二次元裏@ふたば

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188382 B21/04/07(水)21:57:03No.790697328そうだねx4 22:57頃消えます
空港でトレーナーを見送ってから、4日が経った。
直後にヤケ食いしていた食事は3日目を境に細って、今日は全く喉を通らなくなっている。
周囲の声を聞き入れなんとか飲み物で栄養は摂っているが、とてもトレーニングをしようという雰囲気ではない。
トレーナーは1週間分のスケジュールを纏めて空港で手渡してくれたが、ついに守れなくなってしまった。
なにが一流か。私は最初から、彼女に寄り掛かるばかりの小娘じゃないか。
向いてない、やめなさい、という母の言葉が、頭を巡る。
こんなに好きになるとは思ってなかった。ずっと一緒に居ると勘違いしてた。
ベッドの上で蹲って、何度もスマホを確認する。
見送った当日、無事に到着したことを告げるメール以降、未だなにも届いていない。
────出来るだけ一緒に居たいし、なんとか手短に済ませるよ
空港で聞いた彼女の言葉を、何度も反芻する。
「……いつまで待たせるつもりよ」
思わず、ぽつりと呟いてしまう。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
121/04/07(水)21:57:21No.790697439そうだねx1
直後、握っていたスマホが鳴り響く。
母か。恐る恐る画面を確認すると、そこには愛しきトレーナーの名。
驚いて、思わず落としそうになったスマホをしっかりと握って慌てて応答すると、
「もしもし」
と、聞き慣れた彼女の声。
溢れる涙を抑えながら応える。
今から帰る、土産には期待しないで、ちゃんとトレーニングメニューはこなしたか。
縁談相手がよほど良かったか、その声色はやけに明るい。
嬉しさと共に、なにか突き刺さる思い。
「それで?何時に迎えに行けば?」
思わずぶっきらぼうに言葉を放ってしまうが、会いたい気持ちは本心。
失うと分かっていても、その最後まで一緒に居たい。
僅かな時間ですら惜しい。
気付けば、ずいぶんラフな格好で駅に向けて駆け出していた。
221/04/07(水)21:57:43No.790697560そうだねx2
「いやあ、勘当されちゃって……」
「……は?」
空港で出迎えた彼女の二言目に、思わず品のない声が漏れる。
電話口であんなに明るい声を出していたのはなんだったのか。当人はやけにヘラヘラとしているが、家族との繋がりを断たれてそんなに喜ぶ事はないだろう。
「ひ、ひとまず、順を追って説明なさい。ね?」
困惑する私と、やたら据わった態度の彼女。
泣き腫らした涙など忘れたかのような顔が、ほんの少し気に障ったが、それより大切なこともいくつかあって。
「……帰り道に聞くから」
「うん」
手を繋いで、帰路へ。
321/04/07(水)21:57:59No.790697659そうだねx2
「それで、縁談を蹴ったと?」
「ただ蹴るならいいけど、物理的に蹴っちゃった」
学園までの帰路で聞く話は、凄絶にして痛快であった。
家のものとしての生活、それに対する反抗心、縁談相手との軋轢、最後は蹴り。
縁談相手に気安く手を触れられた際に、ついに爆発したらしい。
現役でもないウマ娘の加減した蹴りとはいえ、大層なやらかしと言えるそれは、勘当に至る最後の鍵として十二分だった。
そして。
「────キングがね、力をくれた」
「……どんな?」
「家名を押し除けて、一流を示した姿を思い出して……キングの事が、好きだなって。
 家の者は怒るかもしれないけど、私は私の生き方をしないとって。
 ……キングにも怒られちゃうかもしれないけど」
そう語る彼女の頭にそびえる一対のウマ耳は、尾ほど分かりやすくもないがぴこぴこと嬉しそうに揺らいでいる。
421/04/07(水)21:58:15No.790697762+
────本人は喜んでいるけど、私が彼女の人生を壊したのでは?
ふと、そんな考えが頭を過ぎる。
キングに相応しい一流のトレーナーは、あなたをおいて他にいないとは言い続けたけれど。
それが呪いになってしまったのではないか。
嫌な感情は瞬く間に頭を支配して、彼女から顔を背けさせる。
私が悪い。私が壊した。私が、彼女を不幸にした────
521/04/07(水)21:58:56No.790698025+
「────、キング、着いたよ」
はたと気付けば、そこは最寄駅。
それなりの時間ぼんやりしていたのを、彼女は黙って待っていてくれたらしい。
情けない。キングに相応しくない姿を晒してしまった。
駅からの帰り道を、思わず早足で歩いてしまう。
待って、待ってよ、というトレーナーの声。
相応しくないのはどちらか。私の方じゃないのか。
「キング!」
大声で呼び止められて、ようやく立ち止まる。
背後から追いつく影が、私を覆って。
「────キングのせいだなんて、思ってない。
 私は私の選択を、後悔しない。
 私は、私は────」
621/04/07(水)21:59:20No.790698175+
私の意思でここにいるから。
まるで見透かすような言葉に、返事に詰まる。
けれど、その言葉に相応しい返事などたかが知れていて。

「────っ、そうよ。それでいいの。
 それでこそ、このキングに相応しい一流のトレーナーよ。
 だから、だから……二度と置いていかないで」
ああ、崩れた。
視界が滲み、頬を涙が伝う。
空港へ迎えにいった時から、ずっとそう思っていたはずなのに言えなかった、最後の言葉。
隠すべきでない、まっすぐな感情が。
ようやく、言えた。
721/04/07(水)22:01:09No.790698894+
なんだ百合か
821/04/07(水)22:01:16No.790698936そうだねx9
取り巻きの子たちが号泣しながら拍手している
921/04/07(水)22:02:13No.790699297+
こういうのもあるのか
1021/04/07(水)22:04:29No.790700104+
これは茨の道ですわ
1121/04/07(水)22:08:43No.790701618+
こいつらの因子をカワカミさんに継承しよう
1221/04/07(水)22:10:56No.790702286そうだねx3
私こういうの好き!!!
1321/04/07(水)22:12:33No.790702822そうだねx6
私の尊みには合っていますよ
1421/04/07(水)22:19:16No.790704961そうだねx2
ふと気づくとずっと女性トレーナーでやっていた私の性癖に合っていますよ
1521/04/07(水)22:21:13No.790705626+
茨の道だけど助けてくれる人は沢山いるだろう
なんせキングだからな…
1621/04/07(水)22:21:58No.790705836+
逆にお母様は止めなさそう
1721/04/07(水)22:32:54No.790709623+
トレセンで語り継がれる伝説の一つになりそう
1821/04/07(水)22:42:59No.790712935そうだねx1
今朝の続きか…
よかった…


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