降り立ったのは穏やかな田園風景の広がる長く長く果てなく続く道路のド真ん中。
走り去っていくバスに物寂しさを感じたが、スペの方は深呼吸をして帰ってきたとばかりに大きく伸びをしていた。

「お母ちゃんももう家で待っててくれてるみたいですから、行きましょう。すぐ近くですよ近く」

そう言って歩き出したスペは住居が並ぶ方向とは逆へ歩き出す。
また道を間違えてないかと心配になったが、さすがに地元で道は間違えません！と言う。
静かで閑散とした、緑の薫る道を２人、のんびりと歩き続ける。こんな時間もたまにはいいか、と空を仰いだ。
なにかの鳥が甲高い鳴き声を上げて飛び去っていく。あとは温い太陽が照らすだけ。歓声も緊張も名声もない。
別世界だ。踏みしめる土が、だんだんと足に馴染んできているように思えた。

「見えてきましたよ！　あそこ、あの家です！」

指差す方向に見えたのは純和風の、少し古風な家屋。
喜んでいるのか、足が早くなるスペ。それをおいかけながら、心の中に少し不安が浮かび上がる。
大切な一人娘を預かってる身。トレーナーとして親御さんにお会いするのは初めてだ。
彼女の言うお母ちゃんは厳しくも優しい人なのだとか。言葉通りなら母のイメージにまさしく当たる人なのだとは思うが。
頭の中で挨拶の言葉を何度も反芻し、イメージトレーニングを欠かさない。そしてついに家の前で足を止める。

「おかあちゃーん、ただいまー！」

戸を開け、中に入ったスペに続き、お邪魔しますと声をかけると。
奥から出てきた人影に、俺は目を疑った。

「おかえり、スペ。元気そうで良かった。あ、トレーナーさん。わざわざ遠い所をありがとうございます。さっ、上がってください。何もない家ですけど」

スペの言うお母ちゃん、という響きから、いわゆる肝っ玉母ちゃん的な……頑丈そうな見た目の人を想像していた。
しかし、目の前にいるのは長いブロンドの髪を１つに束ね、彫りの深い顔立ちをした……おそらく外国人の女性。
育ての親だということは聞いていたが、全く予想外の人が出てきたために面食らってしまった。

「私お茶いれてくるね。お菓子は？　戸棚の中？」

慣れた様子で準備をしているスペ。当然のことではあるが。
通された居間も、外見と同じく純和風の畳敷き。中央のこたつの周りに座布団が３つ。

「どうぞ楽にして、くつろいでください。うちの娘が大変お世話になりまして……」
「あ、い、いいえ、こちらこそ。娘さんには助けられてばかりで……」

ありふれた形式的な挨拶に身を任せながら、腰掛ける。お言葉に甘えて足は崩したが、心ここにあらずであった。
台所にいる娘と大きな声で会話している目の前の女性は、淡く青い瞳に鼻はスラリと高く、一児の母とはとても思えないような魅力的な外見で……。

「…レーナーさん、トレーナーさん！　どうぞっ、お茶です！」

ドンッと目の前に湯飲みが降って来たかと思うと、お盆にお茶請けを載せたスペが不機嫌そうに睨んでいた。

「デレデレした顔見せないでください！　もうっ」
「で、デレデレなんてしてないって。お若いなーと思ってただけで」
「してるじゃないですか！　もうお母ちゃんこと見んの禁止だべ！」

そんなやり取りを聞いていたスペのお母さんは、腹を抱えて笑っていた。

それからお茶をいただいてしばらく、学園やレースの話を続けていると日が傾いてきてしまった。
じゃあそろそろ、と腰を上げようとすると親子２人が両側からまぁまぁまぁと肩をおさえてくる。
日が落ちてくると真っ暗で足元が危ないとか、もうバスもなくなるとか、そんなわけで泊まっていけばいいと。
窓の外を見るとなるほど確かに思っていたより影が濃い。街灯もまばらだ。

「では、お言葉に甘えさせてもらいます」
「どうぞどうぞゆっくりしてってください。スペ、夕飯の準備手伝いな」
「はーい」

２人が用意してくれた夕飯はとても豪勢で、そのほとんどをスペが１人で平らげたあと、風呂が沸いたから入ってくださいとすすめられた。
浴室は広く、学園の独身寮にあるちゃちな風呂とはわけが違う。浴槽に手を入れると、湯加減もちょうどいい。
久しぶりに脚を伸ばせそうだと、嬉しく思いながら熱いシャワーを頭の先から浴びた。

「……トレーナーさーん？　あの、お湯加減とか……どうですか？」

ふと、戸の向こうからスペが声をかけてきた。ずいぶんと遠慮がちに。
問題ないよ、と返すがそのまま返事がこない。
確認に来ただけだったかと思ったが、ガチャッと音を立てて戸が開いた。

