……なんやこれ。何を見せられとるんやウチは。底無しのアホとは知ってたけど、ここまでダメなトレーナーやったっけ。いやいや何がウチへの教材や、こんなんどう言い訳したって普通のＡＶ意外の何物でもあらへんやないか。壮大なネタフリかなんやろか。今時雑なお下で笑かそうなんて下の下なんやけど……しゃあないわ、少しカマ掛けてみよか。
「なあ、なんこれ。ウチがお子さま体型やから……もしかして、気ぃ利かせて保体の授業してやんでってことかいな？」
「はっ、あ？！　ち、違うっ！　これはな……違うんだよタマ！　これはな、そういうのじゃ、ない！」
「ほぉ〜？　どこがどう違うんや」
「ど、どう違う……？！　ど、お……そ、そう、ウイニングライブの秘訣！　秘訣も秘訣、そう、重要なことがこのDVDには詰まってるんだよ！」

　はあ、さよけ。その秘訣、ウチは否決や。胸はって見栄まで切ったわりには、汗だくで震えとるやんアンさん。いやいや、もうええ加減認めえや。めっちゃキリッとした目で、んでもって真面目そーな顔してデッキにDVD放り込んだの流石に忘れへんで。絶対持ってくるもん間違えただけやろ。うまぴょいの振り付けがどうとかも抜かしとったが、うまぴょいの意味変わっとるやんけ。トレーナー、エロ、すきだっち！　ってホンマやかましいわ。副会長はおろか、クリークだって真顔んなるで。
「はあ〜……」
『あんっ♥あんっ♥』
「おいタマ、ま、真面目に見なさい！」
『い、イクっ！』
「……あー、はいはい」
『来てえぇ〜ん♥』
　あーなんも集中できん。ものごっつ乱されるわ、助けてやこの際誰でもエエから……
　というか、真剣な顔して見るもんちゃうやろ。一応ウチ高等部のピチピチの女子やで？　セクハラで訴えれるんちゃうかこれ。今度事務員さんに聞いてみよ。

　まあ嫌な予感はしてたんや、数ヶ月前から。空いてるケース引っ掴んで、別のディスクぶちこんでたとこ見てからな。子供やないねんからちゃんとしなやって、梅干し食うたタコばりに口尖らせて悪癖直すよう言っとったつもりなんやが……やっぱあかんかったか、タマモ姐さんの一生の不覚や。ま、お粗末っぷりを発揮させたのがウチで良かったと思うしかないわ。中等部の面子にやりでもしたら学園放逐されてもおかしないからな。
『さあ、もう一周……長いラストスパートだぞ……♥』
『もっと奥まで……行くぅぅ〜ん♥』
　アホ抜かせ。とっととゴールまで向かわんかい。いつまでもスタミナ持つわけやあらへんやろ。主にトレーナーサイド。ラストスパートて。何キロ分走んねん。もうその繋がったままトライアスロンしろや。オリンピックも出れるんちゃう？　知らんけど。

　あと、トレーナーが持ってきやがったモンの何が良くないかってこれ、ヒト×ウマ娘のやつなんやよな。しかも実在の人物に成り代わってどうこうしとるんよ。ウマ娘側の体型、見てみ？　完璧に幼女体型や。ふざけ倒してるんかな、まさかトレーナー……いや、流石にあらへんか。ストライクゾーンの確認でもしとったんやろ、多分な。
「まあトレーナーもオトコノコやしな」
「な、何か言ったか？！」
「べっつにぃ〜？」
　あーもー観てられへんわ、ＡＶもそうやけどトレーナーの慌てふためきっぷりもな。トレーナーも何で止めへんねん。リモコン握り締めてないではよ止めんかい。
「未成年淫行で捕まらんよーにな、トレーナー」
「するわけないだろ！　俺はなぁ……！」
「あん？」
「い、いや……」
『よし、イクぞおおおお！♥』
『わたしもイク、イク、イクゥ〜〜〜♥♥♥』
「…………え……？」
　あん？　ドサッて何の音や？　背後から声って、ここにはウチら二人しかおらんはず……

