甘かった。彼女の行動力を舐めていた。
寝て起きたら空の上。あれよあれよと国内脱出。
空港から2時間くらい車に乗って、気づけば花火で出迎えられていた。

サプライズパーティーとは、タイキの実家で催されるものだったのだ。
「驚いてくれマシタカ？」
問いかける彼女は今まで見たことないほど満面の笑みだった。

そんな経緯で本場のパーティーに参加することになったのだが、
デカい、とにかくデカい。

まず規模がデカい。
レース場を使ったパーティーはしたことがあったが、今回のそれは3回りくらい大きい。
ガレージ付きの平屋もそうだが庭がサッカーコートくらいあり、そこに人とかグリルとか装飾とかが所せましと敷き詰められている。
親戚らしき勢力はおろか、近所からもどんどん人が進行形で集まり、
その全員にフレンドリーに挨拶しに行くタイキに初めて畏敬の念を感じた。

そして人もデカい。タイキがかなり大きいほうだったので覚悟はしていたが、目の当たりにするとまた違う。
父親らしき人物は目算190を超えており、なんなら母親にもわずかに見下ろされていた。
自分も低くない方だと自負していたが、複数人を見上げながらする挨拶は生きた心地がしなかった。

ちなみに英語は学生レベルの知識しかない。
その上、対面の会話は想像以上に昇ってしまうもので、常に隣にタイキが適宜翻訳してくれて大いに助かった。
くれなかったら泣いてた自信がある。

バーベキューで上がる煙で視界がうっすらと白んで、肉の焼ける香りが食欲をそそる一方、そのボリュームが視覚から胃を埋め尽くす。
お腹がいっぱいなんだか減ってるんだかわからない。味はジャンキーだが悪くなかった。

ジョッキのビールを水のように浴びながら豪快に肉を貪る男。集団でスマホ片手にグリルを囲む地元の学生らしき子たち。
あちこち飛び回る彼女についていっては、呪文のような会話に惑い、振られた短文に単語で返す。
サンタのような老人に背中を思いっきり叩かれたり、進められた酒を一気のみしたり、それをみて彼女が進めた奴を怒ったり、
そんな目の回るような、騒がしく香ばしいパーティーを彼女と共に満喫した。

気が付くとベッドに寝かされていて、窓から月が差し込んでいた。
あれから飲み潰れて、この屋根裏部屋に運ばれたらしい。
窓から庭をみると食事や装飾は撤収して、冷えたグリル群だけがぽつんと残されていた。

「起きまシタカ？トレーナーさん。」
ドアを開けて彼女が入ってきた。手にはミルクの入った大きなコップが二つ。
「サプライズパーティー、楽しんでいただけマシタカ？」
ああ、とベッドに腰掛けて返答する。そのままミルクを受け取って少しばかりすすった。
「マジで楽しかったよ。言ってることはほとんどわからなかったけどな」
良かったデスと答える彼女は、すこしうつむいていた。

「ええと、アノ……」
「どうした？」
「well……アー……」

どうやら様子がおかしい。よくみれば耳が赤い。
もしかして潰れてる間に何か粗相をしたのかもしれない、血の気が引くのを感じながらたずねてみる。

「……トレーナーさんはワタシのコト、どう思いマスカ…？」
「……誇りに思っているし、大好きだぞ？」
率直に伝えるとひるんだように後ずさった。不味いことを言っただろうか。

「……エエと、パパとの会話、聞いて……マセン、ヨネ…」
当然まったく理解していない。聞き取れたのはファミリーとかマリンとかムーンとか、そんなぽつぽつとした単語だけだ。
そういえばライスシャワーとも聞こえた気がする。彼女とはあまり関わりは無かったと思うが……
そういったことを伝えると、彼女は俯きこんで黙ってしまった。顔を抑えて、考え込んでいる。

長い沈黙の後、意を決した表情で彼女がこっちに詰め寄ってきた。
「ト、トレーナーさん！」
「はい」
耳元まで寄ってきて、一言、
「……I, love you」
絞り出すように、懸命で、か細いけれど、
心に響く告白だった。

「……みー、とぅ」
相変わらず、単語の返答しかできなかった。でもこれで十分だったようだ。
潤んだ眼が大きく見開かれ、喜色が広がるのが目に見えるように赤みが指していく。

「君のいつだって明るい性格には救われてきたし、あの凄まじい走りには心を奪われた、」
念押し。この状況で親愛と騙るつもりはない。

「軽薄に聞こえるかもしれない夢に本気になって、未踏の道に立ち向かう姿は勇気をくれた。」

「大好きだよ。タイキ。」

「…………ゥゥ……」
完全に茹で上がってしまった。手で必死に頬を冷却する様がかわいい。
近づいて抱きしめる。
力が抜けたのか倒れこんで押し倒す形になってしまった。

月明かりに、彼女と目が合う。
すぐに顔を背けてしまって、けれど抵抗するそぶりは無くて、
そんな彼女は、普段とうってかわってとても色っぽく見えた。

温泉祝いです
長くなったけど続き書きたいね

BBQ Pit BoysみたいなBBQが行われてそう…

>ライスシャワー
ああ結婚式のほうの…

>3年で34戦という過密スケジュール
邪悪なミッション来たな

タイキクール

行けー！屋根裏で34戦してヤれー！！

健全怪文書がスーッと効いて

基本押せ押せなんだけど直球投げ込まれるとたじたじになっちゃうのいいよね…

>常に隣にタイキが適宜翻訳してくれて
なるほど

>そんな彼女は、普段とうってかわってとても色っぽく見えた。
嘘だろいつも色っぽいだろ！

耳とかへにょっとたれて真っ赤になってそうで可愛い

こいつらうまぴょいするんだ！

理事長！まずいですよ！

祝福ッ！

コイツ薄々わかってて実家にやってきたな

そのままうまぴょいしてもおかしくはない

何かに付けてバーベキューしたがるというか
本場のパーティ文化すごいな

きっとスタンハンセンみたいなゴツい親父さんなんだろうな…

3年間夢を叶えるために付き添った男が実家に連れて行かれた時点で詰みである

推奨ッ！
トレーナーとのうまぴょいは今はガンには効かないがいずれ効くようになる

マレー兄さんの里に連れていかれたくまクンに近い

良かった…ヒシアマ姐さんを銃で脅すタイキシャトルじゃなかった

やめなよチャカ娘ペイデイダービー

PAYDAYッ！

もし断ってたらアスホールにコイツの弾丸をシューッするところデース！！

BBQのコピペを思い出した