二次元裏@ふたば

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156507 B21/04/25(日)22:30:38No.796423289+ 23:31頃消えます
「おい知ってるか? 来週に山の方で肝試し大会やるらしいぜ」
夏合宿中のある日、スズカとの練習を終えて部屋でのんびりしていたところ、相部屋の同僚が部屋に入るなり興奮気味に話しかけてきた。
「肝試しくらい毎回やっていることだろ」
「ちっちっちっ、それが今回はちょっと違うんだよな」
どうやら話を聞いてみると、今回の肝試し大会は今までのようにウマ娘同士でペアを組むだけでなく、ウマ娘とそのトレーナーの2人でペアを組んで参加することもできるらしい。
なんでもとあるウマ娘が『私もトレーナーさんと一緒に肝試ししたいですわ!』と苦言を呈したらしく、その主張に賛同するウマ娘たちもそこそこ出てきたことから、今回から両者合意の元に限りウマ娘とトレーナーのペアでもOK……ということになったようだ。
「俺もタイキに誘われてさ。良い機会だし、お前もスズカちゃんと一緒に――」
「興味ないな」
「即答ーー!?」
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
121/04/25(日)22:30:50No.796423370+
「えーっ!? ないの? 興味。ちょっとぐらい……」
「ない」
何故か必死に説得しようとしてくる同僚を尻目に、タブレットで今日のスズカの走りを見直す。……うん、綺麗だ。
「そもそもお前には関係ないだろ、お前はお前で担当と楽しめばいい」
「いや、まぁ、それはそうなんだけどさ」
うーん、と頭を捻り悩む仕草を見せる同僚。
何故こいつはそんなに俺を肝試しに行かせたがるのだろうか。
「まあ、興味ないなら無理に言っても仕方ないか。…………うーん、良い案だと思ったんだが」
そうぶつくさ呟きながら、彼は部屋から出て行った。
……何をしたかったんだ。
221/04/25(日)22:31:01No.796423458+
次の日。この日はタイキシャトルとの合同トレーニングということで、同僚と一緒に2人のトレーニングを見ていた。
「そう言えばさ、昨日のアレなんだけど」
休憩中に同僚が話しかけてくる。昨日のアレ、というのは、おそらく肝試し大会のことだろう。
「昨日の……?」
俺の隣で座っているスズカが首を傾げる。
「あ、えっとね……」
そう言って同僚はスズカに肝試し大会のことについて説明する。
「肝試し大会……」
「そう、どうだ? 2人で行ってきたら」
同僚がにかっと笑ってそう告げる。どうやら彼はなんとしても俺を肝試し大会へ誘導したいらしい。
321/04/25(日)22:31:19No.796423594+
「昨日も言っただろう、俺は――」
「トレーナーさん、私……行きたいです」
「参加申請はどうすればいい」
「あれ!? 昨日の頑なさは!?」
若干納得いかない様子だったが、『行く気になったならそれでいいか』と言って肝試しの参加申請について説明してくれた。
「ふふっ、楽しみですね、トレーナーさん」
「そうだな」
421/04/25(日)22:31:37No.796423740+
肝試し当日。周囲を見てみるとかなりの数のペアが参加しており、ほとんどがウマ娘とトレーナーのペアであった。
一組ずつ名前が呼ばれ、山の奥へと消えていき、暫くして戻ってくる。
ごく普通の肝試し大会であったが、一つ気になることがあった。
――それは、肝試しを終えて戻ってきたトレーナーたちが皆やけにどんよりしていることである。常に笑顔を浮かべているグラスワンダーのトレーナーですら、戻ってきたときは笑顔が若干引き攣っていた。
完璧ニコニコ笑顔で帰ってきたトレーナーは、メジロマックイーンのトレーナーくらいだった。
……いや、あれは笑顔というかただイチャイチャしていただけという方が正しいか。
反面、肝試しから帰ってきたウマ娘たちは、皆ニコニコしていた。
一体道中で何があったのか、不思議に思っていると俺とスズカの番が回ってきた。
「……行けばわかるか」
少し上機嫌なスズカと一緒に、山の奥へと歩き始めた。
521/04/25(日)22:31:57No.796423901+
「暗いですね……」
スズカの言う通り、山の中には灯りがなく手元の懐中電灯だけを頼りに進んでいる状態だった。
「はぐれないようにな」
「はい……あの、トレーナーさん」
「どうした」
「えっと、その……良ければ、手を――」
スズカが何かを言おうとした瞬間、それまで静かだった山の中に、何処かから物音が聞こえてきた。
「な、なに……?」
スズカが不安そうに周囲を見渡すも、辺りにそれらしい気配はない。気の所為だったかと首を傾げていると、また何処かから物音が聞こえてきた。
『――――ほうが――――――スズ――――――――――きいし――』
今度は少し聞き取れた。これは……人の声だろうか。 
621/04/25(日)22:32:11No.796424012+
「ト、トレーナーさん……」
スズカが不安そうにこちらを見つめる。
『タイ――ほうが――――――スズ――――みだ――――きいし――』
また同じ物音。しかし今度は以前よりも音量が大きくなっている。発生源が近づいてきているのか、それとも物音自体が大きくなってきているのか。考えているうちにまた声が聞こえてくる。
『タイキ―ほうが――――――スズカ―――みだな―――きいし――』
今度はかなり鮮明に聞き取れた。何処か聞き覚えのある声で、タイキシャトルとスズカのことを呼んでいた。しかし、誰の声だ……?
