「ふーん……好き勝手書いてくれるじゃない」
ダイワスカーレットがURAファイナルズを制し、トゥインクルシリーズの頂点に立ってから、はや三年。
彼女は今も一線級のウマ娘だが、かつての一番を目指してがむしゃらに戦う灼熱感は無い。
レースを選り好み出来るようになったし、選り好みしなければならなくもなった。
シリーズを終えて油の乗ったウマ娘が、誰彼構わず噛み付いてはいけないのだ。ましてや女王が。
そんな中、誰はばかる事なく参加出来るレースの一つ。ファンの期待によって選ばれる勝負の舞台は有マ記念。
一年を締め括るに相応しく、またダイワスカーレットの走る地に相応しかった。

毎年トゥインクルシリーズを勝ち抜いて、新たな強豪が名乗りを上げる大レース。
同時にベテラン、同期の名だたる強者達も集う事だろう。
ダイワスカーレットにとって四度目となるこのレース、毎年変わらずの激闘となるのは明らかだった。
その中でも今年の新人は──
「実際、速いよ彼女は」
「ええ……確かに”衝撃”だわ」
トレーナーとして注意を促せば、彼女も同意で応える。
圧倒的な速さで、飛ぶように走るとさえ称された大型新人。一年目にしてもう有マまで勝ち上がってきたその実力は疑いようがない。
──人はしばしば、新星による代替わりを求める。

勝ち続ければ敗北を見たくなるのは性なのか。今や女王が倒れる様を、多くのファンが夢想している。
いや、それだけ新たなる敵が夢を託すに値する存在という事だろうか。
「この記事、まるでアタシが鈍ってるみたいに書いてるのが気に入らないのよね」
ダイワスカーレットは、戦う相手を選んだ。
出走回数は減ったし、傍目には勝負勘を落としてるように思えるのかもしれない。
そんな訳ない。
一番のウマ娘は、今までもこれからも一番を目指している！

「最前列で見てなさい！　アンタの一番のウマ娘が、今年もアンタを一番のトレーナーにしてあげるから！」
「ああ！　君が誰より一番だ！！」
疑う余地なんてない。ダイワスカーレットが勝つ。
最高の舞台で、最高の彼女が、最高の勝利を手に入れる。
だから恐れる事なく送り出した……有マ記念が、来る。

The・WINNER
■■年、有マ記念。
そのウマ娘は、価値ある勝利を求め続けた。
前人未到、有マ記念四連覇。
三つのティアラに彩られた、二つとない栄光が、彼女を一番にする。
頂点は、色褪せない。
そのウマ娘の名は……

最初の文でまたあの記者にトレーナーとの関係を盛った提灯記事書かせたのかと思ってしまいすまない...

最近は風紀が乱れる怪文書が多かったからこういう熱血系もありがたい...

衝撃さんに勝ったら本物の伝説になれるぞ

ああ衝撃ってそういうことか...

>衝撃さんに勝ったら本物の伝説になれるぞ
一番って事ね！

アニメで忍者走りした子だっけね

原作未読者としては割と最近のイメージだったんだけど衝撃さんってダスカより年上だったんだ

何というか、深そうな衝撃ですね

>何というか、深そうな衝撃ですね
間違いなく飛んでそうでしょう

>有マ記念
電マに見えた

熱血系怪文書流行れ

翼が生えるでしょうね最終コーナーで

血統とか覚悟とかそう言ったものを背負わずただただ走ることが楽しくてひたすら笑顔で駆け抜ける衝撃にウマ娘達は眩しい何かを感じちゃうんだ…

逆に走ることの楽しさを知らずレースに出れば勝ってしまうモンスターに楽しさをねじ込むのでもいいですよ

走るの楽しい！誰よりも速く走るのはもっと楽しい！！！
みたいなのいいよね

>三つのティアラに彩られた、二つとない栄光が、彼女を一番にする。
ここ好き
３・２・１！ハイ！

>走るの楽しい！誰よりも速く走るのはもっと楽しい！！！
>みたいなのいいよね
こんな子を見てから
>シリーズを終えて油の乗ったウマ娘が、誰彼構わず噛み付いてはいけないのだ。ましてや女王が。
女王だって楽しむために走ったっていいじゃない？
って初心思い出すの良いと思います！

最後の直線駆け抜けるときもずっと笑顔で目は爛々と輝いているんだ…

トレーナーとの事前の打ち合わせとか完全崩壊してペースも呼吸配分も滅茶苦茶だけど皆目を輝かせて走ってるんだ…

プイプイちゃんの眼に煌めく焔が宿るんだよね…

最終コーナーを回った───その時だ。
先頭を突き進むダイワスカーレットの背筋が例外なくぞくりと粟だった。
“何か”が“来る”。後続を大きく突き放していたはずの女王は一度だけ背後を振り返った。
集団の最後方。件の“衝撃”がそこでばさりと『翼』を広げたのを幻に見た。
来る！来る！来る！空を飛んでくる！この遠くからでも分かる！もうあの子は先頭のアタシしか見ていない！
有マ記念。激闘を戦い抜いた優駿たちが集っているはずなのに、それらが全て足を止めているかのように錯覚するほどの異次元の走りで迫ってくる！
10バ身以上の差がまだあるというのに私を軽やかに追い抜くことを微塵も疑ってない！
滾った。歯を剥き出しにして雄々しく笑った。ダイワスカーレットの心に轟々と燃え上がるような炎が点いた。
上等。叩き潰す相手に相応しいわ。アタシがやってやろうじゃない。かかってこい、新人。
クラッシックの三冠を何の危なげもなく掻っ攫っていった超新星の怪物。いや、世間で言うところの“英雄”。
アンタに最初に土をつけるのはこの私よ。
一番はいつだってアタシだし───それに一番のトレーナーは、いつだってアイツなんだから───！

Qに続きが

英雄は女王に挑む

奇跡に最も近いウマ娘