「し、失礼しまーす……あの、トレーナーさん……お背中流しますね」

その言葉に驚いて振り向くと、タオルで前を隠したスペがスポンジを持って立ち尽くしていた。

「い、いやいやまずいって。そこまでしてもらわなくていいから」
「私が流したいからいいんですっ！　あ、あんまり後ろ見ないでくださいね……」

言われるがまま背中を向けて、念のために自分もタオルを腰に巻く。
冷たいスポンジが上下にゆっくりと背中を擦っていく。人に洗ってもらうなんて物心ついてからはなかったわけだし、妙な心地良さと緊張感があった。
言葉は交わさず、ただ洗い洗われて流れる時間。
振り返ればそこには薄布一枚のみで柔肌を隠したスペがいる……意識してはダメだ。背中は預けられても前は到底見せられない。
心を落ち着かせ、頭の中をクリアに。煩悩を払うべく先日目にしたトレーナー白書の内容を思い浮かべる。

「ありがとうございます、トレーナーさん。一緒に来てくれて」

手を止めて、スペが話しかけてくる。

「今回の帰省のことだけじゃなくて、今までずっと一緒にいてくれたから私、走り続けられたんだと思います」
「スペ……」

顔を上げると、鏡越しに満面の笑顔が返ってくる。

「明日は、もう１人のお母ちゃんに挨拶に行きたいと思ってるんですけど、来てくれますか？」
「あぁ、もちろん。ちゃんと挨拶しないとな」
「よかったぁ、ありがとうございます！」

熱いシャワーが背中を流していく。
さっぱりしたところでそろそろ湯船に、と思うと背中にフヨッと柔らかい感触が伝わってきた。
胸の前に腕が回され、ギュッと背中から抱きしめられていた。

「スペ……？　これは……」
「……明日も、これからも……一緒にいて欲しいです……」

囁くように言葉を零すスペ。そこに込められた気持ちは、おそらく……だが、即答するわけにもいくまい。
勘違いをして早とちりだったなんて笑い話にもならない。

「心配するな。俺がスペをスカウトしたんだから、一緒にいるよ」
「……はい……」

その後、湯船に浸かるのもそこそこに、一度浴室を出たスペと交代した。
風呂上りにどうぞ、と差し出されたみかんを頬張っていると、寝間着に着替えたスペがあくびをしながら居間に来た。
長旅の疲れもあるだろうが、実家に戻ってきた安心感もあるのだろう。
おやすみなさい、と言ってまた大きなあくびをしながら部屋に戻っていった。
先ほど耳元で囁いてきたスペは別人かと思うほどに、いつも通りの抜けた様子。少し、ホッとしてしまった。

「トレーナーさん、スペも寝たことですし……一杯いかがです？」
「あぁ、ではありがたくいただきます」

近くで造っている地酒だそうだ。喉から胃にかけて焼けるように流れ込んでくるとじわりじわりと全身に染み渡っていく。
あまり得意な方ではないからだろうか。回りが速いように思える。
目の前で手酌して煽っている彼女は、堂々としたいい飲みっぷりだ。
見た目こそ日本人ではないものの、決して浮いて見えないのは長く住んだからこそ、馴染んでいるのだろう。

「……あの子が立派な賞までもらって、夢に向かっている姿を見られて、ホントに嬉しいんですよ私は」

ポツリ、と呟くと一枚の写真を遠い目で眺めていた。
そこにはおそらく若い頃の彼女と、１人のウマ娘。どこか、あの子の面影があるように見えて、すぐに察した。

「２人のお母さんに見守られているおかげですね」
「えぇ。私たちはいつでも、あの子を見守っています……ですからねトレーナーさん」

急に振り向いた彼女は目を見開き、真剣そのものという表情で見つめてくる。
何を言われるのだろうか。半端に持ち上げたグラスの行き先がなくなってしまった。

「あの子は……スペは素直で元気ないい子です。だから、あの子のこと末永くお願いいたします」
「は、はいそれはもちろ……ん……？　い、いやそういう関係というかお話はないですよ！？」
「そうなんですか？　私はまたてっきり……まぁまぁ、せっかくですからこの機会に考えてみてください。あ、そうだちょっと待っててくださいね」

