二次元裏@ふたば

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129017 B21/04/24(土)19:55:54No.795956790+ 20:56頃消えます
酷く荒れていた。

レース直前の控室では、これ以上ないほど絶好調だった自分の担当ウマ娘、ゴールドシップ。
ところが、パドックに入った彼女の姿はまるで別人のようで。
ピスピース!といつもの陽気なファンサービスを行うどころか、うるせえ知るか、とばかりにどこ吹く風でそっぽを向き。
元気いっぱいの笑顔は影も形もなく、眉間にシワが寄った、むすっとした表情。
ゲートに入った今も、己の姿を見て何事かとひそひそ囁き合う観客席のファンをぎろりと睨みつけている。
まるで周りのもの全てに噛みつかんとする野良犬のような眼光で。

幾ら彼女が規格外のウマ娘とはいえ、そのようなメンタルのままで勝てるほど重賞レースが甘い筈もなく。
ゴールドシップ今季最後のレースは、12着という散々な結果で幕を閉じた。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
121/04/24(土)19:56:23No.795956988+
ばつが悪そうに控室へと戻ってきたゴールドシップ。
精一杯に労ったあと、一体どうしたんだ、と事情を訊いてみると。
腕を組み首を傾げ、一時の間、迷う素振りを見せながら。
彼女はぽつりぽつりと心境を少しずつ吐露してくれた。

「アタシ、前に言ったよな」
「勝負の前に、フラストレーションを目一杯溜めて。それをレースで思い切り解放する事で、アタシは最ッ高に熱くなれるんだ」

差し出した水の入ったペットボトルを一気に飲み干して、ぐしゃりと潰し、視線を落とす。

「でも。今日は全然ダメだった。ずーっと頭ン中が宇宙マカロン・夢の滴味を食べた時みてーにモヤモヤして……決着がついても、アタシの中のハートは散々に伸びたカレーうどんみてーにぬるくなったままで……でろんでろん、だったんだ」
「そうだったのか……」

どうやら彼女にしては珍しく、悩み事を抱えているようだ。
221/04/24(土)19:56:46No.795957176+
しかし、どうしたことだろう。
レース直前の控え室では、絶好調にも勝るコンディションだった筈だ。
それが、出走までの間にあそこまで荒んでしまうとは……。
……とはいえ。担当であるウマ娘が、勝負へのモチベーションを保つことが出来ない。
そんなものは、即ちトレーナーである俺の責任に他ならない。
事前に彼女の気持ちを慮ってやれなかった事が、心苦しい。
全く、トレーナー失格だ。
そして何より、辛そうに心情を告白する彼女のこんな姿を、これ以上見ていられなかった。

「話してくれないか。何を思い悩んでいるのか」
「………本気かよ、トレーナー」
「当たり前だ。俺は、君のトレーナーだから」

今までに見たことが無いほど真摯な顔で、じっと俺を見つめたあと。
ゴールドシップは観念したように息を吐き、ぱしん、と膝を叩いた。
321/04/24(土)19:57:01No.795957262そうだねx2
「オマエがそこまで言うんならしょうがねえ。……アタシも村一番の漁師だった男の娘だ。よっしゃァ!覚悟決めたぜ!」

オラアアアッ!!とばしばしと己の頬を叩き、気合を入れるゴールドシップ。
事情はまだ窺い知れないが、よかった。
強引だが憎めない、元の調子を取り戻した愛バの様子に思わず笑みが溢れ───

「じゃ、行くか」
「何処に?」

俺の問いに、彼女は満面の笑みで行き先を告げた。

「ホテル」

……は?
421/04/24(土)19:57:21No.795957372+
「うひょおおおおっ!! スゲエぞトレーナー! このベッド……並大抵のスプリングじゃねえ……! 行ける……このままアタシは宇宙までブッ飛んで行ける!!」

回転するベッドの上ではしゃぐゴールドシップを横目に、止まらない冷や汗を拭う。
必死に嘆願した制止の言葉も届かず、結局いつものように流されるままに連れて来られてしまった。

しかし今回ばかりは場所が場所だけに本当にまずい。
人気と実力を兼ね備えたウマ娘である彼女が、自身のトレーナーとこんな場所に足を踏み入れた事が世間に知られたら。
未来ある彼女の将来を閉ざしてしまうことになるかもしれない。
それ以前に、外見だけは大人びて見えるものの、彼女はまだ学生だ。
どうにかして、場所を移さなければ。
薄暗いピンク色の照明に照らされた彼女の横顔から目を背けるようにして。そっと尋ねてみる。
521/04/24(土)19:57:46No.795957531+
「なあ。どうして、ホテルに……? しかも、よりによって」
「あん? 何だよ、トレーナー。初めてか?ラブホ」
「………」