「タマ、モ先輩……？」
　この指導室鍵かって……無かったっけかな、あ、そういえば鍵せんかったな、訳があって。
「そういえば……」
　六時過ぎたら迎えに来るゆうてたんや、今何時や……あ"っ……もう……悲しみの向こう側、もたらされた救いと色んな意味での終わりを感じて、半笑いでじわじわゆっくり振り向いた先には。
「せんぱい……」
　目を白黒させながらあわあわと震えるイナリ。
「あらあらあらあら〜！」
　ぽっと頬を赤らめつつも完全に目がウキウキしとるクリーク。
「………………」
　レースの時ですら見たことがないレベルの真顔でウチを見つめるオグリたち三人がおった。

「て、てやんでぃ……」
「タマちゃん。学園内でそれは、ちょっと激しすぎるプレイじゃないかしら〜？」
「ちょ、ちょいちょいちょい！　勘違いしなや、これにはな、ワケがあんねん。ウチのトレーナーヘッポコ癖があってな、そんで……」
「あら〜そういうプレイなのかしら？　タマちゃんも隅におけないわね〜！」
「ちゃうわっ！　アンタんとこと一緒にすなーっ！」
「タマ。静かに」
「あ、すんません……ってなんでウチが謝らな……」
「うぅ、うーっ！　も、もー我慢の限界でぃ！　破廉恥なタマモ先輩なんて……みたく、ねぇーっ！」
「あっ、待ってイナリちゃーん！」
「タマ。今はイナリを追い掛けないといけないから」
「ああ、まってーな！　ウチを置いてかんでぇ、オグリぃ、クリーク、イナリィーッ！」
「今度、ゆっくり話そう」
　ウチの引き留めも虚しくドアがバタンと閉じて……終わった、終わりや……
「グッバイ、ウチの青春……」

　神様から見捨てられた者にしかできん挫折のポーズでウチは悲しみに暮れる。明日学園に来た瞬間に貼られるドスケベレッテルに涙が止まらへん。同じくレッテルを貼られる定めにあるトレーナーも、さぞかし悲しんどるやろなって思て見てみたら。
「イナリ……意外とウブいんだな……」
　理解した、みたいな顔付きでバカの文句を呟いとった。もう限界や、ウチの気も知らんと調子に乗りおって。
「この経験はトレーニングに活かせるかもしれないな……」
　狂っとるわ、どこをどう見たらそうなんねん。イカン、そろそろ真人間に戻ってもらわな。トレーナーの服の裾をがしっと掴んで、んで逃げられんようにして。さあ、問答開始や。
「開口一番にそれって、なんやトレーナーしばかれたいんか。ウチ、怒っとるんやで」
「ちょっ、ちょっと待ってくれよ！　怒らせるつもりなんてないし、俺はただ感想を言っただけで……！」

「じゃかあしい！　そもそもトレーナーがこんなもんウキウキ引っ提げてくんのが悪いんやろが！　謝る気が無いにせよ、少しぐらい反省心見せぇや！　女子高生にエロ見せて、セクハラで訴えられたいんか？！　ウチや無かったら大変なことになっとるで今頃！」
「ぐっ……それは……」
「何より、このあとウチの友情関係にヤバいくらいの亀裂入ったらどう責任取ってくれんねん！」
「それは……すまん、その時はお、俺が、貰って……」
「わー、うれしいっ！　永久就職先確保や〜！　って、違うやろがオチ付けようとすんなアホンダラっ！　コンビ芸やっとるんちゃうぞボケ！」
「ごふぅっ！」
　みぞおちにチョップ叩き込むと、そこでようやくウチの怒りに気付いたらしい。鈍感クソ朴念仁地雷踏み踏みアホボケトレーナーはエラくシュンとしとる。そんな姿に罪悪感とか、感じると思うたら大間違いや。それとこれとは話が別やで。短くない付き合いや、トレーナーが良くする泣き落としには釣られへん。それに二度とこんなミスが起きへんようにキッチリ教育せなアカンからな。ウチの両手でトレーナーのほっぺたぎゅっと挟んで、オカン直伝の最後通牒や。