そういって立ち上がると、分厚い背表紙の冊子を何冊も持って戻ってきた。
こたつの上に広げられたそれは、スペの成長記録……アルバムだった。

「見てください、ほらこれが初めて立った時の写真。もう足がしっかりしてるでしょう？　それから初めて走り始めた時は……」

一枚一枚を丁寧に指差しながら思い出話に花を咲かせている。このペースでの語りが数冊分。
寝かせてもらえそうにないな、と半ば諦め気味に付き合うことにした。

翌朝、覚えている範囲では午前３時頃にとうとう眠気が限界に達してその場で横になってしまったと思われる。
久しぶりに深酒したのもあって寝入りは早かったはずだが、脳裏に長い長い昔語りが焼きついて満足な睡眠状態にはなれなかったようだ。
半覚醒して起きることも寝ることも出来ないゾンビのような有様。
頭はぼんやりとしていたが、どこからか漏れてきた明かりを見て、あぁ夜明けだななどと考えていた。
昨夜のことがふと、頭の中をよぎる。
スペの様子はいつもと違っていた。母親もおそらくは、そういう関係性を感じていたのだろう。
よく考えてみれば女の子の実家にお邪魔するなんて……目的はほとんど限られているではないか。
トレーナーがウマ娘と……なんて話はよくあることだ。そしてきっと、自分もそれを望んで……。

その時、差し込む朝日を遮って影がふっと自分の前に現れた。誰かの気配。
誰だろう、と頭を回そうとした瞬間。唇に柔らかい感触が降ってきて、はずみでそのまま離れていった。

「おはようございます、トレーナーさん。朝ですよ」

ぼやけていた視界がしだいにはっきりしてくると、微笑んだ彼女の顔がよく見える。
寝坊してばかりだ、と同室のサイレンススズカがよく言っていたが、珍しいこともあるものだ。

「おはよう、スペ」

頬を染めた彼女は、ほんの少し大人びて見えた。

掛かり過ぎではないでしょうか

ウワーッ！大作！

なこ
にん

なっが…

こんなに…

こいつら健全なんだ！

スペは正統派でいいな

>掛かり過ぎではないでしょうか
ちょっとtxtが欲しいところですが私の性癖には合ってますよ！

スペちゃんのやつ初めて見た気がする

おかしいな…これじゃ健全なヒロインじゃないか

アニメスペちゃん怪文書は見るけどアプリスペちゃん怪文書はレア

私たちの嗜好には合ってますね

こんな子が3000円で公営ギャンブルするわけないじゃないですか！

お父ちゃんになるのかと心配もありましたがこれで安心ですね

お母ちゃんの左ムチがすごい

タオル一枚越しにおっぱい押し当てて健全は無理があるよ！？

正統派ヒロインのスペちゃんいいよね…

なっちゃいなよお父ちゃんに

年末にまとめたら1日かけても読み切れなさそう

ウワーッ！正統派！

お父ちゃんになるってことはつまりお母ちゃんと…

>アニメスペちゃん怪文書は見るけどアプリスペちゃん怪文書はレア
アプリスペちゃん怪文書はゴルシ怪文書より数少ない気がする

主人公らしい正統派！

途中までお母ちゃんと関係持つルートだと思いましたよ私は

こうして産まれたのがお前だシーザリオ

>こうして産まれたのがお前だブエナビスタ

>煩悩を払うべく先日目にしたトレーナー白書の内容を思い浮かべる。
このでけぇ水族館が…

>途中までお母ちゃんと関係持つルートだと思いましたよ私は
なしてー！？

>途中までお母ちゃんと関係持つルートだと思いましたよ私は
私の性癖には合っていますね

スペは娘みたいな感じあるから…

お風呂のあたりでパンツ脱いだのが申し訳なくなるくらい健全だった

解説の人毎回性癖に合ってるな…

スペのお父ちゃんになるルートかと…

スペちゃんは健全と不健全を反復横跳びするような雰囲気がある

>スペは娘
そこから一枚羽化するのを感じる旅になりそうですね！
これは期待できますよ！

途中までお母ちゃんに手出さないか読んでてずっとハラハラしてた

スペちゃんがちゃんとした美少女してると動揺する

王道を歩む強さ

>心を落ち着かせ、頭の中をクリアに。煩悩を払うべく先日目にしたトレーナー白書の内容を思い浮かべる。
他の女のことを考えて気を紛らわしてるのかと思ってすみませんでした

