今は母の日を控えた五月の初旬。
花の世話が好きなエアグルーヴは学園の花壇や私有地にある畑で様々な花を育てており、その一環で毎年この時期に合わせて咲くように色取り取りのカーネーションを植え、それを生徒達に配るのが恒例行事となっている。
彼女が丹精込めて育てた花は見事なものであり、これが学園の生徒達の中でも人気を博している。
その人気に応えるためにエアグルーヴが植える数も年々増えており、自分も畑の世話から渡す当日の手伝いもすることが彼女の担当トレーナーの仕事としてすっかり慣れ親しんだものとなっていた。
初めは”種の扱いがなっていない”とか”作業が雑”だとか彼女に怒鳴られっぱなしだったが、年々上手くなっていっているのか今では彼女から叱られることも減っていた。

そんな以前のことに想いを馳せていたが、聞こえてきた鋭い声で一気に意識を引き戻された。

「何をぼーっとしている、このたわけっ！列はまだまだ長いのだぞ！きびきびと動け！」

「ごめんごめん！黄色のカーネーション？はい、どうぞ！」

言葉の通り、彼女の後輩達が作っている列はかなりの長さだ。これも咲かせた花の美しさと彼女自身の人望の厚さから来るものだと思うとトレーナーとしてはつい頬が緩んでしまいそうになるが、気を引き締め直して彼女の手伝いに集中した。

そうして二人でカーネーションを渡し続けて数時間、ようやく全て捌き切ったときにはすっかり陽も落ち始め夕暮れ時になっていた。
最後の一人に渡し終え、その背中が遠くなるのを見送くると、疲れた身体をぐっと伸ばして解す。
隣に目を向けると流石の彼女も疲れたようで、軽く首を回していた

「今年もお疲れ様、エアグルーヴ」

「貴様もな。毎年のことだが、よく働いてくれる。感謝する」

柔らかな笑みを浮かべながら、彼女から感謝を告げられる。

「君のやりたいと思うことを手伝う。トレーナーとしてこのぐらい当然だ」

「全く貴様はいつもそういうことを恥ずかしげもなく……もういい、さっさと後片付けを済ませるぞ」

そう言うと顔を隠すように踵を返し、花を積んでいたワゴンを運び始めた。
俺が素直な気持ちを伝え、それを彼女が照れくさそうに受け取る。そんなやり取りはもう何度も繰り返されたものだが、普段厳格な彼女があまり見せない表情は歳相応で、何度見ても可愛らしいと思う。
あまりにやけているとまた怒られてしまうので何とか我慢しながらその背中を追いかける。片づけを済ませた後、彼女を寮まで送り届けることにした。

「最近はカーネーション以外にもアジサイや蘭なんかも母の日に送る花として人気があるみたいだな。来年は育ててみないか？」

「ほう……貴様も中々勉強しているじゃないか。確かにカーネーション以外も用意したほうが喜ばれるかもしれんな。検討しておこう」

来年の計画などを練りながら歩いているとあっという間に時間は過ぎ、気が付くと学生寮の前まで帰って来ていた。

「伊達に君のトレーナーをやってないからな。じゃあ、また明日」
　
別れを告げて自分も家に帰ろう思ったが、背後から呼び止められた。

「待て。貴様に渡したいものがある。少し待っていろ」

そう言うとエアグルーヴは寮の階段を登って彼女の自室へと入っていった。
何か渡されるようなものに心当たりもなく、何だろうかと考えを巡らせながらその姿を見ていると、すぐに部屋から出てきてまた降りて来た。その手には赤い花が植えられた小さな植木鉢が抱えられていた。

「これを受け取れ。ついで、と言ってはなんだがまぁ……なんだ。日頃の感謝の気持ち、というやつだ」

少し歯切れを悪くしながら植木鉢を差し出してくる。
照れてはいるが、彼女の想いが詰まっていることはよく伝わってきた。

「これを俺に？ありがとう！」

お礼を言って植木鉢を受け取り、植えられている綺麗な花をまじまじと眺めると、あることに気づいた。

「これもしかして造花？」

そう言いながら花に触れて確信したが、生花ではなかった。花を育てることが好きな彼女にしては珍しいことで、わざわざ取り寄せてくれたのかもしれない。


「あぁそうだ。いくら私が花の世話の仕方を仕込んだとはいえ、貴様はいまいち季節感も備わっていないやつだからな。せっかく渡した花を枯らされては敵わん」

腰に手を当てて意地の悪く口元を歪ませ、わざとらしくからかうような口ぶりで告げてくる。
手厳しい言葉だが、これも彼女なりの気遣いだろう。彼女のお手製の花も魅力的だが、ずっと残り続けるというならそれも嬉しい。
何より彼女がわざわざ俺のために用意してくれたプレゼントなのだ。喜ばないはずがない。