ちなみにアタシは16回目くらいだ。実際に足を踏み入れたのは初めてだけどな!と自慢げに語っている。俺と違ってゴールドシップは頻繁に訪れたことがあるようだ。夢の中では。
どうしたものかと肩を下げ、頭を悩ませている内、視界が暗くなる。
ふと視線を上げると、場に似つかわしくない、少年のような笑顔の彼女にがしりと肩を掴まれ、身体を持ち上げられた!

「なっ、おいっ、ゴールドシップ……!」
「どりゃああああ!! 必殺ブレーンバスター乱れ打ち!」
621/04/24(土)19:58:36No.795957821そうだねx1
天と地がひっくり返る感覚。
無理矢理にベッドの上に投げ出された衝撃にくらくらとする間もなく。
逃がすものかと、のし掛かってくるゴールドシップ。
同年代のウマ娘と比べ一際体格に優れている彼女の重みに、潰れた蛙のような声が出る。

「ぐえっ。な、何を……」
「さてさて全宇宙一千万のゴルシちゃんファンの皆さんお待ちかね! ゴルシちゃんクイズの時間で〜す」

キャホー!パチパチパチ!と上機嫌そうに笑うゴールドシップ。
いい加減に止さないか、と言葉にしそうになった直後、すぐに彼女の眼が全く笑っていない事に気が付き、口を噤む。
721/04/24(土)19:59:00No.795957964+
「3択問題〜〜〜! ゴルシちゃんのイライラ☆フラストレーションが解消されない原因は次のうちどれっ!?」

「いち! 昼に食った焼きそばの青海苔が前歯にくっついて取れなかったから!」

これは簡単だ。
レースに情熱を燃やす彼女が、そんな事で一喜一憂し着外の結果に陥る事など。
ゴールドシップに限ってそれはあんまりない。これが原因では無いだろう。

「に! マックイーンに一口いかが?と薦められた超有名店のスイーツがあまりに美味すぎて全部残さずパクついたらメジロ火山が大噴火! レースギリギリまで説教ブチかまされたから!」

難しい所だ。タチの悪いつまみ食いなど日常茶飯事のゴールドシップ。
しかし、レースギリギリまで説教をされた、という部分。
反省こそするものの、30秒も経たない内に飽きて姿を消すか、意にも介さない顔で聞き流しているだろう。これも違う。
821/04/24(土)19:59:38No.795958206+
「さん!」
「───クマノミとイソギンチャクみてーに。お互い、熱〜くハグを交わし合うオマエとジョーダンを、宇宙最強の家政婦ことゴルシちゃんが柱の影から目撃しちまったから」
「……えっ?」

予想外の方向の選択肢に、思わず呆けた声が出てしまう。
……確かに、思い当たる節はある。
つい先ほどのレース、その出走前。ゴールドシップが弾丸のように控室を勢いよく飛び出して行ったあとの話。
ゴールドシップのライバルでもある所のウマ娘、トーセンジョーダン。
勝ちたいという想いを気負いすぎたのか、足元が疎かになり。
彼女がつんのめり、転びかけた所を。たまたますれ違った俺が、寸前で身体を受け止める事が出来た。
921/04/24(土)20:00:09No.795958468+
彼女とはお礼もそこそこに、お互いすぐにその場を立ち去った。
颯爽とレース場へと向かっていったと思い込んでいたゴールドシップが、まさかあの場に居合わせていたとは。
……確かに、角度によっては、お互いに抱き合った格好に見えたかもしれない。
しかし、何故───

「オラオラシンキングタイムッ! ワン、ツー、ワン、ツー、ゼロッ!ゼロッ!!ゼロッ!!!」

さあ答えは!?と迫る彼女の勢いに抗えず、頭に浮かぶ疑問符をそのままに、ぼそりと答える。

「……3?」
「ピンポンピンポン大正解〜! 正解は夏の夜の夢の精でしたー!」
1021/04/24(土)20:01:25No.795959036+
「ゴールドシップ、あれは……」
「分かってる!私とオマエはツーカーを越えたスリーキーの仲! 分かってるぜトレーナー!」