>途中までお母ちゃんと関係持つルートだと思いましたよ私は
私イチオシのシチュエーションです

ここからスペ師匠となるまでにそう遠くはなさそうだ

>スペちゃんがちゃんとした美少女してると動揺する
ひどすぎる…でもわかるよ

>他の女のことを考えて気を紛らわしてるのかと思ってすみませんでした
思い出になるほど大したこと書いてないよこれ

アニメスぺちゃんはGⅠレース開催日のスぺ師がある意味怪文書だからな…当たらないところも含めて

鋼の意思スキルが活躍してるの初めて見た

目が覚めたら隣にはスペのお母さん…いや俺の愛しい人が

ちょっと色んなドキドキをはらみながら読み進めて申し訳なかった

スペちゃんやオグリの主人公組は健全路線突っ走ってんな…

アプリスペちゃん本当シコれる

俺は見たい！３人が川の字になって寝てるのが見たい！

>ここからスペ師匠となるまでにそう遠くはなさそうだ
当たらない方のスペ師匠なのか
スズカさんにうまぴょい因子継承するスペちゃん師匠なのか
一瞬俺は迷った

アプリの方は良い子すぎて幸せにしてえ…

>タオル一枚越しにおっぱい押し当てて健全は無理があるよ！？
はーっ！？一向に担当ウマ娘のトレーナーへの感謝の気持ちによる慰問ですけど！？

一線踏み越えてからは欲求に忠実な面が顕在化してスペ師匠になるのかな…

>アプリスペちゃん本当シコれる
今アニメスペちゃんはシコれないって言った？

>今アニメスペちゃんはシコれないって言った？
頭にケーキ載せてる子はちょっと

なんでスペ師になる前提なんだよ！

>アニメスペちゃんは
一期はキラキラ主人公過ぎるし
二期はネタキャラ過ぎるし

>スズカさんにうまぴょい因子継承するスペちゃん師匠なのか
あの怪文書のスペちゃんめっちゃよかったね…

>今アニメスペちゃんはシコれないって言った？
su4723105.jpg

>一線踏み越えてからは欲求に忠実な面が顕在化してスペ師匠になるのかな…
こんな純朴な少女が舐めとったり飲んだりして煽っちゃうんだ…

アプリスペちゃんのことも娘みたいな目で見てたから温泉で色気あってドキッとしたよ

これ関係を持たずに北の大地から脱出できるのかなトレーナー

スペは意外とスタイルもいいからな…

お母ちゃんダメージジーンズからはみ出した太もものお肉がちょっとエッチいんだよな

>>今アニメスペちゃんはシコれないって言った？
>su4723105.jpg
…いける！

この感じスペの実母だけじゃなく実父も死んでそうだな

スペ師匠と弟子スズカは回数や発射数より一回一発の濃厚豊潤さで勝負するタイプ
口の中が砂糖でジャリジャリするが茶が進む

スペパイ押し付けても落ちないトレーナーさんの精神力が強すぎる

スペの勝負服の太い脚には欲情してます

お母ちゃんに視線が行ってちょっと乱暴にお茶置いてくる下りが好きですね私は！

>この感じスペの実母だけじゃなく実父も死んでそうだな
自分が読み飛ばしただけなのかもしれんけどお父ちゃんの話って出てないよね？

こういうの読むとスペが欲しくなる

お母ちゃん！3000円貸してください！

>>一線踏み越えてからは欲求に忠実な面が顕在化してスペ師匠になるのかな…
>こんな純朴な少女が舐めとったり飲んだりして煽っちゃうんだ…
ちんちん痛くなってきた

>お母ちゃん！3000円貸してください！
スペちゃんはそんな事言わない！

何度も言ってるけどシューティングスターの演出が本当に好き
というかあの流星を眺めるスペが好き

アプリのスペちゃんスキル使ったら変身バンクからのキラキラ笑顔ダッシュでなんか笑っちゃうんですよね
可愛いですけど

でもシューティングスターの勝負服変身のお尻をきゅって突き出す所エロいよ？

アプリスぺちゃんとimgの総大将は別人なんだ

>スペパイ押し付けても落ちないトレーナーさんの精神力が強すぎる
ですがしっかりとスペの事を女性として意識しているのが私の性癖には合っていますよ

i
訴
されても文句言えねえ

あと4人未入手でチケ取ってあるけどスペちゃん取りたくなってきた

>アプリスぺちゃんとimgの総大将は別人なんだ
アプリのスペはあげません！！！とか言わないからな…

スペは差し育成の入門に丁度いいし差し苦手な人におすすめ

シューティングスターの変身バンク微妙に成長モーフィングしてて
ロリスペモデルがありそうなのでびびった

レース中に腹一杯食わせたいから先行で行きます！

トレーナーさんはあげません！！！！

アプリのスペちゃんはやたら土下座したり変な顔したりしないからな…

本編でも本人は言ってなかっただろ！！

>トレーナーさんはあげません！！！！
あげますから全身全霊をくだち！！！１１！！！

ｽﾍﾟﾁｬﾝｿﾝﾅﾆｲﾔｼｸﾅﾗﾅｸﾃﾓｰ!?

ラストの有馬直前の焦ってつい口が悪くなるスペちゃん良いよね

仮にお父ちゃんも早逝してるならスペちゃんや育てのお母ちゃんもちょっとは話題に出すとか夫婦写真が出てくるはずなのに一切ないのでおそらく…

スルスル読めた

むぅ…
むぅ…………

スペちゃん好き…