「ははっ……大切にするよ。せっかくだしトレーナー室にでも飾ろうかな」

手元の花に見とれながら、軽い気持ちでそう言い放つ。
するとエアグルーヴが突然慌てたように大きな声を上げた。

「だ、駄目だっ！トレーナー室には飾るな！」

不意のことに驚きエアグルーヴへと目線を向ける。
耳と尻尾はピンとそそり立たち、目も大きく見開かれていた。先程までの余裕は消え去り、彼女らしくない崩れた表情を浮かべている。夕焼けのせいか、その頬は赤く染まっているように見えた。

「えっ！？な、何で！？せっかく君からもらった物なのに！」

「な　ん　で　も　だ　！飾るなら自宅に飾ると今すぐ誓え！今ここで誓えないと言うのなら今すぐそれは返してもらう！

俺の言葉は見事に切り捨てられた。顔は更に険しさを増しながらどんどん距離を詰めてくる。
何故そこまでトレーナー室に飾ってほしくないのかはわからないが、レースで見せるような鬼気迫る雰囲気を放つ彼女を見ていると、誓わないと本当に取り上げられてしまいそうだった。
何も理解は出来ていないが、せっかくもらったプレゼントを守るためにも、とにかく彼女の言う通りに誓いを交わす。

「わ、わかった！誓う！家で飾るから！だから落ち着いてくれ！」

その言葉を聞いたエアグルーヴは足を止めて静止した。どうやら自分の有様に気づいたようで、わざとらしく咳払いをして何事もなかったかのように落ち着きを取り戻そうとし始めた。

「す、すまない、少し取り乱した。自宅に飾るならそれでいいんだ、あぁそうしてくれ」

少し、と言うが明らかにそんなレベルではなかった。彼女がここまで取り乱すのは滅多にないことで、それこそシンボリルドルフがスピーチの際に原稿を無視してアドリブでダジャレを言い始めたときぐらいだろう。
明らかに何かあるが、これについて追及しようとすればまた彼女が怒ってしまうかもしれない。大きな疑問だが何とか心の中に閉まっておくことにする。
それはそれとしてもう一つ気になることがあり、おかしくなった空気を変えるためにも別に質問を投げかけることにした。

「と、ところでさ！この花はなんて種類の花なんだ？」

改めて受け取った赤い花を見てみる。彼女の担当になってからというものある程度花についての知識は身に着けていったが、それにしても見慣れない花であり、なんという花なのか全くわからなかった。
花に詳しいエアグルーヴがプレゼントするためにわざわざ用意した花なのだから、おそらく何かしら意図があるのだろう。プレゼントされた側としてそれを知りたくなるのは当然のことだった。
花について知らないことを彼女に聞けば、いつだって答えてくれる。だからいつものように彼女に質問した。
するとエアグルーヴは片手を頬に添え、もう片方の手でその肘を抱えた。癖なのか、彼女がよく取っているいつものポーズだ。

「はっ……先程は”伊達に君のトレーナーをやってない”などと大口を叩いたくせに、この花のことまではわからんか。花の知識については、まだまだ私の理想には遠いな」

こんな風に少し呆れたように知識不足を責めてくるのもいつも通り。苦笑いを浮かべながら質問の返答を待つ。
しかしその後に言葉は続かず沈黙が流れた。これはいつも通りではなかった。

どうしたのかと首を傾げながら覗き込むように顔を近づけると、彼女の綺麗なみ空色の瞳が揺れていた。合わせていた目線は逸らされ、頬に添えられていた手がそのまま彼女の顔の片側を覆い隠した。

「その花は……花は……」

彼女らしくない消え入りそうなほど小さな声で花の名前を告げようとするが、やはり言い切れないでいた。
ふと目線を向けると先程よりもはっきりと頬が紅潮していた。どうやら夕暮れのせいではなかったらしい。更にいつの間にか瞳は少し潤み始めていた。
その走りから”女帝”と称される彼女だが、その二つ名に恥じぬほど顔は端正であり、担当という贔屓目を抜きにしても学生とは思えない大人びた美貌の持ち主だ。
そんな彼女が赤面しながら目を潤ませていると、いつもつけているアイシャドウも相まって表情からは歳不相応な色気が滲み出ていた。
思わず息を吞んでいると、突然エアグルーヴが開き直ったようにこちらと向き合う。

