カタリと入口から音がする。振り向かずともわかる、フクキタルの足音だ。
「ゲホゲホッ……ﾋｭｰ……随分と早いな、フクキタル。」
先に飲み物を用意しておくべきだったか、強烈なミントで一層喉が焼ける感覚がある。
「トレーナーさん。」
どうした？珍しく真剣な顔で……
「そんなに、調子が悪いんですか。」
そうだな、良くはないな。
「……ッ！いつもいつも、自分の事は全然相談してくれないんですね。」
どれくらい、保ちそうなんですか。
そう問われる。保ちそうとはなんの話だかよくわからないが、言わんとすることは分かる。
「FINALはちゃんと見届けるから心配するな。」

「〜〜〜〜！わかりました。スパッと、シュパっと、ババっと1着獲りますので、絶対に見届けてくださいよ！」
「ああ、勿論だ。」
「それから思いっきり褒めてくださいね！」
それからこれ、持っておいてください。そう言っていつも持ち歩いている水晶玉を机に置き、踵を返していく。
「おい、なんで泣いて……」
「泣いてなんかいません！」
流石に大きな試合の前でナーバスになっているのだろうか。
「偶には甘やかしてやるか、ふわぁ。」
それにしても、眠い。

それじゃあ、頑張れよ。
いつものように、トレーナーさんに送り出されました。やつれて隈のある酷い顔で、立っているのもやっとという体に見えました。
いつも、いつも、どうして私の大事な人は私を置いていってしまうのでしょうか。
酷いよ、お姉ちゃん、トレーナーさん……
でも、でもトレーナーさんは約束してくれました。見届ける、と。
それなら私は大凶を大吉に変えるような走りをするだけです。きっと奇跡だって起きます。
神様、シラオキ様、今だけはどうかお願い致します。神頼みだけのダメだったウマ娘を救ってくれた恩人に、どうか、どうか……

前も、横も、後ろからも。強烈なんて言葉では言い表せないほどのプレッシャーに囲まれます。
けれど私にはこの脚が、二人で、みんなに育ててもらった末脚があります。
……隙間が、見えました。糸のようなそこに、全闘志をぶつけて行きます。勝負も、運も、待つものではなく、切り開くものなんです。
そう教えてくれたのは、トレーナーさんで。
「うあああああああああああ！！！！」
無我夢中で、壊れんばかりに腕を、脚を振り絞りました。
気がつけば、既にゴールは遥かに後方。遅れて耳からの情報が頭に届きます。
「一着、マチカネフクキタル！」
……は、はは、やった！やりました！トレーナーさん！
辺りを見渡し、いつものようにトレーナーさんを探し……
「うっ、ううっ、うああああああん！」

うーん、しまった。レースを見に行くはずが眠ってしまっていたようだ。
これは流石に怒られそうだ、どれだけ埋め合わせをすれば許してもらえるだろうか。
急ぎ、外に向かっていると聞こえてくるのはフクキタル一着を知らせるアナウンス。
思わず笑みが溢れる。
慌てて向かうと、一着だというのにターフの上で泣き崩れているフクキタル。随分殊勝になったもんだと声をかける。
「やったなフクキタル！おめでとう！」

ふぇ、トレーナーさんの声がします。
顔を向けると、そこには間違いなくトレーナーさんがいて……
「夢でも、幻でもないです、よね。」
目を擦り、頬を抓って見ても景色は変わらないまま。
「ほら、顔を拭いて皆さんにも挨拶を……」
思い切り抱きつきます。この感触、音、匂い、それは間違いなくトレーナーさんでした。
「う、うわああああん！トレーナ゛ーさ゛ぁん゛！」
落ち着け落ち着けと顔を拭かれます。本当に、奇跡は起きました。良かった、良かったです……

その後、ボロボロながらもライブをこなした後、行き違いが発覚しました。
許しません。
だから、二度とこんなことが無いように。
「ずーーーーーーっと一緒ですからね！」