へらへらと笑いながら、ばしりばしりと俺の胸を叩くゴールドシップ。

「名探偵ゴルシちゃん、エメラルド色の脳細胞も言ってるぜ。ドが付くほどのお人好しのオメーのこった。ドジ踏んだあいつを咄嗟に庇った結果だってな」

うんうん、とひとしきり頷いたあとで、けどな、と言葉を続けて。
両肩を掴まれ、身体を強く押さえつけられる。
ぎしり、とベッドが軋む。

「分かってんのに、分からねーんだよ。何でこんなに、イラつくのか」
1121/04/24(土)20:02:01No.795959343+
その時、ふと頭に浮かんだ、自惚れた考え。
───やきもちを、焼いている?
あのゴールドシップが、俺に?
まさかな、と下らない幻想を振り払う。
俺たちの間で育んできたのは……友情とか。それに類する信頼関係であって。
男女の間に芽生えうるものでは……。

「んじゃ、見事賞金10800円を獲得したトレーナーには豪華景品な」
「? どういう───」

ことだ、と訳を訊く間もなく。
彼女の整った顔がゆっくりと近づいて。
そのまま、唇を塞がれた。
1221/04/24(土)20:03:18No.795959967そうだねx8
申し訳ございません。
少々過激な展開が続きますので、中略させて頂きますね。
su4796328.txt
1321/04/24(土)20:03:48No.795960174そうだねx1
「だあらっしゃああああああッッ!!!!」

入社ッ!出社ッ!帰社ッ!退社ァッ!
社ッ、社ッ、社ッ、シャアァーッ!!!!
アタシとトレピッピの健全な信頼関係を弄ぶ特級暗黒聖遺物を奥義・極光螺旋爆速刀でズタズタに切り裂き、親の仇のように踏み付けまくる。

目の前には、洒落たニット帽を被ったウマ娘・ナカヤマフェスタ。
奴との勝負。僅差で敗北したゴルシちゃんに科された罰ゲームは、この目に入れただけで呪われるような紙束を朗読すること、という新手の拷問だった。
ヤベエよコイツ。イカれちまってる。
その張本人ことナカヤマは特に気分を害したようでもない様子で缶コーヒーを啜った後、ぽつりと呟いた。

「何しやがる」

「何しやがるも牡蠣干上がるもねーーーよ! このダボ!」
1421/04/24(土)20:04:55No.795960771+
オオオオ……! ウオオオオ……!!!
アタシの中の怒りン力が湧き出て止まらない。
その勢い、押し寄せる黒潮と親潮の潮目の如く。
こんな茹でて固くなったタコをさらに煮殺しフニャフニャンなった文章を朗読させたナカヤマの罪、万死に値する。
五六四法全書によれば懲役300万光年が妥当ってトコだろう。

「賭けに負けたら何でもすると言ったのはアンタだろう、ゴルシ」
「それにしたって酷い……酷すぎる仕打ちだわ! ゴルシちゃんが何をしたっていうのよ!」
「私にオセロでボロクソに負けた」
「アタシはまだ負けてねえ! この暗闇の中に微かに灯る希望の白き光が見えねえのか!?」
「大差であんたの負けだ」
「つーか、新世界で人をオモチャにするならトレーナーはともかくゴルシちゃんには許諾が必要だろうが! テメー常識は無えのか!」
「あんたにだけは言われたくない台詞だ……」
1521/04/24(土)20:05:15No.795961081+
ウワーッ!ゴルシの普通の怪文書だーッ!
1621/04/24(土)20:05:19No.795961145+
やれやれ、と駄々をこねるガキんちょを相手にするような大人ぶった態度にさらにプッツンしながらゴルシちゃんファイティングポーズ。やんのかコラ?お?
しかしまあ、と散りばめられた紙紙の星屑を視界に入れながら、無造作に缶コーヒーを後ろ手に放るナカヤマ。
バカめ。ポイ捨ては一族郎党全員島流しの刑……ゴミ箱に吸い込まれるように入っていったナイショッ! クソっ、やるじゃねえか。