「たまには私にばかり頼っていないで自分で調べてみたらどうだいつも使っているパソコンでその花の特徴を調べてみればきっとわかることだろうこれで貴様の疑問は片付いたなそれではまた明日からトレーニングだこの花が気になりすぎて夜眠るのが遅くなったりするんじゃないぞそれではな」

やけになったような表情でまくし立てるような早口でそう言い残し、キレ良く踵を返すとそのままそそくさと自室へと帰って行ってしまった。勢いよく閉められたドアの音と自分だけが学生寮前に取り残された。
結局のところ、何故トレーナー室に飾ってはいけないのか、この花はなんというのか、何故花の種類を教えるだけであんな表情を浮かべたのか……わからないことだらけのまま帰路に着いた。

その日の夜、帰宅した俺は彼女の言う通りパソコンで貰った花について調べた。
流石に手元にある花の見た目だけでも種類を特定するのは骨が折れたが、根気よく調べた結果何とかこの花の名を知ることが出来た。
この花の名はグズマニア。その花言葉は……

最近の女帝の怪文書に触発されて書いてみたらちょっと長くなっちゃいました

これは理想の怪文書

朝女帝は健康で幸せになれる

ふわふわパンケーキ乙女脳な女帝良いよね…
年相応にスイーツバイキングでデートして欲しい

ダイナかーちゃんが聞いたらまたからかいそうなことしてる…

これは理想の夫婦

朝から女帝を疲れさせるなと思ったら別の人だった

「理想の夫婦」「情熱」

>それこそシンボリルドルフがスピーチの際に原稿を無視してアドリブでダジャレを言い始めたときぐらいだろう。
何してるんだよ会長…

爽やかな朝に心地のいい花の香るそよ風が吹いたと思ったらエアグルーヴだった

よかった…
偶然花を渡す所を目撃してたテイオーを追っかけ回す女帝はいなかったんだ…

花言葉は複数あるから言い訳できるようにもしてある

朝の女帝怪文書は一日のやる気を増加させるからもっとやれ

>>それこそシンボリルドルフがスピーチの際に原稿を無視してアドリブでダジャレを言い始めたときぐらいだろう。
>何してるんだよ会長…
公式なんですよこれ…

はー？一向に「いつまでも健康で幸せ」って意味で送ったんですが？

我々の歩む道への共感者に今日、感謝！

トレーナー室だと理想の二人が男女ではなくウマとトレの関係でしかならないからか…？

>トレーナー室だと理想の二人が男女ではなくウマとトレの関係でしかならないからか…？
花といえばエアグルーヴ→エアグルーヴからのグズマニア→うまぴょいというのが全生徒にバレてｶｲﾁｮｰの駄洒落のネタにされる

疲れてないパターンか

女帝の子供がこの造花についてトレーナーに質問してトレーナーが気まずそうに答えて女帝が顔真っ赤にするまで読んだ

>トレーナー室だと理想の二人が男女ではなくウマとトレの関係でしかならないからか…？
自分の気持ちを他人の目に付く場所に置いてほしくないのとトレーナー室って割と担当以外も出入りすることあるっぽいので万が一にも花言葉がわかる子の目に付かないようにってつもりでしたがその解釈いいですね...いい...

ふわふわパンケーキきたな…

こんな造花まで作れてしまうようではますます花を求めるウマ娘が増加してしまうな！

またイチャついてる…私の性癖には合っています

>花言葉
>「理想の夫婦」「情熱」
こんな女帝の為にあるような花言葉…

エアグルーヴ好き

調べてきたぞ！
あなたは完璧！なんだよやっぱり合ってるじゃないか！

エアグルーヴおっぱいデカイのずるい

> 自分の気持ちを他人の目に付く場所に置いてほしくない
俺この感情好き

造花だし枯れない…貴様以上の存在は絶対にいないと言ってる！

朝の女帝怪文書で今日一日頑張れる気がして助かる…

最近は女帝怪文書が無いと生きられなくなってきたな…ありがたい…

人類は基本的にお固い女性の女のこの部分に弱い

抱けーッ！抱けーッ！

グラビア出たら若者からおっさんまで買いそうなウマ娘No. 1のエアグルーヴ

プラトニック怪文書は健康に良い

この日以来ちゃんと飾ってるのか確認するためにトレーナーの自室に定期的に通うようになってくれ

>抱けーッ！抱けーッ！
お母さまのレス

女帝は愛情表現苦手意識持ってそうだから花に託すことはしょっちゅうやりそうだし
気付かないとぷりぷり怒りそう
かわいい
ご機嫌取りたい

一昨日も昨日も育てたけど今日も育てるか...