「あ、あの、これ……トレーナーさんの声……?」
声の主を思い出そうと考えていると、スズカが口を開く。なるほど、確かに俺の声かも知れない。……しかし、何故俺の声が?
いや、それもすぐに判るだろう。声はだんだんと大きくなってきており、このまま行けばおそらく次は内容を完全に聞き取れるようになるだろう。
そうして、また、あの声が聞こえてきた。
『タイキ の方が スズカ よりも 好みだな 胸 も大きいし』
「は?」
721/04/25(日)22:32:26No.796424099+
「トレーナーさん、どういうことですか」
何処かから流れる俺の声が響いた瞬間、空気が凍りついた。
「いや、待て。俺じゃない。いや俺の声だが……」
「ああ、そう……そうですよね。私より、タイキの方が良いですよね」
スズカからスン、と表情が抜け落ちる。それはいつぞやの桐生院さんやたづなさんと一緒に出かけたときのスズカを思い出させるものだ。まずい。これはまずい。
「待て、待ってくれスズカ」
「……なんですか? 別に私は怒って――きゃっ」
そっぽを向くスズカの肩を掴んで強引に向き合うと、スズカは少し驚いて顔を赤くする。
よし、このまま押し切る。
「いいかスズカ。俺が見ているのはお前だけだ。余所見なんてしない」
「……本当ですか?」
「ああ」
スズカの問いに迷わずそう答える。
「なら……」
821/04/25(日)22:32:39No.796424178+
「なら……キスしてください」
「えっ」
かなり予想外の要求に思わず困惑してしまった。するとそれを見たスズカの顔はどんどんと曇っていく。
「そうですか、そうですよね……すみません」
どうやらスズカは俺の困惑を拒否だと受け取ったらしい。彼女は見るからに落ち込んで『はぁ……』とため息をついている。
「……分かった、分かったスズカ、しよう」
「いえ、いいです。無理して貰わなくても……」
「違う」
真剣な表情で、スズカの目を見て答える。
「俺は、スズカとしたい」
921/04/25(日)22:32:50No.796424253+
「トレーナーさん――」
スズカがこちらを見上げるようにして、ゆっくりと瞼を閉じた。
しかし一つ問題がある。それは、俺にキスの経験が全くないということだ。
どういう流れで、何をすれば良いのか全く分からない。辛うじて理解できるのはキスは唇と唇を合わせるものだということだけ。
学園で散々見たバカップルのキスシーンを必死で思い出す。確かあいつらはこんな感じだったか……と、スズカの頬に手を添え、ゆっくりと近づいてスズカの唇に自分の唇をくっつけ、数秒数えて離す。これで間違いないはず……
「ぁ……」
唇を離す時、スズカが何か言いたげな声を出す。顔を見ると、一瞬だけだが少し不満げな表情をしていた。……どうやら少し間違えたようだ。
1021/04/25(日)22:33:01No.796424326+
「スズカ――うおっ」
声をかけようとすると、突然スズカが腕に抱きついてくる。
「今は……これで十分です。……帰りましょう」
「ええと……いいのか?」
「はい」
どうやら、スズカなりに納得したらしい。右腕に彼女の体温を感じながら、帰路につく。
腕に絡みつくスズカの顔を見て、順番待ちのときに見たペアの様子に納得する。
おそらく他のトレーナーたちのペアも同じようなことがあったのだろう。
スズカの顔は、その時見たようなウマ娘たちと同じように嬉しそうな表情をしていた。
――おそらく、俺もその時のトレーナーたちと同じ顔をしているのだろう。
1121/04/25(日)22:36:06No.796425613そうだねx8
>なんでもとあるウマ娘が『私もトレーナーさんと一緒に肝試ししたいですわ!』と苦言を呈したらしく、
一心同体の臭いがする
1221/04/25(日)22:37:11No.796426084+
経緯がアレだけど甘酸っぱい・・・
1321/04/25(日)22:37:59No.796426398+
>学園で散々見たバカップルのキスシーン
爛れてる…
1421/04/25(日)22:40:55No.796427700+
声が区切ってあるってことは合成音声か…?
1521/04/25(日)22:43:35No.796428816+
>爛れてる…
(まだ一心同体のパートナーが見つかっておりませんのね…)
1621/04/25(日)22:43:39No.796428847+
たしかにトレーナーを怖がらせるには最適な仕掛けだが…
1721/04/25(日)22:43:51No.796428928+
一心同体のトレーナーに拒絶されて悔しいプレイは履修済みだからな…
1821/04/25(日)22:44:38No.796429271+
> (まだ一心同体のパートナーが見つかっておりませんのね…)
これナチュラルに畜生で好き
1921/04/25(日)22:45:23No.796429616+
いやでもこれスズカさんだから拗ねる程度で済んでるけど女の子によっては逆鱗に触れない?
2021/04/25(日)22:46:40No.796430160+
これ肝試しの仕掛け人はある意味特等席で一心同体ップル達のイチャつき見てることになるのか
2121/04/25(日)22:47:45No.796430638+
>これ肝試しの仕掛け人はある意味特等席で一心同体ップル達のイチャつき見てることになるのか
デジちゃんなのはわかる
2221/04/25(日)22:48:32No.796430985+
デジたんがこんなウマ娘ちゃんが曇りかねない仕掛けをするかーッ!!
2321/04/25(日)22:50:22No.796431737そうだねx1
合成音声作成料・告白成功割・団体割とか書かれたメジロシティからの領収書が翌日届いてそう


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