「派手に散らかしたな。ここまで仕上げるのも大変だったろうに」

まるで他人が書いたような言い回しが癪に触る。

「いや実際、そうだからな」
「すっとぼけんなッ! ネタは上がってんだ!」

ゴルシちゃん必殺の爆雷豪羅掌の余波で散り散りとなった紙屑をナカヤマに叩きつけ、とある一文を1秒間に10連打する。
“ペンネーム・FE”。
1721/04/24(土)20:05:48No.795961469+
「“FE”とくれば“FESTA・NAKAYAMA”のオメー以外に居るわけねーだろ!」
「アンタがそう思うんならそうなんだろうよ。アンタん中でな。……おっ。アンタの背後に居るトレーナーにも聞いてみたらどうだ」

うおあああああっ!! 見るんじゃねえ!!!
慌てて後ろを振り向き膝・肘・肩の三位一体トライアングルタックルをブチかまそうとする。
しかしそこにアイツの姿はなく。悠然と広がる大地の息吹しか感じ取れなかった。
こ、この野郎〜〜〜!

「くくっ……!」
「テメェ〜〜〜!!」

ゴルシちゃん詐欺罪にゴルシちゃんイジり騒乱罪にゴルシちゃん侮辱罪。
どいつもこいつも懲役500年の重罪だ。
スゴ腕の弁護士を呼ぶ準備をしておけよ。これ、アタシの電話番号。
1821/04/24(土)20:06:04No.795961627+
「ああ、笑った笑った。……滅多に見れないあんたのツラが見れたんだ。この位で勘弁してやるよ。ま、これに懲りたら……」

「他人の貯金箱に悪戯するのは、止めた方がいい」

ゴールドシップの成長につながった!

体力が20下がった
やる気が上がった
スタミナが10上がった
賢さが15上がった
中山レース場×になってしまった…
「独占力」のヒントLvが1上がった
1921/04/24(土)20:06:31No.795961886+
気軽にゴルシ空間を展開するのはやめろ!
2021/04/24(土)20:06:49No.795962036そうだねx1
>「他人の貯金箱に悪戯するのは、止めた方がいい」
速攻気づかれてて駄目だった
2121/04/24(土)20:09:05No.795963196+
完全な解釈一致ですよこれは
2221/04/24(土)20:09:07No.795963207+
ゴルシの普通の怪文書なんてはじめて見た気がする
いいものを見た
2321/04/24(土)20:09:33No.795963404+
二重怪文書は破壊力がある…
2421/04/24(土)20:09:51No.795963526そうだねx3
脳内のゴルシを上手く飼い慣らしているな…
2521/04/24(土)20:11:03No.795964260+
うめえ…騙された…
2621/04/24(土)20:11:40No.795964645+
しっとりしたゴルシちゃんに無理矢理されるのいいよね
でもエミュが死ぬほど難しかったのでもう出来ない…
2721/04/24(土)20:11:56No.795964790+
ペンネームFE…いったい何フラッシュなんだ…
2821/04/24(土)20:12:28No.795965097そうだねx14
俺が読んでたエロ同人は!?の顔してるよ今
2921/04/24(土)20:15:42No.795966850+
4つの怪文書が集う時…
3021/04/24(土)20:15:47No.795966925+
>弾道が上がった
3121/04/24(土)20:20:52No.795969510+
ちゃんと朗読する辺りゴルシもなんというか…律儀な奴だな…
3221/04/24(土)20:22:30No.795970479+
5円……入れましたね?
3321/04/24(土)20:23:25No.795971139+
ゴルシエミュできるEFさんは凄いな…
3421/04/24(土)20:26:06No.795972625+
EFさん他の子の怪文書も書いてみない?
3521/04/24(土)20:26:26No.795972788+
>「派手に散らかしたな。ここまで仕上げるのも大変だったろうに」
シュキィ…
3621/04/24(土)20:27:44No.795973628+
エイシンフラッシュはえっちだな‥‥
3721/04/24(土)20:31:59No.795976056+
FE先生にお仕事依頼したいんですけど
3821/04/24(土)20:33:52No.795977402+
ゴル嫉は健康に良い
3921/04/24(土)20:39:37No.795981429+
一回意識し始めたらもう手遅れなんだ…
4021/04/24(土)20:40:03No.795981764+
EFN…?
4121/04/24(土)20:42:26No.795983622+
読ませる文章と優秀なしっとりゴルシちゃんエミュが凄い
4221/04/24(土)20:47:22No.795986891+
ゴルシって見えるところに噛み跡残しそうだよな
4321/04/24(土)20:49:01 ID:M3fDU/WoNo.795987750+
>読ませる文章と優秀なしっとりゴルシちゃんエミュが凄い
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