「帰ったらみっちり説教な」
「嫌だよ！　タマの説教長いし！」
「はあ？！　ＡＶ持ってきたん誰やった？！　自分のミスちゃんと顧みや！」
「ぐっ、そこは反省するけどさあ……！　説教なら今も受けてるだろ、それで帳消しにしてくれよ！」
「なんやウチに文句垂れるんかい！　オグリたちにはなーんも物言えん、引き留めもせんかった流されタマなしエロ河童の分際でぇ〜！？」
「ぐ、ぐうううううっ！」
「今日はみっちり三時間コースや。ぎょーさんしごいたるわ、覚悟しいや」
「うっ、うう……」
「泣くなアホ！　泣きたいのはこっちや！」
　ほれ、行くで。肩を落とすトレーナーの手を掴んで、ウチはドアを開く。
「スーパー寄ってから帰ろな、冷蔵庫になんもないやろ」
「はい……何もありません……」
　とりあえず、ご飯食べておつまみ作って。
　話はそれからやな。
　まあ、何とかなるやろ……多分。

『……あー気持ち良かったぁ♥』
『俺も、気持ち良かったぞ♥』
『わたし、明日のレース勝てちゃいそう♥』
『今日いっぱい負けたから明日は勝てるよな♥』
『うん♥』
　だあああうっさいわっ！
　はよ終われ！　ってか切れや！　閉店や閉店！　オチ？　んなもん知らん！　そんじゃあバイナラ！

これはさすがにもうキレていいと思うよ…

AV見せられた上に友人にはプレイと誤解されたとかそらキレるわ

タマちゃんはオカンが似合う

喧嘩した後のうまぴょいは気持ちいいからな

タマ…

パイセンのリアクションの生々しさが辛い…

幼女体型のウマ娘もののAVを見させるとか凄い羞恥プレイだな

この流れで夫婦漫才してる…

タマ…
トレセンはレースに真面目に取り組む場所でえっちなビデオをトレーナーとイチャイチャしながら見る為のものではないんだ…

まだ育成できないのに少し掛かり気味ではないだろうかタマ

◆知っとるわアホンダラ！

>ウチや無かったら大変なことになっとるで今頃！
これ好き

スラスラ読めた
いい文章を書きおる

それでうまぴょいはもうしてるんです？

トレーナーに甘すぎる…

育成来てないからまだトレーナーがどんな性格かもわかってないのに…

これもうトレーナーさん伴侶通り越して息子になってません？

トレーナーへの好感度は下がってなさそうなの好き

AV流れた時点で止めろよ！

>「この経験はトレーニングに活かせるかもしれないな……」
ﾓﾝｽﾀｰ
怪物…

むっ

明日からトレーニングと称して校内でトレーナーとAV見てた人扱いになるのかわいそう

育成できるようになったら色ボケタマが拝める様になるのかはたまたオカンが来るのか

>育成できるようになったら色ボケタマが拝める様になるのかはたまたオカンが来るのか
原作的に戦友と書いてともと呼ぶやつじゃねえかな…
トレーナーが錦野三野南井小原どのポジションにいるかだけど

ギャルゲシナリオが来ないのは分かる
オグリシナリオですらギャルゲ認定するなら知らない

タマは健全なままでいてほしい

しれっと同棲してやがる

でも正直オカン化や色ボケ化が見たい気持ちもある

育成タマはど根性系の話になるような気はする

>オグリシナリオですらギャルゲ認定するなら知らない
怪文書でも二人共しっとり時空から隔離されてるしな…

色ボケはしないだろというか実は色ボケしてるのは「」であってウマ娘は皆だいたい色恋よりもレースを全力重視してるアスリートなんだよな

>怪文書でも二人共しっとり時空から隔離されてるしな…
オグリ怪文書ならさっき重めのが来てたぞ

>色ボケはしないだろというか実は色ボケしてるのは「」であってウマ娘は皆だいたい色恋よりもレースを全力重視してるアスリートなんだよな
タマちゃんは特に動機が金稼げるからレースに出るというシビアさだからな…

イナリは絶対ウブこれだけは譲れない
たまにアホなのが書きたくなったんだよね
タマだけに…ふふ