「ｴｰ、ｹﾁｰ」
「こっちで再生するからそこ座っときなさい、えーっとホラーなら電気消すんだっけ？」
「そうそう！わかってるじゃーん！出来のいい臣下でテイオー様はうれしいぞよ〜」
喜怒哀楽の激しい子だ。
苦笑いをしながら照明を落とした後、配信サイトからテイオーがあらかじめ選んでいたホラー映画を選ぶ。
振り向くと、テイオーは準備万端とばかり、モニターの対面においてあるベッドに座っていた。
それをみて、肩が触れ合わないくらいの距離に座る。

近すぎず、離れすぎていないくらいの位置に。

「よーし、スタートだー！」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
　　　　　　　　（↑）　　ﾃｹﾃｹﾃｯﾃﾝﾃｯﾃﾝﾃﾚﾚﾚﾚﾝ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「ﾋｪ……ﾔﾊﾞｲﾖｺﾚ……」

まあそんな距離感は、布団にくるまりながら小動物のように震え、俺の肩越しにホラー映画を見つめるテイオーに破壊されてしまったわけだが。

「怖いなら見なきゃいいのに……」
「ｳｩｩ……ｺﾜｲﾓﾉﾐﾀｻｯﾃﾔﾂﾅﾝﾀﾞﾖｰ……」

映画の内容は典型的な日本風ホラーだ。
最初はなんてことないようなおかしな現象から徐々に日常を侵食してくるような描写。
あまりそういったものへの抗体がテイオーにはなかったようだ。

「ほかの映画みる？」
「……最後まで見る」

負けず嫌いというかなんというか。
……映画も怖いパートから人間関係パートになってきたな。
なんか雑談でもしてやるか。

「そういえばなんだけどさ、実は最近部屋に見慣れねえものがあってさ」
「ﾋﾟｪ!?」
「箪笥の上のあれなんだけど……」
「ﾋｪｪ……って、なーんだヘアバンドじゃん」

「あと洗面所にドライヤーが」
「ふつうあるべきでしょ。トレーナーも使っていいよ？」
「あとキッチンのプロテイン」
「はちみー味があってさ〜〜効果はそこそこなんだけどおいしいよ！」
「……日常を侵食してくる度合いで言ったらテイオーもこの映画に負けてないね」
「ふふーん！」
「ほめてないよ」

こうして距離が近かったり、些細な買い物をデートって言ったり、部屋に私物をおいてったり。
こうまでされれば馬鹿だって気づく。

大人と子供。トレーナーとウマ娘という立場だ。
そんな関係になることはできない。
もし告白をされたら断るべきだ、と思っている。

でもそんなことは起きない。
これくらいならまあいいか、というラインをテイオーに見切られているようだった。
こうしてなんとなく好意を示され続け、こちらもなんとなくそれを受け入れるような日々が続いている。

「……そのさ。あんまり入れこんでくれても答えられないしれないぞ？」
「ん？あー大丈夫だって。僕の走り方知ってるでしょ？」

突き放されないような距離をキープし続けて、逃げを許さず、最終局面でスパート。
なるほど。その時が来るまでじりじりと距離を詰めるだけにしてくれるようだ。

ふと首に腕が回される。またジワリと距離が近くなる。
「逃がさないもんね」
「……逃げるつもりもないよ。待ってる」
告白は断るべきだと思っている。今は。

鈴カステラみたいな心地の良いしっとり具合だ…

おしまい
じわじわと生活をテイオーに侵食されたい人生だった。

ちなみにテイオーは映画ポスターの画像のずっとずっと一緒だよねというのをみてこの映画を選びました

これは帝王…

つがいは早いうちに射止めておかないとね

たまらなく好きな距離感

えっちではない健全なしっとりとした甘さの提供だ

さてはテイオーは毎日1個ずつトレーナーの部屋に私物を増やしていくってネタに感化されたな貴様

この距離感はいいね…
いつかいきなり詰め寄られそう

じりじりと距離を詰めていきますトウカイテイオー

これくらいの関係が1番心地よいよね

強い

強い強いぞトウカイテイオー