>この日以来ちゃんと飾ってるのか確認するためにトレーナーの自室に定期的に通うようになってくれ
こんなのもう通い妻じゃん！！

あらいいですわね…

会長は本人の育成で感謝祭のスピーチでアドリブジョークかまして
生徒会メンバーが出し抜かれたキラみたいになるイベントがある
でもね会長的に超大事なイベントなんですよ真面目な意味で…

変にチョロ化せず一定の距離感を保ったままなんとか好意や信頼を伝えようとするのいいよね…

>会長は本人の育成で感謝祭のスピーチでアドリブジョークかまして
>生徒会メンバーが出し抜かれたキラみたいになるイベントがある
>でもね会長的に超大事なイベントなんですよ真面目な意味で…
ファン数多いとウケてそうでもないと冷えるの忖度を感じる

ああ、造花だからずっと枯れないってことか…

>>会長は本人の育成で感謝祭のスピーチでアドリブジョークかまして
>>生徒会メンバーが出し抜かれたキラみたいになるイベントがある
>>でもね会長的に超大事なイベントなんですよ真面目な意味で…
>ファン数多いとウケてそうでもないと冷えるの忖度を感じる
知らなかった...

この子可愛いよね

そうか造花か…彼が居無いこともないから枯れない…フフッ

エアグルーヴのストーリーは本当に信頼を重ねてる感じがしていい
最後あたりなんて取材陣うるさいからトレーナー君引っ張って部屋閉じこもっちゃうもんな…

うまぴょいしたんか！うまぴょいしたんか！女帝に相応しいうま勃っちしたんかワレ！

うまぴょいしてもいい
うまぴょいしなくてもいい
無敵かこやつ

現役引退会見で重々しく婚約発表するエアグルーヴ
礼賛するファンとメディア

>>それこそシンボリルドルフがスピーチの際に原稿を無視してアドリブでダジャレを言い始めたときぐらいだろう。
>何してるんだよ会長…
余り堅苦しく重い雰囲気になら無い想いを込めたのだ

ファン数プラス理事長の好感度がトリガーらしいので忖度…

原作では歩いてるだけで後ろの牡馬を🐴🍄させた女だ…スタイルが違う

こんなナリでびっくり箱系の他愛ないイタズラにすげー弱いのがいいよね…

女帝はいい奥さんになるよ

ピルサドスキーってなんかエロマンガの竿役みたいな名前だな…伯爵とか付けたい

>こんなナリでびっくり箱系の他愛ないイタズラにすげー弱いのがいいよね…
フラッシュたこうぜ！

女帝だと借り物競争の時のファンの反応がちょっと変わるよね学園祭のイベント

ファンの数で内容変わるタイプの話って読み返す時はどうなってんの？

>女帝だと借り物競争の時のファンの反応がちょっと変わるよね学園祭のイベント
ダスカもカレンチャンに可愛いコンテスト負ける時あると思ったらそう言うこと…？

バレンタイン学園祭クリスマスはファン数とかの特定条件で分岐して固有スキル強化になるぞ

固有スキルlvアップイベントはまずファン数が基準に達してるかで変化する
感謝祭はそれにくわえて理事長の親愛度もいる
差分イベだろうと一度見たらスキップ対象だから注意しろよな！！

>感謝祭はそれにくわえて理事長の親愛度もいる
知らなかったそんなの…

>>感謝祭はそれにくわえて理事長の親愛度もいる
>知らなかったそんなの…
シニアの4月前半までに理事長緑ゲージだね

やっぱりうまぴょいした女は違うなぁ…

>ああ、造花だからずっと枯れないってことか…
ずっと枯れない情熱や理想の夫婦いいよね…

関係ないけど昨日から画像の育成始めたらダジャレでめちゃくちゃやる気さがるのどうにかなりませんか…

>関係ないけど昨日から画像の育成始めたらダジャレでめちゃくちゃやる気さがるのどうにかなりませんか…
やる気減少イベントが来るのが悪いのでダジャレは悪くないし…

固有スキルレベルって最大5でいいの？

ふふふ…下手な洒落は止めなしゃれということかな？

>ピルサドスキーってなんかエロマンガの竿役みたいな名前だな…伯爵とか付けたい
外国の軍人さんの名前をローマ字読みしちゃった結果なんだよなピルサド

貴様呼びから貴方に変わる瞬間が見てえ〜〜〜〜〜