと思ったときのことをかいつまんで話していくことにした。
1621/04/30(金)11:36:25No.797798639+
――ウマ娘の走りに魅せられたのはいつからだっただろうか…もう思い出せないほどに強く根付いたトレーナーへの夢は、親に反対をされていて、とにかく隠れて勉強をする必要があった
――共学だったけど、学校にウマ娘は在籍していなくてよく放課後に学校を回ってはグラウンドの隅っこでこっそりと見学していた
――バ場に行くのも勉強になったけど、やっぱり普段の練習を見たくて…何度つまみ出されても時間を空けて場所を替えて勉強を続けた
なんだか、自分のルーツを明かしていくのはどこか気恥ずかしい。しかしキングはその話を黙って聞いている。彼女と違って、場所という関連性もなく話していると完全に思い出話で、オチもつかないような事柄をどう結ぶかを考えていると、やはり彼女に行き当たる。
1721/04/30(金)11:38:16No.797799092+
ウマSSシリーズの中で一番まともなトレーナーなんじゃ
1821/04/30(金)11:41:14No.797799794+
「念願のトレセン学園に、家出のように出て来て転がり込んで…そこで、見たんだ。キングヘイロー、彼女の走りを」
最初はいきなり絡まれて、何がどうしたのかと思った。高慢ちきな、取り巻きを呼びつけて始まるキングコール。気になって走りを見て、虜になった。あと少し、もう少し、もっともっと、彼女の走りを見ていたい。彼女が差しきって勝つその瞬間を。その傍らにいたい、って。でも、キングはあらゆる誘いを蹴り飛ばして、自分も蹴っ飛ばされて、トレーナーにとっては『次がある』機会だって、ウマ娘にとっては一生に一度の大切なことだって。だからこそ、人生を懸けてやらなきゃいけないことだって当たり前のことに気づかされて…そして一流になることを決意したんだ。
1921/04/30(金)11:48:32No.797801468+
「こんなの、一生傍にいるって、そう思って傍にいたなら、こうなるしかないよね」
いつしか草むらに寝転がり、二人で空を見上げていた。ひんやりとした地面、繋ぐ手は温かくて、ずっとこうしていたくなる。
「もしかして、私と専属契約したこと後悔してる?」
心にも思っていない響き。だから、何をバカなことをと簡単に切り捨てる。どちらからともなく起き上がり、気恥ずかしさを覚えながら互いの顔を見る。その時、風が巻き起こった。
『うぉりゃああああああああっ!!クラシックに出るんだあぁぁぁぁぁぁっ!!』
風の主は、小さなウマ娘。あっという間に離れていく背中はいつかのキングそのものだろう。眩しげに目を細めていると、ポツリとキングが言う。
「私、走りたくなっちゃったわ」
「行っておいで」
言うが早いか、小さな背中めがけて飛んで行くキング。あっさりと抜き去った彼女を見た小さなウマ娘が叫ぶ。
「あっ…えっ!?キングヘイロー!?キングヘイローだっ!!!!」
2021/04/30(金)11:49:03No.797801579+
これわりと即興で書いてるんだよな…
2121/04/30(金)11:55:53No.797803097+
「キングヘイローさーん!!!!」
叫びながらキングの背を追いかける小さなウマ娘に振り向かず手を振るキング。あっという間にちぎられてしまった彼女の前方で速度を落として立ち止まると、息も絶え絶えながらキングにファンだと告げる小さなウマ娘。キングはお約束のキングコールをサービスし、サインを手持ちのブロマイドに書いて小さなウマ娘に渡す。
「ありがとうキング!!私ねっ!キングと同じようにクラシック路線目指すの!!それでね!!一流のウマ娘になる!!」
彼女はかつてのキングを見てきたのだろう。その敗北を見て、それでも折れずに、路線変更をしてでも強さを魅せつける彼女に憧れて……ようやく追い付いて膝に手をついて息を整える。すると、キングに背中を叩かれた。
2221/04/30(金)12:05:28No.797805383+
「いいこと?一流のウマ娘には一流のトレーナーが必要なの!あなたも一流になるのなら、一流のパートナーは妥協せずに選びなさいな!」
「うん!わかった!!私頑張る!!」
小さなウマ娘は礼を言ってまた走り出す。キングと二人でその背中が見えなくなるまで、手を振って声援を送る。そして、彼女が見えなくなったとき、キングはこちらを向いて、帰りましょうかと言う。
「私の生き様が、私の一流はみんなに届いていたのよね」
バ場ではない場所での反応を噛み締めながら、キングは満足げな表情をする。
「負けてられないわね。後輩にも、お母様にも。あなたが勝手に約束した卵焼き、練習するから付き合いなさい?あと、今日は泊めなさいよね」
二人で笑い、伸び始めた影を踏みながら、彼女の誕生日(三日目)は大切なことを思い出す契機となったのだった。
キングヘイロー誕生日
――――三日目
おわり
2321/04/30(金)12:06:39No.797805669+
間に合ったか…
2421/04/30(金)12:06:53No.797805725そうだねx1
キングの誕生日を充実させようと思ったら三日目突入してました
お付き合いいただき感謝です
2521/04/30(金)12:07:05No.797805775+
3日もやるなんて一流の誕生日過ぎる…
2621/04/30(金)12:08:32No.797806106+
ちっちゃい子どもが元気にキングコールしてる光景めちゃくちゃいい…


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