女帝と会長の三番煎じ

なんだこの早死にしそうなトレーナーは…

今回は死ななかったけど早死するぜ！

>「やったなフクキタル！おめでとう！」
蘇生の奇跡だ！！！！！

アンジャッシュ概念が多い！
でもいいよね…

これはイケないトレーナー
フクキタルを一生幸せにしないと不幸になります

無茶な生活は寿命を縮める…

こんなことされたら誰だって一生許（離）さないよ…

こんな生活してたら早死にするな…

アンジャッシュするには普通に体に負担かけすぎだよ！

>アンジャッシュするには普通に体に負担かけすぎだよ！
会長のトレーナーも似たようなレベルだったし…

フクキタルを残して逝ってしまった結果開運依存が悪化するとこまで幻視した

お姉ちゃんを亡くしたフクキタルが運命の人まで亡くしたら何にも無くなってしまう…

トレーナーまで失っても自分の中に残った思い出と育てた足できっと人生を駆けていくだろう…
だから少しだけ眠らせてくれ
具体的には3時間くらい

危なっかしいトレーナーとウマ娘すぎる…

ただちょっとフクを幸せにする前提で泣かしたい欲が出てきただけなんです

流石に見届けるっていってこれは許されないよ
判決終身刑

運命の人なんだから一生かけて責任を取りなさい

どうして大事なレース前に完徹してるんですか？

大事なレースだからこそトレーナーは完徹してまで準備するんだ

>だから少しだけ眠らせてくれ
永眠フラグかなにかで？

これにはお姉ちゃんとシラオキ様もニッコリ

一緒に暮らせば無茶な徹夜も無くなるでしょう

アンジャッシュウマ娘ってこのフクと会長以外にあるの！？

女帝があるよ

体力落ちてる状態での風邪は割りと本気で危ないからな…

これ下手したら本当に死ぬほど追い詰められてない…？

ここで捕まえておかないと本当に消えてしまいそうだな…

今までのやつよりだいぶ死にそうで勘違いにあんまりなってない…！
それはそれでトレーナーの真剣さが伝わってきていい…

>アンジャッシュウマ娘ってこのフクと会長以外にあるの！？
確か昨日か一昨日に女帝でやったのが最初じゃなかったっけ？

フクは肉親を亡くした経験があるからそういうのにより過敏になってそうだな…

まあしばらくはお姉ちゃんとシラオキ様が全力で現世に押し戻してくれるだろう…

メンタル小学生のトレーナー多くない？

またトレーナーが洋画の主人公みたいなクサい言動してる…

フクは姉の件があるからヤバいよ…ってのとフクなら思い切り泣いてポカポカ殴って後腐れなくすみそうと言う気持ち

>まあしばらくはお姉ちゃんとシラオキ様が全力で現世に押し戻してくれるだろう…
天がチョッピリだけ許してくれた偶然の運命…

>またトレーナーが洋画の主人公みたいなクサい言動してる…
フリスク噛み砕く時ってちょっカッコつけたくなるよね…

未だに筋肉痛になったときうっ、4倍界王拳の反動がっ…！とかやるしトレーナーの気持ちはわかるよ…

ぜひとも幸せになって欲しいんだけどそれはそうとしてトレーナーにすぐ先立たれて曇るフクもみたい

>まあしばらくはお姉ちゃんとシラオキ様が全力で現世に押し戻してくれるだろう…
ゴメちゃんかなんかか

フクキタルには許してあげません！って言いながらキスして欲しい

決勝見逃すのはダメだよトレーナー！
責任とってずっと一緒だな

この日から──マチカネフクキタルは健康管理の名目で部屋に居付くようになった

>決勝見逃すのはダメだよトレーナー！
>責任とってずっと一緒だな
ああ！来年も、その次もずっと俺はフクキタルのトレーナーだ！

フクキタルがオカルト方面じゃなくてトレーナーの事を想いながらお世話するのはとても良いと思う

ちょっとカッコつけてるところ見られるのめちゃくちゃ恥ずかしいよな…

>フクキタルがオカルト方面じゃなくてトレーナーの事を想いながらお世話するのはとても良いと思う
あとは怪しい健康食品に引っかかりさえしなければ完璧だな

耐えてくれよ俺の身体…とかあと少しだけ…って呟いてるの見られたら死ぬしかない

>この日から──マチカネフクキタルは健康管理の名目で部屋に居付くようになった
差せー！差せー！

やったなフクキタル！おめでとう！
そう話しかけたはずなのにフクキタルは聞こえていないかのようだ…　肩へと手を伸ばすとその手はフクキタルをすり抜けていった。おかしい、どう言うことだ？
「大変ですフクキタルさん！トレーナーさんが！」血相を変えたたづなさんがトレーナー室の方から駆けてくる。何をそんなに慌てて…あの救急車は何だろう。あの担架で運ばれているのは誰だ――？

徹夜テンションで気取ったこと言いたくなったんだろうな

>やったなフクキタル！おめでとう！
>そう話しかけたはずなのにフクキタルは聞こえていないかのようだ…　肩へと手を伸ばすとその手はフクキタルをすり抜けていった。おかしい、どう言うことだ？
>「大変ですフクキタルさん！トレーナーさんが！」血相を変えたたづなさんがトレーナー室の方から駆けてくる。何をそんなに慌てて…あの救急車は何だろう。あの担架で運ばれているのは誰だ――？
──フクキタルのことを頼みますと言ったはずでしょう？
こんな所にいる場合ではないはずですよ
さあ、あの子が待っているから行ってあげてください

>──フクキタルのことを頼みますと言ったはずでしょう？
>こんな所にいる場合ではないはずですよ
>さあ、あの子が待っているから行ってあげてください
珍しく守護霊してるなお姉さん…

今度フクの実家とお姉さんのお墓参りへ行こう

ブーム来てるねえ好き